深海棲艦、抜錨!   作:深海棲艦提督

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メンテ前の春イベの酷さよ

メンテ後はE-6、E-7はギミック使えばかなり簡単になる模様です。それはそれでどうなんだとは思いますが。


何やらイベント後に新陸攻がもらえるようで、それはそれでいいんですけど。


ルンガ沖夜戦に突入せよ

 

 

 

「災難だったねぇ、君も。こちらとしても、まさか深海棲艦に捕らわれているとは思わなくてね、救助しようという発想自体がなかった。深海棲艦も、よく分からないことをするものだ」

 

 綺麗に片付き、修復された提督室の中で、大将らしき将徽を身に着けた人物が話している。その後ろには、中将らしき人物と、秘書艦であろう大淀が控えていた。

 大将の物言いに若干怒りを覚えつつも、いくつか投げられる質問を俺は平静を装って返答を返す。このようなことも、提督学校時代にはよくあることだった。我ながら嫌な技能を持ったものだ。

 

「まぁまぁ、彼も大変だったでしょうし、少しは労ってやらねば……

 ああ、もう今日は部屋に戻りなさい。士官用の個室を用意した。ゆっくり休んで、説明は明日にしてくれればいい」

 

 後ろに控えていた中将がそういってとりなす。彼が大淀に合図すると、合図された大淀が傍の扉を開け、こちらへ手招きした。

 ……だが、ここで退室してしまうと少々まずいことになったりする。

 

「いや、お気持ちはありがたいのですが、早急に報告したいことがありまして……」

「ふむ。重要な話ならば、今聞こうか」

 

 大将の言葉に、ふぅ、と大きく息を吐く。いつもの癖で隣をちらりと見るが、遠くにいた大淀が怪訝な顔をして見返すだけだった。

 ……そういえば、ここは提督室だったな。

 

「閣下。深海棲艦のこのたびの退却は不自然極まりないものです。わざわざ隠蔽してまでこの基地を維持していたのに、見つかった途端急に放棄する。怖気ついて逃げ出した、とも取れますが、それにしては今までの抗戦具合が腑に落ちない。

 ……きな臭い。と、そう思われませんか?」

「ふむ、さすがの儂でも、そのくらいは分かっておる。罠の可能性が高いとはな」

「ええ、そうです。……ズバリ、これは罠なのですよ」

 

 ピタリ、と自らの髭を撫でていた大将の動きが止まる。暫くの間部屋に流れた沈黙を、黙ってこちらをじっと見ていた中将が破った。

 

「……仮にその話が事実だとすれば、いくつか不可解な点が出てくる。まず、なぜそれを知っている貴官が無傷で解放されているのか。なぜ貴官がそれを知り得たか。それに……」

「まぁまぁ、中将。一度に聞いても説明しきれないだろう。君、取り敢えずなぜ君が無傷なのか、そこから説明したまえ」

「……ええ。実は、私がショートランドに配属されたときに……」

 

 鋭く見つめてくる中将と、目で促してくる大将の前で、俺は配属されてから今までに起こったことをすべて、嘘偽りなく話した。何故か提督就任を頼まれたこと、深海棲艦の状況、今回の計画。今思えども、我ながら数奇な運命を辿っているものだ。

 提督就任の部分で二人からかなりの質問を受けたものの、それ以外の深海棲艦の状況などは大将たちもある程度は予想していたことだったらしく、特に会話もなく話は終了した。罠は俺が起動させる予定だったため、起動するまでは特に危険ということなく、特殊処理班等を呼ぶこともなく迅速に処分されるようだ。

 難しい顔をした二人に退出を促され、俺は一礼して提督室をあとにした。恐らく、大将ら二人で今から色々話し合うのだろう。

 

 ……とりあえず信用してはもらえた、といったところだろうか。

 

 

 

 

「あ、提督。お疲れさまです。先程青葉とばったり会ったんですよ」

「お久しぶりですぅ、提督! 再開記念として一枚、良いですか?」

「おお、青葉か。久しぶりだなぁ。写真は…… まぁ良いか、一枚だけだぞ」

「ぇ、本当に良いんですか! じゃあ、遠慮なく撮らせていただきますぅ!」

 

