平成のワトソンによる受難の記録   作:rikka

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どの感想か分からなくなってしまったのでここで私信。
クッキーおよび八木坂さんの人物紹介の抜け報告ありがとうございます。

もう一度事件を観直してから該当するシナリオに追加するので、もう少々お待ち下さい!


探偵事務所の日常(2年目後半)
077:九月に入り二年目も残り三か月となったので事件カモン(願望)


 アメリカへ渡ったのは、今後凶悪化していくだろう犯罪に対して対抗できる人員――ぶっちゃけ戦力の確保が必要だと思ったから。

 

 ――と、いうのが表向きの理由である。いや、嘘ではないし実際すごく重要な事だけどさ。

 

 元々アメリカ行きを決めた理由は大きく分けて二つあった。

 確実に(物語的にも)重要人物であるだろう水無怜奈――本堂瑛海を自陣営に置いておく事。

 そしてもう一つは――実験だった。

 

 正直な話、主人公格たる江戸川コナンの周囲を固めすぎたのではないかという不安が俺にはあったのだ。 

 物語の主人公に必要な物はいくつかあるが、その中で俺が最も重要な要素だと思うのが、自身かヒロインのピンチだ。

 

 往々にして、ヒーローというものは自身が傷つくか何かを失いかけたり、あるいは失ったりして成長していくものだ。

 

 俺は、コナンの捜査の障害となる要因を取り除く事に去年という今に全力を注いだけど、同時にやりすぎたかという不安もあった。

 確かにアイツは安全になる。犠牲者も減る。減らしてみせる。が、それらが俺の目的にとっての遠回りになりかねない。

 本来流れるはずだった血が流れず、その上主人公勢をむやみに籠の中に入れておけば、それこそ完全なループになりかねない。

 

 ゆえに実験。意図的に主人公の周辺の戦力を減らす事で、事態がどのように進行するか見ておきたかったのだ。

 

 全て自分の想像でしかない。そう、妄想かもしれない。

 カリオストロでの造幣設備で出会ったどっかのスパイみたいな美人さんの言うとおり、間違いなくこの世界でイカれているのは自分なのだ。

 

 それでも、自分は前に突き進むしかないのだ。

 いくつかの偶然が重なったとはいえ、自分は権力を手に入れ、それを行使する側になってしまったのだから。

 

「――で、なにがどうなって国を相手に戦争仕掛けるハメになったのかキチンと僕達に説明してくれるんだよね?」

 

 

 

 

 

 それでも、男には逃げ出したい時がある。

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

「立つのがやっとの状態って一体何をどうしたらそこまでの怪我を負う羽目になるのでしょうか?」

「ま、銃創の様子から見てもかなり大口径の銃で撃たれてるみたいだし……死んでないだけ運はいいんじゃないかしら?」

「……この日本で、そんな運の確かめ方を耳にするなんて私、思いませんでし……あぁ、いえ。最近はよく耳にしてましたわね」

「所長、何も言わずに正座で待機してましたねぇ……」

 

 一足先に戻っていた副所長達は、所長さんが帰国するのと同時に身柄を確保しに来た。俺も安室さんも予想済みだった。マリーさんや水無さんもだ。

 赤井さん――もとい、沖矢さんめっちゃ上機嫌だったけど同時にすごく参戦したかったって言ってたな。

 ちくしょう、呑気な事言いやがって。こっちは全身のあらゆるところから血を流してゴミのように流されかかってた所長拾い上げるのにどんだけ苦労したことか……。

 それでもなんだかんだで三日で意識取り戻してんのはどういうことだよあの人。

 

 今はいつも通りの専用病室にて、ベッドの上で正座している所長と問い詰めている副所長を、俺――瀬戸瑞紀とふなち、そして例の妹さん――灰原哀が眺めている。

 

「だいたいなんでド派手に暴れてるのさ! 仕事は仕方ないとしても、もうちょっとこっそりなんとか君なら出来たよね?!」

「……………………だって」

「だってじゃない!!」

 

 

 

「ガキね」

「ガキですわね」

 

 唇を尖らせてぼそっと呟く所長に対してふなちと妹さんが辛辣な感想を吐く。

 ひでぇ。

 一応所長さん、今や世界中からヒーロー扱いされてる身なのに。キッドも。ルパンも。……特にキッド。

 

