「艦娘グラフティ4」(第8部)「執務室の午後」   作:しろっこ

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急勾配をドンドン登っていく軍用車。やがて森の陰から大山が……。


第15話<森林を抜けると>

「海の深さと森の深さって」

 

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「艦娘グラフティ4」「執務室の午後」(みほ8ん)

:第15話<森林を抜けると>

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 軍用車で長大な坂道を大山に向かってひた走っていくうちに、それまで遠くに見えていた大山が大きくなっていく。さすがに富士山の神々しさはないが、徐々に大きさを増していくその威容は、この地域で富士と称されるに相応しいものがあった。

 

 車内の誰もが次第に大きくなる大山を固唾を呑んで見つめている。山への道は何度か曲がった後に大きな渓谷を渡る長大なアーチ橋を通過する。

 

「おお! 振り返ると海だ!」

 

秋雲の言葉に思わず全員が振り返る。すると渓谷の下流、遥か彼方にはいつも見慣れている島根半島が小さく見え、その手前にはキラキラと光る日本海と中海(なかうみ)らしき水面が見えた。

 

ただ私たちが感嘆する間もなく道路は再び蛇行し始め、その光景はすぐに近くの山に隠れて見えなくなった。

 

 その後の山道は急に狭まってさらに蛇行し始める。これまでの道路沿いは比較的開けていたので時おり大山がチラチラ見えていたのだが、今では左右に迫り来る針葉樹林が日常空間とは隔絶された雰囲気を漂わせている。

このうっそうとした森林と霊山……かつてこの山では多くの修験者が研鑽に励み、今でもカラス天狗が山を護るとも言われている。それを髣髴とさせる神秘さを秘めているな。

 

 森林の中を進んでいくと道路はかなり急勾配になる。電チャンは何度もシフトダウンを繰り返す。排気量の大きな軍用車ではあるが、さすがにこの急勾配では息切れしそうだった。秋雲は言う。

 

「スゴい坂と深い森ですね」

「ああ」

 

今まで必死にハンドルを握っていた電ちゃんが突然カットインする。

 

「でも……海の深さと森の深さって似ている感じがするのです」

「ほう」

 

思わず感心する私と秋雲だった。寛代がどう思っているかは不明だが電チャンはハンドルを握りながらも意外に思慮深いことを考えていたんだな。

 

 やがて急勾配ながらも道が真っ直ぐになる。前方の木々の空間から見える空を切り取ったように何か異様な稜線が迫ってくるのが見えた。恐らくあれが大山なのだろう。

 

ただしばらくその姿が見えていなかっただけに、その稜線が果たして本当に大山なのか。恐らく車内の全員が、にわかに信じられない気持ちだったろう。

 

 やがて針葉樹林が突然終わると急に辺りは広々とした牧草地帯となる。

 

「!」

 

私も含めて車内の全員が視界いっぱいに広がる大山の雄姿に圧倒された。

 

「おっきい!」

 

最初は正面に見えていた巨大な大山は道が左に折れると車体の右手に移動する。

 

「……すごい」

 

 富士山は遠くから見るとそれなりに美しいし迫力もある。しかしこの大山のように主峰そのものが比較的小さい場合、間近まで車で近寄れるから見方によっては富士山よりも迫力があるかもしれない。

 

【挿絵表示】

 

とにかく車内の艦娘たちは全員が大山の大きさに圧倒されている。もちろん久しぶりにその姿を見ている私自身ちょっと驚いているくらいだ。

 

「こんなに大きかったんだ……」

 

思わず呟いてしまった。学生時代以来だからな、こんなに間近で見る大山は。

 

 電チャンもハンドルを握りながらチラ見して感嘆している。秋雲は、もはや鉛筆を握りながらも大山に圧倒されて、まったくスケッチも描けない状態だ。寛代は……無言。

 

 道路は直ぐに180度ターンする。よく見ると道路の左右は木の柵だ。まるで牧場……かと思ったら本当に牧場だった。秋雲が叫ぶ。

 

「ほらほら……牛が居るよ!」

「ウシ?」

 

電チャンも呼応する。寛代も車窓から外を見ると確かに白黒の模様をつけた大きな牛が何頭も草を食んだりノンビリ移動している。秋雲が声を出す。

 

「へえー牧場か。千葉にあるやつとは全然違うな」

 

なんだ?その千葉ってのは。秋雲は勝手に説明する。

 

「千葉の大地にマシャー牧場って言うのがあるんですけどね。ほとんど羊ばっかりなんです。それにあそこは丘陵地ですけど、ここみたいに大きな山の傾斜地に作られているものとはぜんぜん違うから」

 

良く分からないが要するに関東のそれとは違うってことは分かった。

その秋雲は目をキラキラさせて言う。

 

「司令、ここに立ち寄れませんか?」

「ああ、電チャン……」

「了解なのです」

 

電チャンも牧場の中央付近にある、その牧場の駐車場へと軍用車を入れた。連休だから、この牧場の駐車場もそれなりに混んではいたが軍用車一台くらいは直ぐに停める事が出来た。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも整備したいけど~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ8ん」とは
「美保鎮守府:第八部」の略称です。
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