 外の涼しい空気を吸いながら夕張の元へ行くと、夕張と一緒に青葉がいるのが見えた。

 まだ俺が提督学校にいた頃、実践訓練で組んでいたのが青葉だ。提督学校では、すぐに泊地等に配属されるような成績優秀者には専属艦がつくようになっていた。配属されてすぐ勤務に慣れるように、という処置だろうか

 秘書官として専属でついたのが夕張で、戦闘艦として専属でついたのが青葉。なので、実は夕張と同じくらい結構長い付き合いだったりする。

 青葉もショートランドに来る予定だったが、前配属されていた泊地での引き継ぎの兼ね合いなどで、他の艦と共に残らざるを得ず、結果俺たち二人だけ先行することになったのだ。

 

 写真をとったカメラを大事そうに抱えている彼女に、なんだか懐かしい思いが込み上げてくる。

 

「あー、泊地のみんなは元気にしてるかね? 長門や、大鳳とかも」

「元気というか…… みんな心配してましたよぉ? 仕事が手に付かない子もいましたし」

「そうだったか…… 心配かけたなぁ」

 

 残してきた艦娘たちのためにも、手紙くらいだしてやった方がよかっただろうか、と一瞬考え、すぐさまその考えを否定する。確かにあの状況では手紙を出すことは出来なくはなかったのかもしれない。が、それが両方にとって良いことになったとは到底思えない。

 元の泊地にも無理してでも救出しようとする子がいそうだし、艦娘側で俺をスパイにしようとする動きも起こりそうだ。そうなると、ある程度信頼してもらっていた深海棲艦への裏切りになってしまう。艦娘側と完全に縁を切りスパイを断る、それでも疑心暗鬼の種になるだろう……

 

 結局、俺が出来ることなんて少ないのだ。階級も低い俺には、状況を大きく変える力なんてものはない。上からの命令も断れない。装備の案は出せても、実際に作ってくれる妖精さんがいないと実現すらしない。

 それでも何とかしようと思うのは…… やはり今まで関わった彼女たちがいるからなんだろう。全部を守ろうだなんて欠片たりとも思ったことはないが、自分に関わった子たちくらいは守ろうとは思うのだから。

 

「提督? 難しい顔してどうしたんですかぁ?」

「……いや、なんでもないさ。さて、久しぶりに青葉に会えたことだし、色々積もる話を聞こうかね。夕張、士官用の部屋が用意されていたらしいが、どこか知ってるか?」

「……提督、聞いてなかったんですか? こっちですよ、もう」

 

 あきれたようにため息をつく夕張と、自然に隣に立つ青葉を見つつ、頭の中で再度決意を固める。不思議そうにこちらを見てきた青葉には、曖昧に微笑み返しておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜のルンバ沖は、静かなことで有名である。昼間なら騒がしくすることもある駆逐でさえ、夜のうちは口を閉じる。穏やかな波と、湖面に浮かびゆっくりと揺れる月。それを見守るかのように遠くに聳える飛行場。ルンバの夜とはそういったものだった。

 ……とはいえ、それを知っているものは深海棲艦に限られていたが。

 

 しかし、どうやらそれは平和なときに限られたものだったらしい。今や波は高く荒れ、明々と照らし出された海面には、月の姿はおろか、いつもならそばに映るはずの自分の姿すら見えない。スドン、という音の後に、火薬の臭いが漂ってきた。時折遠くから怒号が響く。

 

 イマイマシイ、とそれを見た彼女は思う。奴らは初戦を教訓にしてきたか。初戦の勝利の立役者であった空母は、夜間ではその力を発揮できない。我らが守るべき目標である飛行場姫、彼女からの増援も同じ理由で期待できないだろう……

 

 イマイマシイ、と再度呟く。深海棲艦提督、などと名乗っていた男の顔が思い出される。奴の言う通り撤退した結果がこれだ。

 敵に大ダメージを与えると言っておきながら、奴らが弱体化した形跡はないではないか。それどころか、両基地を放棄した際の混乱と夜の不防備を突かれ、守るべきものが危険にさらされている。両基地を守備していれば、少なくとも混乱に陥る事はなかった。いや、敵に拠点もないため夜戦に持ち込まれることもなかっただろう。その前に哨戒ラインで食い止めることは可能だった。

 今回も、今回もヤラレルノカ……

 

 

「っ! 敵艦発見です! っ嘘、大きい……」

「な、何なのよあれ…… 鬼クラス、なの……?」

 

