夢だったかもしれない幻想入り   作:歌 華

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#7 野宿の苦悩

1.

 

霊夢と紫が空中で変なもの(ドラゴンボールでいう気弾?)を飛ばしあっていた。

 

そんな空飛んでまで面倒な事してないで、話し合いかタイマンでなんとかすりゃいいものを、なんで2人はこんな事をしてるんだろう。

 

そういや説明するのを忘れてた。

 

実はあのあと、俺は霊夢に「なによこの妖気・・・あんたから出てるんだけど、まさか能力とか持ってたりする?」と聞かれた。

 

能力?そんな、中二病じゃあるまいし、俺はそんなものは持ってないと答えた。

 

するとどうでしょう、どこかからか、女の声が聞こえてきた。

 

「そう、彼の言う通り、彼は能力を持ってはいないわ・・・霊夢」

 

「!この声は・・・」

 

霊夢は声に反応すると、気だるそうな目つきに変わった。

 

「おはようございます。もうすぐ寝るけどね」

 

突然現れた女性。その名は八雲紫。

 

リボン付きの白いナイトキャップを被り、ド派手なドレスを着た、変わったヤツ。俺の友人に聞いたけど、こいつめっちゃやばいヤツなんだって?あと現実じゃババアだの馬鹿にされてるとかで有名なんだとか。

 

ババアとか言ったヤツ、今すぐ目を洗うか眼科行ってこい。ネットと違って、この人がとても老けてるようには見えなかったぞ。でも見てくれは20~30代といったところか。これはあくまで推測だから、この人の本当の年なんて知らん。だって実際に俺が聞いたら、この人に殺されかけたんだぜ。

 

この時初めて、人に年齢を聞くのは失礼だということを知った。以後気を付ける。

 

話を本題に戻すが、紫が現れたんだよ。

 

 

「あっそ。で、用件は?」

 

 

そんなヤバイヤツにそんな態度で平気なのかよ霊夢と思ったが、ライバルか何かなのだろう。

 

「さっきも言ったとおり、 今の彼には(・ ・ ・ ・ ・ )能力はないわ」

 

「・・・言いたいことはそれだけ?」

 

「あなたならわかるはずよ、霊夢」

 

「はぁ・・・わかった、あれでしょ?」

 

「えぇ、あれよ」

 

 

さっきから、アレアレなんだろうと思って、自分の思っていたことを2人に言うと、紫曰く、どうやら俺は元の場所に戻れないようだ。

 

この事を聞いて、はぁっ!?ってなって泣きそうになった。

見知らぬ土地に1人で暮らすなんて、辛いにも程がある。しかもこの時の俺はまだ学生やってるんだぜ?一人暮らしも未経験だ。それなのに、一体どのようにして幻想郷という場所で暮らしていけばいいのか、わからなかった。

 

 

「でも大丈夫。彼にはちゃんと能力というものがあるから、ここで暮らしていく分には問題はあまり無いわよ」

 

「え?それどういうことよ、紫」

 

「え?」

 

「え?」

 

「え、貴女は私の言ってたことがわかったんじゃなかったの?」

 

「私は覚り妖怪じゃないんだから、あんたの言ってたことなんて知るわけないじゃない」

 

「こういうところが抜けてるのよねえ霊夢は。考えればわかることなのに、なぜわからないのかしら?」

 

 

霊夢は、わけがわからないと叫び、紫との謎のバトルが始まった。

 

そして現在に至り、バトルは終了。勝者は紫。

 

「最近のあなたは落ち着きが無さすぎる。もう少し頭を冷やして私の言ったことを理解しなさい?」

 

 

そんじゃ私はもう眠る時間なので、と紫は、あっという間に消えていった。

 

地面に寝込んでる霊夢を見ると、霊夢の服がボロボロに破けている。とはいえ、女性の大事な部分だけは死守したのか、無傷だった。

 

大丈夫か、と霊夢に声をかけてみると、これが大丈夫に見えるのかと言ってきた。

 

そんなら手を貸そうかと言うと、自分で起き上がれるから、しばらくこのままにしといて、と言われたので、俺は黙って縁側に腰掛けた。

 

・・・マジでどうしよう。どうやったら元の場所に帰れるんや。こんなド田舎マジ勘弁なんだけど?

 

 

「ド田舎で悪かったわね。こういう風景が落ち着くのよ、私にとっては」

 

霊夢は地面に寝そべりながら言う。

 

そうか?そうでもないような・・・いやでも、この神社ってずいぶん高いところに位置するんだな。

おかげで景色がブワァって広がって見える。奥に集落があって、左奥に柱のような何かが見えて、その隣にある山に雲が重なって・・・ん?

 

「ねぇ霊夢」

 

「・・・なに?」

 

「お前って、いつどうやってあいつらと知り合ったんだ?」

 

「初めて会ったのは・・・かなり前かしらねー。異変って知ってる?その時に私がわざわざ天界まで行って、比那名居のあいつを倒してきたのよ」

 

「異変って・・・なに、事件のことか?」

 

「そうねー。そんであいつったら、私の神社を壊してくれちゃって」

 

「それで天界に?」

 

「うん」

 

「・・・空を飛んで?」

 

「当たり前じゃない。あでも、流石に自力で行くのはキツかったから、あの山を登って天界に着いたわ」

 

 

ほら、あの山が見えるでしょう?と言って体を起こさずに山の方を指さす霊夢。いい加減起きたらどうなんだ。

 

笠雲がかかってる山の方を見る俺。確かにあの山からなら天界に行けるかもしれない・・・!てことは、あの山さえ登りきれば、俺は家に帰れるってわけだ。

 

やったぜ。これでようやく元の場所に戻れる。山の麓も、結構道が開けているのが見えるし、行くのは簡単だな!

