「艦娘グラフティ4」(第8部)「執務室の午後」 作:しろっこ
「降りるのがもったいないですね」
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「艦娘グラフティ4」「執務室の午後」
(みほ8ん):第53話<記念写真>
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実は私も高山の頂でご来光を拝むというのは初めての体験だった。まさかそれを艦娘たちを従えながら見るようになるとは思いもよらなかった。
ある意味、艦娘と出会うことで私の人生も大きく変化している。それは確実だ。あとはその出会いを良くするか悪くするのかは私次第だろう。そう思う。
日が登ると周囲の中国山地の山々が黄金色に染まり始める。その神々しさは言葉では表現しづらい。そしてこの場にいる誰もが言葉を失っている。
興味深いと思うのは艦娘たちが私と同じようにこの風景に感動していることだった。つまり彼女たちの感性は我々人間と変わらない。むしろ時雨や不知火を見ていると並みの人間以上の心情の世界を持って居るのだろうと思わざるを得ない。
深い。
だが足が痺れてきた。
「おい寛代、そろそろ良いだろう?」
「……」
さすがの寛代も、ようやく私の膝から降りた。それと同時に左右の二人も私から手を離して立ち上がると旭日に染まる山並みを立ち上がって眺め始める。
「司令殿」
軍曹が声をかけてきた。
「もし差しさわりがなければで結構ですが全員で記念写真を撮りませんか?」
「ほう」
軍人にしては珍しいな。彼は高級そうなコンパクトカメラを手にしていた。明らかに軍用ではないな……。
私の思いを察したのか彼は恥しそうな顔をしている。
「これは全く個人の趣味でして……もちろん艦娘は機密事項ですから無理にとは言いませんが」
私は応えた。
「構わないよ。君もネガの管理さえしっかりしてもらえば……あとは艦娘たち自身がどう思うかだけど」
彼は周りを見て微笑んだ。
「でも……彼女たちも大丈夫そうですね」
見ると軍曹のカメラを見て、これから何をしようとしているのかは誰もが悟ったらしい。どこで撮ろうかと秋雲や電チャンが場所を探している。面白いのは時雨や不知火までソワソワしていることだ。
「ああいう姿を見ると艦娘っていうのは普通の少女と変わりないなってそう思いますよ」
「ああ、そうだな」
応えながらこの軍曹、艦娘たちをよく見ているなと感心した。まあ部隊を司る指揮官ともなれば人を見る目くらいはあるのだろう。
それから大山山頂で数枚、記念写真を撮った。何枚か撮っていると他の登山者も交じったりして、ほのぼのした雰囲気になった。
軍人と民間人の自然な交流か……山陰という土地柄だろうか? 憲兵も親切だし陸軍も海軍と自然に交流できる。私はとても良い土地の鎮守府に着任したのかもしれない。
「降りるのがもったいないですね」
風になびく髪の毛を押さえながら、いきなり意外なことを言う不知火。その表情は上がる前と今ではまさに『雲泥』の違いがある。とても豊かな表情になった。
私は応えた。
「そうだな。だが一度、高いところへ登った人間は、降りてもその志は失わないものだよ」
あれ? 私は自分で言いながら何を偉そうなことを勝手に喋っているのだろうかと不思議な気持ちになった。だが不知火はきちんと受け止めてくれたようだ。
「はい……私も今回の新しい自分を見失わないようにします」
彼女はそう言って微笑んだ。
本当にこの子も、ひと皮剥けたな。今回の写真はいろんな意味で節目の記念となるだろう。
私は振り返った。
「寛代」
「……」
「当直の大淀さんに、もう少ししたら山から降りると伝えてくれ。降り始めてからだいたい2時間ちょっとくらいで博労座へ到着予定だということも併せて連絡だ」
寛代は無言で敬礼するとブツブツ呟き始める。やがて私が軍曹と軽く打ち合わせをしていると彼女が私のズボンを引っ張って言った。
「大淀2号が軍用トラックを向かわせます……だって」
意外にハッキリした声で報告する彼女に私は驚いた。いや、電チャンや秋雲も目を丸くしている。へえ、寛代も大井みたいに、芯のある声の質なんだな……何だかいろいろ変化する登山だ。
(あれ?まだ続くのか?)
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも整備したいけど~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ8ん」とは
「美保鎮守府:第八部」の略称です。