輝夜と妹紅が何かなる話です。あらすじはめんどうなので、通勤や寝る前、クッソ暇な時にどうぞ

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後悔先に立たず

「私は非常に疲れているのよ。なんでかって毎日のように妹紅が殺しに来るんだもの。たまには私だって休みたいものよ。」

「じゃあ本人にそういえばいいじゃないですか。」

「あなた本当に妹紅がそうしてくれると思うの?」

「物は試しようじゃないですか?あ、私、師匠のお手伝いに行ってきますね。」

「はぁ…冷たいわね。」

 

 永遠亭に住む月人、永遠のお姫様、蓬莱山輝夜は机に頬杖をついて悩んでいた。悩みの種は妹紅だ。この悩みを紅白の巫女にも、黒白の魔法使いにも、つい先ほど鈴仙にも相談したが全員答えは

『本人にそういえばいい』

本人に言う、それが一番難しいのだ。もし妹紅に言おうものならバカにされるに違いない。

「あと相談できる人なんて永琳ぐらいしかいないしねぇ、でも永琳に相談しても、自分で解決しろ、って言いそうだし…」

輝夜は頭を抱えしばらく机に伏せた、しかし頼れる人は永琳しかいない、そう判断しとりあえず永琳のところへ行くことにした。

 

 

 永琳はおそらく診察所にいるだろうと思い輝夜は診察所の扉の前に立った。

(大丈夫、怖がることはない)

深呼吸をし、なぜか怖がっている自分を落ち着かせた。

「え、永琳?相談が…ってあれ?」

永琳の姿はなく、代わりに机の上に置き手紙があった。

【輝夜へ、私とウドンゲは人里に薬を売りに行きます。一人でお留守番しててください】

「うーん、なんだろうなこの残念な感じと安心した感じ。」

輝夜は首を傾げた。

ふと輝夜は思った。

(永琳の薬だったらなんとかなるんじゃない!?)

そして輝夜はすぐに行動に移した。棚という棚、瓶という瓶、全てを漁った。全ての瓶を見た。しかし

「全部名前がわからないわ!風邪薬ぐらいしか名前がわからない!」

頭を抱え、輝夜は叫んだ。そう輝夜は永琳ほど薬の名前に詳しくはない。丁寧に瓶に薬の名前を貼ってあるのだが説明がない。永琳が調合などをして使う用の薬なのだから説明がなくとも永琳はわかるのだから、わざわざ説明は書かない。

「もう!永琳もっとちゃんと書きなさい…よ?あれ…は?」

輝夜は棚の一番上、埃のかぶった金庫を見た。

「ハハァーン、永琳ってば何か隠し持ってるわね!」

そう輝夜は言うと、近くにあった本を金庫のようなものに手が届くまで積んだ。今すぐ崩れ落ちそうな積まれ方をしている。

「よし積めたわ…ってこれじゃ登れないわ…」

輝夜は登れないことを気付くと、本で階段を作った。

「これだったら登れるわね!それにしても永琳はたくさんの本を読むのね、読みすぎじゃないかしら?」

そう言いつつ登る。非常に不安定である。

「あら意外と小さいのね、しかも鍵がついてる。あら?でも4つ数字を合わせるだけでいいのね!うーん…永琳のことだし…分からないわ!適当に!えーい!」

8556。カチッ。どうやら鍵は取れたようだ。

「あら、意外と簡単ね、中身は何かしらっと…ほんとに何これ?」

中身は瓶だ、しかし棚にあった瓶ほど大きくない。瓶には

【絶対使用禁止 危険】

とだけ書かれている。

「何かしらこれ…でもこれだったらなんとかなr」

案の定本の山は崩れた、輝夜も落ちた。

「いたたたたた…不死じゃなかったら死んでたわね・・・って瓶は!?」

死にはしない高さではある。死には。輝夜は慌てて瓶をさがす。

見渡しても瓶はない。もしかしてと思い、輝夜は本を片付けつつ瓶を探した。

「あったわ…割れてなくて良かった…」

本の山の真ん中あたりで見つかった。

「早く本を片付けないと永琳が怒るわ…はやく片付けよ…」

 