「しかしまぁ、確かに……浅見様ならもっと姑息に立ち回れた気がしなくもないのですが……」

「ふなちさん、所長に対しての信頼がちょっと屈折してません?」

 

 いやまぁ大体はあってる気がするけど。

 

「そうね。彼の事だから意表をついて、勝負の前から敵の手も足ももいでいて、相手がその気になった時に拍子抜けさせるって方がらしいと思うけど」

 

 妹さんあれか。明美さんの事知らないまま死のうとしてたのもあって所長への感情大分屈折してるよね。

 あの人の周りには屈折した信頼しかないのか。

 ……なんだ、いつも通りか。

 

「実際、どうなんですの瑞紀様。なんだか、カリオストロでの中継映像も見る限りだいぶ冷静さを失っていたようにお見受けいたしますが……」

「あー、いや、まぁ最初っから色々無茶する予定ではあったんですけど……」

 

 この部屋備え付けのテレビ――他の病室のとは違って少々大型の、しかも阿笠博士が色々手を加えた作品だ――からは、未だに探偵浅見透とカリオストロ公国親衛隊の戦いの様子が流れている。ライフル、そしてシングルアクションの自動拳銃を使って大暴れしている様はどう見ても映画である。

 

「あー、その……今回は所長の知り合いだったICPOの人と一緒にルパン対策という名目で内部に潜入したんですけども……途中で追いだされる羽目になりまして」

 

 一応の流れは知っている。自分も傍にいたのだから。

 チラっとベッドの方に目を向ける。

 所長さんは俯いたままで、副所長は耳がピクッと動いている。

 

「なんとか捜査を続けられないかって所長が切り出したら……そのぅ」

「切り出したら?」

「……副所長とふなちさん……所長の家の女性陣をメイドというか傍付きというか……そう言うので差し出したら考えてやるとか言いだしやがって……」

 

「…………」

「…………」

 

 三人揃って、ベッドの方に目を向ける。

 

「それで所長さん、静かにキレちゃって……」

 

 所長さんは俯いたままで、副所長は耳がピクピクッと動いている。

 

「……そうなの?」

 

 副所長が少し前屈みになって、所長さんの顔を覗きこむ。

 

 ぷいっと、所長さんは左にそっぽを向く。

 

 左から副所長が覗きこむ。

 

 ぷいっと、所長さんは右にそっぽを向く。

 

 右から副所長が覗きこむ。

 

 所長さん、とうとう俯きだす。ガキか。

 

「…………」

「…………」

 

 しばらくそのままじーーーーーーーっとしていると、所長さんは口をモゴモゴさせて、

 

「……………………だって」

 

 と唇を尖らせる。

 ガキだ。まごうことなきガキだ。あんたカリオストロ公国での魔王じみたカリスマどこ行った。

 

 対して我らが副所長は、前屈みになったまま微動だにしない。

 

「ふなちさん」

「そうね、解説お願い」

 

 俺と妹さんの問いかけに、もっとも二人に詳しい専門家においでいただく。

 

「かしこまりましたわ瑞紀様、哀様。いいですか? あちらに見えますのが思いがけず、ご自分が考えていた以上に浅見様が自分達の事を気にかけていたのを知って動揺、怒りを畳み掛けるタイミングを見失った越水様の姿にございます。ごらんください、あの口元を。ニヤけそうになるのを隠すために必死に真一文字に結んでおりますが端の方がピクピクと。それに頬も少し赤く――」

「――そこ! うるさいよ!!」

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 9月7日

 

 記者会見につぐ取材取材取材取材取材こおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ……

 おう記者さん共よ。貴様ら、俺が病みあがりだと言う事を忘れていないだろうな?

 

 腹に穴が空いてんだぞ? ブチ空けたの俺だけどさ。

 

 安室さん色々と手を回してくれて本当にありがとうございました。

 おかげで俺の代わりに色々とテレビやらに出る羽目になったようですね。イケメン名探偵と話題の様でふぁーーーーっく!!!

