「艦娘グラフティ4」(第8部)「執務室の午後」 作:しろっこ
「や、山の訓練もキツイなぁ」
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「艦娘グラフティ4」「執務室の午後」(みほ8ん)
:第32話<艦娘の心>
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森の中の小路を歩きながら秋雲が言った。
「潮の香りも良いけど、森の香りも好きだなあ」
お前はつくづく詩人だな。
ただ私たち人間には当たり前で気付かないことでも艦娘たちにとっては珍しいことや気付くことが多いのだろう。細かい感情の動きと、そこから啓発される何か……それを同じように感じて受け止めてやるのも司令、いや人間全体の役割じゃないかな?
ひょっとしたら、そんな感情の動きが艦娘の心を形作っていくのだろうか?
艦娘とのケッコンも結局、人と彼女らの関係の里程標としての、象徴的なものなのだろうか?
そう思えば人間の都合を押し付けるブラック鎮守府と言うのは艦娘をただこき使うだけじゃない。それ以上に彼女たちの感情を無視して平面的に或いは機械的な扱いをすること。つまり彼女らの人格を否定して押し潰すようなことが問題ではないか? ふと、そう考えた。
やがて道は急に上り坂になる。しかも長くて曲がりくねってきた。
「ひゃあ、山らしくなってきたぁ」
「こ、これはキツイ坂なのです」
「……」
その感想からして、三者三様だな……と思うまもなく、確かにきつい坂だ。
あれぇ? こんなに急だったかなあ?
「司令、どこまで上がるのですか?」
電チャンがハァハァ言いながら聞いてくる。
「そりゃ……てっぺんまで」
私が答えると秋雲が反応する。
「ええ?」
いや驚かれても山っていうのは、そういうモノだろう?
まあ、艦娘たちもブツブツ言いながら、とりあえず前進している。
でも、もし彼女たちが普通の機械とか兵器に過ぎないのであれば、そもそも文句なんか言わないよな。それが重巡とか戦艦といったクラスが上がるほど態度がでかくなるってのは何だろう? いや、駆逐艦でも難しいやつは数名居るか。要するに艦娘は難しいんだ。
私たちがヒイヒイ言いながら上っているうちに坂は次第になだらかになってきた。駐車場の後ろの崖を遠回りに登っているわけだからな。きつくて当然か。
「や、山の訓練もキツイなぁ」
秋雲がバテ気味に言う。
「海は風が吹くけど……山は……」
電チャンは途中までしか息が続かなかった。でも言わんとすること分かる。
艦娘は普段から訓練もしているから基礎体力はあるだろうけど、汗をボタボタ流しながらゼイゼイ言っている姿を見ると、コレも一種のシゴキだなと思う。
そういえば、訓練とかで艦娘がシゴかれている所は鎮守府内とか埠頭でしか見たことがない。確かに彼女たちは海に出てしまえば水気はあるし風も吹くだろうけど。山っていうのは艦娘たちにとっても、まったく別の次元の世界だ。
そうこうしているうちに道は、ようやく水平になってきた。
「やったあ、頂上だ」
秋雲違う! 気が早すぎる。
「はぁ……ちょっと一休みしたいのです」
電チャンもバテている。
「……」
寛代も同様だ。とりあえずジュースと紙コップの袋も、持って来ていたので良かった。
「どうする? ちょっと歩けばベンチもあるぞ」
確かこの先の夏山登山道まで行けば、そういう場所があったハズだ。
「……」
一瞬、躊躇する艦娘たち。あ、そうか! 私は勝手に悟った。彼女たちは兵士だからな。イイ方法がある。
「前言撤回、この先1キロ以内にベンチがある。そこまで行軍した後に休息とする。全体、巡航速度より若干、減速気味で前進せよ!」
ハッとしてスイッチが入ったようになる艦娘たち。間髪をおかず全員が弾かれたように敬礼する。
「了解!」
私も敬礼を返す。そして秋雲を先頭に再び歩き始める艦娘たち。
……ごめんよ、みんな。からかうわけじゃないんだが、まぁコレが軍隊のイイところだ。一糸乱れぬ統率、これは絶対だから全体を考えての命令だ。
やれやれ、まさか山に来てまで指揮権発動とはな……思わず苦笑した。
でもこういうことを通して、お互いの心の幅も広がることだろう。取るに足らない命令であっても、その積み重ねがやがては彼女たちの成長につながることを祈念するばかりだった。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも整備したいけど~(^_^;)
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PS:「みほ8ん」とは
「美保鎮守府:第八部」の略称です。