「艦娘グラフティ4」(第8部)「執務室の午後」 作:しろっこ
『なぜ今戦車デスか』
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「艦娘グラフティ4」「執務室の午後」(みほ8ん)
:第4話<戦艦、重巡、駆逐艦>
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<<提督執務室:まだ金剛>>
金剛が顔を上げて聞いてくる。
『なぜ今戦車デスか』
それには応えずに私は英語で聞いた。
『まだいたのか ?』
わざとらしくキツい言い方をした。だが今度の彼女はめげなかった。
『良いじゃない?この時間どこ行っても面白くないし』
『だからって、ここは良いのか?』
『ここの執務室は公共の場所だから』
むぐぐ、この言葉には何も返すことが出来ない。
『じゃあ私が出掛けようかな?』
『あああ~』
焦る金剛。比叡を抱っこしていたら動けまい。
私は慌てふためく彼女を見ながら言った。
『冗談だよ、冗談』
『提督のイジワル!』
金剛が唇を尖らせた。その雰囲気は比叡とそっくりだった。やっぱり姉妹だな。
『ごめん、ごめん』
私の謝罪の言葉で金剛もちょっと表情が穏やかになった。その微妙に緩んだ警戒心の無い表情はなんとも言えない魅力があるんだよな~。
『でも……』
金剛がまたこちらを見詰めている。
『提督がもっと勉強して立派な人になって、もっともっと私たちを引っ張り上げてくれるなら、私たちは我慢できると思う』
いきなり意外な真面目なことを……
しかも美保鎮守府の艦娘たちの想いを代弁したようなことを言うから逆に驚き、自分の浅はかさを反省した。いやマジで。
どうして艦娘たちって金剛みたいな娘でもたまにドキッとするようなことを言うんだろうな。
<<提督執務室:秘書艦登場>>
その時 ドアをノックする音がして誰かが入ってきた。
「失礼します」
入ってきたのは秘書艦だった。
「何かここで 大変なことが起こってるって大淀さんから聞いたんですけど……大淀さんも霞ちゃんから聞いて、霞ちゃんは電ちゃんから聞いて……伝言ゲームみたいですね」
ここでくすっと笑う祥高さん。ちょっと可愛いかも。
「たぶんかなり話が歪んでるな~とは思ったんですけど」
彼女はドアをゆっくり閉めながら部屋を見回して続ける。
「別に 何も起こってなさそうですね」
「ああ そうだね」
私は引きつりながら答えた。だがさすが敏感な秘書艦である。私の応対に何かを察知したのだろう。
今度は金剛の方を向いて言う。
「金剛さん、本当に何もなかったんですね」
「yes of course」
おい金剛~それはまずいよ、全部英語で言うと余計怪しいじゃないか?
その時ウ~ンと言って比叡をが目を覚ました。金剛がすかさず声をかける。
「oh 起きたね」
それを見た祥高さんは ちょっと 表情が緩んだ 。
「まあ何かあったら比叡さんは黙っていないでしょうから、とりあえず問題がないようでしたら私は失礼いたします」
私たちはほっとした。でも部屋を出がけに祥高さんは振り返った。
「金剛さん、いつまでも司令の邪魔したら駄目ですよ」
「yes !」
だから~英語やめろって。私、冷や汗。
祥高さんは「では失礼します」と言って部屋を出た。
<<提督執務室:秘書艦登場>>
その時私は気付いた。比叡が目覚めたとき、急に顔つきが変わっていたのだ。
「おい比叡?……顔……」
「ええ~?」
と言いながら、両手で頬を押さえる比叡。
「何か付いてます?」
金剛も驚いていた。だが直ぐに私たちは悟った。
「比叡……改2か?」
「Oh!」
呟く金剛。
比叡はまだ頬に手を当てている。
「え?……そんなに簡単になっちゃうものなんですか?」
その両手で顔をプレスして困ったような顔をする比叡がチョー可愛いんだけど……やっぱり顔つきが変わっている。ちょっとボーイッシュで何となくボクっ子の最上を連想させた。
私は思い出した。
「いや、正直私もよく分からないが……そういえば確か夕立もブルネイで気分が悪いとか言って寝て起きたら改になっていたな……」
「それはコングラッチュレーションなのデース!」
そう言って比叡に抱きつく金剛。
「は、はい。実感ないですけど、嬉しいです!」
当たり前だけど改2になっても比叡の話し方は全く変わらないんだな。
「じゃあそろそろ私たちも失礼しましょうかネ~」
「そうですね」
ようやく席を立った金剛姉妹だった。
『失礼します』
二人が揃って敬礼をして出ていったあと、私はやっとホッとした。
「やれやれ……」
<<提督執務室:新手(あらて)現る>>
ところがまた私の執務室のデスクの下からゴソゴソと音がする。まさかネズミか猫でも居るのか?私は野良でも猫は好きだぞ……って、そんなことを言っている場合ではない。
だが、机の下から現れたのは駆逐艦だった。
「寛代……か」
「……」
彼女は相変わらず硬い表情のまま黙ってうなづくだけだった。
「なんだ~、脅かすなよな」
私は相手が寛代だと知って安堵した。やれやれ、また金剛とか比叡とか、あるいはまさか榛名がいたらどうしようか?と思っていた。しかしこの机は一体なんだろうな?
