「艦娘グラフティ4」(第8部)「執務室の午後」   作:しろっこ

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大山の裾野からいよいよ広大な稜線を走り始める軍用車と提督一行だったが……秋雲は意外なことを言う。


第14話<縮まる距離>

「……良いよな、秋雲は」

「何がデスか?」

 

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「艦娘グラフティ4」「執務室の午後」(みほ8ん)

:第14話<縮まる距離>

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 軍用車が日野川を渡ると幹線道路は右に大きくカーブをする。直ぐに道路の右手の方に役場らしきモダンな建物が見えてきた。そうだ、確か大山はここから左折するんだ……何となく思い出してきた。私は直ぐに言った。

 

「電チャン、この信号を左だ」

「はい、なのです」

 

車は幹線道路を左折する。道路は少し狭くなり、やがて踏切を渡った。私は呟いた。

 

「えっと、ここは山陰本線……いや伯備線だったかな?」

 

左手には駅のホームがチラッと見えた。恐らくあれは鉄道省の岸本駅だろう。

 

「へえ、鉄道省ですか?」

 

踏切と線路を見て反応したのは秋雲だった。彼女はもうスケッチは良いらしく、ずっと車窓から外の景色を見ている。

 

「列車が来たら見てみたかったですねえ」

 

彼女はそう呟いたのだが他の二人はそもそも的に列車にはまったく興味すら無さそうな雰囲気だ。

 

 踏切を渡った先で直ぐに広大な田園地帯が広がる。その1キロくらい向こうには木で覆われた山の裾野が見えた。

 

「あの壁みたいな茂みが大山の裾野だな」

「へえ~裾野ってこんなにハッキリしているんですね」

 

秋雲はこういった自然とか風景への感度が高い。電チャンはずっと運転に必死だし、寛代は助手席で黙ってボーっとしているからほとんど反応がない。

 

 やがて軍用車がその裾野まで来ると道路は急に裾野に張り付くようにして右に曲がり、急な上り坂になっている。

 

「おお! 上り坂ですねっ……いかにも山の裾野って感じですよ」

 

相変わらず感度が良いな、秋雲!

 

 その急な坂を上りきると、今度は視界が開け、なだらかで長大な坂道が延々と続いているのが見える。その遥か向こうには大山が見えた。

 

「わあーっ」

 

誰ともなく歓声が上がる。いや、まだまだこの距離では大山の雄大さは序の口なんだけど……艦娘たちにとっては、やはり山と言うのは別世界なのだろう。

 

 ふと助手席の寛代が急にキョロキョロし始める。それに呼応するように運転している電チャンが言う。

 

「何だか空気が違いますね。とっても澄んでいるというか、何ていうのでしょうか?」

 

私は答える。

 

「そうだね。さっきも言ったけど空気がキレイなだけじゃなくて、気があるんだよ」

「気……」

 

最後に寛代が呟いたのが印象的だった。この艦娘はセンサー的な感度は高そうだから、大山の

山の気を敏感に感じ取るのだろう。

 

「良いなあ、気かぁー。そういうのも含めて絵にも表現できたらベストなんだけどなぁー」

 

秋雲が言うと実感がある。実は私も今まで艦娘たちにはひとことも言ったことはないが、学生時代には絵の勉強をしていたのだ。ただ親の意向とかいろいろあって結局、軍人になってしまったが……だから秋雲を見ているとちょっと親近感を覚えるのだ。彼女の行動を見ていると、何となく嬉しいような恥ずかしいような不思議な気持ちになるのだ。

 

「え?何か……」

 

私が彼女の顔を見詰めていたことに秋雲が気付いて、聞き返されてしまった。

 

「あ、いや何でもないけど……良いよな、秋雲は」

「何がデスか?」

 

うぐ……おいっ! それはわざと金剛の真似をしているのか? すると彼女は急に悪戯っぽく笑った。

 

「ムフフ……スミマセン司令官。ホントは司令も絵とか描きたかったんですよね?」

 

その言葉に驚く私だった。

 

「なんだ、知っていたのか?」

 

秋雲は長い髪を窓から入る風にたなびかせながら続ける。

 

「その話って実は秋雲さんも青葉サンから聞いてたんですよぉ」

 

髪の毛を手で押さえながら答える彼女は、まるで疾走する馬みたいだ。そのサッパリした性格と合わせて、この艦娘の爽やかさを引き立てる。

 

 しかし青葉のやつ、どこまで個人情報をつかんでいるんだ?そんな私たちの会話で前の二人も微妙に反応している感じだ。

 

「最初は、えーまさかって思ってましたけど……さっき司令がお店で余分なスケッチブック買っているのをみて秋雲さん、確信しましたよ」

「そうか……」

 

何となく前の二人も後ろに聞き耳を立てているのが分かった。でもこういうことを通して少しずつ艦娘との距離が縮まっていくのだろう。そう思うと青葉の情報収集能力はちょっと恐ろしいが結果的には嬉しかった。彼女の行動も基本的に悪気がないから。

 

 軍用車は、なだらかな坂道を大山に向かってひた走っていた。裾野の田園風景が大山をバックにして広がっていた。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも整備したいけど~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ8ん」とは
「美保鎮守府:第八部」の略称です。
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