【完結】IS-Destiny-運命の翼を持つ少年   作:バイル77

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過去編⑦ 失敗作VS成功作

 

『シンは出撃したようだな』

 

『ええ、そのようです』

 

 

カナードの呟きに彼の副官的な人物であるメリオルが反応する。

すでにドレッドノートHは出撃しており、宙域で待機していた。

 

 

『ミネルバⅡより通信。全艦増進し、第1戦速で艦隊戦に移行との事です』

 

『分かった、オルテュギアを頼む』

 

『分かりました、カナードも気を付けて』

 

 

頷いて通信を切り、ドレッドノートのスラスターを点火させて戦場に向かう。

ドレッドノートに続いて、紅い機体、二振りの対艦刀を持った【ソードカラミティ】と蒼い光の翼を背負った機体【デスティニーインパルス3号機】、そして3機のウィンダム、3機ともエールストライカーを装備したタイプだ。

 

 

『小隊メンバーは俺に続け』

 

『まさかお前と一緒に組むことになるとは思わなかったぜ、カナード』

 

 

NJによるジャミングの影響が少ないためか、分隊通信は比較的クリアに通っていた。

 

 

『エドワード・ハレルソン、頼りにしている』

 

『おっ、珍しいな、お前が他人を頼るなんてよ。なぁ、コートニー?』

 

『少し口数が多いぞ、すぐに戦場だ』

 

『わっかんねーかなー、リラックスさせようとした俺の気持ちがさぁ』

 

 

コートニーの返しにはぁとため息をついたエドであったがすぐにスイッチを切り替えた。

ザフト艦隊からの一斉砲撃と同時にネオ・ザフト艦隊の砲撃が開始されたのだ。

 

砲撃をパルス小隊の各機は散開して回避した。

宇宙の闇を各艦の主砲から発射される高出力ビームが彩っていく。

MSも次々と戦場に到着し、各々のビーム兵器によって戦場は更なる彩りを見せていく。

 

 

『俺達の目標はストライクフリーダムの足止めと孤立だ、行くぞ』

 

『『了解』』

 

 

小隊長であるカナードの指示に小隊員全員で返答し、パルス小隊もMS戦に移行していく。

 

一機のザク・ウォーリアがエドのソードカラミティにビームライフルの照準を合わせる。

だがトリガーを引く瞬間、ザク・ウォーリアの両腕は飛来したビームによって消し飛ばされた。

 

 

「なっ!?」

 

 

ザクのパイロットの驚愕の声。

飛来したビームの正体は、コートニーが駆るデスティニーインパルス3号機からの援護射撃。

 

デスティニーインパルスは援護射撃を行った後、すぐさま別のターゲットを攻撃目標として移動していた。

ザクのパイロットがその事に気付いた時にはすでに彼の運命は決していた。

何故ならば、ソードカラミティが一瞬で距離を詰め、二振りの対艦刀を振り上げていたからだ。

 

次の瞬間には、対艦刀はザクのコックピットを真正面から貫き、バックパックまで貫通していた。

刀身ビームを起動させ、そのまま振り抜いてザクを両断したソードカラミティはデスティニーインパルスと同じように別の敵機にターゲットを切り替えて爆発から離脱する。

 

 

――――――――――――――

 

 

「何でこの人達は……ラクスは世界の為を想っているのにっ!」

 

 

C.E.最強のMSとパイロットとして名高いキラ・ヤマトは乗機、ストライクフリーダムのコックピットで納得できない気持ちを口にしていた。

先程からウィンダムを筆頭に数十機のMSを相手にしているストライクフリーダムだがその勢いには微塵も陰りが見えない。

 

2丁のビームライフルの照準を接近するウィンダムに合わせてトリガーを引く。

寸分違わず、照準通りに発射されたビームは5機のウィンダムの四肢をもぎ取って戦闘能力を奪う。

 

 

「くっ!」

 

 

ウィンダム達の戦闘能力を奪ったストライクフリーダムに上方からビームサーベルを抜いた別のウィンダムが斬りかかっていた。

即座に反応した彼の操作により、抜刀からそのままウィンダムの両腕を斬り伏せる。

 

