男はいつものように机に張り付き書類と向き合い続けているとノックの音が耳に響いた。
「私よ、入るわね。」
男が何かを言う間もなく金髪ロングな女性はドアを開けて入ってきていた。
「............ビスマルク、仮にもここは執務室なんだぞ?礼儀くらい弁えたらどうだ?」
「あら良いじゃない、貴方と私の仲なんだし。」
ビスマルクは気にする様子もなく男に小包を手渡した。
「ん?」
「なんか提督宛に届いてたから持ってきてあげたわ、感謝しなさい。」
「おおっ!サンキュービスマルク。これを待ってたんだ。」
「一体何なの?」
ビスマルクに問い掛けられた提督は不敵な笑みをうかべ「少し待ってろ。」といって更衣室へ入っていった。
「変な提督ね、まあ良いけど。」
お茶を飲みながら待機していたビスマルクは更衣室から出てきた提督を見ておもわず噴き出してしまった。
「おっと、新品の制服にお茶を掛けないでくれよ?」
「な、ななな何て格好してんのよっ!?」
ビスマルクの目に飛び込んできたのは帽子一丁という理解不能の格好で立っていたのだ。
「ん?まさか......ビスマルクには見えてないのか?」
信じられないと言わんばかりの驚愕を示す提督にビスマルクは切れた。
「............ええ、見たくない物は見えるわ。今すぐ死にたいようね。」
艤装を展開するビスマルクをまえに提督は冷静に返した。
「ほんとに見えないのか、これは知能指数が高い人にしか見えない服なんだけどなぁ......ビスマルクならみえるとおもったんだがなぁ。」
「はあ!?そんなものあるわけないでしょ!」
「本物なんだよ、ほら。」
そう言って提督は説明書を見せる。
「............」
「ほら、大手メーカーだろ?」
「た、確かに大手ね......」
「おやおや?まさか、あのビスマルクさんがこの服が見えないんですかぁ~?」
「ぐっ......貴方は見えてるのかしら......?」
ビスマルクの質問に提督は肩を竦めて答えた。
「勿論、俺には見えん。」
「はあ!?ならさっさと着替えて来なさいよ!」
「え~、別に他の子には見えてるし良いじゃん。」
「わ、私は見えるけれど見えない子だっているでしょう!?私は見えてるけどね!」
腕を組んでそっぽ向くビスマルクをニヤニヤと見つめていると突如ドアが開かれた。
「提督~、第一艦隊帰投した......よ......ってなにしてんの?」
「北上さぁ~んまってぇ............は?」
「北上に大井か、お疲れ......どうした?」
「いや、それはこっちの台詞なんだけど......」
「北上さんに何てもの見せつけてるのよ......」
困ったように頬を掻く北上の後ろで大井魚雷を構えていた。
「あ、いやまさか二人にも見えないとはなぁ......」
提督は呟いて見たが既に大井の耳には届いていなかった。
「死になさいなっ!!」
大井の掛け声とともに提督目掛けて61cm酸素魚雷が
飛んでいく。
「ちょちょちょっとまて!すとぉぉっっっぷ!?」
着雷とともに提督室は爆炎に包まれていった。
爆炎の中運良く外へと流れていった説明書の一部は雪風の目の前へと着地した。
「なんでしょうか?」
突如現れた紙切れを拾い上げた雪風は書かれてある文を読み上げた。
「『本商品はドッキリ用のジョークグッズであり着用された際に起きたこと関しては一切の責任を負いかねます』............大事な書類では無いみたいですね、ゴミ箱に捨てておきましょう。」
そう言って雪風は紙をポッケにしまうと執務室の方へと去っていった。