 

「そうか!これでやっと家に帰れそうだ」

 

じゃあな、霊夢。と言おうとした、その瞬間。

 

「恐らくそれは無理ね。その前に死ぬわ、あんたが」

 

「・・・へ?」

 

あの山は氷山か何か?エベレストとかキリマンジャロ並の山岳なのか!?

次の瞬間、初めて聞いた霊夢の次の発言により、俺は失望してしまうこととなる。

 

妖怪に食べられて死ぬ、と霊夢は言った。

 

妖怪って、かっぱとかろくろ首みたいなのだよな。そんなのが人を食べるってどうなの。そんな事が、ここでは当たり前なのか?

 

「そうよ?元々妖怪がいないと、幻想郷のバランスが崩れるらしいからね。何せここは”最後の楽園”なんだし」

 

楽園・・・。その楽園は我々人間の為の楽園ではなく、妖怪共の為の楽園だということに気づいたのは、暫くしてからの頃である。

 

 

2.

 

翌日、手足を真っ赤な血に染めたような体になった俺は、再び神社に寄ってみることにした。すると、神社に意外なものが置いてあった。

 

車だ。レーシングカーでもなければ、ラリーカーでもない、至って一般的な赤色の乗用車が、ナンバーも付けずに鳥居の下の参道を塞ぐようにして止めてあった。

 

霊夢も大変だな。空飛べるのにわざわざ納車なんかして、しかも運ぶのに疲れ果てたのか、鳥居の下に雑に止めてあるし。

 

しかも見ろよこれ。なんでか知らないけど、ドアに車のキーが運良く挿さっている。車泥棒が来たら、間違いなく盗られているだろうよ。けどこんなとこから一体どうやって降りればいいんだ?

 

そんな事を思っていると、いつもの格好をした霊夢が家から出てきた。

 

朝起きて霊夢が最初にやる事は、賽銭の確認。

 

 

「今日も無し、か・・・」

 

 

おぅ、そりゃ残念だったな。俺も賽銭入れてやりたいけどよ、生憎金が無いもんで、賽銭入れてしまったら、これから先生きていけないかも。

 

次にやる事は、朝の体操。

 

 

「いっちにっ、いっちにっ」

 

 

屈伸、伸脚、アキレス腱、体側屈と、学校の体育の授業などで行われる準備体操を次々と進めていく。そして最後は深呼吸。多分だが、これを朝起きてやらないと脳が働かないのだろう。体操もせず常にボーっとしてる俺とは大違いだ。

 

さて、次は神社のあちこちに散らばっている木の葉を箒で掃く。そして、ようやく俺と霊夢は目が合う。

 

霊夢はびっくりしたような目で俺を見つめ、次第にいつもの面倒くさそうな目つきに戻った。次に霊夢の言動。

 

 

「あ、ああああんた!いつからそこに」

 

 

見られていたのが余程恥ずかしかったようだ。いや、目が「なんやコイツ」と俺を睨んでいる。

 

 

「霊夢が障子を開ける前から」

 

「はっ!!?は、早起きね!?」

 

 

てか、霊夢にはこの車が見えてないのだろうか。

 

 

「むしろ寝れなかったぜ・・・。それよりも、気にならないか?これ」

 

 

仕方ないので、俺の方から話を振ってみよう。

 

 

「なーんだ、また使えないゴミじゃない」

 

と霊夢は車を評価する。

 

「そうなのか?あっ・・・」

 

確かに使えないかもな。慌てて俺は車の下に頭を突っ込み、状態を確認した。

 

ガソリンが漏れてたりしてるのか・・・?いや、なんともなかった。それとも、ガソリン自体入ってないとか。

 

いや、それも違う。霊夢は普段空を飛んで移動してるから、車なんていう陸上系の乗り物なんて必要ないんだ。

 

俺も車とか運転の仕方がよくわからないし、何よりあれだ、ここからどうやって下に降りればいい?

 

けど、俺は思った。

 

「ためしにこの車を動かしてみようぜ」

 

鍵もあるんだ、そもそもこんなド田舎じゃ無免で走っても何も言われないだろ。

 

「いいけどー・・・てことは、私がこれを下におろせっての?」

 

俺は頭を縦に振ると、はぁしょうがないわね、と霊夢は1トンくらいしそうな車を持ち上げ、見事神社の下でおろしてくれた。それにしても、ここの階段長い上に雑草がヤバイわ。

 

 

さっそく俺は車のドアを開け、運転席に乗り込んだ。えーと、まずは鍵を挿し込んで・・・アクセルちょい踏んでエンジン起動・・・。

 

「ブオォン!」

 

おぉ動いた・・・。ま、なんとかガソリンもあるみたいだし、あとは道がわかればドライブも出来なくはないな。

 

俺は霊夢に、こっちに来いというジェスチャーをして、霊夢は車に乗り込んだ。

 

「何よ」

 

「気になるところがあるんだ。道案内してほしい」

 

「・・・で?それはどこなの?」

 

「集落みたいなところ。人がいそうな気がするんだ」

 

「・・・はいはい」

 

クラッチを入れて、2速にシフトチェンジ。そうそう、この車ってMTなんだよな。運転は親の運転を見てきたから、多分なんとかなるはず・・・。

 

さぁ出発だ。目的地は人間の里、人里というところだそうだ。




読んで下さり、ありがとうございます。
こんなgdgd展開ですが、これでもしっかりとストーリーを進めているつもりでもあります笑
気がついたら、もう7月なんですね。どうりで暑いわけです。みなさんも熱中症や脱水症状に気をつけてくださいね。(という私も・・・)
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