世の中、そんなに美味しい話は無いよねっていう話。

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 原作デビルメイクライとなってますが、余り関係ないです。ただの一発ネタです。


神様転生の機会に恵まれ、即座に死んだ男の話

 神様転生。

 何かの手違いで本来定められている寿命が尽きる前に死んでしまった際、神様がお詫びに転生させてあげるよとか、特典として何か能力をあげるよ何とか。ネット小説では有名で、手垢の付きまくったジャンルの一つである。

 まぁ、理由は様々だったりするし、人によって差異があったりするから細かい事はどうでもいい。

 兎も角だ。

 俺は今、どこまでも見渡す限り真っ白な空間で宙を漂っている。

 漂っているのだ。重力の影響も受けず、落ちる事もなくふわふわと漂っている。もしかしたら宇宙ではこんな感じなのかもしれない。行った事はないので、本当にそうなのかは知らないけど。

 そして、そんな感じに宙を漂う俺の前に、白くモヤモヤとした霧のような人型の何かが居る。景色が白いもんだから見づらい事この上ない。

 それが先程、耳を疑うような言葉を発したのだ。いや、発したという言い方には少しばかり語弊があるか。正確に言い表すのならば、脳内に直接語り掛けてきた感じ、である。実際のところどうなのかは知らないが。

 いやいや、そんな事はどうでもよくてだ。

 

「……もう一度、言ってもらえるかな?」

 

 俺は思わずそう口にしていた。目の前の白い霧……とりあえず仮に【霧の人】とでも呼ぼうか。

 霧の人は先程と同じように脳内へ直接、同じ言葉を返してきた。

 

『だから、君にもう一度人生をやり直す機会を与えてあげるって、そう言ったのさ』

 

 ……という訳である。俺が冒頭で神様転生が云々とか抜かしていたのは、その為だ。

 俺は死んでしまったらしい。その時の記憶が全くないのだが、死んでしまったらしい。

 よくわからないが、死んでしまったものは仕方ない。

 とりあえず一つ言える事は、

 

「あなたが神か」

『……神?』

 

 ……首を傾げられた。違ったらしい。何か恥ずかしい。神様じゃなかったら、この霧の人は一体何者なのだろうか。

 

『よくわからないけど、とりあえず君は人生をやり直す機会を得た訳だ。君の新しい人生の門出を祝って、一つ何かプレゼントをしようと思う』

 

 ……プレゼントとは、神様転生で言うところの特典に当たるものなんだろうか。次の人生で持っていける能力とかアイテムとか。

 

「それって何でもいい感じなんですか?」

『うん、勿論なんでもいいよ。過去に此処へ来てしまった人は、魔法が使いたいと言っていた人もいたよ。あとは、特殊な能力やアイテムが欲しいって言っていた人もいる』

 

 おお、そんなに万能なのか、この霧の人は。さてはランプの魔神とかそんな感じの存在なのだろうか。

 さて、どうしようか。これは悩みどころだぞ。ドラクエのような魔法が使いたいとか、ドラゴンボールのように空を飛んだりかめはめ破を撃ったりするのも良い。スタープラチナとかザ・ワールドをもらってスタンド使いになるのも良い。

 だけど、もっとこう……格好良くて派手な感じの何か……。

 あ、そうだ。

 

「じゃあ、デビルメイクライの主人公が使っていたスタイリッシュな武具が欲しいです」

 

 格好良さといえばスタイリッシュ。スタイリッシュといえばデビルメイクライ。半人半魔の主人公が織り成す、スタイリッシュアクションゲームである。

 その主人公であるダンテが使っていた武具の数々。フォースエッジやリベリオンに始まる剣や、エボニー&アイボリーという名の二丁拳銃。イフリートやベオウルフといった、手と足に装備して敵を殴り蹴り飛ばす籠手と具足。掻き鳴らすと雷を発するエレキギター。

