夢だったかもしれない幻想入り   作:歌 華

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好きな人とかに告白してフラれたりすると、なんか凹みますよね。自身もそんな経験した事あります。フラれたらもうしばらくは元気が出ないと言いますか、歌で気持ちを切り替えたりする事ありますよね。


#13 病みと倦怠

次の日、俺は白玉楼の縁側で何もせずぼんやりしていた。

 

稽古とかはどうしたって?もちろんサボらずに・・・いや、あまりやってない。そもそもやる気が起きなかったのだ。いわゆる倦怠期というか、それとも病み期なのか。

 

しかし妖夢は気にせず俺に剣術を教えてくる。だが、妖夢の口数はいつもと違って少なく感じた。

 

そんな時であった。俺がこうしてぼんやりしてる中、幽々子が俺に話しかけてきた。

 

「おはよう。今日の貴方はなんだか、いつもと違って元気ないわよ?一体どうしたの?」

 

優しい口調だった。それは、俺のかつていた祖母がいるような感じがした。天子なんかより数百倍良かった。

 

「別に・・・なんでもないです」

 

「あらそう?まぁいいや、頑張って強くなってね♪」

 

「あ・・・はい頑張ります」

 

そうだ、俺は天子に復讐するためにここにいるんだ。居候ではない。

 

そんな事を思いながら妖夢との試合に励んだ・・・つもりだった。やがてとうとう、妖夢からもこんなことを言われた。

 

「貴方、最近どうしたの?全然技術(テクニック)がなってないじゃない」

 

まあこんな、俺は病んでますよアピールしてりゃ何か言われるのもしょうがないわな。

 

「いや、こう見えても普通だよ」

 

当然、この言葉は嘘である。本当は疲れてて何もやる気しない状態であった。

 

「ふーん・・・じゃあ、いつもの貴方みたいに頑張ってね」

 

「はいよー」

 

なんでだろう。どうして俺は、何もする気が起きないのだろう。

 

普段の俺なら、あんな事はすぐに忘れているのだが、この時だけは忘れたくても忘れられなかった。

 

けど、この気持ちを捨てたいとは思わなかった。それすら面倒くさかった。

 

☆彡

 

しばらくして夜になった。ぼんやりしながら、幽霊が作ったというごちそうをいつもの2人とぽつりぽつり、無言のままゆっくりと食べた。

 

そして食後、またもや幽々子からお呼び出しを喰らう。抵抗せずに幽々子の後を大人しくついていくと、昨日と同じ場所にたどり着いた。

 

そして座布団の上に正座、まさに説教をされるような感覚に落ちる。

 

「やっぱりねぇ・・・思うのよ」

 

幽々子は昼間とは違って優しい口調ではなく、かなり気分が悪そうな言い方であった。

 

「何をですか?」

 

「あなた・・・今朝、誰に何を言われたの?まさか、ホントに・・・?」

 

この質問に、俺はまた嘘をついて誤魔化そうと思った。だが、誤魔化すつもりはなかった。なぜかと言うと、俺は口が軽く簡単に秘密をバラしてしまうという難癖があるから、あまり嘘が持たないのだ。というか、嘘が下手でもある。

 

「いや、だからなんでもな」

 

「・・・嘘よ。妖夢とかそれ以外の誰かに何か言われたんでしょう!」

 

「・・・」

 

「言いなさいよ!誰なの?私?私が悪いの!?」

 

「だから・・・あぁぁもう」

 

「私とか妖夢が何か傷つくような事を言ってしまっ」

 

「うるせえんだよ!!」

 

この一言で我に返った。自分はなんて事を口にしてしまったのだろう。なのだが、オーバーヒートはまだ止まらない。

 

「お前なんかに俺の何がわかる?大体、昨日てめえがあんな事を言わなければ俺はこうなりゃしなかったんだよ!」

 

涙目になりながら、俺は幽々子に訴えた。幽々子の顔は死んでいた。

 

「・・・だから、昨日の何がいけなかったのかって、聞いてんのよ!!」

 

バキッ!

 

幽々子の右拳が俺の顔面を殴りつけ、俺はその反動で床に倒れる。

 

「クソっ・・・クソッタレがぁぁ!!」

 

俺は気がつけば、幽々子の胸倉を掴んで押し倒そうとしていた。

 

「これ以上暴れるのはよしなさい」

 

「・・・!!」

 

謎の威圧感に負けて、俺は幽々子に対する嫌悪感は段々と薄れていった。そのとき、俺の後ろにある障子がバタン!と大きく開かれた。

 

「幽々子様!一体どうされましたか!」

 

妖夢の声だ。

 

「なんでもない!今日はなんだか落ち着かないだけよ!」

 

「は、はぁ・・・そうですか。ですが物は壊さないでくださいね」

 

「はーい」

 

何も疑わずに、妖夢は障子を閉めて出ていってしまった。こうして部屋中にどんよりとした重苦しい空気が流れた。

 

「・・・さっきは、あなたに手を出しちゃってごめんなさい。あんな事をするつもりはなかったの・・・・・・」

 

