1.
霊夢と紫が空中で変なもの(ドラゴンボールでいう気弾?)を飛ばしあっていた。
そんな空飛んでまで面倒な事してないで、話し合いかタイマンでなんとかすりゃいいものを、なんで2人はこんな事をしてるんだろう。
そういや説明するのを忘れてた。
実はあのあと、俺は霊夢に「なによこの妖気・・・あんたから出てるんだけど、まさか能力とか持ってたりする?」と聞かれた。
能力?そんな、中二病じゃあるまいし、俺はそんなものは持ってないと答えた。
するとどうでしょう、どこかからか、女の声が聞こえてきた。
「そう、彼の言う通り、彼は能力を持ってはいないわ・・・霊夢」
「!この声は・・・」
霊夢は声に反応すると、気だるそうな目つきに変わった。
「おはようございます。もうすぐ寝るけどね」
突然現れた女性。その名は八雲紫。
リボン付きの白いナイトキャップを被り、ド派手なドレスを着た、変わったヤツ。俺の友人に聞いたけど、こいつめっちゃやばいヤツなんだって?あと現実じゃババアだの馬鹿にされてるとかで有名なんだとか。
ババアとか言ったヤツ、今すぐ目を洗うか眼科行ってこい。ネットと違って、この人がとても老けてるようには見えなかったぞ。でも見てくれは20~30代といったところか。これはあくまで推測だから、この人の本当の年なんて知らん。だって実際に俺が聞いたら、この人に殺されかけたんだぜ。
この時初めて、人に年齢を聞くのは失礼だということを知った。以後気を付ける。
話を本題に戻すが、紫が現れたんだよ。
「あっそ。で、用件は?」
そんなヤバイヤツにそんな態度で平気なのかよ霊夢と思ったが、ライバルか何かなのだろう。
「さっきも言ったとおり、
「・・・言いたいことはそれだけ?」
「あなたならわかるはずよ、霊夢」
「はぁ・・・わかった、あれでしょ?」
「えぇ、あれよ」
さっきから、アレアレなんだろうと思って、自分の思っていたことを2人に言うと、紫曰く、どうやら俺は元の場所に戻れないようだ。
この事を聞いて、はぁっ!?ってなって泣きそうになった。
見知らぬ土地に1人で暮らすなんて、辛いにも程がある。しかもこの時の俺はまだ学生やってるんだぜ?一人暮らしも未経験だ。それなのに、一体どのようにして幻想郷という場所で暮らしていけばいいのか、わからなかった。
「でも大丈夫。彼にはちゃんと能力というものがあるから、ここで暮らしていく分には問題はあまり無いわよ」
「え?それどういうことよ、紫」
「え?」
「え?」
「え、貴女は私の言ってたことがわかったんじゃなかったの?」
「私は覚り妖怪じゃないんだから、あんたの言ってたことなんて知るわけないじゃない」
「こういうところが抜けてるのよねえ霊夢は。考えればわかることなのに、なぜわからないのかしら?」
霊夢は、わけがわからないと叫び、紫との謎のバトルが始まった。
そして現在に至り、バトルは終了。勝者は紫。
「最近のあなたは落ち着きが無さすぎる。もう少し頭を冷やして私の言ったことを理解しなさい?」
そんじゃ私はもう眠る時間なので、と紫は、あっという間に消えていった。
地面に寝込んでる霊夢を見ると、霊夢の服がボロボロに破けている。とはいえ、女性の大事な部分だけは死守したのか、無傷だった。
大丈夫か、と霊夢に声をかけてみると、これが大丈夫に見えるのかと言ってきた。
そんなら手を貸そうかと言うと、自分で起き上がれるから、しばらくこのままにしといて、と言われたので、俺は黙って縁側に腰掛けた。
・・・マジでどうしよう。どうやったら元の場所に帰れるんや。こんなド田舎マジ勘弁なんだけど?
「ド田舎で悪かったわね。こういう風景が落ち着くのよ、私にとっては」
霊夢は地面に寝そべりながら言う。
そうか?そうでもないような・・・いやでも、この神社ってずいぶん高いところに位置するんだな。
おかげで景色がブワァって広がって見える。奥に集落があって、左奥に柱のような何かが見えて、その隣にある山に雲が重なって・・・ん?
「ねぇ霊夢」
「・・・なに?」
「お前って、いつどうやってあいつらと知り合ったんだ?」
「初めて会ったのは・・・かなり前かしらねー。異変って知ってる?その時に私がわざわざ天界まで行って、比那名居のあいつを倒してきたのよ」
「異変って・・・なに、事件のことか?」
「そうねー。そんであいつったら、私の神社を壊してくれちゃって」
「それで天界に?」
「うん」
「・・・空を飛んで?」
「当たり前じゃない。あでも、流石に自力で行くのはキツかったから、あの山を登って天界に着いたわ」
ほら、あの山が見えるでしょう?と言って体を起こさずに山の方を指さす霊夢。いい加減起きたらどうなんだ。
笠雲がかかってる山の方を見る俺。確かにあの山からなら天界に行けるかもしれない・・・!てことは、あの山さえ登りきれば、俺は家に帰れるってわけだ。
やったぜ。これでようやく元の場所に戻れる。山の麓も、結構道が開けているのが見えるし、行くのは簡単だな!
