「艦娘グラフティ4」(第8部)「執務室の午後」   作:しろっこ

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陸軍に先導されて不知火たちも上がって来た。提督は今後どうするのか決断を迫られる。


第39話<作戦変更>

「海軍の名誉のために」

 

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「艦娘グラフティ4」「執務室の午後」

(みほ8ん):第39話<作戦変更>

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 大山の6合目は既にかなり暗くなっている。ただ20時を回ってもホンノリ辺りが明るいのは夏の高い山ならではである。登山道から上がってきたのは陸軍の兵士に先導された美保の艦娘『不知火』と『時雨』だ。

 

 実は彼女たち駆逐艦娘は私が着任した当初から居たようだがあまり目立たなかった。本人たちも派手に動くタイプではない。二人はかなり息が切れていたが6合目の広場に到着すると軽く装備を解いてから敬礼をした。

 

「駆逐艦不知火、ただいま到着いたしました」

「同じく時雨、到着」

 

私も敬礼を返した。

 

「ご苦労」

 

ボンヤリ暗い中で彼女たちの眼光だけが妙に目立つな。先導していた陸軍兵士は小さなランプを点けてから敬礼をする。

 

「陸軍米子駐屯地より美保鎮守府登山隊の救援および増援部隊の先導任務を完了いたしました」

 

そこまで言って彼はあきつ丸を見る。彼女はそれを受けて答える。

 

「現状、美保鎮守府部隊には負傷者は居らず遭難もしていません。なお美保の部隊はこれからさらに大山頂上へのアタックを敢行する模様であります」

 

うわ、その言い方はちょっと……ていうかおい、まだ決定事項じゃないんだけど……陸軍とはいえ艦娘だから、同調してしまうのか?

 

後からきた陸軍兵士も呆れるかな? 私は心配になったが彼は意外にも軽くうなづいた。

 

「承知致しました。駐屯地司令よりこの作戦においては美保の司令の指揮下に入るように指示を受けております。何なりとご命令を」

 

え? そう来るのか。米子の陸軍司令は寛大だな……いやまて逆に困る。ますます引っ込みがつかなくなった。思わず私は振り返った。

 

「寛代! 無線だ」

 

 私は鎮守府に連絡をとることにした。無言でヘッドセットを取り出す寛代。私は直ぐに祥高さんに連絡を取る。しばらくコール音がした後で繋がった。

 

≪はい、祥高です≫

 

お、無線の前に居たな、ラッキーだ。

 

「祥高さん、緊急山岳訓練ということで、これから艦娘たちと大山頂上へアタックしても良いかな?」

 

当然、絶句している祥高さん。私は陸軍に聞こえないように反対を向いてから小声で話す。

 

「いや、どうも私たちが『遭難』したと誤解している人も居るようでね」

 

私が言うと祥高さんは切り返してくる。

 

≪当然でしょう≫

 

無線の向こうは、ややお怒りか。

 

「私が至らなかったとはいえ美保鎮守府として、このままでは陸軍に笑われてしまうぐらい恥ずかしい事態だ。そんな結果で終わることは避けたいんだ。海軍の名誉のために」

 

とにかく理由は何でもいい、情熱だ、熱意だ!

 

≪……≫

 

お、ちょっと脈ありな反応かな? 私は構わずまくし立てる。

 

「だから訓練ということで陸軍の協力を得たという形にすれば、お互いの顔も潰れないし、この子達も登山という貴重な体験が出来たということで丸く収まる」

 

しばらく考えていた祥高さんだったが、ため息混じりに、ゆっくりと答えた。

 

≪分かりました。陸軍には私からも上手く言っておきますから≫

 

それを聞いてホッとした。私は加える。

 

「こちらの陸軍兵士は私の指揮下に入るそうだ。それに……」

 

私は再び小声になる。

 

「君だって不知火と時雨は何か意図して送り込んだんだろう?」

 

彼女はちょっと黙っていたがやはり小声で答える。

 

「はい。その子たちは誤解され続けて寂しい子達です。本来は救助のサポートをさせて達成感を味あわせるつもりでしたから今回皆で一緒に大山に登れば、それはまた別の意味で達成感や一体感を味わうことが出来ますよね」

 

それを聞いて私も納得がいった。

 

「ああ……そうだな。それが良いだろう」

 

私の言葉を受けて祥高さんが応える。

 

≪その陸軍の救援部隊は登山する資材などはお持ちなのですね?≫

 

私は即答する。

 

「ああ、問題ない」

 

……と言いながら実は当てずっぽうである。もっとも、あきつ丸の装備の量を見れば完全フル装備の登山準備はしているだろうと踏んだのだ。後から来た兵士や不知火たちも救助用で多少は背負っているし。

 

≪では登山の件は承知しました。可能でしたら明日の早朝にでも当直の大淀さんに下山予定時刻を連絡してください≫

 

私は艦娘たちにブイサインを出す。秋雲を始め全員が小さく手を叩く。

 

「了解だ」

 

無線が終わった。あれ? あきつ丸まで笑っているのか?

 

「それは実に良いアイデアです」

 

いや、君も焚き付けたんだけどね……あきつ丸。

 

ライトの明かりの中で一番キツネにつままれているような顔をしているのが不知火と時雨だ。それでも不満そうではないのが幸いだ。

 

「皆、楽な姿勢で聞いてくれ」

 

私は声をかけた。空には月が出ていた。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも整備したいけど~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ8ん」とは
「美保鎮守府:第八部」の略称です。
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