夢だったかもしれない幻想入り   作:歌 華

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#18 夢から覚めたかもしれない幻想入り

 「うべっ!」

 

  長い眠りから無理矢理起こされたような気分……いや、本当に無理矢理起こされた。

 

  どう目覚めたのかというと、急に背中の方からドカッと衝撃が来たのだ。それはそれは、背骨を折ってしまったのではないかとさえ思うほどで。

 

  一体何が起きたんだと思って目を開けると、足が屋根に突き刺さっており、空が下の方にあって、地面が上にあるという、上体起こしに近い感覚に落ちる。

 

「あらあら、いつから幻想郷は人が降ってくる時代になったんでしょ。雨でもないのに不思議不思議」

 

  目の前で洗濯物を干す作業をしている、銀がかった髪の毛をした、青白のメイド服っぽい女性と目が合ってしまった。

 

  俺からすれば、ただ重力に逆らって立っている人のようにしか見えないのだが、相手から見れば、俺が地面に向かって体を反っているようにしか見えないだろう。なんせ今、俺の足が穴にハマって動かせないので、当然移動はおろか、起き上がることもできない。

 

「すいません助けてください……お願いです。僕をこの状態から解放させるの手伝ってくれませんか。足が穴にはまって、うまく動かせないんです……」

 

  俺はヤツにこう声をかけてみるも、無視された。改めてもう一度言うと、聞こえてるからいいわよ、と返ってきた。

 

  その答えに対し、俺はだったら返事くらいしてくれ、と思う。

 

「助けてほしいんでしょ?」

「はい……」

「じゃあ、ちょっとそこで待っててちょうだい」

 

  彼女の言うとおりに、俺は動かずにこのまま待つことにした。つか、こうするしか無かった。

 

  待つこと数十分、いつまで待たせるんだよ、とか思いながら待ってると、ようやくさっきの人が来た。

 

「まったく……よくもうちの屋根を壊してくれたわね……はぁ」

 

  これは彼女が俺の救出作業中に呟いた言葉だ。確かに……屋根に穴を開けてしまったのは申し訳ないけど、なんでこうなったのか、俺にはわからなかった。気がつけばこうなっていたのだから。

 

「すいません……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  その日の夜であった。これまでにわかった事は、ここは館であることと、メイド服を着た人の名前が十六夜咲夜ということ。それと、ここの主は夜行性らしく、十六夜咲夜はその主の従者なんだそう。

 

 「さ、この先にお嬢様がいらしてますわ。くれぐれも、失礼のないようにね」

 

  因みに、自分が屋根に刺さっていることに気がついたのは昼過ぎのこと。じゃあ今まで何をしていたのかというと、メイドに案内された部屋で待機していた。

 

  よくわからないが、主が俺に用があるとのこと。見知らぬ相手からそんなことを言われるのは初めてだ。そんなに有名になってしまったのか、俺は。

 

  まあ、あんなのに乗っていれば誰もが注目の的だわな。車が一台もないような、こんなとこじゃあな……。

 

  話を今に戻すが、俺は今からこの館の主に会う。会社でいう社長、学校なら、校長から校長室に呼ばれるのと同じだ。

 

  まず扉の前に立ち、ノック。どうぞ、という声があったので、ゆっくりとドアを開けた。

 

  主だから、きっと男の人で威厳のある人なんだろうなあ。そんで顔がニキビだらけで、1日中ゲームに溶け込んでそうなメガネオタクだろう。

 

  それともなんだろう、真面目系のイケメンかな!?

 

  そんな事を胸に思いつつ奥へと進むと、そこには羽根の生えた女児がこっちを鋭い眼差しで見ており、1人椅子に座っていた。

 

  ……まさか、主は逃げたのか?それとも……このチビが主……??

 

  ありえなくもないが、コイツが主だとは思いたくない。

 

「Welcome to Red mansion!!」

 

  え、英語!?待って、俺英語とかよくわからんのだけど!?外国人っぽい顔してるからって、まさか本当に英語で話してくるなんて……!

