『地獄の帝王編』に入る前の、回収に入ります。
短いです。
「くっくっく…今頃ソロ、絹を引き裂いた様な悲鳴を上げているぜwww」
「いや、フィーグ?流石に あれは、非道過ぎると思うんですけど?」
「顔と笑い方が、極悪人です…」
昨夜、エンドールの宿で寝ているソロに対し、(本人の了承無しで)更にミネアさんにラリホーマを掛けて貰い、完全爆睡状態となった処でフランベルジュに連れて行き、『稽古漬けてやってくれ』と、親父に預けてきた。
その翌日…即ち今日の朝、俺と お姉さんズは宿を出ると直ぐに、ルーラでアッテムトに飛んだのだ。
そして俺達は町の教会へ。
「やぁ、シンちゃん久し振り。」
「フィーグ?」
シンプソン。
通称シンちゃん。
元々はブランカ出身の神父であり、昔からの友達の1人だ。
聖職者としての修行の旅の途中、偶々立ち寄ったッテムトの諸々の惨状を憂い、その儘この地の教会に腰を据えているのだ。
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「…はい。あれから、王都からの復興部隊等が来てくれていますが…」
「確かに、前に来た時よりかは、多少はマシになってるみたいだけど…」
「へ~?一応は あのヘタレ王(笑)、フィーグのOHANASHIを、きちんと聞いては いるみたいね。」
「はい?」
「いえ、此方の話です。」
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とりあえず神父ソ…コホン、この呼び方は地雷でしたね。
シンちゃんサンに 私達が去った後の話を聞いてみました。
あれから少し経った後(つまり、私達がキングレオ王を倒した後ですね)、何の前触れも無く、王都から復興支援の部隊が派遣されて来て、怪我人や病人の保護、難民の食料支援等、様々な救援活動に着手したそうです。
…やれば出来るじゃないですか。
それから、姉さんとアリーナさんが塞いだ炭坑の入り口は、内部にガスが充満した儘なのは却って危険と云う理由で、とりあえずは また、開かれているそうです。
当然、内部への侵入は禁止しているのですが、入り口が開いた途端、内部に侵入しようとする、荒くれの炭坑夫と派遣された警備兵との衝突が、常に起きているとか。
やれやれですね。
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「ファトゥラウェン…ですか?」
「あぁ。知ってるだろ?
サントハイム砂漠の、開拓中の町さ。」
「其処の代表者が、私達の知り合い…元・御仲間なのよ。
ついでに、フィーグの弟子?」
今回、俺達がアッテムトに訪れたのは、シンちゃんをはじめとした町の住人達を、砂漠の町に招聘する為だ。
確かに久し振りに訪れた この町は、国が支援に着手しただけあり、復興の兆しを見せつつある。
…しかし、俺は識っている。
この町は近い未来、地獄の帝王の復活により、壊滅的な打撃を喰らう事を。
勿論、バカ正直に その事を話す訳にも往かない。
話した処で碌に信じて貰えないか、或いはパニックになるか…
だからこそ、未だに鉱山で一攫千金だとか ほざいてるバカを除けば、この町の皆を…それは流石に無理だとしても、可能な限りは救いたいと云う考えなのだ。
当然、その救う対象に、友達が居るから、其処迄真剣に動いているのかも知れない…という自覚(エゴ)は有る。
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「そうだねぇ…本当に私等を受け入れてくれる皿が在るなら、この地に拘る必要性は無いかもねぇ…」
あの後、シンちゃんは町の人間を10数名集めて、俺達からの誘いの話を説明。
すると前回、炭坑に強行突入しようとしていた輩と揉めていた、あの肝っ玉母さん風の女性が、肯の姿勢を示してくれた。
「ふむ…何れにせよ、炭坑は あの毒ガスのせいで、もう中に入れる事は無いだろうからのぅ…」
「この町から、以前の活気は戻らないのを考えると、新天地で新しい生き方を模索する方が、良いのかも知れないですね。」
「仕事をくれるのなら…」
この お母さんの言葉に、他の皆も連鎖する様に、移住に柔軟な応えをしてきた。
この町の住人の殆どは炭坑夫。
そして、その彼等を相手にする商人だ。
炭坑夫が稼がないと、この町の経済は流通しない。
だからこそ、『生活』の為に今 住んでいる この町を出ようとする考え方は、決して悪くない。
しかも、仮に近い未来、『町』は蘇ったとしても、外様に因縁を浸けて集るだけなら まだしも、既に地元民同士で略奪行為をしでかした奴も居るらしいのだ。
その辺りの人間関係は、最早 修復不可能だろう。
最終的には この場の皆が、砂漠の街に限った訳では無いが、移住を決意、家族への報告説得だけでなく、この場に居ない御近所さんも一緒にと呼び掛ける運びとなった。
「神父さん、当然あんたも、私等と一緒に付いて来てくれるんだろ?」
「え?ぃぇ…私は…」
そして お母さんの この台詞に、戸惑いと云うか、煮え切らない対応のシンちゃん。
すぱーん!!
「ぁ痛ぁっ!?」
そんなシンちゃんのド頭に、ハリセンによる強烈な一撃。
全く この鈍感神父は、今の自分が この町の人間にとって、どれだけ心の拠り所となっているか、解っていないらしく、その辺りを解り易くOHANASHIしてやった。
…その際、シンちゃんのド頭をど突いた件で、お母さんにシバかれた。(T_T)
「…てっゆーか、そのハリセン、一体 何処から引っ張り出したのよ?」
神崎君に借りたんだよ。
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「一応 私は、皆が町を発つ迄は、残らせて貰います。」
あの後、あの肝っ玉母さん…ザイラさんを中心に、あの場に教会に居た皆が、町内の所謂『シンちゃん派』の人達に移住を呼び掛け、その殆どが、ホフマンの創っている街での新生活を決めたみたいだ。
中には、やはり生まれ育った町への思い入れが有るのか、この地に残る選択をした人も居たが、残念だが、これは仕方無い。
本人の意志を尊重するしかないのだ。
当然だが、皆が皆、一度に移動出来る訳も無く、複数のグループに別れての移動となる。
シンちゃんは、その最後のグループと一緒に、エンドール経由でサントハイム領の砂漠の街に向かう事に。
勿論な話だがホフマンには、この辺りは事前に『近い内、キングレオ領内から、沢山 人が やってくる』と教えている。
これはシンちゃんがアッテムトに居ると知った時から、俺の中では計画していた事。
後は、未だに炭坑に入ろうとしているバカ共が、地獄の帝王の城を掘り当てる前に、全員の移動が完了すれば良いのだが…
まぁ、いざとなったら、俺…とマーニャさん達とで、ルーラをガンガン使って移動してやるぜ。
シンちゃんは『聖闘士星矢』のアンドロメダ舜、ザイラさんは、『ダンまち』のミア母さんのイメージで。