だが両腕を斬り落としたウィンダムはあろうことかストライクフリーダムに蹴りを繰り出してきた。

ストライクフリーダムはVPS装甲、ウィンダムはPS装甲ではないため必然的にウィンダムの方が一方的に砕かれる。

だがその衝撃はパイロットまで届いていた。

 

 

「ぐっ、なんでそこまでっ! 貴方達はっ!」

 

 

思わぬ反撃とコックピットまで通る衝撃に一瞬固まってしまったキラであったがすぐに立て直して、サーベルでウィンダムの両脚を切り落とす。

こうなってしまえば戦闘など期待できない。

 

彼は未だに気づいてはいなかった。

四肢を失ったMSが宇宙空間でたどる結末など。

 

 

「っ!」

 

 

センサーに高エネルギー反応。

即座にスラスターを噴かして回避する。

回避したビームはかなりの高出力のものであり、装甲が薄いストライクフリーダムではまともに受けてしまえばただでは済まなかっただろう。

 

 

「っ、あのMS……ガンダム……?」

 

 

ストライクフリーダムを襲ったビームを放った機体。

トリコロールカラーでGタイプの頭部をもつ機体。

背部ユニットがまるで【H】の様にも見える機体。

 

ドレッドノートH。

 

 

『流石と言ったところか……ハレルソン、ヒエロニムス、聞こえるか』

 

 

ストライクフリーダムを狙撃したカナードは分隊通信をエドとコートニーに送っていた。

 

 

『ストライクフリーダムを引き付ける、雑魚は頼む』

 

『りょーかいっ』

 

『了解した』

 

 

エドが陽気に、コートニーは対照的に冷静に返答し、2機のMSは離れていく。

それを確認したカナードは分隊通信を切ると同時に、ドレッドノートのスラスターを噴かせる。

 

数瞬までドレッドノートがいた空間を、大出力のビームが薙いだ。

そして回避したドレッドノートをビームの嵐が襲う。

ストライクフリーダムからのフルバーストだ。

 

 

「その程度っ!」

 

 

フルバーストをAMBACを駆使して躱し、お返しと言わんばかりにビームサブマシンガン【ザスタバ・スティグマト】でビームをばら撒く。

対するストライクフリーダムもAMBACでの回避に移る。

サブマシンガンから継続的に放たれる弾幕の方が厚いため、【ソリドゥス・フルゴール】も併せて起動してビームを弾いている。

 

 

「この感覚……これは……っ!?」

 

 

ストライクフリーダムを操作しながらキラは困惑していた。

今まで感じたことのない感覚に襲われていたからだ。

 

 

――まるで、自分が【2人】いるような。

 

 

「君はっ、一体……っ!?」

 

『やはり貴様も感じているのか、【キラ・ヤマト】』

 

 

モニターに映るのは黒いパイロットスーツを身につけた青年。

その声にその顔。キラは両方とも見知っていた。

何故ならばそれは自分のモノと同じだからだ。

 

 

『俺はカナード、【カナード・パルス】、貴様と同じスーパーコーディネーター……その失敗作だ』

 

『僕と同じ……っ!?』

 

 

スーパーコーディネーター。

かつて倒した怨念鬼曰く、それは人類の夢。

最高の遺伝子操作を受けた、唯一の存在。

 

キラはそれを誇るつもりはなかったが、無意識には驕っていた。

自分は完成された最高の存在、そんな自分が間違うはずがないと。

 

 

カナードの言葉に呆然としたのは一瞬。

迫る【光の刃】に意識を取り戻したキラは、ソリドゥス・フルゴールでその光を防御する。

 

 

『君は何でっ! 君達は何でこんな戦いを起こしたんだっ!』

 

 

ドレッドノートHとストライクフリーダムの機体出力は後者の方が上回っている。

光の刃を出力差で押し切って、ビームサーベルを振りかぶる。

 

だがドレッドノートは回避しなかった。

光の刃――出力変更したアルミューレ・リュミエールが本来の役割である【モノフェーズ光波シールド】に戻り、ビームサーベルを事もなげに防いだのだ。

 

 

『俺はシンやバルトフェルド達の様に世界を正したいとは大して思っていない。ただ俺は自分という存在を、スーパーコーディネーターという存在にケリをつけたいだけだ。だからこの戦争に参加したっ!』