「そうか!これでやっと家に帰れそうだ」
じゃあな、霊夢。と言おうとした、その瞬間。
「恐らくそれは無理ね。その前に死ぬわ、あんたが」
「・・・へ?」
あの山は氷山か何か?エベレストとかキリマンジャロ並の山岳なのか!?
次の瞬間、初めて聞いた霊夢の次の発言により、俺は失望してしまうこととなる。
妖怪に食べられて死ぬ、と霊夢は言った。
妖怪って、かっぱとかろくろ首みたいなのだよな。そんなのが人を食べるってどうなの。そんな事が、ここでは当たり前なのか?
「そうよ?元々妖怪がいないと、幻想郷のバランスが崩れるらしいからね。何せここは”最後の楽園”なんだし」
楽園・・・。その楽園は我々人間の為の楽園ではなく、妖怪共の為の楽園だということに気づいたのは、暫くしてからの頃である。
2.
翌日、手足を真っ赤な血に染めたような体になった俺は、再び神社に寄ってみることにした。すると、神社に意外なものが置いてあった。
車だ。レーシングカーでもなければ、ラリーカーでもない、至って一般的な赤色の乗用車が、ナンバーも付けずに鳥居の下の参道を塞ぐようにして止めてあった。
霊夢も大変だな。空飛べるのにわざわざ納車なんかして、しかも運ぶのに疲れ果てたのか、鳥居の下に雑に止めてあるし。
しかも見ろよこれ。なんでか知らないけど、ドアに車のキーが運良く挿さっている。車泥棒が来たら、間違いなく盗られているだろうよ。けどこんなとこから一体どうやって降りればいいんだ?
そんな事を思っていると、いつもの格好をした霊夢が家から出てきた。
朝起きて霊夢が最初にやる事は、賽銭の確認。
「今日も無し、か・・・」
おぅ、そりゃ残念だったな。俺も賽銭入れてやりたいけどよ、生憎金が無いもんで、賽銭入れてしまったら、これから先生きていけないかも。
次にやる事は、朝の体操。
「いっちにっ、いっちにっ」
屈伸、伸脚、アキレス腱、体側屈と、学校の体育の授業などで行われる準備体操を次々と進めていく。そして最後は深呼吸。多分だが、これを朝起きてやらないと脳が働かないのだろう。体操もせず常にボーっとしてる俺とは大違いだ。
さて、次は神社のあちこちに散らばっている木の葉を箒で掃く。そして、ようやく俺と霊夢は目が合う。
霊夢はびっくりしたような目で俺を見つめ、次第にいつもの面倒くさそうな目つきに戻った。次に霊夢の言動。
「あ、ああああんた!いつからそこに」
見られていたのが余程恥ずかしかったようだ。いや、目が「なんやコイツ」と俺を睨んでいる。
「霊夢が障子を開ける前から」
「はっ!!?は、早起きね!?」
てか、霊夢にはこの車が見えてないのだろうか。
「むしろ寝れなかったぜ・・・。それよりも、気にならないか?これ」
仕方ないので、俺の方から話を振ってみよう。
「なーんだ、また使えないゴミじゃない」
と霊夢は車を評価する。
「そうなのか?あっ・・・」
確かに使えないかもな。慌てて俺は車の下に頭を突っ込み、状態を確認した。
ガソリンが漏れてたりしてるのか・・・?いや、なんともなかった。それとも、ガソリン自体入ってないとか。
いや、それも違う。霊夢は普段空を飛んで移動してるから、車なんていう陸上系の乗り物なんて必要ないんだ。
俺も車とか運転の仕方がよくわからないし、何よりあれだ、ここからどうやって下に降りればいい?
けど、俺は思った。
「ためしにこの車を動かしてみようぜ」
鍵もあるんだ、そもそもこんなド田舎じゃ無免で走っても何も言われないだろ。
「いいけどー・・・てことは、私がこれを下におろせっての?」
俺は頭を縦に振ると、はぁしょうがないわね、と霊夢は1トンくらいしそうな車を持ち上げ、見事神社の下でおろしてくれた。それにしても、ここの階段長い上に雑草がヤバイわ。
さっそく俺は車のドアを開け、運転席に乗り込んだ。えーと、まずは鍵を挿し込んで・・・アクセルちょい踏んでエンジン起動・・・。
「ブオォン!」
おぉ動いた・・・。ま、なんとかガソリンもあるみたいだし、あとは道がわかればドライブも出来なくはないな。
俺は霊夢に、こっちに来いというジェスチャーをして、霊夢は車に乗り込んだ。
「何よ」
「気になるところがあるんだ。道案内してほしい」
「・・・で?それはどこなの?」
「集落みたいなところ。人がいそうな気がするんだ」
「・・・はいはい」
クラッチを入れて、2速にシフトチェンジ。そうそう、この車ってMTなんだよな。運転は親の運転を見てきたから、多分なんとかなるはず・・・。
さぁ出発だ。目的地は人間の里、人里というところだそうだ。
読んで下さり、ありがとうございます。
こんなgdgd展開ですが、これでもしっかりとストーリーを進めているつもりでもあります笑
気がついたら、もう7月なんですね。どうりで暑いわけです。みなさんも熱中症や脱水症状に気をつけてくださいね。(という私も・・・)