Dark & Light Blues   作:沖田十三郎

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一ヶ月はかかりませんでしたが、えっと、半月強くらいでしょうか。
完結させるつもりも更新する気概もあるので見捨てないでもらえると嬉しいです。


断章

その昔、『奇跡』はごく身近なものであったと云われている。

 

これはかつての話。

 それは人が自然や神と呼ばれる者たちに対する感謝や敬意を未だ持ち合わせていた時代のこと。〝祝聖(しゅくせい)〟と呼ばれる技術(それ)を人は闊達自在に扱っていたと云われる。それは病や傷を瞬時に癒し、嘶(いなな)き暴れ猛(たけ)り狂う馬や牛をたちどころに宥める事ができ、そしてそれは誰隔たることなく万人が扱えた、いわゆる〝奇跡の法〟だったのだと云われている。

 〝祝聖〟が失われる(それ)より以前、人間は自らの知恵と行動によって生活を支え生きていたのだと、古(いにしえ)の書は語る。

 平和な時代だったのだと。

 だがしかし、いつの頃からか人は〝祝聖(それ)を諍(いさか)いや争いのために使い始めた。それまでの〝祝聖〟の用途はその残滓すらも残さず、軽々(けいけい)と人の命を奪う武器へと成り下がった。

 ――かつて、ただ一人の男から始まったというその戰火の派生を人は男の名からとって『ディベールの焔』と呼び、世の不条理を嘆いたのだという。それはもはや、伝説の中に語られる単なる大衆娯楽と成り果てた。

争い。

諍い。

――そして戦争。

今も昔も変わらない人の性だと云われるが、それでもまだ昔は戦場(いくさば)にも礼節が求められた。戦場(舞台)に立つ戦士たち(彼等彼女等)もまたそれを誇りとして剣を振るい、大地を駆け、雄叫びを上げ、勝鬨を揚げ、戦という彼らの檜舞台で互いの勇を競い合っていた。

今は既に喪われた、それは『騎士』の戦いだった。

しかし、それも時代を経るごと風潮と共に戦場の在りようも変じていった。

即ち、騎士の衰退とそれに代わる祝聖使いの台頭である。

それまで神の与え賜もうた奇跡と信じられたそれが本格的に人を殺すための道具として、国を滅ぼすための兵器として用いられるようになっていったのだ。

奇蹟は道具へと貶められ、かつての『奇蹟』は見る間に『当たり前』へと堕ちていった。

長い長い間〝祝聖〟の恩恵にあって人は忘れた。

奇蹟なんてものはそうそう都合よく掌の内に転がり落ちてくるようなものではないという、ただそれだけの単純な事実を、『当然』という名の『当たり前(ベール)』はいとも容易くに包み込み、忘れてしまった。だが当然ながらその考えは『傲慢』でしかなく、強欲によって振るわれる暴力(ソレ)もまたいとも容易く失われることと成る。

『天罰』

後世の歴史家にそう呼ばれることとなる訓戒は、今に伝わる話によれば、「黄昏戦役」と名付けられる戦の最中(さなか)にあったという。それは突然、戦場にいた全ての祝聖使いに神謠(コトバ)が下賜(お)り、その後《のち》人が祝聖を行使できたという記録は、現状公式には存在しない。

されど、人がその内に抱いた業や欲は、その程度の事で止まる事はなかった。もとより、それまでに経験した楽を手放すことなど出来はしなかったのである。

幾つもの失敗と、時に荒廃を招き、それでも人は求めた。そして、一度は喪った力を再び手の内に収めることに成功した。

 

その名を〝魔法〟と云った。

誰が呼び始めたのか、再び手にしたそれはそれまで自らを支えていた祝聖と真逆の名前が与えられたのである。聖(ひじり)に非ず、祝いに非ず、と。

その本質は魔性のそれであり、いくら似ていたりとはいえ魔の法則の上に成り立つ異形のそれは決して奇蹟とは呼べないのだ、と。それ故に再び手に入れたその力の名に祝聖の名は与えられなかった。神の恩恵にあらぬ世界を改変する異常の技。多くの人々から魔法はその様に認識され、現代に至った。

初めの頃〝祝聖〟にも〝魔法〟にも、確たる名前は与えられていはしなかった。現在祝聖使いと呼称される彼等も、その当時は剣を担い戦場の花を飾った彼ら同様『騎士』の名で呼ばれていたのだ。力はただ力でありその源たる神に、大地に感謝と畏敬をもって接していた。

しかし、一度喪われて取り戻したそれの違いに人は愕然とした。

禍々しい黒い力だった。

優しく自分たちを守ってくれた柔らかな光はもはやそこにはなく、無理やり世界を自分の意志に従わせてしまうという感覚があった。何よりも発導に際して昏(くら)い光を纏う様はおのずと己の罪を人に意識させた。意識して尚、人は自らの欲を捨てる事が出来なかった。

 

―――だから。

 

それは罰であり、それは罪だった。

 

それは―――――――――――――――――――――――――――――――――




あとがき 

 いかがでしたでしょうか。
 タグが「設定のみ微妙に流用」となっているのは今回の『天罰』から魔法誕生までの下りが本作を執筆した当時読みふけっていた「銃姫」というライトノベルとほぼ同一であったためです。
 まあ、開き直ってしまうのであればこのような展開を持った作品は他にもあるでしょうし、もっと言えば「銃姫」の魔法発祥の展開自体が言及されていないだけで他の作品のオマージュである可能性だってあるでしょう。ですが、ハッキリ言って本作のこの設定に関しては完璧に「銃姫」の影響…というかまんま…いや、まんまではないですが、それは工業の発展に根差しているかいないかの差ですし…まぁ、何を言ったところで「銃姫」の影響が甚大なのは事実なので、その点以外に相似点がないとしたとしても、完全にオリジナルな作品だと言い切るのは恥知らずだと思い、そのようにした次第です。

閑話休題

 さて、兎にも角にも次話以降からが本作の本編に相当する内容です。
 …ま、とは言っても次話も「序章」なのですけども。
 何はともあれ、作品説明みたいなのは今回で終了です!

 と、偉そうに書きはしましたが、まだまだ書き途中で現段階で6500字くらいしか書けていません。大体全体量の1/3くらいでしょうか。一気に投稿できる文字数が4万字もあるのでできれば序章くらいは一気に公開してしまいたいのですけど、あんまりにも時間がかかるようだったら取り敢えず3段階くらいに分けて投稿し、全部出切った後で統合する、とかでもいいかな?
正直適正量とかわからないですし。

 そんな感じです。
 次回更新も一月以内を目指します。
 私が愛読させて頂いているSS作家の方の中には週更新はおろか毎日更新されている方もいらっしゃいますが、私には不可能ですので。もっと言ってしまえば、本作を改訂し始めたのが3年くらい前なのにまだ終わっていないので自信とかはさっぱりですよ。
 期待せずにお待ちいただければ幸いです。




ま、現状読んでる人っていないのでしょうけど。
ん? でもUAは一応伸びてるから読んでる人いるのかな?
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