「あ痛たたた…
…ってゆーか、握り合った手を、前に突き出しての その決めポーズ、何だか凄く、ムカつくんですけどっ!!?」
2体の魔物による、踊るかの様な…もとい、本当に手を繋ぎ握り合っての、ワルツみたいな舞の中に組み込まれたコンビネーション攻撃に、ウチの踊り子さんが怒(おこ)になった。
「、こっちも負けてられないわよ!
さぁ、フィーグ!手を出して!」
「無~理!!」
戦いの中、謎の対抗意識を燃やし、本人は大真面目な心算なのだろうが、傍から見れば、どう考えても無茶ぶりな大ボケを噛ましてくれる お姉さん。
マーニャさんのカルメンだかタンゴだかの様な動きに、俺のブレイクダンスが合わせられる訳が無いじゃないの?…って、
「うおおおおおおおおおぉ~い!?」
ドガっ!
「痛ぅ・・・!!」
この魔物カップルが、俺(こちら)に攻撃を仕掛けてきた。
変わらず仲良くお手々繋いだ儘、体を横に回転させ、双剣を振り回す如くなイメージの連続廻し蹴りを放ってきた2体の魔物。
これは楽々とスウェーとブロックで凌いだのだが、その直後の男型の悪魔の、死角から伸びたフレイルの様な尻尾の一撃を、背中に許してしまった。
いや、別に俺は剣士とか騎士とかじゃないから、それを恥とか言わんけど…
「フィーグ!」「フィーグさん!?」
「いや、大丈夫だから!」
ああ、大丈夫。
凄く痛かったけど、まだまだ大丈夫だ!
槍を長く握り直して、攻撃の隙を窺うが、よくよく見てみれば、実は あのダンス、攻防一体な構えなんだよね。
しかし、それ以上に厄介なのが…
ソロは気付いているのか…?
あの、後ろに控え、薄汚い笑みを零しているバルザックも そうだが、この魔物カップル、ソロの大技…即ち、雷撃が効かなかった事に…!!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ダガッ! バキッ!
「ぬぉ!?」「くっ…!」
4本の腕の関節を有り得ない角度に曲げ、予測不可な方向から、4つの武器を振り翳してくる合体ゾンビ戦士…とでも、云うべきかしら?
兎に角、そのゾンビによる、『人間』の常識の外からの攻撃に、前後からの挟み撃ちを狙い、突撃を仕掛けたライアンと私が吹っ飛ばされた。
「「姫様!?」」
後ろから、魔法で攻撃や支援をしていたクリフトとブライが心配そうに呼び掛けるけど、大丈夫よ、守備力強化(スクルト)の呪文も受けていたし、こんなのダメージの内に入らないわ!
「何だかソロ達も大変そうだし、こんな骨、さっさと片付けてしまうわよ!」
「はっ!」「然り!」「承知ですぢゃ!」
…そう、こんな前座、サクッと殺っちゃって、後ろで下種な嗤い顔をして でっぷり返ってる あの男を斃して、絶対に この城を取り戻してやるんだから!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
はぁ…あの2匹の魔物の連携攻撃、思った以上に厄介ですね。
「ちいいいい一っ!!」
斬!
『GYAAAAAAAAAAH!?』
一番の前衛に立っているからか、フィーグさんが特に、あの円舞の様な攻撃を集中して受けている様な気もしますが、その分、一番攻撃を当てているのもフィーグさん。
カウンター気味の あっぱーすいんぐの一撃が、男型の悪魔の尻尾を断ち斬りました。
「良っし!間を空けるな!
電撃で行くぞ!!」
「はいな!」
ズガッ!
『げゲッ!』
フィーグさんの一言に応じる様に、トルネコさんが身体を大回転させ、遠心力が利いた、十露盤付きの錫杖での重い ふるすいんぐの一撃をヒットさせ、魔物女の顔を歪めさせます。
更には、
「走れ、雷光!」
カアッ…
ソロさんも手にした剣から、雷撃を放ち、それを2匹の魔物直撃させました。
『『きょきょきょきょくお!』』
どかっ!
「うわわわ?」
しかし、手を取り合った魔物達は、それを全く効かぬとばかりに、やはり舞う様に、ソロさんに反撃。
「バカヤロー、ソロ!
コイツ等に雷撃は通じないって、さっきの攻撃で理解したんじゃなかったのかよ!?」
「だ、だってフィーグさんが さっき、【電撃】でって…」
「………………………………。
お前、後で説教だ!」
「何故??」
でんげき(電撃)
①強い電流が、体に流れた時に感じる衝撃
②稲妻の様に素早く、敵を攻撃する事
③稲妻の様に、突然に衝撃を与える事
…今回の場合、②ですよね。
ん~、言葉その儘に受け止めて攻撃するって…ソロさんて、意外と お莫迦?
