俺の前に、銀髪か白髪かわからないパッツン頭の小さい女の子。二刀流なのか、背中に刀が入った鞘を2つ下げている。
「・・・初めまして、魂魄妖夢と申します」
こんぱくようむ(以後妖夢)。魂魄だって。中々コンパクトな名字してるなあ、なんつって。
紹介しよう。この子のお名前は魂魄妖夢。見た目が完全に小学生で、それでいて剣術に優れているスーパーガールだ。屋敷の主、西行寺幽々子に慕えていて、幽々子の剣術指南役と同時に庭師をやっている。
いつも頭に黒いカチューシャ、緑の服を着ていた。それ以外に服持ってないのかって感じ。それと、コイツの周りをウロチョロしてる白いやつはなんなんだ。
そんでまぁ、俺も自身の名を告げて、お互い自己紹介を終えた。
「何故、人間がこんなところにいるのかわかりませんが、未熟者ですが私が剣術指南をさせていただきます」
意味がわからなかった。そもそも冥界の意味を知ってなかった。てか指南ってなんだ?とも当時は思った。
「では、早速やっていきましょうか。まずは・・・」
妖夢はどこから持ってきたのか、大きな石を持ち上げた。
「これを持っててください。5分間」
大きな石を軽々と投げつけ、俺にキャッチさせようとした。
「重ッ!?」
この石はあまりにも重かったから、転げ落ちそうになった。なんとかフラフラしながらも石を持ち続け、5分間耐えきった。
「こ、魂魄さん!5分間持ったぞ!」
「何を言ってるんですか。あと5分です」
「ま、マジか!」
これの繰り返しで、今日の稽古?は終わった。
☆彡
「今日の、どうでしたか?」
夕方が近づき、和室の1室が赤くなっていく中、妖夢が俺に向かって聞いてくる。そりゃ、多少疲れたよ。常人がこんなのを長時間も持ったら腕が死ぬぜ。
「そうですか。では、次はこれを持ってみてください」
妖夢がそう言って持ってきたのは、刀だった。試しに持ってみると、これまたすごく重かった。でも昔の侍はこんなのを下げてぶらぶら歩いてたんだろうから、すごいよな。
「これが普通に持てないようでは、話にならない。これじゃ相手を倒せません」
「倒すって、殺すってことか?」
「・・・そうとは言ってません。倒すというのは、いろんな意味があるの」
「そ、そうなのか」
なんか複雑そうな事を言ってきそうなので話を無理やり終わらせた。俺はめんどくさいことは、あまり聞きたくないのだ。
「でも案外、持ってられるけど・・・」
「自分の腕を見なさい」
そう言われて、ふと腕を見る。すると俺の腕は、血管が今にも飛び出しそうになっており、なにより腕がブルブル震えていた。
不思議な感覚だった。自分ではなんとも思わないと思っていたのが、体は変に動いている。やはり体は正直である。
「そんな状態で、私と互角に戦えるのですか。私以外を斬ることができるのですか。そんなようでは、包丁を扱った方がまだマシです」
「な、なんで・・・」
「大体、心を一つにしてますか?」
「なにそれ」
コイツ以外にもそんな事を言ってる奴を腐るほど見てきたが、どういうことだ。
「一つの事に集中し、余計な事は一切考えないという事です。だからそんな風になる」
とか言われても、考えちゃうものは考えちゃうものなんだよなぁ。意識しなければいいのはわかってるんだけど。
「それができるまで、ご飯は抜きですよ」
ご飯。その言葉を聞くのはいつぶりだったことか。もう4日近く何も食べておらず、体力に限界が近づいていた。
「わかった。やってやるぜ!」
「その調子よ」
☆彡
次の日・・・練習に練習を重ねて、ようやく飯を食べる事ができた。調べてみたことだが、昨日のやつは正眼という構えをやっていたそうだ。
さて次は・・・
「刀をまともに持てるようになってきたので、次は技に入ります。まずは、この竹を斜めに真っ直ぐ斬ってみましょう。貴方の思い通りでいいので、自由に切ってみてください」
俺の前に立っている竹を、侍系の番組などで見るような、あんな感じで切れ、と妖夢は言った。
了解し、試しにズサッと斜めに斬り落としてみた。そして斬られた竹の様子を見て、思った。
「全然想像と違う・・・」
一度は「またつまらぬものを斬ってしまった」とか言ってみたいものだった。
「昨日やったこと、もう忘れたの?また別の事を考えてたでしょ」
なっ!そんなばかな。
「わからん!けどやってみる」
もう一度竹を斬ってみた。やはり、多少くねくねした斬り方になってしまった。
「まず構えが違う。刀を上げて、柄を持つときは右手を上に、左手は下に、刃先を右上の方に向ける。これが、八相という構えよ。攻撃と守りの時は基本この構えです」
ようは、野球のバットを持つような感覚である。かと言って水平に振るわけではない。
「そうして、こうする」
ジョキッ!まさに竹からそんな音がしそうだった。妖夢が斬った竹は、見事綺麗にスパッと真っ直ぐ切れていた。
「今の私のように、貴方もやってみてください」
「・・・」
・・・身体と心を一つにして。身体と心を一つにして!斬る。
バキッ!