 

 いや、もともとそっちで密かに依頼があったのは知ってるけどさ。よく知ってるけどさ。えぇ御存じですとも。ちくせう。

 

 カリオストロに向かったのは事故からの偶然。その後暗殺部隊の襲撃に巻き込まれて事件に関わる事になったという、一応本当の部分も混ぜての説明がマスコミに対しての説明だった。

 越水達にも、カリオストロの調査が国からの依頼だったという点を付け加えて、後は同じ説明だ。

 

 さすがに自分からCIAをちょっくら(いじ)るために暗殺誘発しましたなんて馬鹿正直に話してはいない。

 そんな事を言えば俺は越水の手で愉快なオブジェに変質させられるだろう。

 

 ともあれ、今回はマジで色々反省することが多い。まさか佐藤刑事が死にかかって蘭ちゃんが記憶喪失になる程の事態が起こるとは思わなかった。

 当初の計画で言えば実験は成功と言えるんだけどこれはさすがに手放しで喜べる状況じゃない。

 最初に考えた事務所メンバー全員を移動させる案を実行しなくて良かった。

 残っていた面々には臨時ボーナス払っておいた。合衆国政府からの依頼は完璧にこなせたし、もちろん報酬もデカイ。それくらいは容易い。

 

 さて、今こうしてペンを走らせながら色々と考えているんだけどこれからどうしよう。

 

 蘭ちゃんってか毛利探偵事務所への銃撃事件に関しては一応決着がついた。

 犯人、風戸京介が確実に口を塞ぐために雇った傭兵が二人いたようだ。

 風戸京介の家のパソコンから拳銃の購入先を洗っているうちに、依頼のやり取りのメールが見つかった……らしい。

 その相手が、風戸京介が捕まったために彼の口封じを敢行。狙撃したのだろうという話だ。

 

 警察の人間には敢えて言わなかったけど、多分その相手を追っかけても捕まらないよなぁ。ダミーだろうし。

 犯人は分かっている。ご丁寧に自分のコードネームだった酒を残しているんだから。

 枡山さんってばホントお茶目。

 

 元々の組織とは決別したはずなのだがこの行動は、独自路線を行くと言うことだろう。

 多分俺にちょっかいをかけてくるつもりだろうけど、物語の世界的にどこかで必ずコナンに――工藤新一に絡むはずだ。その時からが勝負か……。

 

 どこまで補佐できるかわからんけど頑張れよ、コナン。

 俺も役に立てるように頑張るから。

 

 

 

 

 9月8日

 

 志保と明美さんの感動の対面――に、なるはずだったのにどうしてこうなった。

 

 明美さんは、すっかり子供の姿になった志保の姿に動揺こそしたものの、やっぱり妹思いのお姉ちゃん。――家族だ。

 

 明美さんが志保に渡したい物があると言って、彼女自身も変装した上で俺と瑞紀ちゃん、コナンを加えた5人で、二人の父親――宮野厚司の友人であるデザイナー会社社長の出島壮平氏の家へと出向いたら、その出島社長が毒殺されてしまった。ホントにもう……。

 

 念のためにコナンと瑞紀ちゃん連れて来てて良かった。

 その後、目的のモノは回収できたようだ。

 詳しくは聞かなかったが姉妹の雰囲気からして悪い物ではなかったようだ。

 志保は、今晩お姉さんの隠れ家に泊まっている。

 まぁ、このまま姉妹で仲良く過ごすのが一番だろう。

 

 

 9月9日

 

 当初の予定では、志保を確保して周りの動きを確認。場合によってはウチか阿笠博士の所に留まってもらうが、基本明美さんの所に預けようと考えていたのだが……結局ウチで預かることになった。

 明美さん曰く、俺の所以上に安全な所はないということだそうだ。

 

 あの、普通の民家なんですけど。

 たしかに万が一に備えて防犯設備強化に防弾、防爆仕様にはしてますけど基本普通の家なんですけど。

 

 志保にも一応了解をとったのだが、別に構わないとあっさり言われた。

 俺、てっきり君はお姉ちゃんと暮らしたいと思ってたんだけどな。

 

 曰く、放っておいたら何しでかすか分からないから見張る必要があるとの事。

 ……あの、なんかすみません。

 

 見張るで思い出したけど、瑛祐君に会ってきた。謝られた。なんかめちゃくちゃ謝られたんで玄関先で土下座してやった。

 止めてよね。俺謝られると逆に自分が悪い事したように思っちゃう繊細な男の子なの。ガラスのハートなの。

 

 んで、一応少しずつ元気は出てきてるみたいなんだけど、誰かに監視されてる感じがする。

 枡山さんかな? それならまだ大丈夫っていうか、ある程度手は読めるけど……。

 なーんかそうじゃない気がするんだよねぇ。

 

