今回投稿を予定していた文章量は7000字弱だったのですが、編集が間に合わず、1000時ちょっとしかアップできておりません。
3日以内に残りの分も追加できるように励みますのでもう少々お待ちを!
●S-0 アーエル地方・森林地帯外観
天頂に輝く太陽は、まるで熟れた石榴の様だった。毒々しい緋の燐光は世界を染め上げんと照りつける。黄昏時にはまだ遠く、今はまだ夕刻。
空の下には雄大な森林地帯が広がっている。
森の名はアーエル。
別名を『神の庭』や『底無しの
そしてそれらの理由以上に、特定の時期に人が森に立ち入らない理由がある。
それが、アーエル独特の気候である。
現在の季節は、秋。
中秋の満月は今宵輝く、そんな日の事である。
●S‐1 アーエルの森内部・マングローブ地帯
高くそびえ立つ樹々の間には濃淡の差の激しい霧が漂う。また、霧の合間にはアーエルでしか見ることの出来ない巨大な羽蟲が黒板を掻くような独特の高い啼き声を上げながら浮遊するのが見える。それも、巣に帰ることを優先している風で、すぐ近くを移動する人影には目もくれない。
視線を下に移せば自身の体長と同じくらいの長さの舌を伸ばして樹木にこびりついた苔を食らう獏に似た動物クリィナルダもまた、同じように急ぎ帰巣の動きを見せていた。
そうして見ると、森中の動物や虫達が皆一様にねぐらへ急ぐ気配が聞こえてくるようだった。鼻を「すん」と動かすと、既に土砂降りの前兆のような酷い雨のにおいが鼻を突いた。
――と、立ち止まって上を振り仰ぐと、目に入ってきたのは暗い森の中に幾筋と落ちる枝葉の厚い層を抜けてきた血濡れた剣のような朱の燐光。美しい光景だった。だが、それと同時にこうも思う。ここはまるで監獄のようだ、と。
気配を手繰れば飽きる事もなく、奴等は順調にこちらへと近づきつつある。
まったく―――
「今日は厄日ですね。さすがに占いだの御神籤だのをバカにしたツケだとは思いたくありませんが……たしか私の今日の運勢は末吉〔望まぬ探し物が見つかるでしょう〕でしたか。次からはもっとちゃんと信じることにしましょう。でもとりあえず今は――」
思わず、といった風に零れた呟きは足元を吹き荒んだ風にかき消された。
視線を先に投げると頭上から突き刺さるスポットライトで赤く染まった濃淡の差のある霧は、赤さと暗さの
「いつまでも足を止めているわけにもいきませんね。早くここから出ないと!」
止めていた足を再び前に踏み出だし、もうそろそろ目に映る光の心もとなさが限界を越えようとする中を、出来る限りの
日没までは、もう余り時間は残されていない。
●S‐2
アーエルの中秋には強烈な暴風雨が吹き荒れる。
それはこの地方に住む人々にはもはや風物詩でしかなく、また多くの旅人にとってもそれは常識と呼ぶに差し支えないほどに知れ渡った、ある種の名物である。
ただし、その厳しい風雨とて中秋中ずっと吹き荒れっぱなしと言うわけではない。満月の夜を初日として長くとも3日でその猛威は過ぎ去る。つまり、あまり長くもないその期間にわざわざそこを断行する者はほぼいないのである。しかし、そんな季節のその場所に疾駆する人影は在あった。
一方は森の外部へと移動しようとし、その後方に迫る方からその度に妨害をかけられていた。森の内部へと入り込んでからはその繰り返しで、そもそも彼等の追走劇はアーエルの森へと至るより前、太陽の光が朱の色に染まるより前から始まっていた。
大陸南方に位置する商業国家アルシェイラ共和国の最南方の町ラフテス。そこは森から徘徊してくる獣や蟲を追い返す守護都市としての側面を併せ持った他の街と比べれば街壁の高さや強度が高いなどの特色を持った街だったが、それより何より人の口に上ったのは地熱に暖められた天然の湯――温泉だった。追跡者と逃走者はその街で偶然出会い、そして幾度となく攻防を繰り返し現在に至る。
以下、次回
あとがき
お久しぶりの方、お久しぶりです。
前回更新時に一ヶ月以内に更新とか言いはしたものの、本当は半月以内座で投稿したかった沖田です。
まぁ、結果は見ての通りですが。
…しかも投稿したい分までできてないし…。
ってなワケで、本当は今回のあとがきでタグにある『ARIEL式構成法』の解説もしたかったのですが、ちょっとまだ文章の執筆中なので見合わせます。三日以内に追加版を再更新しますので、追加後版あとがきで解説します。
お待ちくださいませ。
…なんだか言い訳めいてしまってごめんなさい。
広げた風呂敷に期待して下さった分はお返しできるよう、精一杯書いてます。
それではまた三日後に。
<改訂に寄せて>
友人に
「スマホで読むと長すぎて辛い。一話ごとの字数を減らした方が見やすいんじゃない?」
と言われ、確かに見辛いかもしれないと思い立ち、一話ごとの字数を大体2500字くらいになるよう調整した。
それに合わせて
で、調整した結果「①」は1800字くらいになった。
何故か?
S―3が単体で2600字もあったので調整のしようがなかったから。
一応レイアウトとかにも気を配りたいし、挿絵も現在友人に描いてもらっているのでまた調整する可能性が無きにしも非ず。
取り敢えず、現在公開している分に関しては今夜中に何とかする腹積もりでいるので、
勘弁願いたい。