「艦娘グラフティ4」(第8部)「執務室の午後」 作:しろっこ
「わぁ~大山だ」
-----------------------------------------------
「艦娘グラフティ4」「執務室の午後」(みほ8ん)
:第8話<雄大な大山>(改)
-----------------------------------------------
<<移動:昼は蕎麦屋>>
ホームセンターでレジを済ませた。念のために領収書も貰ったが、スケッチブックって……会計監査で突っ込まれるかな?
でも敵艦視認の訓練のためとか言えば良いだろうし。だいたい数百円程度で会計だってガタガタ言わないだろう。むしろジュース類のほうが何か言われそうだけど、こっちだって親睦のためとか適当に言えば良いかな。
そんなことを思いながら駆逐艦たちと外へ出る。あれ?
入るときは気が付かなかったけど、通りの向こうに蕎麦屋が見える。営業もしているはずなのに駐車場はガラガラだ。本当はレストランが良かったけど、このさい面倒だ。
私は車の前で全員に言った。
「なあ皆……お昼は蕎麦屋でも良いかな?」
「はい、全然大丈夫なのです!」
「秋雲さんは何でもオッケーです」
「……」
寛代もコクリとうなづいて居る。
「じゃあ電チャン、通りの向こうの蕎麦屋に入ってくれ」
「了解なのです」
私たちは車に乗り込んで、ホームセンターの向かい側にある蕎麦屋へ向かう。
しかし何でこんなにガラガラなのかな。やっぱり不味い店なのか?でも仕方が無い。
私たちは蕎麦屋の駐車場で車を降りると入口の暖簾をくぐる。
「ラッシャーイ」
明るい店員の声が響く。
「何名様ですかぁ~」
「えっと~4名」
「4名様、ご案内」
「らっしゃ~い」
味はともかく、雰囲気は悪くない。
「お座敷へどうぞ~」
私たちは奥の座敷席に案内された。
「わぁ~畳なのです、なのです!」
喜ぶ電チャン。
「へえ~和風だね~」
これは秋雲。
「……うん」
これは寛代……何が”うん”なのか謎の反応だが。
座敷か……思わずブルネイのゲストルームを思い出すな。その脇から金剛か誰かが、ひょいと出てきそうで思わず構えてしまう。
<<蕎麦屋:雄大な大山>>
私たちは案内された座敷席へ靴を脱いで上がる。
「スゴイですね~普通のおうちみたい」
普通のおうち?……あ、そうか。電チャンもウチの実家へ来たんだっけ。私は通路側の席に座り、帽子を取ると胡坐をかいた。はあ~何だか落ち着くな。
「ご注文がお決まりでしたらお呼びください」
店員はお水を置くと立ち去った。
秋雲は通路側に座り買い物袋から早速スケッチブックを取り出して確認している。
電チャンと寛代は共に窓際の席に座り、窓枠からの雄大な大山を見ている。
「わぁ~大山だ」
座敷席には大きな窓があり、そこから大山が良く見える。秋雲も顔を上げた。
「へぇ~、陸地から見ても、やっぱり大きいんですね~」
電チャンが率直な感想を述べている。なるほど、確かに言われて見れば私もこの位置から見る大山は何年ぶりだろうか?鎮守府からは当たり前のように見えている大山だが、確かに美保湾で見る大山と陸(おか)から見る大山は、ちょっと印象が違う。海だと比較するものが無いからだろう、ここから見る大山は、妙に巨大に見える。まさに”雄大”という形容詞がピッタリだな。
「今日はね、お昼を食べたらあそこへ上がってみようと思うんだ」
「ええ?」
「……」
電チャンと寛代が、驚いたように振り返る。
「頂上まで行くのですか?」
電チャンはストレートに突っ込んでくる。
「いや、さすがにそれは無理だけど……確か、中腹くらいまでは車で上がれるんだよ」
私が答えると二人は安堵したような表情に変わる。
「へえ~」
「ほぉ~」
「……」
寛代は相変わらずノーコメントだな。まあ、お前らしいけど。
「いつも海しか見てなくて……やっぱり、大山って大きいんですね。私たちってこの美保で、あんな大きなものに抱かれているんですね~」
電チャンのそのコメントに、私はちょっとだけハッとした。そうだよな、この子もパッと見は小学生くらいにしか見えないけれど、実際にはその辺のオトナくらいの経験はあるんだ。
<< 蕎麦屋:メニュー >>
私はメニューを取り出した。
「メニューを見て、何でも好きなものを頼みなさい」
「へえ~」
駆逐艦娘たちはメニューを興味深く見ている。そうか、こういう店に入るのも初めてなのかな?
「このカタログみたいなものから選ぶのですね?」
「ああ、そうだよ」
答えながら私は壁に張ってある”お勧めメニュー”を見ていた。え~っと”1.5玉の増量が無料”という、お勧めの”そば定食”を注文することにした。
私の視線を追っていたのかどうかは知らないが、いきなり寛代がポツリと言った。
「私……”そば定食”」
「あ?……そうか」
もっとグダグダ悩むかと思っていたから、この即答振りにはちょっと驚いた。むしろ電チャンが唸り始めている。
メニューも決めてクールに淡々とコップの水を飲んでいる寛代。その向かいで悶絶中の電ちゃん……滑稽なくらいに対照的だな。
同じようなページを何度も往ったり来たりさせながら、ようやく決まったような電チャンはゆっくりと顔を上げた。
「あの……私はカツ丼で」
消え入るような声で頼んだ電ちゃんだった。続いて秋雲。
「そっか~じゃあ秋雲さんもそれで……カツ丼でお願いです」
私はうなづくと手を上げた。直ぐに店員さんがやってきた。
「はい」
「え~っと、そば定食が二つとカツ丼二つ。そば定職の一個は1.5玉の増量で」
「はい、承知いたしました」
店員さんはメニューを下げると奥へ戻っていく。その姿を興味深そうに見送る駆逐艦娘たち。やっぱり、たまにはこういう店に連れてくるのも社会勉強になって良いかも知れないな。そんなことを思った。
でも毎回私が連れて行くのも大変だ。秘書艦や重巡のしっかりしたお姉さんに頼むかな?……敢えて戦艦とは言わない。どうも美保の戦艦娘たちはクセのある子が多すぎだ。
--------------------------------------
※これは「艦これ」の二次創作です。
---------------------------------------
サイトも整備したいけど~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
---------------------------------------
PS:「みほ8ん」とは
「美保鎮守府:第八部」の略称です。