でも待て待て……そもそもナゼ寛代が執務室に潜り込んでいるんだ?
そう思った次の瞬間、彼女はぶつぶつ言い始めた。私は彼女がモニタースピーカーを駆動させていることに気づいた。そしてその音声は……。
「アドミラル!」
「はい!」
『結局提督は私たちのことなんか轟沈しようが解体しようが屁とも思っていなんですね』
『いや、決してそんなことは無いぞ』
『いつもニコニコしてその裏では恐ろしいことを……あんな事やこんな事を考えているに違いないんだから!』
私は血の気がさーっと引いていく感覚を覚えた。思わず手を振った。
「や、やめろ寛代!もう良いから」
彼女はやや硬い表情で音声を止めた。恐らくこの先もずっと録音されていることだろう。私は頭をかきむしった……が、ふと気になったので聞いてみた。
「その音声は……無線か何かで同時に誰かに飛ばしたか?」
彼女は無表情で首を左右に振った。そして呟いた。
「た・ま・た・ま……」
この言い方はやめろ……寛代の場合はワザと言ったわけではないんだろうけど。その口調はまるで青葉や金剛が私を恫喝するときのような喋り方なんだよ~マジで脅されている気分になる。
……要するに金剛を”五月雨式”に宥(なだ)めた時の一部始終が音声とはいえ記録されていたわけだ。いや映像よりも音声だけのほうがむしろ生々しくて聴く人にあらぬ想像を掻き立てかねない。それが秘書艦であればなおさら恐ろしい結末を迎えそうな気がする。
「寛代、相談だ。その……」
彼女は大きな瞳でこちらを見上げる。この人の心を見透かすような澄んだ瞳に弱いよな。
「その音声を、私とお前以外の誰にも聞かせないと……約束してくれないか?」
寛代は黙って見上げている。分かっているのかな?私の言わんとする意味が……。
「う~んと」
私はなんと言うべきか悩み始めた。だが寛代は私の前に指を突き立てた。
「なに?どういう意味だ?」
まさか駆逐艦のくせに、口止め料か?
だが彼女は指先で顔を寄せろというジェスチャアをする。仕方が無いので私は彼女の顔に耳を近づけた。
「食事……一緒に……行く」
「あ、そうなの?」
彼女はうなづく。なるほど私と一緒に食事を食べに行けばチャラにしてくれるというわけか……。しかし寛代もたまたまとはいえ、策士になってきたのだろうか?
まあいい、そういう条件なら安いものだ。
「分かった、じゃあ今日の夕方は一緒に晩御飯を食べに行こうか」
私の言葉に寛代はとても眼をキラキラさせて嬉しそうな表情をした。ああ、そんなに嬉しいんだな。なぜか彼女の喜び方を見ていたら交換条件の結果とはいえ何かとてもホッとさせられる気分になった。
そうか……駆逐艦たちとも、もっときちんと交流しないとダメだよな。そう思った。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも整備したいけど~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ8ん」とは
「美保鎮守府:第八部」の略称です。