 

 

 

 9月10日

 

 マリーさんとのお別れ会。

 分かってはいたけどつらい……。好みだったし、重要な組織の人間だったし、美人だったし好みだったしもう一度食事に誘っておけばよかったちくせう。入院長引いて食事の約束流れちまった。

 

 まぁ、実際かなり凹んでいるけどそこまで悲観していない。

 多分、またすぐ会う事になるだろう。

 少年探偵団の面々との話を聞いているとそう思う。

 マリーにとって少年探偵団。とくに歩美ちゃんは特別な存在になっているようだ。

 

 とりあえず、死なずに帰って来るように言っておいたらすっごくビビられた。

 なんで?

 

 

 

 9月11日

 

 刑事さんから相談を受けた。それも二人同時に。

 

 一人は彩実さん。埼玉県警の警部さんで、何度か事件でご一緒した横溝刑事の部下だった人だ。

 かなり好みの美人さんだったんで、事件でお会いしてから何度か食事に誘ったりしてた人だった。ちなみに3回に2回は食事の後にバーにお誘いしても乗ってくれる人だ。由美さんみたいにガブ飲みする人間でもないし、ホントもうちょいお近づきになりたいですわ。

 

 もう一人は長野県警の高明刑事。通称、孔明刑事。沖矢さんや鳥羽さんと一緒に出くわした事件で出会った長野県警新野署の警部さんだ。

 

 なにが奇妙かっていうと、二人とも内容が同じ事だった。

 

 『署内で、危険物の横流しが行われている可能性がある』

 

 という内容だ。

 両者とも、些細な事で倉庫内の押収品に違和感を持ったらしく、同時に調べていたらしい。

 正直、助かる。

 彩実さんはともかく高明さんは突っ走りそうな気配があったから、こうして個人で動く前に相談してくれたのは本当に助かる。

 

 しかし、資料を改ざんされた形跡のある個所が全て拳銃や火薬、毒物というのが気になる。

 一番金になりやすく、かつ辿るのが大変な麻薬に手が出されていないのだ。

 

 枡山さんか? こう、なんというか気配がする。

 

 

 

 9月13日

 

 マリーさんが事務所を去ったが、何気にメールのやり取りは続いている。

 瑛海さん曰く、どうも組織は自分を重要視しているらしい。ただの若造になにやってんの? 馬鹿なの?

 まぁ、おかげで少年探偵団とのパイプ役になれている訳だが。

 

 警察内部の横流し事件に関しては安室さんに任せた。

 仮に安室さんが本当に完全な敵だったとしても、敵対している枡山さん絡みで手を抜くことはないだろう。

 

 この間のカリオストロの件でも有用性が立証された『山猫隊』の女性隊員を付けている。

 

 いざってときの事を考えての編成だけど、とりあえずは多目的の救援、救助部隊を題目にしている。主に宣伝も兼ねた外の目対策って意味で。

 いや、凶悪犯に対しての制圧目的の部隊だなんて非公式の武力勢力――すなわち一歩間違えればテロ組織になりかねない。

 それならば、例えば偶然出くわした火災などの事故現場、あるいは海や山での捜索補助などを題目にした方が分かりやすいと言う考えだった。

 

 カリオストロの件で武力面が知られてるのは忘れよう。いや、俺も悪かったけどさ。

 とりあえずアメリカの方に仮の拠点置いたので訓練、及び装備に慣れておいてください。

 カリオストロの『カゲ』の方も現在交渉中なので、追加人員はもうちょい待って。

 阿笠博士が上手い事ちょうどいい兵装を作ろうと、弁護士さんと相談しながら頑張ってるから。

 

 

 今日は越水を社長とした会社設立の準備で忙しかった。

 基本的には調査会社だ。

 俺自身の目的もあって癖の強い人間の多い事務所とは違い、『量』を担当する下部組織の設立は必須事項だというのが俺と次郎吉さんの考えだ。

 

 まぁ、次郎吉さん経由で鈴木財閥の人達から組織の拡大をせっつかれてたって言うのもあるけど。

 あぁ見えて次郎吉さん、結構キチンと鈴木財閥の内部調整やってんのね。

 おかげでトバッチリがこっちに飛んでくる事多いけど、そう言う時は申し訳なさそうに酒持ってきてくれる。

 

 ……山猫隊の件や会社の件について、人員や資金繰りの手助け本当にありがとうございました。

 

