あるアークスに対する周囲の評価、他   作:刃狐(旧アーマードこれ)

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オレ様の安藤が世界で一番カワイイに決まってんだろ?
PSO2を長く続ける秘訣が割と冗談抜きでこれです。


「おれ」と「センパイ」

まだしっかりと対面せず、ただたゆたうようにフワフワとロビーをうろついていたセンパイを初めて意識したのはおれがアークスとしてナベリウスに降りていた時だ、なんて言うことのないただの警戒散策、ダーカーの影響を受けた原生種や稀に出てくるダーカーを相手にする、それだけの任務だ。

アークスとはいえまだまだひよっこに過ぎないおれ、いや、おれ達ルーキーは不測の事態に備えて複数人での行動を推奨されている。

でもおれは別に反骨精神とかじゃなく、ただ他人との行動が苦手だった、だから一人で任務を遂行する事が多かったんだ。

 

不測の事態なんて起きない、起きたとしても事前の連絡はある、アークスが出し抜かれる事なんてない、なんて陽気な事さえ考えながら。

原生種も危険性の高いエネミーは居ないしダーカーだって遠距離なら何てことはない、バレットボウのおれとは相性が良かっただけだ。

 

おれは自分が強いなんて思ったことはないけど、ただ相性が良ければ押される要素なんてないとは思っていた。

おおよそ指定区域を回ったと記録されたマップを見て、テレパイプを手に取った時だ、ぞわりと嫌な感じがした。

 

『大気中のダーカー因子が急速に増加しています!退避してください!』

「え……?」

 

テレパイプを持っていたのに逃げる間もなかった、空間が赤黒く捻じ曲がったと思った瞬間、黒い巨体が這い出してきたんだ。

 

「な、んだよ……コイツ…?」

 

巨大なダーカーがおれを確認するや否や、甲高い悍まし気な咆哮を上げ、両腕を振り上げた。

 

「ひっ…?!」

 

怖かった、そう言えば、あのダガンでさえ、一撃で人を殺す力を持っていた事を唐突に思い出した。

逃げようと一歩踏み出した時、恐怖の所為か足が縺れ、倒れてしまった、正直生きた心地がしなかったよ、でも助かった、運が良かったんだ。

倒れたおれのすぐ上をダーカーの巨体が過ぎ去って、すぐ後ろに生えていた木を容易くなぎ倒して行った。

 

あんなものを食らったらフォトンによる防御どうこうじゃ無い、確実に死ぬ、そう考えた瞬間もう駄目だった、逃げようと思ってもおれの身体はただ震えているだけで、逃げ出すなんて絶対に無理だった。

こんな事なら、変な意地なんて張らずに誰かと一緒に来れば良かったんだ……。

 

「だれか、だれか……助けて……!」

 

小さな声が漏れ出した、おれでさえ微かにしか聞こえないような声、あのダーカーの咆哮に容易く掻き消される小さな声に応えるように、ダーカーの巨大な顔にも見える目玉のようなコアに、無数のフォトンの刃が突き刺さった。

 

「もう大丈夫です、絶対に私が助けますから、安心して下さい」

 

そう柔らかな声が聞こえると同時に、二本の刃(デュアルブレード)を持ったおれと同じか、それよりも小さな女の子が巨大なダーカーを斬りつけていた。

あれほど恐ろしいと思っていたダーカーが、そのたった一撃で大きく仰け反り、呻き声を上げる。

それからはもう、おれには目で追いかけるのがやっとだった、まるで舞うように宙を踊り、くるりくるりと翻り、ダーカーの剛腕による攻撃をまるで花弁のように避けていく。

その間にもダーカーに幾十の刃が突き立てられ、まるでその姿と相まって花でも生けるかのようにも見えた。

 

おれは、その姿を地べたに座りながら見惚れる事しか出来なかったんだ、ただ、無意識のうちに口から零れた言葉がある。

 

「綺麗だ……」

 

まるで宙を跳ねるように、回り舞ったあと12本の刃をダーカーに飛ばしながらおれの方にふわりと降り立った女の子はダーカーに背を向けたままおれに手を差し出した。

 

「す、すぐに増援を……」

 

おれがそう言うと女の子はキョトンとしたあと可笑しそうにクスリと笑って笑顔を浮かべた。

 

「もう大丈夫です、倒しましたよ」

 

その言葉に偽りはなく、ダーカーはゆっくりと膝をつき、重い音を立てながら倒れて赤黒い粒子とともに消え去った。

 

それを見て本当におれは安心したのか、みっともなくボロボロと涙が溢れ始めた、泣き止もうと思ってもおれの思いとは別に独立してるかのように止まる事の無い涙に、女の子は目の前に座っておれの体を抱き寄せた。

 

「いいですよ、怖かったんですね、泣いてもいいんです、恥ずかしくなんてありませんから、落ち着くまで泣いても、誰も責めたりなんてしませんよ」

「あ、あぁ、うう、くぅ、うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

縋り付くように泣き叫ぶおれを、女の子はその胸で受けとめながら、ただおれの頭を安心させるように撫で続けてくれていた。

 

一体どれだけそうしてくれたのだろう、ようやく涙が収まったおれはふと気付いた、助けてくれたお礼を言っていなかったと。

 

「あ、あの、おれ、イオって言います、助けてくれて、あっ、ありがとうございます!」

「はい、どういたしまして、イオちゃん。私はーー」

 

ふんわりと優しい笑顔を浮かべた女の子は自分の胸にゆっくりと手を当て。

 

「ハーッハッハッハ!!! 困ったフォトンを感じてオレ、参上!!! 大丈夫か君達!!! オレが来たからにはもう安心だ!!!」

 

暑苦しい人に言葉を遮られていた。

 

