耳が痛い。外がやけに明るい。
目を覚ますと、やはり車の中にいた。いやそれはいつものことなのだが、外の景色がいつもと違う。元の世界にに帰ってきたのか、枯山水庭園っぽいところに車が止められていた。
京都にいるのか?京都は修学旅行で1回だけ訪れたことがあるが、こんな広い庭なんてあったっけ?
急いで公道に出ないと、てなわけで俺はキーを回してみた。しかし、エンジンがかからなかった。じゃあ最悪、乗り捨てするしかない。
足跡がつかないよう、慎重に車から降りて出口を探して歩き出した。すると・・・
「そこの者!動くな」
後ろから聞こえた女の声で、俺は凍りつく。
乗り捨てしてるところを人に見つかってしまったのだ。
「お前は何者だ。名乗らなければ、斬る」
きるって、なんか物騒なものでも持っているのか。
「すいませんした!警察に通報するなりなんなりしても構いません!」
これでも命乞いのつもりでいた。しかも車に関しては無免なんだぜ。捕まったら人生終わりだ・・・。
「け・・・さつ?なんだそれは」
「へ?」
よく聞こえなかったのかな。
「け・い・さ・つ!警察です!」
大声で丁寧に言ってみた。が、しかし。
「よくわからない単語・・・さては外の世界から来たな?」
は?帰ってきてないのかよ。期待した俺が馬鹿だった。
「そ、そうです!」
この時の自分の顔と言えば、もうバカみたいに目と口開けてただろう。生命が惜しいがために、間抜けな声で命乞い。哀れだぜ。
「ここは冥界だ。死にたくなけりゃ・・・今すぐにここから立ち去りなさい」
俺はそのまま立ち去ろうとした、その瞬間。
「ヨウム、やめなさい」
またしても俺は後ろを向かなかったが、さっきのとは別の人が現れた。
「な、何故ですユユコ様!こいつは侵入者なんですよ!?」
「こらこら、私のお客さんに向かってコイツ呼ばわりしないの」
「え・・・お客様、ですか・・・?」
お?
恐る恐る、後ろを振り向いてみた。すると、変わった緑色の服を着た銀髪か白髪かわからない子供(女子)と、水色っぽい着物を着たピンク色の髪の色をした女の人がいた。
この2人も、ゲーセンとかメイトとかネットとかで見たことあるような気がする。けどそれは、この2人であったのかは今でも不明なままだ。
「客・・・」
俺が客だと?誰の?こんな用事聞いてないぞ。
「私はユユコ様のお客様になんてことを・・・!すいませんでした」
ヨウム?らしき人が、何故かユユコという人に向かって謝る。
「謝るべき相手は私じゃないでしょ?ほら」
「・・・あ、あなたに大変怖い思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした!」
上半身を120度くらい曲げて必死に謝罪をするヨウムらしき人。そうでもしないと誰かに殺されるのかと思う程に伝わってくる、謝罪の感情。
「あ、いいんです・・・」
「いいえ、よくありません!ですから、私について来てください!!」
あのー・・・、俺って一応客なんだよね?荷物じゃないよね?なのにこいつ、俺の腕を思いっきし引っ張り出して、どこかへ連れ去ろうとした。
そしてヨウムらしき人と行き着いた先は、でかい屋敷であった。生活感があまり感じられない程に綺麗で、たとえば畳の床に光沢のある木のテーブルがおかれている程度である。
「今すぐにお茶を用意しますので、そこに座って待っててください」
銀髪頭はそう言って、そそくさに俺の前からいなくなった。
「待ってヨウムー!」
今にも転びそうな、ピンク頭の走り。着物だから早く走れないのかなんなのかよくわからなかったけど、それは何かを追っているようだった。いや答え出てるけど。
「はぁ...はぁっ...ごめんなさいね~うちのヨウムが~」
ゆっくりゆっくりと、ユユコは俺の向かいにある座布団に座り込んだ。
「あ、いえいえ全然気にしてないですから・・・」
「だって貴方、
「え?」
「あ、いや、なんでもないわよ」
うふふ♪そんな笑い方する人は、俺にとって人生で初めて見た。
「おっ、お待たせしました。お茶でございます」
ヨウムさんが、お盆にお茶が入った湯呑みを乗せて戻ってきた。
それでは失礼します。とヨウムさんは言って、その場からまた去っていった。
何秒かの沈黙のあと、ユユコの口が開いた。
「祐介・・・だったかしら?紫から話は聞いてあるわ。私は西行寺幽々子、ここ、白玉楼の主をやってます。今日からよろしくね」
ユユコと読んで幽々子と書くらしい。んで、もうひとりの方は魂魄妖夢という名前なんだそうだ。魂魄も西行寺もそうだが、ここの人たちはみんな珍しい名字ばっかりだ。一般的な名字といえば俺ぐらいしかいなかった。
「え・・・今日、から?」
しかも紫から話は聞いたって、何の話だったのか今でもわからない。まぁ大体察しができるが。
「えぇ、そうよ?聞いてないの?」
「聞いてもないし、話した覚えもないです」
「あら~。とうとう嘘つきになっちゃったのね、あいつ」
「全くです」
こうして俺は幽々子と軽い挨拶を交わし、体力増強の為に白玉楼に住み込みで鍛えることとなった。
案外、初めて幽々子と妖夢をヒロインにさせるのは初めてだったりします・・・