 調査会社――警備人材も兼ねた興信所というのが近いんだろうか? も、出来れば来月、遅くとも12月には本格的に始動したい。年末ではない。12月だ。ただの12月だ。

 

 俺が個人的に情報収集に使っている人達も何人か回そうと思うけど、癖強いし応じてくれるかどうか……。

 

 何がつらいって忙しいのにお酒が飲めないのがつらい。

 志保ちゃん手厳しい……。

 

 

 

 9月15日

 

 少し前、とあるゲーム開発の会社を金銭トラブル絡みで調べる機会があった時に優秀なゲームプログラマーと知り合い、鈴木財閥に引き抜いた事があった。

 

 金山誠一(かねやませいいち)という男で、少々口が悪く癖が強いが非常に優秀である。

 今では阿笠博士も一枚噛んでいるシンドラーカンパニー主導のプロジェクトに参加している。

 

 で、この人には大嶺良介(おおみねりょうすけ)っていうチンピラに近い友人がいるんだが、話してみると悪い人ではなく、金に困っている事が多いので個人的に雇ってちょっとした調査を頼む事が多かった。

 

 考えが足りず、少々喧嘩っ早いところこそあるが上手く手引きしてやればいい調査員になるだろうと思って本日採用。

 

 基礎を教えられる人間の育成も兼ねて、当面はキャメルさんを教育係に任命しておこう。

 事実、尾行や警護に関してはうちのトップだし。

 

 

 9月16日

 

 カリオストロ――いや、正確にはアメリカへ発つ前のリベンジをする日がとうとうやってきた。

 あいつら今度こそ全員スカンピンにしてやる。特に由美さん。絶対にアイツだけはフルボッコにしてやる。

 

 決戦は今夜だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 由美さんには勝てなかったよorz

 なにあの豪運と読み……。積まれたかと疑うレベルだけど自動卓の雀荘だったからなぁ……。

 ついでに週刊誌記者っぽい人に写真撮られたみたいだけどまぁ良し。

 警察連中ばっかりだったし賭けとか……まぁ、今度全員に奢る事になったけど……まぁよし。

 

 

 そうそう、勝負の途中で星野さんから電話が入った。

 なんでも今度、女優同士の集まりがあるから夜に来ないかというお誘いでお電話である。

 

 綺麗な女優だらけの飲み会に誘われて断る男がいるのだろうか。否である。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

「うぬぅぅぅぅぅみゅぅぅぅぅん……」

「人の膝で休んでおいて、何を意味不明なうなり声を上げていますの浅見様」

「忙しすぎて吐きそう」

「人の膝の上でなんてことをおっしゃるんですか貴方は……」

 

 退院してから数日は仕事の処理やアメリカ政府への再度報告、組織への調査に関しての情報交換協定、山猫隊のベースについての打ち合わせなどなどでほぼ事務所に籠りっきりだった。穂奈美さん美奈穂さん本当にありがとうございました。

 

 昨日ようやく終わってそのまま麻雀リベンジに行って、そのまま家に帰る予定だったのだが『山猫隊』の運用でちょっと気になる事があって公安の風見さんの所に直行。結局また事務所に泊まる事になって……

 

「仕事の質が上がり過ぎて機密性が高すぎるんですわ。おかげで手伝える人間が実質おらずに」

「分かってるぅ、分かってますぅ……」

 

 朝になって帰宅したら、家にはふなちだけだった。

 越水は朝早く次郎吉さんの所に、楓と志保は学校、桜子ちゃんは買い出しである。

 

 とりあえずシャワーを浴びて、楽な格好でふなちとソファーでぐでーっとなっていてこれである。

 頭をふなちの足にのっけてボーっとしてたら胸の上にクッキーが乗ってきて丸くなっている。

 腹の所には後から来た源之助が丸くなっている。

 ……微妙に暑い。

 

「真面目に浅見様」

「ん?」

「信頼できるお味方を増やすべきでは?」

「んー……」

 

 ふなちは観察力は優れているし、勘も良い。

 こうしてたまに、全てを見通しているかのような気がする時がある。

 まぁ、大体は勘違いだが……。

 

「鈴木財閥の方達も、浅見様が信用できるのは次郎吉さまと会長の史郎様、奥様の朋子様だけでしょう?」

「……朋子さんは……」

「あぁ、まぁ……でも一方的な不利な事はなさらないでしょう」

 

