それではどうぞ。
1.
「お、随分遅かったじゃないか。どこで何をしていたんだ?」
俺はあの後、元の場所に戻され、そこから何事も起こらずに神社へ戻ってくることが出来た。
ただ、皆は俺を忘れていたのか俺がここに来た頃には既に全員神社に集まっていた。
「ちょっと道に迷っちゃいまして・・・」
目と手しかない変なところにいたなんて、とても言えなかった。けどこいつら知ってたんだよね、あの空間の事。
「迷ったのか?ならしょうがないな!さ、続き始めるか!」
「ちょっと魔理沙!勝手に仕切らないでよ」
こうして俺達の夜は明け方まで続いたのさ。
2.
翌日、天子と衣玖は俺を置いて帰っていった。俺の家は今、雲の上に存在しているので、空を飛ぶことが出来ない俺は帰る宛もなく、神社で途方に暮れていた。
あぁ、雲の上から俺の家が見える。すぐ目と鼻の先にありそうなのに、何故帰れないのだろう。別に見えない壁があるわけじゃないんだぜ。帰らせてくれよ。
3.
翌日、2日ぶりに霊夢と遭遇する。霊夢が俺を見て開口一番、あんた誰?とか言った。そんで俺は、誰って、俺は俺だよ、とオレオレ詐欺のような素振りを見せた。
当然「俺とか言われてもわからないわよ。名前は何?」と霊夢から名前を聞かれた。
そんで名前を教えてやると、なんか前にそんな名前の人がいたようなー・・・と考え始め、あ、この前宴会にいた人か、と思い出してくれた。
「で?天界にいるはずのあんたが、何故ここにいるの?」
「あいつらに置き去り喰らって帰れなくなったんだよ。そんで宴会以降、ずっとここに・・・」
「2日もこんな森に?いやぁ大変だったでしょ。じゃあ、ご飯も食べてないよね」
「あ、あー、うん」
「とりあえず、うちに上がっていきなさい。お茶ぐらいは出してあげるわ」
このように、霊夢はアニメとかにいそうな優しい奴っぽかった。もちろん冷たい部分もあったけど。
俺は霊夢の言う通りに、本殿?へ上がらせてもらう事にした。とはいえ、ここはほとんど霊夢の居住スペースになっているんだそうだ。
数分もしないうちに、霊夢がお盆の上に湯呑みを乗せて台所から出てきた。
はいどうぞ、と霊夢にお茶を飲むことを許可されたので、慌てずゆっくりと、ズズズと音を鳴らしながら飲んだ。
このお茶、おいしかったにはおいしかったけど、本音を言っちゃうとやはりファミレスに置いてあるような緑茶とほとんど味の差がない。もちろん、この事は霊夢にも内緒だ。
「でさぁ・・・あんた、これからどうするつもりでいるのよ?」
「どうしようって言われても・・・まず自分、この世界に何があるとかわからないし、俺はさっさと元の場所へ帰りたい
んだけど」
「そうかぁ・・・じゃ、アレやりますか」
と霊夢は言うと、正座の姿勢から立ち上がり、どこかへ行ってしまった。
しばらくして、霊夢が戻ってきた。なにかお祓い棒みたいなのを手に持って。
「さ、戻してあげるから、私についてきなさい」
この言葉を聞いて、俺は感激した。
もう手足が赤丸だらけにならずに済む、いつメンにまた会える、見慣れた街に戻れる。そう思ってたら、涙が出そうになった。こんなド田舎にいるより、よっぽどマシな都会に帰りたかった。
俺らは神社の外へ出て、霊夢は何かを唱え始めた。霊夢が宴会の時と表情が全く違う。オン・オフを切り換えられる人ってのが俺にとってなにより羨ましい。
・・・しかし、しばらくすると、霊夢が止まってしまう。すると霊夢は、?みたいな顔をして、もう一度同じ事をし始めた。
・・・が、またもや霊夢が唱えるのをやめてしまう。
この時から、もう薄々気がついてたんだ。俺もあいつらのようにアレをしなければならないのだと。
祐介の能力?あ、考えてなかった