「艦娘グラフティ4」(第8部)「執務室の午後」 作:しろっこ
「テ・イ・ト・ク……私何も悪いコトしてないし苦しいヨ」
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「艦娘グラフティ4」「執務室の午後」(みほ8ん)
:第3話<テイトクと金剛>
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<<提督執務室:異様な光景>>
「テ・イ・ト・ク……私何も悪いコトしてないし苦しいヨ」
「……」
私はちょっとだけ”力”を緩めた。向こうにいる比叡はさっきからずっと硬直したままだ。あれ?ヤバイ……立ったまま白目剥いてないか?
そのとき私の腕の中で金剛がモゴモゴと呟くように言った。(英語)
『提督は知ってるよネ?私って強い子だと思われているけどサ全然そんなことないんだよ。ソーリー……みんなの前だとつい強がってしまうんだヨ』
『……』
私は、ただうなづいた。なぜか英語だと意外にきっちりした単語を使うんだよな、この子は。
その時ノックの音と「失礼します」という声がした。直ぐに執務室のドアがゆっくりと開いた。ハッとして私と金剛はドアを振り向く……と、そこには電ちゃんがいた。「まずい!」と思ったが後の祭り。彼女は驚いて目を見開いたまま硬直している。
「え~っと」
……とは言うものの私も金剛も蛇に睨まれたカエルのように固まって一歩も動けない。白目を剥いた比叡は相変わらずフリーズ中。
執務室で抱きあう男女と、白目の艦娘……妙で不気味で異様な構図だな。私が頭の中で冷静にそう考えていると電チャンはお化けでも見たような目をしている。その気持ちは分かるぞ。
「すすす……すみませんなのれした!」
電ちゃんは何とか言葉を発しているが舌が回らない。変な汗をかきながら徐々に後ずさりをする。やがて彼女は廊下の窓に達すると、初めてハッと我に返ったようになった。そのまま右向け右をしてドタバタと逃げるように廊下を立ち去った。
「あ……」
私もようやく声が出た。何か……とってもまずい予感がするな。ひと騒動起きるぞ!開け放したドアを見ながらそう思った。
まぁ当然か。私たちの格好は真っ昼間から駆逐艦には刺激的過ぎる光景だ。
やがて比叡が震え声で言った。
「おお、お姉さま……」
その声に反応するようにして私たちはようやく”分離”した。お互い気恥ずかしくて金剛はわざと反対を向いて窓の外を見ている。私はオホンと咳払いをしながらデスクに戻ったが……比叡はまだボーっとして動きが鈍い。
「えっと……比叡?」
私が改めて声をかけると彼女はピクっとしてようやく正気に戻ったようだ。
すぐに金剛が彼女に近寄って背中から包み込むように抱きしめた。
「ゴメンネ!比叡にはチョッと刺激が強すぎたネ」
「ええ……ああ……でも、でもお姉さま良いんです!大丈夫ですから……」
比叡はそう言って一旦、金剛の両手を振り解(ほど)いた。そして引きつった笑顔を見せた……が振り返って金剛の笑顔を正面から見た途端、彼女は崩れるように泣き出した。そんな彼女を金剛は正面からソッと抱きしめる。
「ソーリー、ごめんね比叡」
そういって背中を軽くなでている金剛の姿は、姉というよりはまるで母親の如きだ。
その光景を見ながら私は思った。不思議な子だよな~金剛って。一人で相対すると時に激しく我がままを主張するんだけど。かと思えば時には比叡でも受け止められるくらいの大きな包容力を見せる。……確か金剛って駆逐艦たちにも受けが良い。落ち着いているときは、けっこう面倒見も良いし。
戦艦クラスの艦娘は戦闘能力だけでなくその心情の幅も大きいのだろう。逆に言うと意外性が大きくて大胆なのか?せめてバイタリティが豊富というべきか。私はフッと、あの武蔵様を連想するのだった。
<<提督執務室:金剛と提督>>
「テイトク~」
「はい!」
ソファに比叡と一緒に腰掛けて窓の外を眺めていた金剛が急に話し掛けてきた。
「テイトクはいつも何がストレスね?」
私はちょっと考えて答えた。
「そうだな~、数字かな」
「数字?」
「うん。戦果とか、あるいは資材や食料、それに予算とか……指揮官になると敵と戦うだけじゃなく、管理もしなきゃいけない。お前たち一人ひとりの錬度もあるね」
