〇12月16日
記憶喪失の黒の組織幹部、ベルモットことクリスさんの世話役は基本的に女性の方がいいと思って、組織の動向を知るにはちょうどいいと思ってキュラソーであるマリーさんを付けてみたら、一月経たずにギブアップされた。
元々知り合いだったというあたりを言葉を濁して誤魔化していたが、性格が違いすぎて吐き気がするそうだ。どんだけ?
しばらくの間全力全壊で事後処理に当たってた俺と安室さん、そして恩田さんはしばらくの間は休みだ。
もうね、さすがにこれ以上働いていられるか。
一週間でしっかり寝た時間合計しても多分一桁だぞクソが。
合間の移動中やらの数分の睡眠時間まで合わせてようやく二桁とか超過労働ってレベルじゃない。
……年末年始からはまた地獄が始まるからそれに備えて休養取らなくちゃ。
あとアレだ、どうにか時間を作って哀のメンタルケアもやっておくか。
姉には心配をかけさせたくなく、かといって吐き出す相手がいないという事で、家に帰れるときは最近じゃあいっしょに寝るようになった。
お姉さんの話だとずっと一緒に寝てる時も様子がおかしく、戻ってきてからはふなちや七槻と寝ていたが眠れなかったそうな。
なんというか、マジで枡山さんがトラウマというかヤバかったんだな。
あの人の話をしろと言われて、出会った時からの事を少し話したら頭痛を訴えだした。
背中ポンポンしてやったら案外あっさり寝たからちょっと安心したけど……。
せがまれても、哀の前で枡山さんの話をするのは止めておこう。
〇12月18日
正式に初穂を副所長に任命。
そして安室さんは、近々役職しっかりと用意するけど、現場の指揮官として働いてもらおう。
補佐……マリーさんか沖矢さんがベストかなと思ったんだけど、W組織幹部(一応)に現場任せるのはさすがに不味いし、沖矢さんは辞退されたので残るキャメルさんを補佐に。
研修での出向でなければリシさんもなかなか視野が広いし、交渉事も出来るから候補に入れたんだけどなぁ。
まぁ、今のキャメルさんなら関連免許取りまくって文字通りのマルチドライバーだし役立つ場面はそれこそ死ぬほどあるだろう。
一人乗りの潜水調査艦も問題なく乗りこなせるし。
恩田さんも車以外に船も一応使えるし、整備用の多目的ドックも完成間近だし、装備一式もまた買い揃える予定だ。
場合によっては海に出る必要もあるし、偽装漁船用意しておくか。
〇12月20日
ジョドー達の部署体制が整った。
下笠さん――穂奈美さんをメイド長に、ジョドーを執事長という事でそれぞれ設立。欧米か。
まぁ、純粋な接客やパーティなどで人を集めた時の接待役と、それを隠れ蓑にした諜報、および護衛部隊なのでそんなに変わらない。
ちょっとした情報収集とかそれこそ下笠姉妹の得意分野だし。
強いて言うなら執事側の方がより武力が求められるって事か。
今の所まだ出番はないけど、いざって時には例の鎧使って誰かの盾になったり、あるいは攻勢に出る事だってある。
まぁ、当面の間は、真下のレストランで料理と人気作曲家の
山猫隊は、これまで通り緊急時に急行する初期対応班として使うか。
〇12月21日
珍しく会ったこともない探偵が俺を訪ねてきた。
安楽椅子探偵として知られる
アメリカで知り合った
こうして日記を読み返しても出会った記録はないし間違いないだろう。
こちらとしても名の知られている探偵は色んな意味で要チェックな存在なので出迎えてみたが、訪ねてきた理由が予想外だった。
まさか、俺の昔の交通事故の事を聞きに来る人がいるとは思わんかったわ。
といっても正直俺も全く覚えてなかったので、当時聞いたことを出来るだけ思い出して伝えた。
なんでも、あの交通事故の現場、彼女の思い出の場所に近くて色々調べてたんだとか。
話した感じ普通の御婆ちゃんだったけど、安室さんがすっごい気にしてたので一応裏取りしてみている。
〇12月22日
少年探偵団も招いてのパーティは毎年じゃないけど毎年の事で段取りも慣れたもので料理も順調に準備が進んでいる。
うーん、文章がカオス。
まぁ、本番は明日の夜からスタートなのだが、亀倉さん様様ですわ。
ヴェスパニアのパーティで実際に調理することはなかったけど、その時の段取り経験をしっかり吸収しているのはさすがですわ。
もはやウチの調理師陣のエースですわ。気が付いたら実際リーダーっぽい事やってるし、店の方で雇った他の調理人の人心掌握に教育もしっかりやってくれてるし。
マジでなんで泥棒やった?
