「フィーグ 's キッチン!」
「「「いえーい!」」」
この儘 一気にサントハイムを攻めるか、それとも一度、装備を見直すか…
ソロに判断を委ねた結果、後者になった。
バド河を抜け、レイクナバとフレノールの海峡を越えて、船はボンモール領、王都の真西に位置する港町、カーソンに停泊。
此処からは陸路、馬車でエンドールを目指す事に。
え?ルーラ?
いや、ゲームではね、簡単に飛んでいるけどさ、現実(リアル)となると船や馬車丸ごとの瞬間移動となると、魔法消費量が本当に、とある素晴らしい世界の爆裂魔法な如くバカにならないのよ。
てゆうか、ウチの馬車ってさ、タダでさえ大きい(馬込み)からさ、パーティーのルーラの使い手…俺、ソロ、マーニャさん、爺さんが魔力を合わせて飛ぼうとして、ギリギリだからね。
当然、あの大型帆船毎ルーラなんて、キリンの懸垂レベルで無理だよ。
そんな訳でカーソンを発って2日目、今夜は野宿、夕飯は俺とライアンが担当する事に。
先に言っておくが、俺は傭兵団で、野営キャンプの際の、料理の手解きなんかも受けており、結構得意だったりするんだぜ?
此迄も偶に、野宿の際は腕を振るったりして、皆に評判良いんだよ?
ほれ、セットした即席の調理台の前で、少しライブクッキングなボケをしただけで皆、ノリノリじゃない。
更には実は、ライアンと旦那も、以外と料理が上手い。
所謂『漢の料理』みたいな?
ソロ、クリフト、爺さんはダメダメ。
え?姫さんや お姉さんズの女性陣?
あの3人が、料理が出来る訳がないじゃないの!
意外な事に?特にミネアさんの料理センスが、殺人的に酷過ぎる。
「はい、今夜は暴れ牛鳥のハーブ焼きに しようと思います。」
「「「おぉ~っ!!」」」
「先ずは冷凍保存(ヒャド)して馬車に積んでおいた、暴れ牛鳥の胸肉を解凍…でわマーニャさん、よろしくお願いします!」
「はいよ…メラ!」
「…次はコレをブツ切りにして、予め(ギラで)熱しておいた鉄板鍋に、香辛料香草数種類と一緒に投入、焼きに入ります!」
じゅぅ~…
ん~、良い香りだ…
「…皿に盛って、パセリとチーズを程なく振り掛けたら、はい、完成です!」
「「「おおおぉ~っ!!」」」
パチパチパチパチパチパチパチ…
因みにライアンは、暴れ牛鳥の骨やテール肉をベースに、野菜や香草を一緒に煮込んでのシチューを作っている。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「ん!美味い美味い!」
「本当に美味しいですね。」
「こっちのシチューも絶品!」
舌鼓みな お姉さんズ&姫さん。
「いやいや、あなた達は食べてばかりでないで、少しは料理の勉強しなさいよ?」
「小さな頃から、『王族、厨房に入るべからず』って教えを受けたわ。」
どんな帝王学?
「少し前に、『私は一生、料理をしてはいけない』と、カードに啓示されました。」
いや、しろよ!
現状が3人の中で、一番 壊滅的な腕前なのは知ってるけど、努力しろよ!!
只でさえ外見、どの辺りが…とは敢えて言わないが、女子力皆無なんだから、せめて内側は磨けよ!!
「ゆでたまごなら、得意よ!!」
〇ッスル・スパーク炸裂させたろか?
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「じゃ、後片付け、よろしく。」
「「「は~い。」」」
今晩の食後の調理具や食器の後片付けは、女性陣の仕事。
ええ、この辺りは…ってか、せめて この位は やって貰わないと。
まあ、最初の頃は、それすらも まともに こなせなかったけどね…
3人纏めて、俺が調教(しこ)んだ。(笑)
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
バチバチバチ…
「アッチチ!!…ほれ、焼けたぜ~。」
「あ、どうも。」
今晩の見張り役は俺とクリフト。
焚き火の前で焼いていた、夕飯の調理時に余った食材…串に刺した肉を1本、クリフトに渡す。
…って、ねぇ、俺、今日は料理番も やったんだよ?オカしくね?
今日の見張りはソロで良くなくね?
