「艦娘グラフティ4」(第8部)「執務室の午後」   作:しろっこ

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夜中に目覚めた提督は小屋の外へ出て不知火と出会う。


第50話<夜の不知火>

「司令は私が怖いですか?」

 

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「艦娘グラフティ4」「執務室の午後」

(みほ8ん):第50話<夜の不知火>

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 重苦しくなってきた。思いっきり殴られた……いや、蹴られたのか?

 

ハッと気付くと目が覚めた。

 

 何だ……見ると寛代が私の上に圧(の)し掛かって寝ている。おまけに寝袋からはみ出して思いっきり私に蹴りを入れたようだ。

 

 彼女の下に、うずくまるようにして寝ている電チャンと、反対側には、やはり大の字になって寝袋から脱皮している秋雲がいた……やれやれ。

 

 私は艦娘たちを整理して、寝袋のファスナーを開いて彼女たちに掛け布団のように羽織らせた。

 

 しかし、さっき寛代に蹴られた後遺症かアタマがズキズキする。おまけに寛代は圧し掛かり電チャンも真横で密着し、秋雲も脱皮しながらも半身は私に密着していたから暑い。

 

 さっきの悪夢はこの影響か? とにかく暑苦しいので涼しくなりたい。そうだ、いったん外に出よう。時計を見ると3時過ぎか。私は梯子を降りて外へ出た。月はかなり傾いている。

 

「やれやれ……」

 

そう言いながら大きく背伸びをした。そのときふと人の気配を感じた。横を見ると不知火がいた。ビックリした。

 

「何だ……居たのか?」

「……はい」

 

夜の不知火か……これはまた鬼気迫るな。ただ直ぐに小屋に引き返すと不自然だ。だが黙っていると間が持たない。

 

 不知火が唐突に話しかけて来た。

 

「司令は私が怖いですか?」

 

うわビックリした!

 

「いや……その」

「正直に言って下さい」

 

淡々としているが、やはり威圧感があるよな、この子は。

 

「そうだな……少々」

 

すると彼女はフッと笑みを浮かべた。

 

「私も司令が怖いです。お互い様だということです」

 

え? ……そういうことなのか。

 

 ただ、この雰囲気……舞鶴の大井に似ているな。あの子も最初はこんな感じだった。

 

 それからしばらく、二人で会話することもなく黙って月を見ていた。

 

「時雨とは仲良くなったのですね」

 

ポツポツと話し始める不知火。

 

「ああ、何となくだけどな」

 

やや間があってから彼女は言った。

 

「あの子もいろいろあったみたいだけど」

 

彼女は何かを言いたそうだな。私は声をかけた。

 

「私でよければ、何でも聞くぞ」

 

別に私もカウンセラーでも何でもない、単なる鈍感な海軍司令ではあるが立場があるからな。立場か……これじゃまるで秋雲の台詞みたいだ。

 

 何となく躊躇していた不知火は、しばらくは葛藤していたようだ。それはそうだろう。今までずっと殻に閉じこもっていたからな。私も敢えて急かさなかった。

 

「不知火……いえ、私も時雨と同じく、あらぬ誤解や中傷を受け続けてきたわ。そうね……司令にも誤解されているわね」

 

きついな、その言い方。

 

「いえ、良いの。慣れているから」

 

そこでまた会話が止まる。やだな、このままこの調子で朝を迎えたら。

 

 だが、ふと不知火の顔を見て驚いた。彼女は泣いているのだ。なぜ? 私は何も言っていないぞ。静かに泣き続ける彼女。私は見守るだけ。あれか? 過去を思い出しているのだろうか?

 

不知火は呟く。

 

「どうして?」

「……?」

 

正面を見据えたまま、彼女は続ける。

 

「どうして貴方はそうなの?」

 

分からん。貴方って私のことか? それにしてもイマイチ焦点が見えない。

 

「軍隊なんて理不尽で、一方的で」

 

この言い方は何となく大井を思い出す。もうしばらく様子を見よう。

 

「私だって一生懸命やっているのに……直ぐに尋問、解任、謹慎」

 

 ははぁ、見えてきた。軍隊にわだかまりがあるようだな。だが済まない不知火、軍隊なんて理不尽なものだよ。ある程度は堪えて欲しいところだ。

 

「それは分かるわ」

 

いきなり反応があってビックリした。彼女はハンケチで涙を拭っている。私は応えた。

 

「そうだったのか?」

「……」

 

彼女は無言でうなづいた。ほんのチョッピリだけ彼女の心が開いたかな?

 

 ただこのタイプは大井や時雨とはまた、ひと味もふた味も違う新手だ。参ったな。五月雨みたいな素直な子だったら良いのに。

 

 私が内心、困惑していると彼女は急に穏やかな顔になった。

 

「良いの司令。自分の背負った名前も境遇だと思えば仕方ない。艦娘という立場からは逃げられない。仮に轟沈したとしても」

 

 最後の言葉の後の彼女の寂しそうな目が印象的だった。そうか、艦娘は宿命的なものを背負っているんだ。人間のように逃げられない定めだ。彼女なりに壁に立ち向かい、もがいて来たのだろう。そして幸か不幸か彼女は生き延びてしまった。それが幸せなのか、どうなのか?

 

「もし不知火が戦艦だったら……せめて重巡だったら、もっと違っていたかもしれない。不必要に戦歴など重ねるものではないわね」

 

 彼女はため息をついた。その言葉は重かった。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも整備したいけど~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ8ん」とは
「美保鎮守府:第八部」の略称です。
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