エレベーターの追加工事が完了したら上の階に料亭用意するから待っててくれ……。
さっき見た時はステージの周りで、今回は黒羽君が紅子を巻き込んで張り切っている。
子供たちに楽しんでもらおうと張り切ってるからなぁ、黒羽君。
中森警部の家にも招待状送ってるし青子ちゃんは絶対に来れる、と。
うん、明後日のパーティは問題なさそうだな。
パーティに呼ぶ真純とか瑛祐君達はともかく、表に出れないメアリーにも何かしないとなぁ。
ロシアの件では滅茶苦茶世話になったし。
一応プレゼントは用意してるけど、花束も注文しておくか。
〇12月24日
事務所員や招待者、子供たちが程よく楽しんでいる間にこっそりケーキと料理一式、それに花束包んでもらって抜け出してメアリーに会ってきた。
会うなり驚いて「何をしに来た」って、お祝いに来た以外の何に見えるというのか。
ちゃんとサンタ服も着ていったのに
今気づいたけど完全に年下の子に会いに行く感じだったわ。
そりゃあ不審者を見る目で見られるか。
思えば、哀が最近たまに子供っぽくなる時があるから同じように扱ってしまったのかも。
顔もちょっと似てるし。
まぁ、なんだかんだでプレゼントは気に入ってもらえたようでなにより。
例の組織から逃亡しているようだし、万が一の時には換金しやすい物がベストだろうと思って今の身体に合うような腕時計をプレゼントした。
高価なものだと一目でわかるようなのは不味いと思って、デザインは目立たないシックな物って注文を付けていたけど、いざという時に売り払えばそこそこの資金にはなるハズ。
ついでに水中でもしっかり動くし、例のスーツに合わせて使える。
ちゃんとした所に頼んだ特注品だし。
この間来た京極君もそうだけど、前線張るタイプは万が一があるし出来るだけ装備は整えておかないと。
特に、逃亡する必要があるかもしれないメアリーみたいな人間は、逃走のための資金源を確保しておかないとな。
でもメアリー、地味に女王様気質だよね。
無言で腕差し出されても、付けろって意味にすぐ気付かねーよ。
〇12月25日
本来ならば七槻たちとどこかに出かけるのがいつもの慣習なんだが、今年は互いに仕事でドタバタすることになった。
楓と哀は冬休み初日って事で、ふなち引率の下探偵団のメンバーと仮面ヤイバー映画を観に行っていた。
こういう時は仮面ヤイバーについてウチの家で一番詳しいふなちが便利すぎる。
千葉刑事の影響かなぁ。
個人的に哀が「私はパス」って言いださなかったのが少し予想外だった。
俺達は年末年始の挨拶の用意もあったし、加えて年明けに揃ってヴェスパニアとカリオストロに海外出張なのでその用意で忙しくしている。
マジでしばらくの間は、この前ほどじゃあないけど忙しくなるな。
一月いっぱいはマジで地獄になるな。
シンドラー・カンパニーとの一件が何事もなく終わればいいんだけどまず絶対に100%なにか起こるのは確定なんだろうなぁ。
シンドラー会長、出会う前に殺されたりしねーだろうな?