 甲高い声に、彼女――泊地棲鬼は振り向く。重巡級が2隻、軽巡級が1隻、駆逐級が3隻、だろうか。……全くもって忌々しい奴らだ。

 

「こんなん出るって、ウチ聞いてへんで……」

「そんな…… みなさん、退却の用意を」

「でも、任務はこの海域の掌握よ、こんな大きい奴を放って帰ったりなどできないわよ……?」

 

 煩い。

 忌々しい奴らめ。イマイマシイ……

 

「あーもう、バカばっかり! 構えなさいよ、撃ってくるわよ!」

「っ! 撃ち方、始めて下さーい!」

「主砲よーく狙ってー…… 撃てーっ!!」

「当たってください!」

 

 暗闇の中で、黒い弾が飛来してくる。その全てを些細なものと断じ、泊地棲鬼はひたすらに距離を詰めた。

 当てるは一撃必殺の徹甲弾。本来の仮想敵である戦艦・空母クラスはいないものの、重巡クラスでも当たれば当然ひとたまりもない。敵は絶対にここで食い止める。その目標を胸に、泊地棲鬼は初弾を撃つ。

 

「くぅ……!」

「陽炎! 大丈夫!?」

「ええ、大丈夫よ、これくらいっ!」

 

 ……ああ、煩い。

 

「あぁっ!」

「うっ! 痛い、です……!」

「黒潮ちゃん、神通ちゃん! ……っ、これ以上、やらせません! 全砲門、開いてください!」

 

「……ッ!」

 

 ……左腕に被弾したか。ぼんやりとした思考の中で、泊地棲鬼はそう認識する。不思議と痛みはなかった。ふつふつと燃える怒りで頭が熱くなった。まるで代わりに頭が被弾したかのようだった。

 ギロリ、と忌々しい奴らを見ると、遅れて追従していた味方の軽巡・駆逐が目に入る。昔から自分と共にいた子たちだ。どうやら、砲撃に合わせて魚雷を発射してくれていたらしい。奴らが回避行動に入る。絶好のチャンスとばかりに数発撃つ。

 

「っ、大丈夫、かすっただけよ!」

「霞、後ろや!」

「こんなの全然当たんないわよ! 沈みなさい!」

 

 味方駆逐が沈む。その姿を見つつも、不思議といつもの悲しみは胸に湧いてこなかった。

 

「当たってえなー!」

「追撃します! 逃がしません!」

「攻撃するわ! これが私の全力よっ!」

 

「……ッッ!」

 

 隣で味方駆逐が爆ぜると共に、左腕の感覚がなくなった。じんわり、と肩から先が熱くなる。

 有体に言うなら、中破状態だろうか。自分をそう客観的に判断するも、それでも泊地棲鬼は目の前の敵の撃破の手段を考えていた。奴らは姑息にも連携で此方を崩して来ようとしている。それならば、自分が採るべき手段は、連携を崩壊させること、つまりは各個撃破だろう。

 熱くなった頭で、しかし冷静にそう判断する。まずは音頭をとっていた奴を潰そうと、右手を上げて目の前の艦に照準を合わせた。一瞬の間をおいて、繰り出される必殺の一撃。

 

「ああっ……! 嘘、あたしが!?」

「霞ちゃん!?」

 

 命中した。黒煙を上げて沈みゆく忌々しい駆逐。

 今までならば、これで沈んだと判断して追撃をやめていただろう。しかし、彼女の脳裏には、あの提督という男のどこか誇らしげな声が再生されていた。艦娘はある意味非常にタフな存在だ。大破状態にしただけでは、よほどのことがない限り轟沈することはない……

 泊地棲鬼はやおら振り向き、再度かの駆逐に照準を当てた。長めの砲塔が敵駆逐をピタリと見据える。漆黒の闇の中、黒光りする砲塔に、なぜか怯えた表情で此方を見上げる少女が鮮明に映った。もはや奴は何もできない状況にも見えたが、泊地棲鬼は警戒を解く気は一切なかった。

 ……なぜあの男の言葉に影響されているのか、自分でも分からなかった。

 

「っ、やめてぇっ!!」

「羽黒!? そ、そんな、あたしを庇って……」

「やめなさい! ここからは、この私、鳥海が相手です!」

 

 重巡級が2隻、目の前に躍り出るも、再度放った砲弾が過たず重巡級の体に命中した。先ほどと合わせて合計2発の大きい命中弾。ぐらり、と傾く重巡級2隻を冷たく見据える泊地棲鬼の前に、再度邪魔が入る。

