「本当に久し振りですね、ホフマンさん。
お変わり有りませんか?」
「パトリシアも、元気してた?」
「ヒヒーン!」
サントハイム南部砂漠のオアシスで出会ったのは、嘗て一緒に旅をしていた…
その道中、ミントスに訪れた時に、その街に住む、商人の神様と云われる老人、ヒルタン老師に弟子入りする為に別れる事になった青年、ホフマンだった。
ミントスでクリフトが病で倒れていた時も、その時の宿のスタッフとして看病していたりと、ライアン以外は少なからず、縁がある人物だ。
「あ、そー言えばフィーグさん、時事通読みましたよ。
何時の間に、マーニャさんと くっついたんですかぁ?」
「…色々と、あったんだよ。」
またかよ…。
まあ、知っている人間からすりゃ、やっぱり真っ先に聞いてくる事柄なのかな?
「ラキスケの度に、グーパンチと簀巻きだったのに…世の中、分かりませんね。」
喧しいわ!!
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「卒業試験ですか…」
「はい。しかし、商人として、結果と実績を示せという、漠然とした お題ですから、何をしたら良いのか、分からなかったのですが…」
「…過去形って事は、もう答えを見つけたんだよな?」
「はい!」
ヒルタン老師から提示された、卒業の証明の為の お題…『結果と実績を示せ』。
そのアバウト過ぎると言っても良い、無茶振りにも、ホフマンは答えを出し、後は実行に移すだけと、自信に満ちた、良い表情で応える。
原作知識で、何をしようとしてるかは判ってはいるが、一応、聞いてみると、
「僕も、ヒルタン老師に倣い、新しい街を0(ゼロ)から作ろうと思うんです!」
思った通りの答えが返ってきた。
「そんな訳で、パトリシアと色々な場所を廻ってきたのですが、なかなか、コレと往った土地に巡り会えなかったのですが…」
此処で、何か天啓でも下ったかの様な、冴えた顔を見せ、
「ん。この地で皆さんと再会出来たのに、運命的な何かを感じます。
此処で新しい街を開拓してみるのも良いかも知れませんね。」
言い切った。
「大丈夫なの?こんな砂漠で?」
「僕は元々、砂漠の玄関口の街、ノースサンドラの宿屋の息子ですよ?
別に砂漠に、マイナス要素を感じたりはしません。
寧ろ、この水源豊かなオアシスは、大きなアドバンテージですよ!!」
言い切った!
「…と、なると、後は この砂漠に新たに街を開拓する許可を得るだけですが…」
じーーーーーーーーーーーーーーー…
此処でホフマン君、サントハイム王女である姫さんに対して、何かを訴えかける様にガン見。
「はぁ…」
呆れた様に、尚且つ笑顔で溜め息を吐いた姫さんが、ホフマンの前に出る。
「ホフマン・ディアラックよ…
このサントハイム第1王女、アリーナ・ウィンティ・ジ・アレナア・サントハイムの名に置いて、この地に新たな街を築く事を許可します。
サントハイム発展の為、立派な街を作り上げる事を期待します。
…これで良いかしら?」
「ナイスだ、姫さん。」
姫さんにサムズアップ。
「あ、ありがとうございます!
必ずや、立派な街を築いてみせます!!」
ん、そうだ。
現時点で、サントハイム唯一の王族である姫さんの許可が降りたなら、これでホフマンも遠慮無く、開拓作業に移行出来るだろう。
俺達も、可能な限りの協力はしてやるよ。
「とりあえずは時事通信の記者を呼んだりして、世界中にアピールせねばいけませぬな。」
意外にも?ブライ爺さんが、「また勝手な事を…」みたいな顔をするかと思えば、逆に、かなり乗り気な発言。
祖国の現状を考えてみると、新しい都市が出来るのは、プラスになると判断したのだろう。
「私独断では決められませんが、姉妹店…2号店の出店を、妻や店のスタッフと話し合いしてみましょう。」
「各都市の酒場なんかには、今の暮らしには満足出来ず、新しい生活…新天地を求めてボヤいてる人とか、結構居ますよね。」
「それなら、姉さんが酒場の主にONEGAIする事で、店に移民求募のポスターでも貼らせて貰いましょう。」
「ちょ…何だか、字が違うくない?
でも、任せなさい!」
皆も、建設的意見を出していく。
「皆さん、ありがとうございます!
よろしくお願いします!!」
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「…では、行きますよ、フィーグさん!」
「応よ!!」
街作りの話が一通り終わった後、オアシスの畔で、ホフマンと俺は互いに得物(やり)を構えて対峙する。
行商の勉強ばかりで、槍(せんとう)の腕が鈍ってないかどうかの確認だ。
一応は俺も、多少は戦い方をアドバイスしたりした、ある意味、師匠ポジだからね。
「でぃや!見様見真似・覇極流千峰塵!!」
本来は騎士等が、片手で装備する事で、盾と併用する前提な造りのホーリーランス。
それをカスタマイズして、両手持ちも可能とした聖槍で繰り出すのは、高速の連続突き。
以前、俺達と同行していた時の魔物との戦闘で、俺が放っていたのをしっかりと視る事で身に付けた、コピー技。
俺達と別れた後も、きっちりとヒルタン老師の師事の合間に鍛錬していたのだろう、そして卒業試験の名目の旅の途中でも、魔物と戦う際に多用したのであろう、俺が最後に見た時よりも、更に精度を増した その技は、既に見様見真似の域を超えていた。
しかし、あれから、魔物との戦いで技を使用する事で、更に精度を上げていたのは、俺も同じ事。
ホフマンの連続突きに対し、まるで鏡写しの様に、同じ軌道、同じ速度、同じ力加減で、撃ってくる槍の先端に方天画戟の穂先をぶつけ、相殺する。
「うわっ!」
そして、最後の一撃に対してのみ、僅かに速く、僅かに重い一戟で跳ね返して突進、そこから放つのは、
「無双三段!!」
ズバキャアッ!!
