深海棲艦、抜錨! 作:深海棲艦提督
需要があるのかどうかは不明の模様。
艦これ(ゲーム)のほうはそろそろ春イベントですね。
大規模イベントが始まります。提督諸氏は備蓄に勤しんでおられるかと思います。
深海棲艦の装備は、すごくてきとう
「はーい、お待たせ? 提督、頼まれていた書類が完成したわよ」
緑色の髪をたなびかせ、手に大量の書類を持った少女がノックもなしに入室してくる。
少女はそのまま一直線に俺の目の前まで進み、ドンと大きな音を立てて書類を置いた。当然、隣に積み上がっていた大量の資料が、その余波を受けて目の前に崩れてくる。たった今まで作業していた書類の上に。
……割といつものことである。
俺は飲み終えたコーヒーカップを静かに机に置くと、一つ苦言を呈することにした。
「メロンちゃんよ、とりあえず書類は丁寧に置こうな? 資料と書類が混ざったら仕分けが面倒なんだよ。それとも、それもメロンちゃんがやってくれるかい?」
「……まずメロンちゃんじゃありませんから。それに、仕方ないでしょ、書類が重いんだもん。これだけ調べろって言った提督が悪いんじゃない?」
「ほう。俺の記憶では、確か一ヶ月前から調べろと言っていたはずだがなぁ。特に難しいことを頼んだわけではないのだし、夕張も毎日深夜まで調べてるって言ってたような気がするんだが…… どうして今まで掛かったんだろうな?」
そういえば何度か深夜にアニメの音が聞こえてきたような……、とぽつりと漏らすと、メロンちゃん、もとい夕張はそわそわとしだした。本当に分かりやすい奴である。
なお、このやり取りも当然、いつものことだったりする。そろそろもっとましな秘書艦が空から降って来てくれたりしないものだろうか?
「え、えと、調べる事が多かったんですよ。もう、提督ったら私に一杯仕事を押し付けて、嫌になちゃうわね。ということで、私はこれで失礼しますっ! またデータが欲しかったら呼んでくださいね!」
「おう、お疲れさま。ところで、今朝の新聞のテレビ欄、深夜帯にマーカーで印がつけてあったが、何か面白いものでもあるのだろうか? 夕張は知らないかね?」
「~~っ! 提督、私、深夜アニメとか楽しみにしてませんから! ほんとですからぁ~!」
そんな俺の切実な思考を他所に、夕張は退散することに決めたらしい。
提督室から足早に出ていく彼女の心に的確に止めを刺しつつ、俺は資料を押しやり、作業していた書類を再び目をやった。読み始めようと思った束の間、一瞬間をおいて勢いよくドアが閉められたせいで、資料が再び雪崩込んでくる。俺はため息をひとつつくと、コーヒーの追加を淹れに席を立ちあがった。
沸かしていたやかんを手にとってコーヒーを淹れつつ、本当はこれも秘書艦の仕事なんだけどなぁ、とひとりごちる。幸い、ここには良い豆がたくさんあるようで、ひと手間を惜しまなければ結構なレベルのコーヒーが楽しめた。どの豆を使ってどうブレンドするかを悩み、試行錯誤していくのは意外と楽しい作業でもある。
どう考えても、提督が自分でやることじゃないような気がしたが。
「しかし、いったいこの基地はどうなっているんだか。割と近いラバウルからも捕捉されていないようだし。さすがにショートランドからじゃまる分かりだったが……」
約二ヶ月前にショートランドに配属される時も途中にラバウルに寄ったが、ラバウル基地からショートランド基地やブイン基地の様子は全く分かっていないようだった。というか、だからこそ自分がショートランドへ配属されたのだったか。
秘書艦の夕張と護衛駆逐艦と共に配属された次の日、即刻深海棲艦の大群に囲まれたのは記憶に新しい。一時期は死まで覚悟したものの、深海棲艦側はこちらを害するどころか、自分たちの提督になってほしいと主張してきた。艦娘が登場してから負け続けの自分たちの敗因は、提督がいないからなのであろう、と……。
数日の間、何かの罠だろうかと疑ってしまったのも無理はないと思う。
とはいえ、囲まれた俺たちに選択権などあるわけがなく、深海棲艦に従い彼女ら(?)の提督になったわけだが、正直問題しか無くて頭を抱えていたりする。
装備、というものをご存じだろうか。いや、「装備」という言葉自体を知らない人はいないだろうか。
艦娘には、当然装備が必要である。いや、装備無しで戦えないこともないのだが、戦闘能力は格段に落ちる。提督時代にはどの艦娘にどの装備を乗せるか、夕張と共に考えたりしたものだった。夕張はあれでも装備関連には詳しいのだ。