「どうしたッ!! 元気が無いぞ!!!」

 

そう言いながらおれの顔を覗き込もうとする男の人に少しムッとした表情を浮かべた女の子はおれを庇うようにおれの頭を優しく抱き込んだ。

 

「女の子の泣き顔を覗き込むなんて、デリカシーがありませんよ」

 

そう言われた男の人は大きく仰け反りながらとても狼狽えて、顔の前で両手を振り回していた。

 

「あー、その、すまない! ほんとうに、すまない!! 確かにデリカシーが無かった!! これでは六芒均衡失格だし、クラリスクレイスに呆れられてしまう!」

 

一度咳をして腕を組みながら仁王立ちした男の人は大きく頷き、少しだけ顔と視線を逸らしながら。

 

「すまなかった! お嬢さん!! オレは六芒均衡の6! ヒューイだ!! 困った事があればオレに言うと良い!! 困ったフォトンを感じたらすぐに飛んでこよう!! ではさらばだ!!!」

 

早口で捲し立てたあとどういう原理か飛び去っていた六芒均衡のヒューイさんに女の子は苦笑いしながら「決して悪い人では無いと思うんですけどね」と言っていた。

ふと、おれは今もなお女の子に抱き締められていることに気付いて、慌てながら、でもゆっくりと離れ、一つ息を吐いた。

 

「一緒に、帰りましょうか?」

 

目を細めながらふにゃりと笑みを浮かべる女の子におれは無意識のうちにその提案を受け入れていた。

 

「でも、その前に……ちょっとお掃除しちゃいましょう」

「お掃除って……?」

 

女の子が背負う武器に指を掛けると大型ダーカーが消滅したせいか、姿を隠していた原生種が姿を現し始めた。

あれぐらいなら、おれにも何とか出来る。

 

「おれも、手伝う」

 

バレットボウを左手で持ち、フォトンを右手に集めるよう意識しながら弦を引いて、矢を何度も放った。

それを見た女の子はクスリと笑いながら飛翔剣を仕舞っておれと同じくバレットボウを取り出した。

 

「お勉強も、少し必要ですね?」

 

おれと同じように構えているのにその姿はとても綺麗で、胸がドキドキする、凛としていて、でもゆったりしていて、おれみたいに気を張り詰めていなかった。

おれが3発撃ちこむ間に女の子は2発、なのに女の子の方は確実に1発で原生種を倒していく、おれも外してはいないのに、なぜか女の子の方が早く、正確に原生種を次々撃ち抜いている。

 

「イオちゃん、早くなくて良いんです、心を落ち着けて、力を入れるのは一瞬だけ、呼吸の内にタイミングがあります、その時に、放つんです」

「は、はい!」

 

言われた通りに、弓は左手で支えるだけ、心を落ち着けて、深く呼吸すると、確かに自然とフォトンが収縮するタイミングがあった、特に意識していないのに、ほんの少し力を右手に込めると、驚くほど軽く弦を引いて矢を放っていた。

放った矢は原生種に吸い込まれるように当たり、1発でも倒すことが出来た。

それだけじゃ無い、放った直後に続く呼吸でまた、そのタイミングが重なった、1発目以上に意識せず右手が動く、また別の原生種に命中する。

 

「凄い……!」

「はい、よくできました」

 

おれが小さく無い感動と矢を放った余韻を感じている時に女の子は、既に周囲の原生種をみんな倒していた。

こんなに凄い事を教えれる人はきっと歴戦の大先輩に違い無い。

でも、こんなに小さな女の子がそんなに長くアークスをしているのかと少し疑問に思った。

 

「あの、ご指導ありがとうございます! 失礼な事を聞きますが、いつからアークスに……?」

「そうですね、まだ一月経っていないのでは無いでしょうか? ですので、敬語はいりませんよ、イオちゃん」

「………え?」

 

一月、経ってない。信じられなかった、て事は、おれの同期、もしくはおれの少し前にアークスになったという事だ。

 

「あ、でも同期記録にイオちゃんはいなかったと思いますので多分イオちゃんの先輩ではありますね、頼ってくれてもいいんですよ!」

 

得意げに胸を張る「センパイ」におれは多分、淡い恋心を抱いたんだと思う。

 

 

 

だからおれは、センパイが人と行動するのが苦手なおれを任務に誘ってくれるのが嬉しかったし、バウンサーの教導官であるカトリさんと楽しそうに会話しているのを見て嫉妬してしまっているのだろう。

 

おれはセンパイが好きだ、クーナさんのライブに行くついでに会いに来てくれるセンパイの楽しそうな顔が好きだ、ライブに誘ってくれるセンパイを人混みが苦手なので断った時、ほんの少し寂しそうな表情を浮かべるセンパイを愛している。

 

でも、この心は秘めて置かなければならない、おれとセンパイは、唯一の関係だから、たった一つの特別な関係だから、おれ(後輩)センパイ(先輩)として、おれは心を隠し続ける。

 

でもおれはセンパイにとっての特別になりたい、だからおれはこう言うんだ。

 

「待たせてくれるね、センパイ」




Q.でっかい黒いダーカーって何よ?
A.おスモウさんと名高いウォルガーダの事、バウンサーの餌
Q.クリアしたならテレパイプ要らなくね?
A.クリアしたらオペレーターが出してくれると思うんだけどそれはそれ、これはこれ
Q.なんでイオちゃん最初敬語なん
A.気が動転してたんよ
Q.安藤なんで敬語なん
A.そういうキャラなんよ
Q.ジャストアタック1発目からは無理だろ
A.これも皆安藤って奴の仕業なんだ
Q.イオちゃん百合っ娘やん!
A.ええやん!(歓喜)
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