「・・・」

 

「こんな貴方を見るのは初めてだわ。ついこの前まで、元気に妖夢と遊んで(・・・)いたのに」

 

「遊んでただぁ?あれが遊んでるように見えるのかよてめえ・・・ふざけんのもいい加減にしろよ」

 

「ご、ごめん・・・。けど、こうすれば何があったのか聞き出せるかと思って」

 

「いちいちしつけーな。わけわかんねーよ、俺はただ、アイツを・・・」

 

この言葉を機に今朝あった出来事を思い出した。

 

俺は倒れたまま動こうとしなかった。起き上がることすら面倒くさい。もういっそのこと、殺してくれないかなぁ。生きてて良いことなんて何一つ無いだろ。

 

「アイツ?ひょっとして、今朝あの天人に何か言われたのね?」

 

さすが、幽々子は勘が鋭い。

 

「・・・ああ、そうだよ」

 

ついに俺は心が折れて、今朝の事を泣きながら全部幽々子にぶちまけた。ここから回想である。

 

 

☆彡

 

 

実は、今日の朝に俺は里を訪れた。

 

昨日の夜に、俺の親らしき人がいるだとか幽霊が幽々子に伝えていたのだそうで(何故か特定されていた)、明日そこに行ってみれば?と幽々子が俺に言ってきた。

 

ためしに軽い気持ちで里へ行ってみると、俺の親というのは天子の事だった。しかもわけのわからない武勇伝を通行人にただただ自慢していた。

 

あいつはよく退屈になると変な行動を起こすヤツだったのを今でも覚えている。どうせ今日も退屈なのだろう。

 

「おい天子!」

 

天子の顔を見ただけで腹が立った。何でか知らないけど、家を取られた怒りなのかもしれない。俺が自分の居場所を取られてからこうして野宿までして、肌が赤丸だらけになってまで暑さと苦しみに耐えてきた。

 

それなのにコイツは、俺があんな思いしてる中、俺の家でのほほんとしてたに違いない。

 

「誰かと思ったら、久しぶりじゃない。今まで何をしていたの?」

 

「・・・家に帰れなかったから、今まで山の中で虫に刺されてたんだよ」

 

「衣玖でも呼んで帰ればよかったじゃない。心配してたのよ?私も衣玖も(・・・)

 

お前はわからなくもないが、なぜ衣玖が俺を心配してたんだ?俺が空を飛べないことはわかってるだろ。なのに、なんでだよ。

 

「・・・なんであの時、俺を置いてったんだよ。俺が空飛んで帰ってくるとでも思ってたのか」

 

「なわけないでしょ・・・なんとなくよ。大体、私を親として見なかったのがいけないんだからね?だから、あんたはしばらく地上で虫に刺されながら生活していなさい!」

 

「おいなんだよそりゃ!あっおい待てって!逃げんなよ!」

 

俺の相手してるのがめんどくさかったのか、天子はそそくさと石に乗って空へ舞い上がっていった。

 

くそっ、こんな時に空を飛ぶことが出来ないなんて!俺はいつまでアイツの息子をやってないといけないんだ?早く元の世界に帰りたいのに。

 

だったらあの時に天子の言う事に大人しく従えば良かったんだ。あの時、こんなバカみてえに拗ねていなければ平和でいられたのに・・・。

 

 

☆彡

 

 

こんな事を幽々子に話したら笑われる。悪いが、これは誰にも笑われたくなかった。

 

俺を置き去りにした天子への怒りと、天子に反抗して面倒事を起こした自分への後悔と怒りが重なっているのが、今の自分だった。

 

「”アレ”が親だなんて、貴方も大変ねえ」

 

「親じゃない。あいつから勝手に親になっただけだ」

 

「でも、本当の親は外の世界にいるんでしょう?まるで継母みたいね」

 

それと似たようなものだと思う。何も知らされず、急に知らない人が「私があなたのママだ」なんて言っても意味不明なだけで、その人を自分の親だと認めたくないだけである。

 

だから俺はそれで天子に対して反抗していたのかもしれない。いや、してたんだ。

 

「・・・きっとそうだと思う。だから俺は絶対天子に復讐してやらないとって思ったんだ」

 

「・・・なるほどね。ようやくわかったわ」

 

「何が?」

 

「なんでもない♪こんなときに悪いかもしれないけど・・・」

 

幽々子はどこからか、焼酎瓶を出してきた。

 

「月を見ながら、一杯どうかしら?ちょうど満月だし、ねっ」

 

「・・・じゃあ、付き合うよ」

 

こうして俺と幽々子は徐々に気を取り直して、気分転換にと夜を楽しむのであった(健全的に)。




幽々子が暴力って中々ない感じですが、自分でも何書いてんだろ・・・って思ってました。本当はそんな事は幽々子ではなく祐介にさせようかなって考えてたんですけれども、この際だから女性側からやらせようという遊び心から生まれました。読者様の中にはご気分を悪くされた方がいると思います。なんかすいませんでした。

余談ですが、明日は私の誕生日です・・・
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