これは後でフィーグさんに説教されても、仕方は在りませんよね。
「よっし!ミネア!アレ、ヤるわよ!!」
そして次は自分達の番だと、姉さんが私に呼び掛けます。
『アレ』、ですか…。
フィーグさん考案の合体魔法、姉さんは かなり、気に入ったみたいです。
まあ、威力も然る事ながら、見た目が派手で、姉さん好みですからね、アレ。
「分かったわ、姉さん!」
…尤も、私もアレは、嫌いじゃないですけどね。
「「せーの!
フォーティア・ルフィフトゥーラ!!」」
BUooooooooooooH!!
『『GUoYOEeeeeee!!?』』
炎の帯が真空刃に纏わり付き、それは炎の渦となり、敵を燃やすと同時に切り刻んでいきます。
さっきのソロさんの雷撃とは、打って違っての あの苦しみ方…どうやら、あの魔物達は、炎が弱点な様ですね。
『『UGAAAaaaaH!!』』
どどん!
「のわっ!」「きゃっ!」
しかし、それでも手は決して離さずの攻撃に、今度は私とトルネコさんが吹き飛ばされました。
『HAa…HAa…』
…よく見てみたら、男型の悪魔の様子が少し おかしいです。
呼吸が荒いですし、終始、薄ら笑いを浮かべていた筈の顔が、余裕が無くなったかの様な表情に。
もともと青白かった顔も、体温が急上昇したのか、赤みがさしています。
「そりゃ、フィーグに尻尾を切断されて、それでも痛いの我慢して踊ってんだから、キっツいわよね~?www」
成る程、そーゆー事ですか。
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マーニャさんの言う通り。
俺が尻尾を打った斬ってから今迄も、かなり我慢していたのだろうけど、それも限界が やってきたみたいだ。
徐々にワルツの連携が乱れ、スピードも明らかに落ち、動きも散漫になってきた。
当然、この好機を逃す心算は、無い!!
「加速(ピオラ)!」
ダダッ…
右手に魔力を籠めながら、覚えたての加速魔法の補正を加えたダッシュで間合いを詰めると、魔カップルの顔前で、
「レミーラぁ!」
カアッ…
『『!?』』
「…か~ら~のぉ!
ジュースティング・スラッシャー!!」
斬!!
『『UGYaAAAAAAAAH!!?』』
計画通り!
痛覚が有るならば、所謂五感…視覚も持ち合わせている筈ばかりと、照光(レミーラ)での目眩ましの後、その怯んだ一瞬を突き、両者が繋いでいた手首を纏めて貫き、斬り落としてやった。
え?その魔法、使い方が間違ってる?
あ~、聞こえんな!
と、兎に角これで、あの厄介な踊りながらの攻撃は封じられた筈だぜ!
さぁ、後は、タコ殴りだ!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「雷光明王流転拳~~!!」
姫様の拳の高速連打が、4本腕の骸骨兵に決まりましたが、
「やっぱり不死(アンデッド)には、効き目が薄いわね…」
姫様曰く、この技は単なる打撃ダメージだけでなく、所謂『人体の急所』を正確に撃つ事で、クリティカルダメージを狙う、対人(型)の技だとか。
元々死んでいる様な魔物に対しては、只の連撃に過ぎないとか。
いえいえ、それでも充分に、痛そうなんですけどね…。
「覇極流千峰塵!」
ズバァ!
そして その次の瞬間、いきなり横入りした人影が放つ槍の連打が、目の前の魔物に炸裂。
「フィーグ!」「「フィーグ殿!」」
「フィーグさん!」
「あっちは片付けた!」
「こっちもサクッと、終わらせますよ!!」
フィーグさんです。
あの2体の魔物を倒したのでしょう、フィーグさんとトルネコさんが、私達の援護に来てくれました。
…見れば、残る3人は既に、あのバルザックとやらと戦闘を開始しています。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ふんぬぉおおおおっ!
Kill Them All・Refinemend!!」
ドシャァ!!
ライアンの、バスタードソードでの豪快な縦一文字の一撃…【洗練された皆殺し】が、ボーンファイターの右腕を、2本纏めて叩き斬った。
どごっ!
「うっ!?」
しかし、その腕は瞬時に再生され、反撃を喰ってしまうライアン。
「ライアン!?」
「ふ…心配無用!このメタルキング鎧、伊達では御座らぬ!」
ん。問題無さそうだ。
「Rot-Regen von Berlin!!」
斬っ!!
