「艦娘グラフティ4」(第8部)「執務室の午後」 作:しろっこ
「しょせん艦娘だから、自由は無い」
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「艦娘グラフティ4」「執務室の午後」(みほ8ん)
:第35話<艦娘の自由は無い>
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大山の登山道の周りには、ずっと森が広がっていて、風が吹くとザワザワという音を立てる。木立のお陰で、そこそこ強い風が吹いているようだが、私たちが座っている場所は、そよ風程度にしか風が吹いて来ない。
それが適当な風量となって私たちに触れるので、ちょっと汗をかいた身体には心地良い。艦娘たちも、それぞれがジュースの紙コップを持ったまま景色を見たり周りを見たりジュースの水面を見詰めていたり……それぞれだ。
さっきから秋雲はボーっと景色を眺めている。その長い髪が時おり風になびいている。あれ? 疲れたのかな?
「やっぱり美保は良いよね」
ボソッと呟く秋雲。
「……なのです」
同じく同意する電チャン。
「……」
寛代はノーコメント。まあ心中は同じかもしれない。
皆、しみじみしているな。これは、もう帰ろうという雰囲気かな?
私は勝手に帰宅ムードが盛り上がっていることを期待していた。
「ねえ、司令……」
「なんだ?」
木立の中、やや傾いた光の中で秋雲は独特の色彩の中に居た。
「秋雲さん、ずっとここに居たいな」
大山にか? ……って、突っ込もうとしたけど、それは野暮なのでやめた。彼女は意外に真剣だった。だがお前たちがそれを願っても兵隊は軍部の命令には絶対に従わないといけない。転属命令が出れば……
そこまで思っていたら彼女は口を開いた。
「分かっているよ。しょせん艦娘だから自由は無いことくらい」
真剣な話だな。
「もし……艦娘を辞めたいって言ったら? どうなるの秋……いや、私たち」
想像したことが無かった。だがその問い掛けは秋雲らしいな。私が返事を考える間もなく彼女は言った。
「もしさ、秋雲さんが司令の養子とかって……無理かな?」
「ゴホッ!」
私はジュースを詰まらせた。
どこからそんな発想が出てくるんだ? 変わった子だとは思っていたけど、そこまで思考がぶっ飛んでいるとは思わなかった。
「養子って、何ですか?」
ほらほら電チャンは知らないじゃないか?
私が困っていると、秋雲は笑った。
「ふふ、電チャンは知らなくても良いよ。これは秋雲さんの夢さ……」
そう言いながらも彼女は悲しそうな表情をしていた。だめだ、お前の心は深すぎる。駆逐艦って、もっとシンプルな子ばっかりかと思っていたのに何だよ? このドラマみたいなシチュエーションは……。
「司令、ごめん……今の、忘れて」
秋雲は引きつった笑顔で言う。おいおい、そう来るか?
絶対お前のは冗談とかじゃないだろう?
不思議そうな顔の電ちゃんと、それでも変わらず無表情な寛代。そして妙に大人びた表情の秋雲……やれやれ、こんな状況じゃこのまま大人しく下山できるわけ無いじゃないか。こっちの心まで混沌とさせられる。
そんな私の混乱をよそに、あっけらかんとして秋雲は言った。
「あれ? どしたの? そんな怖い顔して」
どこまでも爆弾のような心情を抱えた秋雲だった。脱走する原因は、そういうお前の心の構造だな。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも整備したいけど~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ8ん」とは
「美保鎮守府:第八部」の略称です。