「艦娘グラフティ4」(第8部)「執務室の午後」 作:しろっこ
「夏にも境港でお会いしましたね」
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「艦娘グラフティ4」「執務室の午後」(みほ8ん)
:第16話<駐車場にて>
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その姿を見ていると何となく秋雲って都会っ子らしいよな。そんな印象を受ける。
「え?」
私がそう思っただけで秋雲が振り返る。この感度の高さも、やっぱり絵師だからか?
「司令にそう言ってもらえると光栄です」
彼女は素朴に笑った。いや口では何も言っていないんだが……。
「早く降りましょうよっ」
秋雲は後部座席から前の二人を急かす。ただ電チャンも寛代もスローテンポな艦娘たちだからな。秋雲の回転数の早さにはまごつくだろう。
私たちは車を降りる。周りの駐車場には車がいっぱいで、ほとんど一般の観光客ばっかり。私は暑いのと目立つのを避けようと制帽は脱いで車内に置いた。こんなところでお偉いさんとか軍関係者にも会わないだろうし。
「司令、せっかくですから上着も脱いじゃえば?」
そういう秋雲ってホント屈託がないよな。でもその意見はアリだ。
「そうするか」
私は上着も車内に置いた。
「電チャン、ロックはしておいてくれよ」
「了解なのです」
軽く敬礼する電チャン。軍用車なんて普段ほとんどロックしないけど、こういう場所では何かあったら責任問題だ。だいたいこの車にはオプション装備はないとしても機密のカタマリだからな。どこにスパイが居ないとも限らない。
「牛、うしぃ!」
秋雲はスケッチブックを抱えて舞い上がっている。その言葉に私は思い出した。
「ごめん電チャン、もう一回ロックを外してくれ」
「はい?」
一瞬たじろぎながらもロックを外す電チャン。私は直ぐに車内からスケッチブックと画材、それにジュース類の入った買い物袋を取り出した。
「あ」
といって振り返る秋雲。そうだよ。こんな楽しいところに来たらコレしなきゃ。私もニヤッと笑い返した。彼女もニヤリと笑って親指を立てる。そんな私たちを不思議そうに見ている電チャン。ボーっとしている寛代。
私が二つの袋を取り出すのを見て、さすがにスローな電チャンも悟ったようだ。
「あ……すみませんなのです。お持ちするのです」
「ああ、たのむよ」
ジュースの袋を電チャンが受け取ったときスッと寛代も近づいてきて、もう一つの画材の袋を取った。
「ああ、持ってくれるのか寛代」
「……」
うなづいている寛代。
上着を脱いだのは正解だった。暑いのもあるけどカッターシャツになればズボンが白くてもこの陽気では普通の人にしか見えない。制服の艦娘たちは女学生にしか見えないから、こういった観光地では車から離れてしまえば自然に周りの雰囲気に溶け込める。さしずめ私は特殊学校の先生かな?
観光地とはいえ私たちは軍人だから下手に目立つのはよくない。オマケに今日は変に目立って、あらぬ誤解を招くのも面倒だ。
「おや、おいででしたか」
だ、誰だ? 思わずドッキリした。こんな観光地で誰か知り合いが居たか?
振り返ると……見覚えのある顔。
「夏にも境港でお会いしましたね」
先方のその言葉で思い出した、陸軍の将校だ。彼の家族とは良く出会うな……普通の場所で。
「これはどうも」
彼は特に敬礼をしないので私も敬礼はせず、普通の返事というか良く分からない挨拶の言葉になった。彼に何か突っ込まれたらどうしようかと思っていたが結局、彼はそれ以上は何も言わず軽く会釈をして通り過ぎた。
彼の隣の女性……奥さんだろうか? 彼女も同様だった。先方には子供たちも居るし。なるほどお互い軍人であり公共の場所ではサラリと交わす程度がマナーってところか。
私が会釈を返す姿を見てこちらの艦娘たちも順に会釈をして返している。まあ敬礼なんかしたら目立つからな。関係者だったら一発でバレるところだ。
こういったケースバイケース的な応対も外に出て体験してみないと分からない。青葉とか秘書艦あたりなら知っているだろうけど、こういう機会に他の艦娘たちも覚えて損はないだろう。特に駆逐艦娘たちは世間ズレしていそうだからな。
彼らから離れてから秋雲が言う。
「ねえねえ、あの人たちに私たちってどう見えたかな? やっぱり家族かな?」
嬉しそうに言う秋雲。
「いや……艦娘って分かっているハズ」
寛代がボソッと話の腰を折る。
「そうかなあ?」
秋雲はなおも食い下がる。
「でも……あの方は軍人さんですしブルネイのニュースで司令のお顔はご存知かと」
電チャンの言葉にやっと納得したような秋雲。
「あ、そっか」
その一連の会話で私もなるほどと思わされた。
「あっ」
その電チャンが素っとん狂な声を出す。私たちが振り返ると小さな女の子が二人、電ちゃんを後ろから呼んだらしい……さっきの将校の家族だ。その手にはやはり色紙か。私は電チャンに言った。
「直ぐ書けるかな?」
「はい! なのです」
彼女は笑顔で応えると、すぐに色紙とペンを取ってたどたどしく文字を書き始めている。その後は寛代も書き秋雲が仕上げて……さっきの蕎麦屋のこともあるし何をすべきかは全員分かっていた。あの陸軍も体面があるだろう。観光地であっても誰が見ているか分からないからな。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも整備したいけど~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ8ん」とは
「美保鎮守府:第八部」の略称です。