 

 

密着状態のまま背部Hユニットが操作され、ストライクフリーダムに向けられる。

それに気づいたキラは即座にストライクフリーダムをドレッドノートHから離す。

 

しかしビームは発射されなかった。

それどころか、再度ALが刃となってストライクフリーダムに向かって迫ってきたのだ。

 

ストライクフリーダムは回避に成功した。

しかし、完全に成功したわけではなかった。

 

装甲が一部だけ溶けて歪んでしまっていた。

だが、戦闘行動に支障はない。

 

 

『くっ、こんな手にっ!』

 

『この程度かっ!』

 

 

Hユニットからの砲撃と併せてサブマシンガンから弾幕を張ってカナードは後退していく。

それを追いつつ、ストライクフリーダムはドラグーンを切り離す。

 

 

『君は危険だっ! ここで……っ!』

 

 

意識を集中――キラの意識の中で【S.E.E.D】が弾けた。

ドラグーンがドレッドノートを包囲するように展開されていく。

 

 

『舐めるなよっ!』

 

 

ドラグーンとの戦い方ならばカナードも心得ている。

亡き友であるプレアとの戦いの経験。

ネオ・ザフトとしての潜伏期間に行った叢雲劾やコートニー・ヒエロニムスとの模擬戦、シミュレーションも何度も行った。

 

AMBACとALを駆使し、ドラグーンから降り注ぐビームの雨を回避、防御してさらに後退していく。

脚部の装甲に一発だけ掠らせてしまったが、問題はない。

 

直後、ピピッとコンソールにミネルバⅡより簡潔な通信が入った。

その内容は、デスティニーによるインフィニットジャスティスの撃墜を確認、と言うモノであった。

 

 

後退しながらイータユニットをバスターモードに切り替える。

 

 

(シンがジャスティスを落としたか。さて、これだけ引きつければ……作戦通りだな)

 

 

すでに2機はメインの戦線から少々離れた宙域へと移動していた。

エドとコートニー、そして小隊メンバーを筆頭にして他のMSを足止め、カナードが自機を囮にしてキラの誘い出しに成功していた。

 

 

(ミネルバⅡへ通信……よし)

 

 

旗艦であるミネルバⅡへストライクフリーダムを誘い出した旨を簡潔に送信する。

 

イータユニットから実体弾であるグレネードが発射される。

そして数瞬遅れて、バスターモードの砲口から高出力ビームが発射され、グレネードを貫いた。

 

ビームによって貫かれたグレネードは爆発を引き起こし、ドレッドノートHの姿を覆い隠す。

 

 

「爆発っ、 何をっ!?」

 

 

ドレッドノートが取った行動にキラが驚愕の声を上げた。

 

 

(ミラージュコロイド起動……さて、シン、後は貴様に任せた)

 

 

カナードがドレッドノートHに外付けされたミラージュコロイド発生装置を起動させる。

ドレッドノートの機体が宇宙空間に消えて行き、爆発によって生じた煙幕が晴れる頃には、完全に姿を消していた。

 

 

「消えた……っ!? ミラージュコロイド……っ!」

 

 

突如として消えたドレッドノートを捕捉するために、センサーを熱源探知に切り替えようとした瞬間であった。

レーダーがある機体を捉えた。

 

レーダーに表示されるのは、正式な型式名が不明であったため、ザフトに残っていたデータから、キラが直接マニュアルで打ち込んだ【ZGMF-X42 DESTINY】

確認した瞬間、ロックオン警告が踊る。

 

 

「くっ!?」

 

『アスランは倒した!あとはアンタだけだ、キラ・ヤマト!』

 

 

宿命の戦いの火蓋は此処に再び切って落とされた。

 




今回より過去編はシンが戦っていた間に、他のネオ・ザフトメンバーは
どうしていたかになります。

まずはカナード。そしてVSキラ

結果は、どちらも軽く一発貰った程度で。
これをアニメでやったらカナードが凄い悲惨な目にあいそうだから、映像化しなくてよかった。


次回予告

「友として俺が止めるっ! ディアッカ、貴様をなっ!」

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