「…で、どーだったよ?」
「いやいや、本当に何にも、ありませんでしたから!!」
…な訳で、先日のガーデンブルグ、姫さんと2人きり(実際は違うが)にした後の、進展具合を聞いてみたが、この真面目(妄想むっつり)神官は、何事と無かったと、此方の期待な展開を完全否定。
「いや、大変だったのは知ってるけどよ、だからこそ、その後に吊り橋効果的な展開にだn「なりません!!」
あくまでも、完全否定なクリフト君。
「でも お前あの時、裸になって姫さんに飛び付いて抱き付いて押し倒して、ぱふぱふしたって…」
「わーーーーーーーーっ?!
何ですか、それわ!?脚色し過ぎです!
一体、誰から聞いたんですか、それ?」
んなの、姫さん→マーニャさんラインに決まってるだろ?
「兎に角、私は神に仕える身であり、姫様は王族なんですよ?
そんな簡単に、軽はずみな行動が出来る訳がないじゃないですか?!」
「覚悟が有れば、何でも出来る。
相思相愛なら、尚更だ。」
「そ…相思相愛って、それって、姫様も私の事を?」
「あ、自分が姫さん好きなのは認めた。」
「はぅう、しまったぁ!?」
いやいや、皆知ってるからね?当の姫さん以外は。
尤もマーニャさん曰く、本人は まだ無自覚っぽいけど、『あの日』以来の半デレっぷりからして、姫さんも…ってのは間違い無いだろうしねぇ(クリフトと爺さんは気付いてない:笑)。
「いや、マジな話な、身分とか気にしたら負けだぞ。
少なくとも、俺と お姉さんズとソロは、お前達の味方だ。
爺さんはラリホーとかで大人しくさせとくから、さっさと既成事実、決めてしまえ!!
そうしたら、勝ちだ!」
そんな風に、下世話に力説してる時、
「へ~、面白そうな話、してるじゃない?
私も混ぜてよ?」
「「!!?」」
2人して恐る恐る後方…声がした先を振り向けば、そこには笑顔ながら、顳に浮かべた血管をヒクヒクさせている姫さんが。
「あわわわわ…」
「あ、大丈夫、クリフトは悪くないわ。」姫さんは あわあわしてるクリフトに優しく微笑んで そう言うと、
「フィーグ、其処に正座。」
「はい?」
「イ・イ・カ・ラ・セ・イ・ザ・シ・ロ!!」
「は…はひ…」
夜が明けるまで、説教されたとです。
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そして5日掛けて、エンドール領へ。
約3ヶ月後に開かれるサミットの影響なのか、国境でのチェックが、普段より入念に行われた。
「悪いね、この先の関所は勿論、王都に入る時も、こんな感じだから。」…とは、警備兵の弁。
ボンモール領も そうだったが、このエンドール地方のモンスターは はっきり言って、今の俺達からすれば雑魚。
ソロが修得した退魔の呪文【トヘロス】で、完全に魔物を寄せ付けない、安全な旅。
約1名程、「つまらない~っ!!」…とか言っていたけど、はい、無視無視。
更に数日後、やはり厳しい審査を経て、漸く王都入り。
既に日が落ち掛けた この時刻、いつかと同じパターンで、旦那は自宅、その他のメンバーは宿にチェックイン。
この日は普通に大部屋が取れたので、男女別れての2部屋で宿泊。
「「…ちぃっ!!」」
そしてエンドール…と言えば、そう!
マーニャさん持病の「私、カジノに行かないと死んじゃうの病」が再発。
パーティーの財布の紐を握っているミネアさんが、
「もう…少しだけですよ!」
…と、少しだけ諦めた顔で、小遣いを渡すと、嬉々と喜び勇んでカジノに一直線。
…俺の首根っこを掴んで。
まあね、先日のガーデンブルグでの、かなりな臨時収入も有ってか、それなりに余裕は有るからねぇ。
因みにライアンも同行した。
カジノでは、ライアンはモンスター格闘場、俺はポーカー、そしてマーニャさんはスロットのエリアに それぞれ直行。
俺とライアンは、そこそこの勝利。
ぬ?マーニャさんの結果?
はっはっはっは!
聞かないで聞かないで(爆)。
カジノからの帰り道、orzなマーニャさんを慰める如く、3人でエンドールでの なじみの店、『華の郷』に行ってみると、
「「おぉ、久しぶり!♪」」
傭兵系冒険者な知り合いのスコットと久しぶりに対面、互いの近況を話してみる。
この熊男(失言)、相変わらず、商人や貴族の遠出の際の護衛で、生計を立てているそうだ。
それから、
「サミットでは、城周辺の警備員のバイトをするんだぜ!」
…らしい。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
翌日。
改めて、旦那と合流。
艶っ艶なネネさんに見送られた旦那の顔が、搾り穫られ尽くされたかの様に窶れているのも、何時ものパターン。www
この街に来た目的である、鍛冶職人の工房を目指した。
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街の南東部角、フィールドとの境の城壁が直ぐ背にある、黒煉瓦造りの2階建ての店舗兼工房。
「いらっしゃいまs…って、フィーグさん?
