Evolve!!   作:プラハ市民

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今回から人類側との関係が深くなっていく予定です。
でもあくまでも予定なので、色々ずれると思い冒頭に書かせてもらいました。

それと主はあまり人間の会話や感情をうまい具合に書けないので、そこは許してください|ω・`)

ではどうぞ。





Evolve StageⅥ

 

 

 

 

 

ザッザッザッザッ

 

 

燦々と輝いていた母なる太陽を陰湿な雲が隠してから早数時間。昼間なのに暗くジメッとした雰囲気を感じるのは十中八九雲の影響だろうし、それの相乗効果として漆黒の巨大な壁が挙げれる。

人の背丈から見れば、天高くにまで届きそうな大きさの漆黒の壁は立ち入ろうとする者を全て拒むかのように佇んでおり、畏怖の念を抱く者もいる。

それもそうだろう。

これこそ、ガストレアという存在を遮断及び追い返す人類の切り札であり希望の象徴とも言える、バラニウムと呼ばれる金属を多量に使って作られた「モノリス」であるのだ。

 

だが、今この「モノリス」付近では砂利を踏みしめて出る音が大量に、そして騒がしいまでの人間の混乱する声や怒号を含んだ声が聞こえてくる。

この世界では人間を襲う存在は基本(・・)ガストレアであり、それ以上の存在はいないし、それ以下の存在はガストレアに淘汰されほとんど残っていない。

 

では何故、人間たちは安心できる「モノリス」が近くにある場所で声を荒げているのだろうか。

ガストレアなら「モノリス」程に多量にバラニウムを使われている物に近付けば、特殊な磁場によって衰弱してバラ二ウム弾を数発受けただけでも倒れる。

つまり今人間たちが警戒及び負の感情を向けているモノは、ガストレアの中でも最も高位な存在である黄道十二星座の名が付けられた「ゾディアック」か、ガストレアとは別次元(・・・)の存在か。

それは何の目的を持って、人間たちの追いやられた漆黒の壁の内側に侵入しようとしたのか、その真意を知るものは侵入者のみが知ることかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

この世界に転生して人外になってからやけに自身の健康管理に気を遣うようになった俺、上杉葵は今現在進行形で非常に焦っている。

前世では殆ど経験しなかった焦りとやらに俺は、一種の感覚を覚えながら全速力、そして囮を併用して逃げに徹する。

 

え?一体何から逃げているんだって?

 

詳しいことは後になるが、小銃を持った人間たちにこれでもかと銃弾の雨を降らされて危機的状況になったから逃げている。

正直なところ、小銃の弾がやたらと痛い。人間なら既に死んでいる程の銃弾を受けてもまだ痛いという気持ちで済むならいいほうなのかな。人外になってからのメリットは少なかったが、いくらかのダメージなら外皮で耐えることができることを発見したことは、これからの行動に良い影響を及ぼしてくれるかな。

って、俺は一体何を言ってるんだろう。前世ならそんな銃弾なんかを受けることもなくいちを平和に暮らしていたのに。

 

 

「いたぞっ、化け物だ!」

 

 

今じゃ人間からは殺意を向けられ、コミュニケーションを取る事すらできない。

・・・そりゃそうか。6m半位の蛇と蟷螂を足して二で割ったような生物を見て、友好的な人間なんかいないもんな。

とりま、この状況を打破したい。囮を何発も連発してそろそろ体力も切れてきた所だし、入ってきた入り口から出たいが、こんな追跡されてる状況じゃ先回りされて封鎖されてそうだし逃げれそうにない・・・・。

 

しかし人間たちと交戦するということは絶対にするわけにはいかない。物騒な姿してるけど実は話が通じる奴でした的な感じになりたいからな。

元々時間を浪費してまで知的生命体を探してきた意味には、俺だけでは寂しかったという私的な感情も含まれているが、この際にそれは重要な事ではない。

 

次こそは、という淡い希望をもって俺は壁の外側へと退避する。

外への通路を通る前に自身の分身を瞬時に作り出し、自身は透明になりこれ以上追いかけまわされないように亜空間で身体能力を底上げして離脱。

後ろでは人間たちが囮が反転してきたことで、こちらに戦闘の意思があると思ったのか幾つもの悲鳴が聞こえてきたが、それならば好都合だ。

今回の囮は、文字通りの囮であり戦闘を行えるほど筋力の細胞を分裂させていない。

つまり人間の死傷者が出ることは絶対にない。

完璧だ。少なくとも俺はそう思い人間たちの目が届かないところに移動する。

 