 テレビでは、女優の緑川くららが主演する映画の宣伝コマーシャルが流れている。そういや今度の飲み会の参加面子だっけか。

 

「まぁな……」

「事務所の現場レベルの質を落としたくないのは分かりますが、それならそれで後方の人間を増やすべきだと思いますわ」

「ふむ……」

 

 身体の上に犬猫が乗っているために動けず、首だけを回してテレビに向けているため少し疲れた。

 顔を定位置に、つまり真上を見るようにするとふなちと眼が合う。

 

「幸い、会社的な意味でもお金にはかなり余裕はありますし」

「そうさなぁ……」

 

 ふなちの言うとおり、今のままじゃあ双子への負担が増えるか。

 小沼博士も、阿笠博士の元で色々教わってから開発部に近い扱いになっている。このままじゃあまた地獄を見る事になる。

 

「あぁ、ちょいと時間はかかるだろうけど、早いうちに募集をまたかけてみるよ」

 

 言われてみれば確かに、ここ最近は上手くいっているから、現場というか前線の強化ばかり考えてたけど、そっちの方はあんまし考えてなかったなぁ。

 七槻に、云わば初期対応にあたる組織を作らせるからちょっと楽になるかな程度にしか考えてなかった。

 

「とりあえず、また事務班だな」

「えぇ、それがよろしいと思いますわ――あぁ、それと」

「それと?」

「いえ、まだ言っておりませんでしたのを思い出してまして」

「うん?」

 

 かさっ、とふなちが俺の髪に手櫛を入れる。

 

「お帰りなさいませ、浅見様」

「…………あぁ……うん」

 

 そういや、俺も言っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ただいま」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




マリーさんのお別れ会は次回! 入りきれなかった!!



rikkaの超私見な事件ファイル

≪トイレに隠した秘密≫
アニメ:File340-341
コミック:41~42巻
DVD:PART12-6

本来ならもうこの時点でジョディとかが出てきまくっているのですがそこは浅見ワールド。色々とズレにズレてしまっています。

かなり昔の事なので覚えていらっしゃる方は少ないかもしれませんが、灰原の両親の事を知るために彼女の父親の友人が社長をしているデザイン会社を訪れた際に起こる事件です。

個人的に、明美さんのいたづらの理由がすごく好き。
本編では明美さんは生きていて、そして顔を隠してその場にいるわけです。

どのような事件で、そして明美さんはどういう気持ちだったのか。
是非ともコミックやDVD等で事件を思い返しながら、想像してみてくださいw




≪rikkaの超私見キャラ紹介≫

○荻野 彩実
『劇場版名探偵コナン 漆黒の追跡者』

 埼玉県警警部。超私好みのクールビューティで、横溝参悟が埼玉県警時代に勤務していた頃の後輩です。
 白鳥のように逆輸入を今でも待っています。はよ、はよ!



○金山誠一
○大嶺良介
『File547-548 犯人との二日間』(アニオリ)
DVD:PART18-6


 アニオリでは青山先生の世界とはまた違った個性的なキャラクターが出てきますが。そんな中の二人です。
 方や貧乏(とまではいかないが薄給)プログラマー、方やチンピラ。
 親友とまでは行かない間柄で、ちょっと冷めているけどそれでも僅かに友情を感じる二人の間柄がなんだか好きです。

 割と好きなアニオリですので今日を持った方は是非!


○緑川くらら(28) 女優
『File512 砕けたホロスコープ』(アニオリ)
DVD:PART17-4

 桑島法子。桑島法子。桑島法子。
 作中出てくる占い師に、色々と弱みを握られている女優さんです。
 超美人。めっちゃ好み。
 事件自体もどこかで出そうと思っておりますw


○『山猫隊』(呼称は本作のオリジナル。原作ではリーダー及びキャットA~F)
『劇場版名探偵コナン 天空の難破船』

 海外での傭兵経験があるというグループ。日本人か日系の集団だと思われる。
 他の面子と共にとある人物の犯行計画に手を貸すが……お前らそれでも本当に傭兵なのか。
 リーダーと唯一の女性隊員のFくらいしかまともな……まともな……いや、お前らあの距離でなんで当てられない。遠くから拳銃使ってたFはまだギリギリ弁護できなくもないがリーダーお前……まぁ、主人公補正には勝てないか。

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