「ふーん、難しいネ」
「そうだぞ、難しいんだ」
金剛はちょっと黙って再び窓の外を見る。気が付くと比叡は金剛に抱かれたまま寝入ってしまった。ここからも、そのあどけなさが残る寝顔が見える。比叡は純朴で一途だよな~そこが良いんだけどね。
「ねえ、テイトク」
こちらを見詰めた金剛。何だよ?……そんなに見詰めるとドキドキするぞ。
「私ネ……テイトクが私たちに関心を持ってくれるだけで嬉しいヨ」
言うが早いか金剛は自分で言って自分で真っ赤になった。それを見て半分呆れていた私も……いや、意外に顔が火照って来た。
金剛と二人で赤くなる午後だった。
ところがそこで終わらなかった。
「パンツァー……ナゼにタンクですか?テイトク」
うわ!金剛の超低音でドスの効いた声に驚いた。
「そういえば思い出したデス。最近のテイトクはガールズ&パンツァーとかにハマッているとか?」
寝続ける比叡を抱っこしたまま恨めしそうにこちらを見上げる金剛。
「あああ、悪い、ごめん、その……ガールズ&パンツァーは息抜きで」
いやその……無言で睨んで来る金剛も怖い。
『提督はいつから海軍を辞めて陸軍になったのですか!』
またイングリッシュかい?
「だから英語は止めてくれ金剛~」
私は日本語で懇願した。
だが彼女は怯まなかった。
『私の質問に答えなさい提督。あなたは海軍の司令官ではないのですか?』
『いや私は海軍の司令官です』
まるで教科書の応酬話法かい?これは。
そんな私には構わず彼女はグイグイ突っ込んでくる。
『ならばなぜ?ガルパンなどと』
あれ……と思った。
『お前はガルパンって……知っているのか?』
<<提督執務室:怯む金剛>>
『……』
あ、目を逸らしやがった。しめた!これはひょっとして……
『金剛さん、私も質問して良いかな……私はガールズ&パンツァーとは言ったけど”ガルパン”ってひとことも言ってないよね』
私はわざとらしく丁寧な口調でネチネチと質問する。私が身を乗り出して金剛の顔を覗き込もうとすると彼女はなぜかまた目を逸らす。こいつめ実はガルパンすでに見ていやがるな?
『コ・ン・ゴ・ウさん!ナゼ私から逃げるのですか?』
いくら艦娘でも360度首を回すことは出来ない。私は席を立って金剛に迫る。彼女は苦しそうに首を捻っていたがついにギブアップか……プルプルと震えたかと思ったら、いきなり顔を元に戻してこちらを向き直る。かなり至近距離まで迫っていた私は逆に驚いた。
彼女はそれには構わずに言い放った。
「見ました!見たわヨ~っ……だから余計にテイトクが戦車なんて許せまセン!」
「何だよ?お前は見てもよくて私はダメかよ!」
言い返す私……だがお互いに顔面は至近距離のままである。そのとき初めてお互いにハッとして金剛はまた顔を逸らし、私もあわてて身を引く。
だがなぜか可笑しくなって吹き出してしまった。それは彼女も同じだったが……金剛はまた真っ赤になっていた。やれやれ……怒ったり笑ったり忙しい艦娘だな。
お互い笑った後、金剛は言った。
「別にテイトクがアニメ見るくらいは良いんだけど……ソーリー。ちょっと悔しいって言うかジェラシーかもネ」
そう応えた彼女は恥ずかしそうに下を向いた。でもこいつはホントにストレートなやつだよな。それがまた良いところなんだ。
私は言った。
「良いよ金剛。そういう正直な感想をストレートにぶつけてくれるのは、この鎮守府ではお前と……」
そこで私は言葉を濁した。本当は秘書艦というつもりだったが、目の前の相手は金剛だからな。下手なことを言うのは止めておこう。
「……私と、誰?」
やばい、しっかり引っかかっているか。
「えっと~……青葉」
ちょっと苦しいかな?でもあいつもストレートには違いない。
私の答えに金剛は意外にもこう言うのだった。
「ああ……青葉なら分かるね~」
そういう彼女の横顔を見て私はちょっとホッとするのだった。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも整備したいけど~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ8ん」とは
「美保鎮守府:第八部」の略称です。