「艦娘グラフティ4」(第8部)「執務室の午後」 作:しろっこ
「いま何て言った?」
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「艦娘グラフティ4」「執務室の午後」
(みほ8ん):第38話<援軍空輸>
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かなり暗くなった6合目で、あきつ丸はいう。
「では皆様、特にお怪我が無いようでしたら、しばし休息の後、早速下山を開始しましょう。援軍とも途中で合流できるでしょうし」
彼女がそこまで提案したとき秋雲が言った。
「えぇ?司令……もう降りるんですかぁ?」
「なんだ秋雲『もう』って不満か?」
「いやぁ、そのぉ」
すると今度は電チャンが言う。
「今、私たちで話していたのですが、せっかく大山の6合目まで来たのですから一気に頂上までアタックしませんか? ……ということなのです」
へっ? 呆気に取られる私。今何時だと思っているんだよ。夜戦と勘違いして無いか? やっぱり一筋縄ではいかない駆逐艦娘。
こらっ、偉そうに腕を組んでうなづくな寛代! 焚き付けたのはひょっとしてお前じゃないだろうな? 私に睨まれて必死に首を左右に振っている寛代。バカめ。
すると、あきつ丸が首をかしげながら言う。
「自分は遭難と伺っておりましたが……違っておりましたか?」
「いや……その」
『遭難』とまでは言っていないが、どこかで尾ひれが付いたのだろう。ただ、このまま降りると陸軍には後から『海軍が山で遭難した』と笑われてしまいそうだ。それも困るよな。ちょっと考えていると突然「あのぉ」と、あきつ丸が言った。私は返す。
「何か?」
「ハッ」
彼女は、こちらを向いて報告をする。
「早合点していたら申し訳ないので念のために報告します。実は美保鎮守府より救助のための艦娘を2名お連れする予定になっておりました」
「は?」
それも聞いていない。
「皆様が自力で下山できるようでしたら、あえて増援部隊を待つまでも無く、このまま下山致します。さすれば途中で合流出来ると考えておりました」
すると寛代もまた思い出したように私の袖を引っ張る。
「何だよ?」
私は報告が無いことに若干、不機嫌気味に振り返る。寛代がボソボソと報告をする。
「増援……不知火と時雨」
何だ、寛代が受けていたじゃないか……いや待て待て!ちょっと待て。
「おい寛代……いま何て言った?」
寛代はレコーダーのように淡々と繰り返す。
「……不知火と時雨の二人来る。美保から」
私は冷や汗が出た。秋雲と電チャンも顔を見合わせている。
「おいまさかその二人って」
『札付き』というと失礼だけど、この娘たちは行く先々でトラブルを起こす連中だ。
「何でこの二人?」
秘書艦からの当て付けか? という言葉が危うく口から出かけた。さすがにそれは失礼だし風紀を乱すので言わなかった。
ただ事実としてこの二人が参加する戦闘では僚艦がことごとく沈むことが多い。特に不知火は本人の性格も少々無愛想だから他の鎮守府からもずっと、たらいまわしにされたと聞いている。
時雨だって『幸運艦』とは言われるが、あくまでもそれは本人のみだ。やはり周りが相次いで沈むことが多い。縁起を担ぐ提督には彼女たちは敬遠される。中には艦隊はおろか鎮守府に所属することも嫌がる提督もいるというが。
陰では『疫病神』とも言われる。本人たちに落ち度があるわけではないんだけどね。
ただ私は秘書艦である祥高さんが私が着任する前、提督代理の頃に自ら声をかけて美保に呼んだという噂を聞いていた。それを思うと彼女なりの優しさも感じるんだよな。
そう思えば彼女がこのタイミングで二人まとめて大山に送るのも意味があるのかもしれない。困惑する私に、あきつ丸は続ける。
「自分が聞いた情報では美保鎮守府より遭難救助の補助要員として2名を送りたいが車両が無いとの相談を受けました。このため急きょ陸軍より輸送機を出して美保鎮守府から大山に直接お連れしたとのことでした」
あれ? 私は腕を組んで聞いた。
「確認だけど、今『輸送機』って言ったかな?」
「はい、申し上げました」
「ひょっとしてそれって……航空機?」
「はっ、まだ試験中ですが最近、米軍より提供されたヘリコプターなる輸送機です」
「えっ!」
ここで驚いたのは私だけ。
『?』
他の艦娘たちには、そもそも何のことか分かっていないだろう。噂に聞いた米軍の新兵器ヘリコプターだ。そういえばブルネイの帰路、フィリピン軍も沿岸部の戦いでは一部ヘリ部隊を投入しているのを見た。
あのヘリは少しの空き地があれば離着陸が出来る優れものだ。だからまだ滑走路が確保できない最前線にも投入されることが多い。
ただ運用自体が不安定で機体もよく落ちるらしい。それがなぜ米子の陸軍駐屯地に在るんだ? いや詳細は後回しだ。私は改めてあきつ丸に聞いた。
「美保から大山って……どこまで来てるんだ?」
「自分は本日ちょうど大山で演習中だったので直ぐにこちらへ急行できました。しかし美保のお二人は緊急でしたのでヘリでそのまま直接、美保鎮守府から大山の博労座まで直行し、そこから登山道を上がったようです」
そこまで聞くと私は夕方聞こえた『バタバタ』という音を思い出した。あれはヘリだったのか。なるほど。あきつ丸はさらに続ける。
「陸軍の兵士も1名同行して、お二人をサポートしておりますが登山口からここまでは早くて90分かかります」
「しかしわざわざ艦娘の援軍を出さなくても」
私が呟くとあきつ丸は言った。
「いえ、美保鎮守府より万が一艦娘が怪我をしていたら普通の人では運び難いからとの申し出があったので、司令の判断で急きょヘリ空輸を実施したそうです」
「はぁ、なるほどね」
うちの秘書艦も強引だが陸軍の司令も大胆だな。私は腕を組んで考えた。
しかしさっきの音がした時間を考えると、そろそろ到着する時間じゃないか?
すると登山道の下のほうから人の気配がしてきた。なるほどまさに今、上がって来たか。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも整備したいけど~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ8ん」とは
「美保鎮守府:第八部」の略称です。