 輝夜は自室に戻り、盗ってきた瓶を机の上に置き、眺めていた。

「この瓶の中身、無色透明だしニオイもしない、特に害はなさそう…あーあ盗って損した。」

畳の上に大の字で寝ころび少し寝ようと思い、目を瞑った瞬間

「死ねや輝夜ぁぁぁぁぁ!」

外から障子を突き破り、輝夜を殺そうと飛び蹴りで部屋の中に入って来た者は

「うぉぉぉぉ!あぶねぇな妹紅!」

そう妹紅である。現在の輝夜の悩みの種である。

「輝夜ぁ、前のおまえだったらもっと早く避けれたんじゃねーの?え?」

「フフッ、あ、あなたの蹴りが遅いから、す、少し居眠りしてあげたんですよ?」

「はぁ?お前が遅いんだろ!」

「あ、あなたが遅いのよ!」

毎日の光景である。お互い不死であるため死ぬことはない。

(…今日も妹紅の野郎来たかぁ…どうしようかしら…さっき盗ってきた薬でも使う?でも害はなさそうだしなぁ…でも鈴仙の言う通り【物は試しよう】かしら)

そう輝夜は考えると

「も、妹紅?ちょ、ちょっとお茶しない?」

妹紅からしてみれば、自分は殺しに来たのになぜお茶をしようと言い出したのか。ちゃんちゃらおかしい話である。

「はぁ?お前何言ってんだ?ハハァーン分かったぞ、どうせ薬かなんか入れる気だな?」

「ち、ち、違うわ!た、ただ喉乾いたかな?っていう私なりの優しさよ」

「ふーん、どうだかな、まぁいいやちょうど喉乾いていたしもらおうかな」

「ちょっと待ってなさい!」(妹紅って意外とバカなのかも…)

輝夜はそう思いつつ、お茶を入れに行った。永琳の診察所から盗ってきた瓶を片手に持って。

 

 

「お待たせ〜、お茶しかなかったけど良かったかな?」

「あ?うるせぇ」

「ちょっとぐらいのってくれたってよかったんじゃないの?」

「意味がわかんないんだよ!」

「妹紅もつれないわね」

妹紅の前にドンッとお茶を置き、妹紅の反対側に輝夜は座った。

妹紅のお茶の中にはもちろんあの瓶の中身が入っている。

(果たして何か起きるのだろうか)

お茶をすすりながら妹紅に何か起こらないか、と妹紅をチラッと見た。

(うーん、何も起こらないわね…、まあすぐ何か起こるっていう訳でもないのかもしれないわ…)

もしかしたら…!という気持ちを心のどこかに置き、その時を待った。

「なんか今日はあんまりお前を殺したいって気分じゃなくなったわ、うん、帰るわ」

「あ、え、あ、うん、じゃあね…」

(帰っちゃったァァァァァ!何事もなく帰ったァァァ!)

輝夜は心の中で叫んだ。もしかしたら声に出てしまっているかもしれない、それぐらい心の中で叫んだ。そして妹紅が来る前のように畳の上で大の字になり寝転んだ。

(なんか…もういいやこのまま寝ちゃおう)

そうして輝夜は考えるのをやめた…

 

 

「お前が悪い、全部お前のせいだ」

「違うわ!私は何もしていない!違うのよ!私はただ…」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!…ってあれ?私…あ、そっか寝たんだった…。でも布団なんて…永琳かしら?気がきくわね」

輝夜はとりあえず体を起こし、少し頭を振った。

(それにしても私が見た夢…気持ち悪いわ…)

ぐぅ〜…と間抜けな音が輝夜のお腹から鳴った。

「そういえば昨日、夕食食べてないわね…。誰かにご飯作ってもらおう!」

そう言うと、自室を出てご飯を作ってもらおうと誰かを探しに行った。誰かといっても永琳か優曇華なのだが。

輝夜は診察所に行った。永琳がいないかを確認をしに。

「永琳、ご飯つk…あれ?まだいないのかしら?」

周りを見渡し永琳を探した。永琳は見つからない。しかし、机の上に昨日とは違う置き手紙を見つけた。

「何々?緊急事態なので寺小屋にいます。しばらくは帰れないかもしれません…」

(何かあったのかしらね?まあイナバは寺小屋に行ってないでしょ)