「・・・お、おお・・・できた」
俺が斬った竹は、なんと奇跡が起きたかのように真っ直ぐに切れていた。
「ま、私はこの斬り方が基本だと思ってます。この調子で次のテクニックを身につけましょう」
そんなこんなで、数日がたった。
俺は妖夢の指導により、色々な技術が身に付いた。まだ剣を持っているのは慣れないけど、多少ものを斬れるようになった。これも妖夢のおかげだ。
さて、今日は実践応用。実際に妖夢と一本勝負を3回行い、それぞれ改善点を考えてそれを対処する、というのを何回かやった覚えがある。
「始めっ!」
第一戦目。なかなかコツが掴めずに、妖夢に負ける。ここで妖夢からのコメント。
「何をぼーっとしてるの!死んでも知らないわよ?」
俺が持ってるこの刀、実に重くあまり振り回す事ができなかったのだ。なのに妖夢は自分の身体のようにスイスイ振っている。実に羨ましかった。
続いて第二戦目。
「始めっ」
今度こそは堪えられるようにしないと。
「手加減してあげるから、かかってきなさい」
・・・どうかかっていけば良いのだろう。そんなこんやでまたぼーっとしていると突然、やぁっ!という妖夢の叫び声と共に妖夢から攻撃してきた。
ガン!
何もしないわけにもいかないから、刀でガードした。すると妖夢は刀を一瞬離して、俺の肩に刀を置いた。勝負ありだ。当然勝者は妖夢。
「どう攻撃すればいいか迷ってる暇があれば、素直に攻撃!いいね?」
「お、おう」
「そんなんじゃ野菜も切れないわよ?でも・・・避けるのだけはうまいのよねぇ」
「あー、うん・・・そうなんだ」
小学生の頃のトラウマを連れて来ないでくれ。皆も経験したことあるだろ?ドッヂボール。もうその単語を聞いただけで悪夢が蘇ってくる。
「はい三回目!準備して」
「へい」
素早く元の位置について、勝負開始。
今度は勇気を振り絞って、俺から攻撃してみた。すると妖夢は素早く後ろに下がるが、気にせず俺は前に進む。
「甘いッ!」
妖夢が叫んだ。まぁ、ただ突っ込んでるだけだったから、スキだらけである事はわかってた。
妖夢からの真っ直ぐに突き出た刀で俺の肩に乗せられそうになったが、アドレナリンモードにでもなったように、ゆっくり仰け反って刀を回避した。この間、一秒足らず。それでも、アドレナリンはまだ続く。
俺の刀で妖夢の腕を振り払い、妖夢の腹の部分に刃先を当てた。すると、上から刀が振り下ろしてきた。俺が刀を上にあげたせいか、ガチン!と大きく金属音が鳴り響き、力の押し合いとなった。
すると突然、一瞬だけだが俺の刀の方から変な青白い光がでた。
「そんなとこに手ぇ置いてると切られるよ!」
が、妖夢は気づいてなかった。むしろ当たり前だと思ってたらしい。つか、色々と重い。腕がブルブル震えてる。
「おらぁッ!」
切り離すようにして、俺は前へ突き進む。そして、無事に妖夢の攻撃から逃れることができ、その隙をついて俺は妖夢の肩に刀を置いた。
「や・・・やったあ!勝てた!」
「まぁ私が手加減したからなんだけどね」
「やっぱり・・・」
一気に夢がぶち壊された気分だよまったく。
「イイ傾向だけど、まだまだね。私に本気で勝とうなんて1000年早いわよ」
「せ、1000年!流石に何回か来世に移ってるぜ」
「ふふふっ、じゃあ生まれ変わってから戦いに来なっ。まぁ人間風情が私に勝つなんてできないけどね」
最初この発言を聞いて思った事は、コイツはただの痛い邪気眼系厨二病少女か。
でもゲーム内の妖夢も同じように刀を振り回して気弾みたいなのを出しまくってたが、ありゃ一体どうやって出してるんだ?原理が意味わからん。
「妖夢ー、ご飯できたわよー」
しばらくそんな事を考えていると、幽々子の声がした。どうやらご飯らしいので、俺は直ちに現場(?)へ急行した涼しい真夏の昼間であった。
剣術ってこんな感じなんですかね?
剣術に関しては無知で申し訳ありませんが、もし間違えてたりしてたら指摘くださると修正します。