…トルネコさんも?」
「どうも、お久しぶりぶりです。」
「やぁ、タクちゃん、久しぶり♪」
店に入ると、知り合いの店員君が出迎えてくれた。
武器屋繋がりで、旦那とも面識が有る様だね。
「親方は工房?」
「あ、はい…」
「仕事の話があるのですが、今から会えませんか?」
「待って下さい、聞いてみます。」
そう言うと店員のタクちゃん…本名、タスク君は、店の裏手に姿を消して行った。
タクちゃんが親方…店主を呼びに行ってる間、俺達は店内を見て回る。
「ぬぬっ!!」
そんな中、ライアンが1つの鎧の前で足を止め、それを唸る様に見入る。
それは、全身が白銀に輝く、この店の目玉商品である はぐれメタル鎧。
…の隣に並べられている、その白銀の鎧を更に、強化させたような外見の鎧。
「ほう、それが気に入ったか…?」
「??!」
ライアンに後ろから声を掛けたのは、鍛え抜いた巨躯を やや日焼けさせている、白い髭を生やした白髪の男。…否、漢。
この店の主であり、一流な鍛冶職人でもある、ヅァジム親方だ。
「「あ、親方、お久しぶりです。」」
「ふん…ボーズと…トルネコの旦那か。」
透かさず挨拶する、俺と旦那。
「商売の話か?
とりあえず、工房に来いや。」
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「ふん、なかなかに、面白い素材を持って来たな。」
店の裏手の工房。
そこでは数人の、親方の弟子である職人達が、黙々と、炉で熱した灼赤の鉄鋼を、鎚で打ち込んでいた。
その脇で俺、旦那、姫さんが、親方に、ガーデンブルグで入手した武具や素材を見せ、オーダーメイドの装備品の受注相談。
「其方の嬢さんが…ねぇ…」
姫さんの希望は、その武器から発する魔法を飛ばすでなく、留める形な物。
そして、得意技である『二重の極み』の撃ち易さから、【爪】よりかは【グローブ】タイプの武器が良いとの事。
「成る程な、燃える拳(こぶし)から放たれる拳(けん)か…そいつは面白そうだな。
その炎の爪の魔石をベースに、造る事は可能だが、グローブ型で魔法を…炎を放つでなく、溜めるとなると、普通の革素材は無理だそ?
直ぐに一緒に燃えてしまう。」
「だから、これさ。」
そう言って、俺が親方の前に出したのは、大量のミスリル鋼糸。
「コイツで編んだグローブなら、問題無い筈だ。更に…」
コト…
俺は、もう1つ、魔石を差し出す。
「コイツも一緒に組み込んで…………………………………………………………。」
「がっはっはっはっは!
ボーズ、お前は本当に、面白いアイデアを持っているな!!」
バシバシバシバシ!
痛い痛い!背中を叩くな!
「それから、この糸で、鎧の下に着込むアンダーも、3人分欲しいんだけど。
それと…………………………………」
「…それは構わんが、金は大丈夫なのか?
確かに材料は、お前さん方が出しているから、それなり安くは出来るが、それでも かなりな値になるぞ?」
「ああ、そっちの話は、旦那、任せた。」
「はいな。」
商談開始。
「全く…まさか、本当に払えるとはな…
旦那が商人として成功してるのは知っているが、それにしても金、持ち過ぎだろ?
おいボーズ、まさか お前さん達旅先で、何か悪い事してるんじゃないだろうな?」
…失礼な。
俺達が金持ちパーティーなのは、キングレオやガーデンブルグの国家相手に、ほんの少しだけ、OHANASHIしたから…それだけだよ。
「お~い、フェザー、ちょっと良いか?」
「はい?」
親方が工房の窓際で、機織りしていた職人の1人を呼びつけた。
長い黒髪の若い女性…いや、男ぉ!?
