しかもチート能力『時間停止』まで神様に貰って。
この能力で面白おかしく生きてやるぜ!
…………しかし…………
突然だが、俺はついさっき死んだ。
(いやぁゴメンね。君、実は死ぬ予定じゃなかったんだよね〜)
三途の河らしき場所で呆然と立ち尽くす俺の頭に、声が響いた。
(お詫びと言っちゃ何なんだけどさ。神様の権限で、君に何か素敵な能力を与えてあげるよ。何が良い?)
なんとこの“自称”神様は、俺を生き返らせてくれる上に、何でも好きな能力を与えてくれるという。
(何でも良いよ。目からビームとか、超高速で走れるとか、天候を操作するとか)
何だよ、そのアメコミヒーロー然とした例は。
俺は一も二もなく『時間停止能力』と答えた。
(時間停止?そんな能力で良いの?後悔しない?)
ヤケに抑えてくるな。
……さては、取られちゃ困る能力なんだな?
神様すら恐れる能力、良いねぇ。
俺様は、『時間停止能力』をご所望だぜ!
(ふ〜ん。はいよ)
思ってたよりアッサリと、神様は俺に能力を与えた。
あれ?
(じゃ、生き返らせるね〜)
気怠げな神様の声と共に俺の意識は飛び、気付けば俺がさっき死んだ駅前の大通りだった。
よーし、じゃあ先ずは……
通行人のお姉さんのスカートの中でも拝むとするか!
時間停止!
キィィィィィィィィ……ン
耳鳴りと共に、世界から音が消えた。
同時に光も。
なんだこれ!
何にも見えねーぞオイ!
(時間が止まってるんだから、当たり前じゃん)
頭の中に神様の声。
なんだよ当たり前って?
(時間が止まってるんだから、光も止まってるの。君の目に光が入らないんだから、何も見えないのは当たり前)
屁理屈を〜!
何も見えないけど、神様がドヤ顔してるのだけは分かる。
……つか、体も動かないぞ。
(時間が止まってるからね)
……どーいう意味だ?
(君の周りの空気分子は止まってるの。時間が停止して止まってるという事は、空気分子は停止した場所からは1ナノメートルも動かないの。おわかり?)
つまり俺は、硬化ベークライトで固められたも同然ってワケか?
なんだよそれ!
動けなくて何も見えないなんて、意味ねーじゃんかよ!
……つか、だんだん苦しくなって来たぞ。
(そりゃまぁ、空気分子が止まってるという事は、君の肺にも空気が供給されないという事、だからね)
ヤバい!
これは窒息する!?
俺は急いで能力を解除した。
世界に音が戻ってくる。
(じゃ、君の希望は叶えたんで、私はこれで)
頭の中の神様の声が、急速にフェードアウトしていく。
ちょっと待て!
こんな無駄能力、意味ねーじゃねーか!
ふざけんな!
やり直しを要求する!
だが、以降どれだけ叫んでも、神様が応えることはなかった。