 

「直撃や! 霞も羽黒も、やらせへんで!」

「もらったわっ!」

 

「……ッ!」

 

 少々の被弾と引き換えに、一瞬にしてその駆逐級にも傷を負わす。ああ、こいつらは邪魔だ。サッサトシトメヨウ……

 

「ぐっ……! まだ、私の計算では、まだ大丈夫……!」

「私も、まだいける…… 貴方たちの背中は、私が守ります!」

 

 ああ、煩い。

 ……お前たちは何だというのだ。

 

「これくらいでへこたれてちゃ、陽炎型ネームシップの名が泣くわ。攻撃よ、攻撃!」

 

 お前たちは何だというのだ。

 

「味方が傷ついているのに、倒れてちゃあかんで! 頑張るんや、ウチ!」

 

 お前たちは何だというのだ。

 

「こ、こんなんじゃ霞は沈まないわ…… 返り討ちよ!」

 

 

 お前たちは何だというのだ……

 

 

 

 いつもは鼻で笑える攻撃も、消耗した今ではかなり堪えてくる。数発の被弾を受け、ガクリ、と崩れる体を止める術は最早なく、そのままバシャンと体を横たえた。海水に浸かった頭が、急速に冷えていった。それに反比例するかのように、再び左腕が熱を持ち始めた。海水が蒸発するのではないか、そんな変な考えが浮かんでは消えて行った。

 限界なのか。意識も朦朧としてきた中で、泊地棲鬼はそう思った。認めたくない、とそうも思った。

 

 

 あの日、艦娘側に敗れ、安住の地を求めて逃亡していた泊地棲鬼らを迎え入れたのは、そのころにはブインを占拠していた飛行場姫と南方棲戦姫たちだった。その日疲れで眠ってしまった彼女が朝起きて目にしたものは、自分たちのために新たに場所を作り、駆逐たちまでも受け入れてくれていた飛行場姫の姿だった。その小さな優しさが、どれほど泊地棲鬼の心を安らげたか。

 

 どんなに疲弊しようとも、どんなに壊れてしまっても。泊地棲鬼に諦めるなどと言った言葉は存在しない。

 なぜなら、彼女にはやり遂げなければならないことがあるから。彼女には守るべきものがあるから。

 

 

「コノサキヘハ…… トオサンゾ……」

 

 

 重い体に鞭打って立ち上がり、キッと奴らをにらむ。ぶれぶれの照準で主砲を一発撃つ。……どうやら外れてしまったか。

 着弾を確認するために見た奴らの後方では、空が白み始めていた。漆黒の闇に覆われた戦場に、一筋の光が差し込んだ。キラキラと海面が光り出した。

 ああ、もう少しだ。もう少しで昼になる。昼になれば航空戦力の増援と、何より自前の艦載機を発進することができる……!

 

 

 

 泊地棲鬼は終ぞ気づかなかった。見えない魚雷の航跡が彼女に迫っていることに。軽巡級の放った、61cm五連装(酸素)魚雷。艦娘側の誇る、最強の魚雷攻撃が、彼女の背後を捉えていた。

 

 

 

 




???「油断しましたね。次発、装填済みです」



【今日の艦船・泊地棲鬼】

kancolle deta:耐久180 火力105 雷装60 装甲80 対空70
装備:徹甲弾、艦戦、艦爆


主砲は!? 徹甲弾を打ちだす、主砲はどこに消えた!?

……とは言ったものの、艦これ内の主砲は基本的に増設装備枠扱いのような気がするので、恐らく主砲はデフォルトで装備されているに違いない。
艦娘も主砲なしで普通に砲撃したりするわけだし。

ゲーム内では火力・装甲等のステータスは戦艦タ級flagshipより低いくらいであり、特に脅威ではなかったりする。
夜戦火力こそそこそこ高いが、そもそもの夜戦命中率が低いうえに、ゲーム内では攻撃回数が決まっているので(昼戦2回、夜戦1回)、最悪一人大破で済む。


当然、作中ではそんな制限などないため、一人で敵艦隊を蹂躙することに。



なお、作中の艦娘側編成は、「鳥海・羽黒・神通・霞・陽炎・黒潮」。
ゲーム内台詞をかなり引用しているので、分かる人は一発で分かるかと。
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