そう思いながら手紙の裏側を見る。

「緊急事態なのでウドンゲにもきてもらっています…か…ハァ…」

(いいや自分で作ろ…めんどくさ…)

輝夜は渋々自分でご飯を作った。ご飯を食べた後、ふと時計を見た。昼3時過ぎ頃を短針が指していた。

「うわ…もうすぐで妹紅が来る時間じゃん…」

妹紅はだいたいこの時間に毎日来ていた。しかし時計の短針が4時、そして5時を指した。

(おかしい、こない…まぁいっか…)

輝夜は妹紅が来ないことを他所に置き、今度は自分で布団を敷いて寝た。

1日、2日そして3日と経った。永琳も優曇華も帰ってこない。妹紅も来ない。ここ永遠亭、永琳が居れば患者も来て優曇華も忙しく走り回り妹紅が輝夜を殺しにくる。そんな非常に騒々しい毎日だった。しかし今は輝夜一人、永遠亭はとても静かでとても広々としている。

(こんなに部屋って広かったかしら?)

輝夜もそう思うほど、そう感じるほど一室は広々としている。

(何故こんなに暇なのか、何故こんなに?分からないわ)

輝夜は起きる、食べる、寝るをただただ繰り返していた。輝夜は心のどこかで妹紅に"会いたい”と思った。

「…寺小屋に行ってみようかしら」

永琳達が帰ってこないこと、妹紅が来ないこと、その2つが何か関係しているのか、輝夜なりに考えた事が永琳達のいる寺小屋に行くこと、それが答えだった。

 

 

「はえー、ここが寺小屋かぁ、たまげたなぁ…」

寺小屋前、輝夜が思うより寺小屋は大きかったらしい。

「永琳ー?いるのー?」

とりあえず外から大声を出してみる、少しして、ヨレヨレウサ耳のこちらの世界でいう女子高生の格好をしているうさぎ、優曇華が慌てて出てきた。

「お、ウドンゲー、急いでどうした?」

「ちょっ、ちょっと静かにしてください!病人に迷惑ですよ!」

「ねーウドンゲー、中入って良い?歩くの疲れてさぁ」

「え、えぇ…病人に迷惑をかけないのであれば…」

「やったぜ。」

輝夜は寺小屋に入った。寺小屋の中には誰もいない。机と椅子と…それぐらいしか見当たらない。

「ねー?ウドンゲー?病人って誰なのー?」

輝夜はそう優曇華に聞いた。しかしその直後、優曇華の口から言われる前に輝夜の目に病人が映り込んだ。間違えるわけがない、間違えるはずがない、毎日目にした姿、どう見ても”妹紅”だ。輝夜は唖然とした。妹紅に"会えた"、だが状況が違っている。妹紅の顔色がおかしい、大量の汗もかいている。なにやら唸り声も聞こえる。

しばらくして輝夜はハッとした。そして脳裏に何かがよぎった。

(もしかしてあの薬…のせい…?)

その考えに辿り着くのに数秒とかからなかった。そして急いで妹紅が寝ている部屋の中に入った。

「おい!妹紅!何寝てるんだ!起きなさいよ!」

「姫!?何してるんです!?というより何故ここへ!?」

「そんなことはいいわ、永琳!妹紅を助けられないの!?」

「姫…多分妹紅さんが苦しんでいるのは私のくs」

「アァァァァァァア!イヤダイヤダイヤダイヤダ!シニタクナイシニタクナイチカヨルナチカヨルナチカヨルナァァァァ!ァァァ…」

鼓膜がビリビリする、妹紅の悲痛な叫び声が輝夜の鼓膜と心を揺らした。

「姫…、妹紅さん…少し前からこうなんです…たまにこのように叫んでるんです。おそらく夢の中で何かと戦ってるんでしょうね…」

「ねぇ永琳!妹紅を…妹紅を助けて…」

輝夜は妹紅のために初めて涙を流した。しかし妹紅をこのようにしたのも、元はと言えば輝夜のせいなのだ。

「姫、先ほど言いそびれたのですけど、妹紅さんが苦しんでいるのはおそらく私の薬のせいだと思うんです。ここ少しの間で見られた症状全てを引き起こす薬が1つだけ、一度だけ私が作ったのを覚えています。大切に保管していたはずなのですけれど…私の不手際で」