 

  わけがわからずにその人をじっと見つめていると、どうやら俺が他国語を話せないことに気づいてくれたのか、自ら自己紹介をしてくれることになった。

 

「Me? My name is Remilia Scarlet. Are you?……はいはいわかったわよ、もう」

 

  しっかしなんだ、コイツちゃんと日本語話せてるじゃないか。よかった……

 

「……で、あなたのお名前は?」

「ゆ、祐介、です……」

「えっ!?聞こえない!もう1回サンハイッ!!」

「ゆーすけ!!」

 

  日本語が話せるけど、その代わり難聴なのかな?なんともお豆腐メンタルな俺にとっては泣きそうになる。

 

「イェ~ス!因みにさっきも言ったけど、私はレミリア。ここの主よ」

 

  あ、はい。なんとなく予想がついてたけど……本当にコイツだったのか……。

 

「私が子供に見えるからって、あまり私を甘く見ないことね」

 

  どこかで聞いたセリフを並べたような事を言うレミリア。お前は厨二病か。

 

「それで、用ってなんなの」

 

  俺がそう聞くと、レミリアはハッとして目を閉じた。

 

「私には敬語を使いなさい……。それで用ってのは────」

 

 レミリアの言ってたことが長いので省略するが、まとめるとこうなる。

 

 ・自分が運命を操れる吸血鬼であること。

 

 ・そんな中、突然俺の姿が見えたらしく、その俺はとても何かに目覚めるそう。

 

 ・昼過ぎに俺がこの館の屋根に突き刺さって不時着するものの、死にはしなかった。因みにその時、自分は寝てた。

 

 

  用でもなんでもねえじゃねえか。

 

  なんとも厨二くさく、とても信じられない。

 

  俺がそう言ってやると、レミリアに突然「手を貸しなさい」と言われたので大人しく右手を出すと、レミリアは俺の手をめがけて強烈な右ストレートをぶっかました!

 

 おれ に 99.7 のダメージ!▼

 

 こうかはばつぐんだ!▼

 

「イッテエエエエエエエエエエエエエエエぇぇぇぇッッッ!!!!!?」

 

  こんな痛み、今まで感じたことなかった。右手全体の血管が切れたんじゃないかって思うほどの痛みだ。だが右手に赤いのが広がっていったので、血管は切れていない模様。

 

  しかしレミリアは言う。

 

「雑ッ魚。まだ3割も力出してないのに」

 

  唖然。言葉も出なかった。

 

  天子も実はこれぐらいの腕力があるのではないか?と思うと……とても敵わないだろう。

 

「アンタ、そんなんであの天人と戦ってきたの?弱い、弱すぎるわ」

「な、何でそのことを……?」

「だから言ったじゃない。私は運命を操れるのだと。正確には、見える、が正しいわね」

「っ…………」

 

  失望、何もかも見られていた。もう元の世界には帰れないに違いないと俺は思った。だからといって、この幻想郷にいたいとは思わない。なんとしてでも現実に戻りたい。

 

「で、どう?ちょっとの間、私達の元で少し力をつけてみない?」

 

 へ……?

 

「もしかして、俺もそのくらいの力を出せるようになるのか……?」

「それは努力次第だけど……負けられない相手がいるんだろう?」

「そ、そうだけど…………」

「なら決定ね。あなたを数日の間、紅魔館の住人として認めるわ」

 「わ……」

 

  知らないうちにここに住むことになっちゃったよ!?え、こんな薄暗い所に住むの?俺が?冗談よしてくれないか。

 

「何ボケっとしてんのよ!行くわよ、咲夜の作ったディナーに!!」

 

  こうして俺は、何故だか鍛えるために、また変なところに突然住み始めた。この前と同じパターンである。

 

  確かに天子はものすごい怪力の持ち主だ。レミリアも同様、怪力である。

 

  妖夢は、腕がオリンピックの競技に出てもなんも違和感のないレベル。あんな大石を軽々と持ち上げたことから、やはり怪力と見える。

 

  怪力な女子から教わったもの、それをどう生かしていくか─────それが当時の俺の課題である。

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