「艦娘グラフティ4」(第8部)「執務室の午後」 作:しろっこ
「司令も寝ますよね」
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「艦娘グラフティ4」「執務室の午後」
(みほ8ん):第48話<司令官と一緒だよ>
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桟橋のような登山道を5分くらい歩くと前方に月明かりに照らされた山小屋が青いシルエットを浮かび上がらせているのが見えた。
桟橋の登山道はその手前で左右に分かれる。私たちは左手の登山道からゴールである山頂へ向かうことにした。
遠くに見える山頂付近からは艦娘らしき人影が手を振っているのが見える。この距離なら分からないだろうが私たちは、二人で繋いでいた手を離した。
「提督、またね」
「ああ」
意外なことを言う時雨。何が『また』なのかよく分からないが。その時雨は小走りで不知火の方へと向かって行った。私が少し遅れて山頂に到着すると艦娘たちと陸軍が拍手をしてくれた。
大したことではないのだが、やはり山を制覇した達成感はあるな。私は取りあえず山頂の碑がある所まで行った。薄っすらとかいた汗が夜の風で乾いていくのが心地良かった。
「おっ疲れ様ぁ~」
相変わらずあっけらかんとしているのは秋雲だった。でもこういう性格の子がいるとホッとするな。参加者たちもみんな達成感に浸っているようだ。
時計を見ると時刻は深夜の零時半過ぎ。山頂には私たち以外にも数名の一般の登山者が居る。
しかし今日は思い付きとはいえ夜の登山で正解だった。昼間だとこの季節は暑いし、いきなり登るのは大変だったろう。
軍曹が近寄ってきて敬礼をする。
「報告します。今回の作戦参加8名、全員無事に登頂完了致しました!」
「ご苦労」
「今後はどう致しましょうか?」
「そうだな……」
私は少し考えて言った。
「この後、簡単に装備品のチェック、それからは明日の朝まで休息時間とする。明日の5:30に起床、点呼チェックの後、6:00から下山としよう。軍曹の意見は?」
私が問いかけると彼は言った。
「せっかくですからご来光を拝みませんか?」
「日の出は何時くらいだ?」
「4時半ごろです」
「そうだな……」
私は考えて再度全員に告げた。
「ご来光もあるが、やはり明日の起床、下山は予定通りとしよう。ご来光については任意参加とする」
私は改めて軍曹に確認する。
「軍曹、他には?」
「ございません。寝所については先ほど山頂退避小屋の管理人に話して、そこに見える小屋の中で寝ることが出来ます」
なるほど、あそこで眠れるのだな。
「分かった。皆も聞いたとおりだ。点検後は各自速やかに休むように。山の夜は冷えるから防寒対策はきっちりしておくこと。以上だ」
私が敬礼をすると全員が返した。そこでいったん解散となった。
艦娘たちは軍曹やあきつ丸の指導を受けながら装備品のチェックを行い、同時に寝る準備も開始する。寝袋や防寒着それに簡易食料や洗面用具だ。
「司令ぇ?」
秋雲が声をかけてきた。見ると寝袋と洗面用具を持っている。
「これが司令の分だよ。あと制服は下山まで秋雲さんが持っていれば良いよね?」
「そうだな。頼む」
「アイ!」
威勢よく敬礼をする秋雲。相変わらず調子の良い奴だ。だがこの性格は時雨や不知火とは違うよな。一番ふてぶてしいタイプはこういう奴かもな。
だが個人的には秋雲は信頼できる艦娘だと思える。恐らくこの子とは永い付き合いになることだろう。
寝る準備を不知火と並んで実施している時雨は表情が豊かになったようだ。
二人で時々会話をしているが不知火がこちらをチラ見するのがちょっと怖い……だが時雨が上手く取り成してくれたら後で不知火が私を呼び出すかも知れない。心しておこう。
だが物事は予定通りには行かないものだ。
「司令……あの……」
電チャンが来た。
「司令も寝ますよね」
「ああ、そのつもりだが」
「……」
何か言い難そうな電チャン。横から寛代が来て私の腕を引っ張る。
「何だ?」
「……」
彼女は山小屋を指差した。すると秋雲が来る。
「電チャンはさ、一人じゃ眠れないんだよね」
「そ……」
何かを言いかけて真っ赤になってしまった電チャン。
「ああ、そうか……仕方ないな。それじゃ一緒に行くか」
私は手ぶらだからな。直ぐに動ける。
私たちが小屋へ向かおうとすると既に準備を終えたらしい時雨と不知火が並んで立っているのが目に入った。時雨は私を見てほのかに微笑んでいるが不知火は無表情だ……やっぱり怖い。
大人びた艦娘二人をやり過ごして山小屋へと入る。その中は意外に広かった。他の登山者もいる。中で休む者、あえて外にテントを張る者、いろいろだ。
私たちが小屋の中で荷解きをしている間中、ベラベラ喋っている秋雲。
「陸軍さんの装備には簡易テントもあってね。秋雲さんとしては、そっちで寝たかったけどなあ……」
電チャンもそれを受けて微笑んで居る。私もお喋りを聞き流しながら寝る準備をしていると急に秋雲のお喋りが止まる。
最初は無視していたがふと気になって見上げると秋雲が一人で固まって勝手に赤くなっている。
「おい、どうした? 熱でもあるのか」
心配になって聞いてみると彼女はこっちを恥ずかしそうに見ながらコクリとうなづく。
「おい大丈夫か? 装備品に風邪薬とか入ってないかな?」
私が慌てて背負子を調べようとすると秋雲は首を振った。
「ちがう……」
すると私の隣にいた寛代が横から小突く。
「何だよ」
すると今度は反対側から電チャンが言う。
「秋雲さんもきっと『司令熱』なのです……ウフフ」
それを聞いた秋雲はもっと赤くなってしまった。何だ? 意外と可愛いところあるじゃないか。
「司令熱でも何でも良いよ。サッサと準備して寝てしまおう」
私は笑いながら言った。やがて時雨と不知火それに軍曹とあきつ丸も入ってきた。彼らも中で休むようだな。
しかし同じ駆逐艦でも片や小学生、もう一方は高校生かオトナだ。そのギャップには苦笑してしまう。
するとちょっと落ち着いた秋雲が小声で言う。
「司令ぇ……あのさぁ」
「なんだ?」
上目遣いに見上げる秋雲。何クネクネしているんだよ。
「あのぉ……ホラあそこで寝ない?」
「はぁ?」
秋雲が指差した方向を見ながら呆れたような声を出すと電チャンが加勢してくる。
「それは良いのです! 艦船の中みたいなのです」
「……」
「あ痛っ!」
チクショウ、寛代が後ろから小突く。
「分かったよ! 上だな?」
やれやれ……本当にこいつらは小学生だ。
ただ秋雲が妙に頬を赤らめて、それでも嬉しそうな顔をしているのが印象的だった。こいつも甘えたいんだな、きっと。
私は準備を終えると立ち上がった。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも整備したいけど~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ8ん」とは
「美保鎮守府:第八部」の略称です。