とりあえずコクーンのパーティの時には、爆発物の処理に長けた人物でチーム組ませて待機させなくちゃ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ま、複数人で年越すには鍋が一番だよな。
「七槻、肉は充分か?」
「充分すぎるよ! いや君は確かに男の子らしくよく食べるけどさ!」
「私もたっっくさん食べるよ! ね、哀ちゃん?」
「そうね。でも、野菜もちゃんと食べなきゃダメよ? 楓さん」
「あ、桜子様! ドリンクは私が運びますので、グラスの方お願いします!」
「あの、ふなちさん、家政婦の私に様付けは……。いえ、とにかくトレー用意しますね」
年明けて三が日超えたらすぐに飛ぶけど、せめて年末年始くらいはゆっくりしなければ身も心も持たん。
子供たちにお年玉も渡しておきたいし。
(クリスマスと正月の連続コンボって、渡す相手が出来ると地味に地獄だよなぁ)
肉の匂いに釣られてかこっちに突進しようとしているクッキーを上手い事止めている源之助の様子が面白くてビデオ回してたら、源之助にギロリと睨まれた。
わかったわかった、向こうの部屋に連れて行くから。
「桜子さん、クッキーと源之助の餌どこだっけ? 向こうの部屋に連れて行って餌食わせるついでにドア閉めてくる」
「あ、はい。大丈夫です、私がやっておきます。えぇと、あの部屋の鍵は……」
「いいよいいよ。源之助もいるならクッキーがドア開けないように見張ってくれるし、トイレもそこに設置してあるし、餌があれば十分十分」
「あぁ、それもそうですね。わかりました。ほら、クッキーちゃん、君のご飯はあっちですよー?」
完全にクッキーが源之助の舎弟というか、格付けが完了しているなぁ。
行先を邪魔する源之助に吠えたりせずに目の前でウロウロするあたりが。
まぁ、それでも喧嘩している様子はないしクッキーもじゃれついてる所よく見るし問題はないか。
「それにしても、こうして君がこの家でゆっくりしてるのってなんだか帰ってきた感じがするね、透君」
「いやまったく。11月あたりからはマジで帰れなかったからな」
人員を増やさなければ……。マジで増やさないと来年から死ぬ。
いやもうすでに俺とか恩田さんは死に続けてゾンビみたいなもんだけどさ。
安室さんもそうだけど初穂にも無理させたしなぁ。
「七槻、そっちの会社でこっちに回せそうな人員いない?」
「事務所の方かぁ。調査員というよりスタッフだよね?」
「うん」
「……機密性高いからなぁ。パッと思いつくのは君と仲のいい薫子ちゃんとか大嶺さんだけど」
「……薫子に大嶺さんかぁ」
薫子は、以前万引きやってる所とっ捕まえた、紫のメッシュを入れてる不良学生……なんだが、えらく懐かれて越水の会社のバイトを紹介してからはしっかり働いているいい子だ。
大嶺さんは、ウチのコクーンの調整などで働いてもらっている金山さんの友人で、いわゆるチンピラで粗暴な所はあるんだが面倒見がいい所があるので会社に誘った人だ。
(……まぁ、仕事の手伝いという意味では十分役に立つか。……薫子は)
大嶺さんは良くも悪くも直接人と会う仕事の方が向いてるんだよなぁ。
金山さんから最近の様子を聞いているが、地域振興課では一人暮らしのお年寄りさん達に大人気だとか。
「? 信頼できる人が必要でしたら、紅子様にお尋ねしてみてはどうでしょう透様」
「紅子に?」
食材を並べ終わって炬燵に入ってきたふなちが、予想外の名前を出してきた。
紅子? いや確かにここぞという時に頼りになる女だけど。
「ほら、紅子様は関わった事件で傷心された女性のアフターケアを進んで行っていらっしゃいますでしょう? 紅子様が初めて関わった密室殺人事件で出会った
紅子を訪ねてきてる和泉……和泉……。
あぁ、あのちょっと雰囲気暗いけどなかなか可愛い娘か。
ちょっと声かけようとしたら紅子に睨まれて即座に戦略的撤退したの思い出したわ。
「そうか、あの子かぁ。いいのかな? 和泉さんだけじゃなくてその女性たち、紅子が気にかけてるって事は、逆に言えば危うい所があるって事だし」
――ブー、ブー、ブー!
「あれ? 透君、携帯」
「あぁ、誰だろう……メール?」
噂をすれば紅子からじゃねーか。
えぇと?
『こっちからそれぞれに話を振ってみるからちょっと待ってなさい』
「………………………………」
「透様? 急にキョロキョロされてどうかされたのですか?」
「いや、監視カメラと隠しマイクはどこかなって」
「そんなもの僕達の家の中にあったっけ!?」
ねーよ。ねーけど見てるっつーか分かってる奴がいるんだよ。
さすが紅子。単身ロシアに乗り込んでくるだけはあるわ。
アイツ基本はバイトの事務手伝いだけど、もう調査員でいいんじゃねーか?