 そんな武具を装備してスタイリッシュに戦闘をこなす事が出来たら、どんなに爽快だろうか。想像するだけでドキがムネムネである。

 ただ、問題はそんな細かいお願いを聞いてもらえるのかどうかという点だが、

 

『うん、いいよー。ただ、そのデビルメイクライっていうのが何なのかよくわからないから、君の記憶を探らせてもらうよ』

 

 問題なかったようだ。

 霧の人がぶわっと広がり、俺の身体を包み込む。おおう、何だか変な感覚。あったかいような冷たいような、纏わりつくようなそうでもないような。

 というか今気付いたのだけれど、俺素っ裸じゃないですか。いやん、恥ずかしい。

 兎も角、俺のスタイリッシュな人生の幕開けである。一つ、歌でも歌いたいような清々しい気分だ。今までの人生でこんなに心が躍るような出来事はなかったなぁ。最高にハイってやつだ。

 DIO様の気持ちがわかった気がする。って、今からもらうものはジョジョの奇妙な冒険じゃなくてデビルメイクライからなんだけど。

 

『うーん、君が余計な事を考えるから記憶が読みづらいよ。ちょっと、思考をデビルメイクライとやらに傾けてくれないかな?』

「アッ、ハイ」

 

 怒られちった。ごめんちゃい。

 さてさて。デビルメイクライといえば、様々な武器を駆使したスタイリッシュな戦闘が有名である。前述のものに加え、氷属性の三氷棍━━三節棍ではない━━や炎と風の双剣なんてものもある。

 更に遠距離武器も二丁拳銃だけでなく、ショットガンやサブマシンガン、ライフルやロケットランチャーなんてものもある。ダンテは近代兵器も軽々と使いこなしてみせるのだ。うーん、スタイリッシュ。

 しかし、無印や2の時は近距離武器にそれほど多様性はなかった。一応、無印にイフリートという籠手と具足の装備があるけれど、それ以外は全部剣である。2に至っては剣しかないうえ、範囲と威力が僅かに違うだけだった。三氷棍やらギターやらが出たのは3なのである。

 ……そういえばイフリートの印象が強すぎてあまり覚えてないけど、無印は雷の剣とかあったような気がするな。確か、白銀で刃の部分は一般的な剣の形をしていて……壁かどこかに突き刺さっていたような━━━

 

「ぐぅ……っ!!」

 

 ━━━突如、身体に衝撃が走った。車に乗って別の車と正面衝突したかのような強い衝撃。

 気が付くと、いつの間にか俺の胸の辺りに白銀の剣が突き刺さっていた。丁度、心臓のある位置だ。

 

「……え?」

 

 目の前の光景が理解出来なかった。

 何が起こったのだ? 何故、俺の身体に剣が刺さっている? この剣はいつの間に、どこから現れたものなのだ?

 少しずつ、痛みが強くなってゆく。霧の人が何か言ってるような気がするけど、激痛に苛まれて何を言ってるか全く理解出来ない。というか状況が理解出来ない。

 痛い。尋常じゃなく痛い。いっその事、今すぐトドメを刺してほしいぐらいに痛い。

 視界は歪み、意識が朦朧とする。何も考えられない。

 

「……あ…ぁ…っ!」

 

 意識が徐々に遠退いてゆく中、声が頭の中に直接響いてきた。それは、霧の人とは違う声だった。

 

『我が名はアラストル。力無き者はその心臓を贄とし、我に永遠の服従を誓え』

 

 ……ああ……、そうだ……この剣、無印に出てくる雷の剣だ……初登場の時にダンテの身体を串刺しにした……。剣自体が、自分を振るうに相応しいかどうか……心臓を串刺して試す、恐ろしい武器……。

 ……徐々に痛みも無くなってきた……いや、感覚が無くなってきたのか……俺は、また……死ぬのか……ならば……、最後に……一言だけ……。

 

「……な……なんじゃ……こりゃあ……」

 

 ガクッ。

 

 

 

 

 

 こうして、人生をやり直す事も新たに輪廻転生の輪に乗る事もなく、彼の魂は消滅してしまったとさ。


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