「これで
クラス代表がテキトーな号令をかける。
クラスメイトはなにも言わずに教室から出ていく。
俺も続いて外に向かう。
外ではスクールバスを待つ人、自転車通学で帰る前に友達と話してる人、さっさと帰る人、と様々な人がいる。
あぁ……いつも通りの日常だ。
本当にいつも通り、退屈で馬鹿馬鹿しくて世界からしたら何の意味も無い平和で物足りない日常。
別に、今の状態が悪いとは思っているのではない。
俺には長話をするような親しい人はいない。
でも最低限の会話をしてくれる人ならいる。
俺がイジメにあっているわけじゃない。
だからって誰かがイジメられてるわけでもない。
金銭的な問題は抱えている。
だけどバイトをして金を入れればなんとかなる。
欲しい物だって今は本くらいだ。
それなら学校で借りれば良い。
劇的なことは無かった。
でも悲劇的なことも無かった。
なんの問題も無い、とは言わないが紛争地帯などの人からすれば羨ましいだろう環境にいる。
その自覚はある。
自覚はあるがそれでも求めてしまうんだ。
『超能力』とか『死闘に耐えられる冷静さ』とか『黄金のような夢』とか『強い心』とか『確固たる信念』とか『誰にも負けないド根性』とか『守りたい人』とか『決死の覚悟』とか『強者に立ち向かう勇気』とか『人類最強の称号』とか『反則的な天才性』とか『人類の到達点の力』とか『自分の個性』とか。
手に入らないものだけど、それでも欲しいじゃないか他人との違いが。『特別』が。
だから俺は『質問』にすぐ答えた。
自分を神だと言った、男だか女だか老人だか若者だか分からない『誰か』からの『質問』に。
「なんでも願いが叶うならなにを願う?」
「────特別になりたい」
そうして俺は転生したんだ。
────『桐原静矢』という男に。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
現在、転生者『桐原静矢』は高校二年である。
彼は転生した時に願いを叶えて貰ったのだ。
彼は『特別』になった。
背景から噛ませ犬への昇格(?)だ。
彼が求めたものとは少し違う気もするが他にも『とある能力』があるので、まぁ良かったと言えるだろう。
そんな彼は今から主人公との試合だ。「そうだ、ジャンケンで決めよう!」という奴だ。
つまり、とても重要な試合である。
これから始まるのは単なる試合ではない。
噛ませ犬を辞めるための戦いだ。
『桐原静矢』は『覚悟』を持って試合に挑む。
◇◆◇◆◇◆◇
「やぁ、黒鉄君。逃げなかったんだね」
「逃げて良いような試合じゃないからね」
「そっか」
「そうだよ」
試合の準備として自分の
「
「
ほんの二言程度の言葉を交えて『黒鉄一輝』と『桐原静矢』の試合が始まった。
瞬殺を避けるために構えていた『桐原静矢』だったが動き出さなそうなので『
「『
会場は森に包まれる。
そして『桐原静矢』は隠れ潜み弓を引く。
彼の『固有霊装』には神から貰ったFateのロビンフットの宝具『
彼の『伐刀絶技』で森が出来ている今の状況だと一度当たったら相手に勝ち目はほぼ無くなる。
だが、彼は最初から全力だった。
「
無数の
そして────
「うわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!」
────『黒鉄一輝』の絶叫とともに試合が終わった。
「……………………え?」
◇◆◇◆◇◆◇
『桐原静矢』が相手の強さを間違えていた。前世の記憶などうろ覚えだ。どういう勝負か具体的に覚えてはいなかった。
主人公だから強い、そんな理由で全力を出した。
その結果が『黒鉄一輝』の死亡だ。
後悔して後悔して後悔して後悔して、『黒鉄雫』に命を差し出した。
『桐原静矢』になった誰かは思った。
『こんなハズじゃなかった』と。
そうして誰かの人生が終わった。