推理力はからっきしとかいうけど、瑞紀ちゃんと組んだ時の察しの良さとか観察力はかなりのもんじゃねーか。
真純や黒羽君、コナン、安室さん、それに大阪の平次君とメールで事件の話やら相談やらのやりとりしてるから、そういうノウハウ地味に蓄積してると思うんだよなぁ。
やっかいな事件が解決した時はいつも事件の経緯とかを、解決した調査員と一緒に見落としやミスがないか見直してるし。
派手さはないけど、堅実にサポートしてくれるから安心できるんだよなぁ。
先日のロシアみたいにちょっと無茶をする事はあるけど、それでも致命的な危機に陥る状況は徹底的に避けるから安定感が半端ない。
「よし、最初の具もほどよく煮えたようですし、まずは私がよそいましょうか?」
しばらくキョロキョロしていると、鍋の煮え具合を見ていた桜子ちゃんが俺の器に手を出そうとしていた。
「あぁ、いいよいいよ。せっかくの鍋なんだし皆好きにやっちゃおう」
さて、また今年が終わる。
テレビに出てくる最近売れ出したという芸人はもう数年は売れ出してる状態だし、近所のコンビニはずっと開店セール中と来たもんだ。
(さすがにもう慣れつつあるというか、まぁデカい変化もあったしなぁ)
ピスコ。枡山憲三。枡山さん。
俺と同じ結論に至った人間。
(少なくとも実際は普通に時間が進んでいて、俺の頭だけがイカれていて上手く認識できていない……なんて可能性は多少減ったか)
あのハッチャけた人間が同じ答えにたどり着いたってのは微妙に怖くもあるけど……。
(はてさて、次の今年には何がくるやら)
枡山さんというとんでもない爆弾が現れたとはいえ、本来の敵である黒の組織も油断するわけにはいかないし、青蘭さんの事もある。
(まぁ、またどっかに頭森谷な奴が現れてヒャッハッハー! って爆破させるんだろうなぁ)
時間には慣れつつあるけど爆破の事を考えると胃がシクシクするな。
あのバー・カクテルでぶっ飛ばされた時とか、本気でほぼノーガードだったから死ぬところだったし。
「よし、とにかく元気出していこう。その肉もらい!」
「お兄ちゃん! 野菜も食べなさい!」
「楓が食ったら食う!」
〇
CV:山寺宏一
アニメ385~387話『ストラディバリウスの不協和音』
コミック46巻:前奏曲(プレリュード)
皆、待たせたな。
コナン回の加持リョウジ、羽賀響輔。今思うとこの回もすごい前なんですが、一応原作的には大事な話。
その回に登場した人気作曲家、それが彼です。
当時はマジで皆、エヴァンゲリオンの加持さんにしか見えないと言ってましたね。
CVも同じだけどキャラも似ているから狙ったとしか思えないww
登場シーン的にピアノを弾いてるイメージが強いんですけどヴァイオリンのプロフェッショナル。
ドイツの音楽大学を首席で卒業。
長期連載だからしかたないんだけど、各方面のプロフェッショナルが多すぎる。
〇
CV:野沢雅子
アニメ219話『集められた名探偵! 工藤新一VS名探偵コナン』
コミック30巻:「糾合」
CV的に最強の存在かもしれん。京極真連れて来い。
ストーリー的にはひょっとしたら重大かもしれない事件に関わった探偵の一人。
安楽椅子探偵とはいうが、原作で解説されていた動きを考えると60歳にしては滅茶苦茶俊敏に動けるとしか思えない。
さすが野沢雅子キャラ。最強じゃったか。
〇
CV:
同回に登場した探偵の一人。
探偵たちのレクイエムにも名前だけは登場。
まさにハードボイルドといった感じの雰囲気を持っている39歳。
上記の回の日が40歳の誕生日まであと3日という日だったのだが残念、サザエさんワールドなのでこのままもうちょい待っててくれ。
この事件で出てきた探偵たちは、すべて実際の名探偵が名前の元ネタになっている模様。
〇
CV:千葉紗子
アニメオリジナル第603~605話『降霊会W密室事件』
メインキャラとして使うことはないだろうけど絶対サブキャラとして好きな時に使えるようにしておこうと思った女の子ベスト5の一人。
気弱で髪短めなキャラはなんか好きで使いたくなる(使えない)
作中ではボソボソした喋り方をする人ですが意外にもコスプレイヤー。
中学、高校とイジメを受けていて、大人に待っても引きこもっていた所をネットで知った有名コスプレイヤー『
事件のきっかけとなったある出来事がきっかけなのか、本編時には元の暗い性格になってしまっているが、煌が生きていた時はもっと明るかった模様
本作では当事件は紅子達が解決。
キッドワールドのツンデレ魔女的に気弱な彼女を放っておけず、面倒を見ているためなんとか社会復帰できている模様