「ちょっと客人の採寸をしてくれ。
ボーズ、先ずは こっちの嬢さんの手のサイズを測ってる間に、お前さんの他にアンダーを着るっていう仲間を、こっちに連れて来てくれないか?」
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「…失礼します。」
「ひゃ、ひゃいぃ!」
このフェザー氏、この前オークがミネアさんの事を、男と勘違いして「美イケメン」とか言っていたが、正しく その形容が相応しい優男。
女性だけでなく、アッチ側の男ファンも居るんでね?…な、端正な顔立ち。
採寸の為に、右手を取られた姫さんが、あ・の・色気の欠片も無かった姫さんが、顔を真っ赤っかに。
クリフトが此の場に居たら、楽しかったな~…とか思いつつ、俺は店舗側に居る、ソロとライアンを呼びに行った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
…………………………………………。
「おいソロ、この男は一体、何をやっているのだ?」
「あ、フィーグさん。」
俺がソロ達を呼びに、店舗側に行った時に目に映ったのは、ミネアさんに必死に頭を下げている強面髭面の男だった。
「頼む、ミネア殿!この対価は戦闘働きで返す故、何卒、何卒ぉ~っ!!」
……………………………………………。
どうやら あの、メタルキング鎧の購入を、ミネアさんに必死に頼み込んでいる様だ。
その様、まるで母親にオモチャを買ってくれと、店内で泣き喚く子供だぜ(笑)。
参考迄に…
はぐれメタル鎧…35,000G
メタルキング鎧…79,800G
ん。そりゃミネアさんも、直ぐに YES!とは言わないわ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「それでは次は、胸囲を測りますから、両腕を上げて下さい。」
「はふぁは…ふぁあぃい!!」
フェザーがソロの後ろに立ち、胸に巻き尺を回す。
声質も女性の それに近いフェザーを、どうやら女性と勘違いしているソロ。
先程の姫さん同様に、顔真っ赤っかのガッチガチ。
まあ、姫さんとは真逆のベクトルだけど。
面白いから、黙っとく。www
因みにライアンは、フェザーを男だと気付いているそうだ。
初見でホイミンを女の子、更には〇〇〇〇〇〇〇だと見抜いた眼力、人を見る目は確かな様だ。
そして姫さん含み、全員の採寸が終了。
「それじゃあ前金も貰ったし、早速作業は始めるがの、ウチの工房でミスリル鋼糸を機織り出来るのはフェザーだけだからな、全部仕上がるには かなり、時間が掛かるぞぃ。」
「まあ、それは仕方無いですね。」
「サランに到着したら一度、ルーラで戻ったりしますか?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「それじゃあネネさん、よろしくお願いします。」
「はい、任されました♪」
「「「……………………………。」」」
武具の受注購入を一通り済ませた俺達は、エンドール王都から北西にある、旅の扉を使ってサントハイム領へ。
そこからサランを目指し、到着したら、俺と旦那がルーラでエンドールに一時的に戻り、その頃には完成しているであろう、姫さん専用の新しい武器等を受け取る予定にした。
そして、それ迄の間…
「痛っ!?指切った!」
「きゃっ!!鍋が煮立ってるぅ?」
「あら?この生わさびって、食べられるのかしら?」
マーニャさん達女性陣は、ネネさんの指導の下、住み込みで家事…特に料理の修行をして貰う事に。
姫さんは育ちが育ちで、鍋や包丁を扱った事が無い、純粋な素人レベル。
マーニャさんは以前、お米を洗剤で洗った前科持ち。
ミネアさんに至っては、調理した食材が何故か謎生物に変化して、襲い掛かってきたという事件を起こした事があった。
…ん、それじゃあ駄目だ。
やはり これからの旅、女性陣も少しは、キャンプの際の料理を覚えて貰わないと。
サントハイム領は、雑魚なモンスターしか居ないから、戦力減少しても無問題。
まあ、旅に色気が無くなるのも、大した問題じゃあない。
こうした訳で…
「それじゃあ皆さん、料理の方、頑張って下さい。」
「ふむ。これで姫様も、少しは女人らしくなってくれれば…」
「サランに着いたら、迎えに来るよ♪」
少しの間になるだろうが、俺達、男だけの旅が始まった。
「さあ、出発だ!!」
「ま、待って!せめて出発前に、フィーグニウムの摂取を~っ!!」
はい、何か聞こえてる気がするけど無視して、さあ、出発だ!!
…出発前に、吸い尽くされてたまるかい。
ヅァジムは島津義弘(戦国無双シリーズ)、フェザーは風鳥院花月(GetBackers-奪還屋-)を、それぞれ鳥山先生風に描き下ろしたイメージで。
コメントよろしくです。