「う、わあぁあっ!!」
千峰塵を完璧に習得したGOHOUBIとばかりに、新たに得た新技で応えてやった。
するとホフマンは、斬る、突く、払うの三連撃をまとも喰いながらも臆する事無く、しっかりと技を『視』ていたよ。
いずれ、この無双三段も『見様見真似』で習得するんだろうな。
「立てるか?」
「は、はい、何とか…」
大の字にダウンしたホフマンに手を差し伸べて起こした後、「もう、千峰塵を撃つ際は『見様見真似』を附けなくても良いよ。」って言ったら、
「あ、ありがとうございますうぅっ!!」
…って、涙流して感動してたよ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「「「おえっぷ…」」」
ホフマンと別れた後、少し東に戻って、旅の扉を通ってエンドールへ。
その際、俺とソロとライアンが、ゲート酔い。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
エンドール城下町、旦那の店にて、纏い手が居なくなったプラチナメイルを売り物ではなく、店頭展示品としてカウンター脇に飾る。
因みに破邪の剣は、一応、予備の武器として、馬車に置いておく事に。
そしてバルログが店に預けてくれていた、新しい【真夜の仮面】を受け取り、装備。
その日は その儘、城下町に宿泊。
俺はポポロに引き止められていたけど、ネネさんに にこやかな顔で、「げらあぅと!!」…と、ばかりに殺気を放たれてられましたので、当然、気を利かせて…
どうせ、いくらなんでも全員は泊まれないからね、旦那以外は宿屋にチェックイン。
その後は、マーニャさんが持病の『カジノ行きたい病』が再発したのを何とか宥め、久し振りに、以前は よく利用していた店、『華の郷』に皆で食事に。
店には先客にロレンスとスコット(久し振り!)が居て、思いっきり「爆裂しろ!」と絡んでくるわ、更には店のバニーちゃんも、エンドールを発つ前の、俺の店内での話(バニーちゃんを口説いていた等々)を容赦なく話してくれて、ミネアさんに「不潔です。」とディスられるわ、マーニャさんを軽く修羅場らせるわ、楽しくも散々な席だったぜ。
そして それを見ていた、ソロが大笑い。
テメー、覚えてろ、後で〆る。
勿論、ホフマンの街の、移民募集の貼り紙をお願いするのも忘れない。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
翌日、旦那を迎えに行ってみると、旦那は御約束の如く思いっきり窶れ果ており、やはり御約束の如く、思いっきり艶っつやなネネさんが、「皆さんで食べて下さいね」と、全員分の お弁当を渡してくれた。
わーい!ネネさんの手料理だー!♪
これで昨夜、マーニャさんに絞り摂られ喪った精気を回復してやるぜ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
馬車は現在、嘗て旦那が私財を擲って完成させたと云う、エンドール⇔ブランカトンネルを通過中。
その目的は、傭兵団『フランベルジュ』の拠点(ホーム)だ。
先日の古代遺跡で、辛うじて勝てはしたが、トラウマの代名詞である、キラーマジンガ様にフルボッコにされ、力不足を実感した俺達…特にソロと姫さんが、今以上の強さを求め、格闘トーナメントの際に、親父がソロに向けて言った台詞…
「今度、あの お姫様とブランカの拠点(ホーム)に来い!
父殿と一緒に、改めて鍛えてやるわい!!」
…あの言葉を頼りに、親父を訪ねる事にしたのだ。
勿論、親父だけでなく、ブランカ城の訓練場で、祖父(じ)っちゃんにも稽古を付けてもらう予定だ。
100の鍛錬より、1の実戦。
よく聞く言葉だが、フランベルジュの訓練は、別枠だ。
経験者が言うのだから、間違いない。
「…あの人達の出鱈目っぶりは、既によく知っているつもりですから。
地獄の特訓が待ってるのは、十分に覚悟していますよ。」
「強くなるには、厳し過ぎる位が丁度良いのよ!そうでなきゃ、意味が無いわ!」
ほぅ…2人共、言うねぇ。
特にソロは、ジジイにも親父にも、訓練やらトーナメントやらで襤褸雑巾にされてるから、それなりに耐性を持っている心算なのだろうが…
「2人共、『地獄のトレーニング』とやらを想像してみ?」
「「……………………………………。」」
「…そんなモノは、\(^∀^)/天国だ!!」
「「(」゚O゚L)ノオッォオオォオォォォォォオオォォオォオォォ~ッ!!」」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
トンネルを抜けた後、襲ってきた魔物はパインウインド無双。
勇者一行を乗せた馬車は、ブランカ城下町に到着した。
コメントよろしくです。