そして今度は姫さんの振り下ろされた手刀が、2本の左腕を斬り落とした。
それでも、やはり直ぐに元通りになる腕。
だが、流石に手にしていた武器までは再生されず、この錬金術で造られた異形の骸骨戦士は、徒手での攻撃を繰り出してきた。
これに対し、
「クリフトとブライは、退がって私達のフォローをお願い!
フィーグ、ライアン、トルネコ!
何時ものパターン、四方から攻めるわ!」
「「はい!」」「「「了解!」」」
バッ…
姫さんの指示で、俺達前衛組が散開。
そして、
「スクルト!」
「ヒャダイン!…ぢゃ!!」
後衛2人の援護を受けてからの、
「うおおおぉ!」「ほいさ!」
「でぇぃやぁ!」「どっせぃ!」
ズバァっx4!
各々の手にした武器での、同時攻撃を仕掛ける。
どごっx2!
「きゃああ!!」「おっふ!?」
しかし、敵も只で やられてはくれない。
正面から拳を撃った姫さんと、右サイドから槍を放った俺が直後の反撃、4本腕から繰り出されるストレートを2発ずつ喰い、
ぼごっ!
「ぬがっ?!」
続け様、左側にいたライアンも、強烈な前蹴りで吹き飛ばされた。
ごぶ!
「うっぷ…!」
そして背後にポジションしていた旦那も、鉄の前掛けで『被われていない』部分の脇腹に、痛烈なリバブローを貰い、片膝を着いてしまう。
俺だったら、そこからシャイニング・ウィザードに繋ぐ流れだが、ドラクエ(こっち)の世界では、前世(あっち)の技は 余り浸透してないみたいで…って、えぇ??!
ガシィッ!
「はぃ?」
ダウンしている旦那の頭を掴み、無理矢理に起き上がらせたボーンファイターは、体を上下逆さの向きで、勢い良く持ち上げると、旦那の頭部を自身の肩口で支え、更には4本の腕で、両腕と両腿をガッシリとロック。
…って、えええええぇ~っ!??
ま、まぢですか??
ぐっしゃあっ!!
「ぉわっとぉ!??」
しかし、その想定の遥か外の技の体勢に、驚愕半分ワクワク半分したのも束の間(旦那、ごめんw)、旦那の重量が魔物的にも想定外で耐え切れなかったのか、文字通りの腰砕け…腰から下、下半身が崩れ落ち、結果、不発に終わってしまう。
これは…カルシウム不足だな…
もしもコイツが、旦那の体重に耐え得る骨(からだ)の強度を備えていたら…
或いは これが捕まっていたのが、ヘヴィーな旦那でなくて、軽量な俺や姫さんだったなら…
そして もしもコイツが6本腕で、両足首もロックされていたら…
…そう思うと、やっぱり少し怖い。
そして、
「覇ぁあ!聖・十字剣!!」
ザシャァ!
このボーンファイターは、姫さんが先程に反撃を喰らった際、回復の為にソッコー前に出張っていたクリフトの、斬撃の軌跡が十字架を象る、不死(アンデッド)特効の剣技の前に斃れた。
因みにクリフトの奇跡の剣の刀身は、教会で祝福を受けた聖銀で作られているらしく、尚の事、効果倍増だったそうだ。
そして やはりコイツも不死(アンデッド)であると同時にホムクンルスだった様で、他の…さっき迄、俺達が戦っていた魔カップル同様に、最後には塩の塊と化して消滅していった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お待たせ!」
「真打ち登場!!」
「アリーナさん!」「フィーグ!!」
もぉ~、本っっっん当に待ったわよ!
あの4本腕の魔物を倒したフィーグ達が、漸くこっちに合流。
これで、パーティー全員揃ったわ!
ぶぅんぶぅん…
「やぁってやるぜぇ!!!」
あ、フィーグも あの何時ものポーズと最近お気に入りの、あの決め台詞。
気合充分みたいね。
バルザック!戦いは これからよ!!
さあ、其処に直りなさい!!
‡‡‡‡‡‡【次回予告!!】‡‡‡‡‡‡
『ふん!エドガンもオーリンも愚か者よ!
如何に其れが、自分達が求める発見でなかったとしても、其れを活用せずに封印するとは、愚かにも程が有るわ!、』
「そ、それだけで…」
「父さんを…??!」
次回『vs.バルザック④(仮)』
乞う御期待!! コメントよろしくです。
2017.12.21追記
決して放置してる訳ではないです!
「聖x龍」の執筆が一段落付いたら、続き書きます!m(_ _)m