 

 

 

 

数キロ先で透明化の切れた俺を見ていた二人組を気づけなかったところ以外は・・・・。

 

 

 

 

 

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中身が上杉葵であるWraith(レイス)が人類の数少ない拠点である東京エリアに侵入し、人間たちとコミュニケーションを取ることすら叶わなかった日と同日である日に、東京エリアでも幾らかの力を有する民間警備会社に政府から緊急の召集命令が出された。

内容はここ最近に出現した奇妙な姿かたちをしたガストレアの事という、珍しく詳細が一切合切不明なままの呼び出しではないことだ。

 

それほどまでに急を要する事なのか、などの疑問を民警のメンバーは誰しもが持ったが政府が内容を開示したままの召集ほど異常なことはないと、召集に応じて場に赴いた。

 

防衛省の庁舎であるビルの中にあるモニターが付設された部屋には数多くの民警に所属している者やその関係者と思える人物が所狭しと待機していた。

 

その場には民間警備会社の一つである「天童民間警備会社」に所属する”里見蓮太郎”とその民警の社長である”天童木更”の姿もあり、これほどまでに民警が集まる事態を経験したことがないのか、蓮太郎は明らかに周りを見渡していたがモニターに映し出された人物を見てから動きがぴたりと止まった。

 

それもそのはず。

彼が住まう東京エリアの統治者である「聖天子」中継映像で直接この場の民警に依頼を出したのだから。

異例の事態。蓮太郎や木更も思わず目を丸くするような内容。

他の民警も先ほどまで物静かに話と依頼の内容を聞いていたが、ついに会話を始めざわざわと音を立て始めた。

 

 

「聖天子」から直接出された依頼の内容。

 

 

それは召集の内容である新しいガストレアについてで「Wraith(レイス)」の調査。

 

このガストレアがピックアップされた要因は、目撃された時によって好戦性が段違いなため。

ある時は、裏社会の住人たちによる非合法な採掘現場で労働をさせられていた「呪われた子供たち」を含めた見張りを皆殺しにしたり、今日のように東京エリアに侵入したのにも関わらず、誰一人と人間を襲わずに聖居近くまで接近したと思えば見つかった瞬間に逃亡するなど、謎が深まるガストレア。

人間を襲う点などは他のガストレアと同じだが、バラニウムでできたモノリスの内部に侵入することだけでなく、人間を襲わずに隠密行動を取る知能が非常に不可解だ。

これ故に東京エリアは、警戒態勢を急きょ強化しているのだが、今日みたく逃亡中に自身の分身を作り出し追っ手にぶつけるなどの知的な行動ができるガストレアである「Wraith」を無視できず、調査する事を決定したらしい。

更に、この「Wraith」の目撃情報はかなり少ないので、ただの調査と言っても莫大な額の報酬金が支払われるみたいだ。

 

 

 

 

 

・・・・それと件のガストレアが侵入した後のエリア調査では、通常のガストレアとは違い体内から分泌された体液からは一切のウイルスが検知されず、代わりにウイルスと絶妙な感覚で混ざり合い、恐るべき速さで取り込んだ栄養をエネルギーに変え、損傷した箇所を一秒と経たず再生させ、さらには傷つけた物に対する抗体のような物を持つ細胞が発見された。

これは聖天子や天童 菊之丞、そして限られた研究員でしか知らない情報であり、これから聖天子等が向き合わねばらない問題の異常さを物語っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





駄文に続く駄文で地の文(なってるか疑問)がまた完成。

はい、というわけで感染後の葵がどうなってるのか少し出ました。
私的には、Evolveのモンスターは基本的に適応能力と、強力なHNA(顆粒球抗原)が遺伝子を書き換えるガストレアウイルスに対応し、ガストレアウイルスによる基盤が細胞に築かれるのと引き換えに、恐ろしいまでの感染力と遺伝子の組み換えが無くなり、うまい具合にモンスターの肉体を補助する物に変異したと考えて書きました。

損傷箇所の高速修復は定番ですが、細胞が傷ついた際にできる抗体は、ガストレアウイルスという存在を弱体化(細菌感染に準ずると妄想)させるバラニウムに対する防御力が損傷箇所だけ爆発的に上がるということです。
エネルギーの変換効率は、高エネルギーリン酸結合の行われる数が遺伝子の混合で可笑しくなり、結果として驚異的なエネルギー変換率になったという感じです。





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