砲戦火力を重視して火砲を積むか、雷撃火力を重視して魚雷を積むか、対潜警戒を重視して爆雷や聴音機、探信儀などを積むか。
一つ装備を間違えただけで艦娘の生死に直結する重大なことであり、提督という職業が険しき道といわれる所以である。実際に、装備配備が上手い提督は沢山の戦果を挙げているものだ。
また、装備間のシナジーも大事である。砲撃においては、火砲と共に弾着観測用の航空機を載せることで、砲撃の着弾点を上から見て修正しながら砲撃をしたり、火砲を二つ積むことで連続して砲撃が出来たりなど、考えることは意外とたくさんある。
聴音機で敵潜水艦の位置を聴き取りつつ爆雷投射をすれば、闇雲に爆雷だけ投げるより遥かに命中が見込めるだろうし、火砲を増設して徹甲弾を積めば、普通の弾を打ちだすより高威力が見込めるだろう。
艦に物を積めるスペースというのは決まっているから、装備の取捨選択はかなり大事なのである。
ところで、夕張の持ってきたこの資料を見てほしい。
【深海棲艦装備表】
名称:深海駆逐艦
装備可能スペース:おおよそ3つ
装備:5inch単装砲・なし・なし
名称:深海軽巡洋艦
装備可能スペース:おおよそ3つ
装備:5inch単装高射砲・偵察機・なし
名称:深海輸送艦
装備可能スペース:おおよそ3つ
装備:なし・なし・なし
……。
夕張曰く、「装備載せれるのに載せないなんて、死にに行くの?」だそうだが、本当にその通りだと思う。
いやまぁ、俺でも輸送艦に戦闘しろとは言わないが、せめて自衛のためにでも火砲の一つや二つ載せてもいいのではないだろうか。
駆逐艦はなおさらである。火砲をもうひとつ載せれば二つの火砲で連続砲撃出来るだろうし、対潜装備を積めば潜水艦にやられることも少なくなるだろう。魚雷を積めば、夜戦で戦艦級を撃沈させることだって不可能ではないはずだ。それなのに……。
軽巡洋艦に至っては、もはやどういう意図で装備しているのか疑問に思うレベルであったりする。
提督専用学校の火砲の分類によれば、高射砲とは、主に「敵の艦載機に対抗する火砲」とされている。つまり、空からやってくるであろう敵艦載機に向かって砲撃し、敵の艦載機を落としたり、爆弾等を投下することを牽制したりするために使われているのだ。高射ってそういう意味だし。
一方、偵察機は火砲の砲撃着弾を見るのによく利用される。主砲と併用して利用されるのが一般的だ。当然、頭上にいる艦載機に当たったかどうかを偵察してもほとんど意味がないし、寧ろ味方の砲弾にあたって撃破されるし、砲撃の邪魔にすらなるかもしれない。
実際、俺は提督時代、深海棲艦側の高射砲に当たって撃破されていた偵察機も見たことがあったりする。まるで意味が分からないぞ……?
敵位置などの偵察に使えないこともないだろうが、それなら空いたスペースに主砲を載せれば、砲撃戦でも偵察機を有効に活用できるだろうに……
ずきずきと頭痛がしてきた頭を抱え、装備がずらっと書かれた書類を「保留」の棚に収める。その下から、戦略と書かれた書類が出てきたが、無言でまた同じ棚に突っ込んでおいた。夕張と一緒に読まないととてもやってられないだろう。
確かにこれを見ると、深海棲艦勢力が負け続けている理由は、今まで提督の不在によるところも大きいのかもしれない。
俺は前途多難な未来を思い浮かべてため息をつくと、とりあえず夕食を摂りに基地食堂へ向かうことにした。
提督はリアリスト。というか、初期の深海棲艦の装備は手抜きすぎ……
【今日の艦船・軽巡洋艦 夕張】
kancolle deta:火力63 雷装79 装甲49 対空69 運17 装備可能数・4スロット
貴重な装備4スロット持ちの軽巡。通常の軽巡洋艦は3スロット。
装備可能数というのはかなり大きい要素であり、彼女一人で対潜&連撃を両立させたり、魚雷4積みして夜戦でネオダイソンをワンパンしたり、対地装備満載して集積地棲姫に1000↑ダメ与えたりなど、決まれば異常な戦闘力を見せる。
半面装甲が弱いうえに偵察機が載せれないため、道中で大破したり昼火力が低かったりなどと欠点も目立つ子だったり。
時代が進むにつれ改二などで4スロットを持つ軽巡も続々登場してくるが、しばらくは雷撃と対潜ができる4スロット軽巡として唯一無二の性能を発揮し続けることだろう。
作中では深海棲艦提督の秘書艦を務める。
提督からは装備関連の信頼は厚い模様だが、他に関しては……?