【完結】IS-Destiny-運命の翼を持つ少年 作:バイル77
問題が起きたらいつもフォローしてくれた――
怒りやすいけど、絶対に見捨てずに助けてくれた――
心の中でやっぱり憧れていたのかもしれない――
だから俺は――追いつきたい。
一夏対セシリアの試合は、結果としては一夏のエネルギー切れで終わった。
試合時間は10分程度であった。
しかし、その結果は上々のものだった。
なぜならば、一夏は専用機――【白式】――でセシリアに一撃入れることに成功したのだ。
単一仕様能力<<零落白夜>>が発現していた一撃であったため、飛来するレーザーを切り裂きながらブルー・ティアーズのエネルギーを約4割まで減らすことができた。
しかし、その後は一夏の背後に気づかれないように配置されて遠隔操作されたティアーズに狙い撃ちされ、玉砕覚悟で突っ込んだ途端エネルギー切れとなってしまった。
「とりあえず千冬姉の名前は守るさ……だったか、織斑?」
「やめてぇっ!」
ジト目で千冬に見られ、顔を赤面させて先ほどの試合中に口走ったことを一夏は思い出す。
「勝てればよかったがな……まあ、初心者にしては上出来だ」
「……なんで俺負けちゃったんだ?」
「バリア無効化攻撃を乱用したからだ」
白式が発現した単一仕様能力である零落白夜は、自身のシールドエネルギーを攻撃力に変換することで相手のバリアを無効化し切り裂くことができる。
その結果、相手のISは絶対防御が発動して大きくエネルギーを削られるのだ。
だが強力すぎる能力には相応の弱点も存在する。
【燃費が極悪】なのだ。
今回の場合、一夏は初使用ということもあり長時間使用していた。
そのためすぐにエネルギーが切れてしまったのだ。
「今後は現役時代の私のデータでも見て、使い方を理解しろ……さて、次は飛鳥との試合だな」
―――――――――――――――
千冬と一夏がいるピットとは反対側のピットに真はいる。
すでにインパルスの調整は完了しており、いつでも出撃できるがカタパルトの点検が行われているため、今日行う試合が終了したセシリアにスポーツドリンクを渡していた。
「お疲れ、セシリア」
「ありがとうございますわ、真さん」
受け取ったドリンクを軽く一口セシリアは飲む。
ふうと彼女は一息ついていた。
「セシリアから見て、一夏はどうだった?」
「そうですわね……やはり初心者と言わざるを得ないですわね、私の【瞬時加速】にもほとんど反応できていませんでしたし……」
少し眉間にしわを寄せてセシリアは一夏を評価する。
辛口だなと真は内心思っていた、が次の瞬間にはセシリアは微笑みを浮かべていた。
「ですが、爆発力という点では素晴らしいものを感じました、特にレーザーを無効化しつつ突貫してきたのは驚愕いたしましたわ」
「あれは確かにそうだな」
自分は過去の経験もあるので恐怖の感情はコントロールできる。
しかしつい先日まで完全な一般人であった一夏が自分に放たれてくる攻撃を無力化しつつ突貫するなんて事をしてのけたことには驚いたものだ。
「……一夏さんは私のこと、許していただけるのでしょうか」
セシリアは真に問いかける。
全力でぶつかり合いたい【友人】として真と一夏の事を考えている。
その問いかけに、真は微笑みつつ返す。
「俺にしたみたいに本気で謝れば大丈夫。きっと許してくれるさ」
「ありがとうございます、真さん。次の試合頑張って下さいな」
セシリアは軽く頭を下げた後、真を激励する。
その言葉に真はサムズアップを取った。
―――――――――――――――
ピットから射出された【白式】
一夏がアリーナ上空へ飛翔してくる。
アリーナ上空ではIS【インパルスガンダム】
装備しているシルエットは【ソードシルエット】、真が彼を待っていた。
『調整は終わったみたいだな』
『ああ。セシリアの時は違って、最初から赤いヤツなんだな』
ソードインパルスを観察しつつ、一夏は白式唯一の武装である近接ブレード【雪片弐型】を展開する。
対する真も大型実体剣【エクスカリバー】2本を両手に構え、同時に刀身に【ビーム】が走る。
『最初から全力で来いよ、一夏!』
『わかってるさ……真、お前を倒してみせる! 今日っ! ここでぇ!』
一夏の叫びと共に試合開始のコールがアリーナに響いた。
―――――――――――――――
『うおおおおおおおおっ!!!!』
俺は白式のスラスターを全開に噴かして真に迫る。
先手必勝――零落白夜を発動しているから、見る見る間に俺のエネルギーが減っていくけど、当ててさえしまえば関係ない。
対する真は大型の2本の剣でこちらの一太刀を受け止めるつもりで待ち構えていた。
甘いぜ、真!
『チェストオオオオッ!!!』
全身全霊の一撃だった
金属が破損する鈍い音が聞こえたかと思うと真が持っていた剣が2本とも砕けていた。
こちらの一撃は防がれたが、真に一撃与えることができた!
だが俺は見逃さなかった。
あいつが計算どおりだという風に笑っていたことを。
『一瞬止められれば充分なんだよっ!』
直後、振り下ろしていた両手が弾かれて【雪片】が宙を舞う。
続けて腹部に衝撃が走って後方にすっ飛ばされた。
吹っ飛ばされつつ不思議と状況の判断ができた。
どうやら雪片を握る両手を【蹴り】によって弾きあげて、雪片を弾きそのまま展開した【2本のナイフ】で連撃。
そしてスラスターの加速を上乗せした蹴りで俺を弾き飛ばしたんだ。
『ぐっ……!!』
何とか体勢を立て直そうともがく。
だがそれすらも真は許してくれない。
白式がハイパーセンサーで飛来物を検知。
穂先がビームでできた【槍】が俺めがけて飛んできていた。
『うおおっ!?』
何とか崩された体勢で弾く。
続けてロックオン警告がコンソールに踊った。
『!?』
ハイパーセンサーを使って確認してみると、真はすでに機体を【緑】に変えていた。
そして大きな2門のビーム砲とミサイルがこちらを狙っている事に気づいたがもう遅かった。
『これで終わりだぁ!一夏っ!』
発射されたビームとミサイルが俺に迫る。
避けられないっ! ああ、くそぉ……っ!
真は強い。
俺なんかよりもずっと【力】を持ってるのに使い方を分かってる。
対等だと思ってた。
いや違う、俺はずっとあいつに憧れてたんだ。
悔しいと思うのと同時に負けてたまるかと思った。
今は勝てない。
けどいつかきっと。
目の前を走っていくあいつの背中に追いつけるように、追い越せるように今まで以上に努力しよう。
そこまで思考して俺はビームとミサイルに飲み込まれた。
【絶対防御】が発動して白式のエネルギーが尽きる。
―織斑一夏、シールドエネルギー切れ、勝者 飛鳥真。試合時間、49秒―
さすがに1分持たなかったのは恥ずかしい……。
千冬姉にどやされるぅ……!
真がこちらに来てくれているのを確認しつつ、そんなことを考えていた。
なんか熱血成分が多くなってしまった気がする。