「違うの永琳!私が…私がその薬を…盗ったの…」

「姫が?じゃあ姫が妹紅に飲ませたのですか?」

「…………」

「飲ませたんですか?」

「…………」

「飲ませたんですかッ!」

「…………」

こんなに怖い永琳を見たのは初めてだ。心の底から怯えた。

「の…飲ませ…た」

うつむいて永琳にそう答えた。永琳がどんな顔を、どんな表情をしているか、そんなことを気にしたくない、今は誰の顔も見たくなかった。

「姫…顔をあげてください…」

「?」

永琳に言われるままに顔を上げた。

パチンッ!

狭い部屋に大きな音が鳴り響いた、永琳が輝夜の頬に平手打ちをしたのだ。輝夜は何が起こったのかさっぱり分からなかった。もはや頬の痛みさえない、神経が麻痺しているのだろう。

「姫…しばらく永遠亭で反省してください、妹紅さんはなんとかしますから」

永琳は微笑んでいた、しかし暖かみはない。冷たい笑顔が輝夜の心に刺さった。永琳のいうことに従うほかなかった。精神はボロボロになり、半ば放心状態で家に帰った。もう生きたくない、輝夜は自分の不死を憎んだ。どうやっても死ぬことはないため自殺なんてできない

殺せと懇願しても死なない。便利なようで不便な能力は今の輝夜にとって苦痛だった。

生きた屍と化した輝夜は暗い部屋にこもり、寝て起きる、ということしかしなくなってしまった。一度も部屋から出ることなく。

しかし、寝るたびに妹紅の悲痛な叫び声と誰かわからない幻が輝夜の精神にトドメを刺そうとした。

「あんたがやったんだし当然だよなぁ?あーあかわいそうだなぁ妹紅も、救われないなぁ、お前も同じ目に会うべきじゃない?なぁ?そうだよなぁ?」

こんな言葉が夢の中で輝夜に投げかけられた。投げかけられるたびに冷たいナイフが心臓に刺さっていくような気分だった。

 

 

そしてとある日、輝夜の精神は崩壊した。

「ワタシガワルイノ?ワタシハワルクナイ?ワタシハイイコ?エイリンハドコ?ワタシハヤッテナイ、ワタシハワタシハワタシハワタシハ、チガウチガウチガウ!シニタイ?シニタクナイ?ワカラナイワカラナイワカラナイ」

何を口にしているのか何をしてるのか、わからない。輝夜の心は深く深く底の闇の中に飲み込まれた。

いつ寝て、いつ起きて何をしたのかそれすらも闇の中。

 

 

 

「輝夜」

「?」

「こっちだこっち」

「!」

「何してんだ、寝ぼけてんのか?」

「妹紅!本物の!?」

「はぁ?何言ってんだ?私は私だ」

「妹紅ぅぅぅ」

「うわ気持ち悪い」

輝夜は涙をこぼした、妹紅が助かったんだと。輝夜の心の闇は晴れた。

 

妹紅も少し笑った。

 

 

 

 

 

 




どうも零です。初めて投稿しますが、やはり小説とはいいものです。
描写がわかりにくい、読みにくい、なんやこれ、そんな文句はちょっと置いといてだな、とりあえずまずは読んでくれてありがとうございます。
フィクションのようでノンフィクションのようでフィクションです。一部本当です(何が?)
正直少し気が重い。
通勤の間に、寝る前に、クッソ暇な時に読んでいただければ幸いだったと思います。
ありがとうございました。

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