あるアークスに対する周囲の評価、他 作:刃狐(旧アーマードこれ)
「嗚呼、貴方様……如何して貴方様は貴方様なのですか……?」
『哲学的な事を言ってそうでその実何も考えていない、あまり気にしなくていい』
「もうっサガさんったら! 私もちゃんと考えていますわ!」
烈火の如く怒る私を軽く流すサガさんに私は諦めてこのお方に縋り付くしかありません、うう、私にもっと力があれば……あ、でも特訓は嫌ですわ!
私、努力せずに強くなりたいんですの、最近のライトノベル? とかいうものの主人公みたいに、もしくはヒロインみたいに!!
「貴方様ぁ〜、サガさんが私をいじめますの〜!」
『そうだな、ならば今から特訓とでもいくか』
「ひぃ! 鬼! 悪魔! ダーカー! サガさん!」
『なぜその中に私の名を列挙した』
恐怖で腰が抜け私よりも小さな貴方様に縋り付いても貴方様は優しく私を抱きとめてくれる、こんなに嬉しいことはありませんわ!
サガさんとは大違いです!
「ちょっと任務をカトリさんと一緒に行こうと思っていたのですが……特訓なら仕方ありませんね、カトリさん、また今度に」
「とんでもない!! 行きます、行きます! 行かせて下さいまし!! 特訓は大事です、ええ大事ですとも! ですが任務はそれ以上に大事です!! ね、ね、サガさん!!」
『……まぁ、お前と共に行くならばカトリにとって得難い経験になるだろう、行ってくるといい』
やりました! 私は勝利を収めましたわ!!
サガさんの地獄の特訓から逃げられた、というのも勿論嬉しいですが貴方様が戦う可憐なお姿をこの目に収めることができる、というのが私にとって何よりも嬉しいのです。
「さあさあ行きましょう貴方様! どちらに行かれますか? ナベリウス原生林ですか? ウォパルですか?」
「リリーパに……」
「砂漠……ですのね」
「はい……」
暑いのは苦手ですが、仕方ありません、まごついた途端サガさんが凄い睨んできてるのがありありと分かります、このお方との逢瀬を無かったことにされるわけにはいきませんからね!
「さ、さ、行きましょう貴方様! うふふ、デートですわ、デート!」
「デートだなんて、そんな」
頬を赤らめる貴方様のなんと愛らしいことでしょう、嗚呼、私はどうにかなってしまいそうですわ!
『カトリの言うことは気にしないでくれ、気を付けてな』
「こ、こんなの! こんなの聞いていませんわ〜!!」
デュアルブレードを握りながら恥ずかしくもへっぴり腰な私に対峙するのはとてもとても大きな蜘蛛型ダーカー、ダーク・ラグネ、その
サガさんの教えが私の中を駆け巡ります、決して正面に立ってはいけない、法撃力のこもった刃を幾つも受けることになる、かと言って後ろ足に張り付いてもいけない、痛い蹴りを迎えることになる、まずは前足に張り付いて装甲を剥がすことを考えろ、でしたわね!
「どこにでも出てくる恐ろしいダーカーではありますが、それ故対処法もアークスは心得ています、あなたなどケチョンケチョンにしてやりますわ! このお方が!!」
私? 無理ですわ、こんなに大きいのなんて受け入れれません!!
あ、あぁ! サガさんの、サガさんの怒りが、呆れが宇宙を超えて届きます?!
え? 特訓? ソロ? い、嫌ですわ!!
うう、こんな大きくて赤黒くて硬くて立派なダーカーに挑むなんて正気ではありませんわ……。
ですが行くしかありませんのね、では不肖カトリ、いざ参りますわ!!
「ええい! あっ、硬い! 予想の5倍は硬いですわ!! ですがチリも積もればなんとやら! この私の手に掛かれることを誇りにお思い下さい!」
えいっやぁっ、と意気込んで装甲を切るというか叩いているとふとこんな事を思ってしまいます、ギャザリング用のピッケルで叩いた方が早いのでは…?
だってだって、あちらの方がこと叩く事においては適しているではありませんか!
と、ここでふとあまりにも私に降りかかる攻撃の数が少ない事に気づきます、見てみるとあのお方は私に矛先が向かぬよう流麗に、舞を踊るように立ち回り、私が一度刃を叩きつける間にも幾十もの刃を打ち付けていました、それもコア付近に。
「えっ、あれ? サガさんの教えでは脚を破壊することで姿勢を崩しコアを攻撃できると言っていたような?!」
サガさん間違いましたわね?!
倒れずともコアを叩く事ができるではありませんか!!
ですが動き回るので全てがコアに当たるというわけではないようで、弾かれるような硬質な音も幾度か聞こえてきます。
ならば私はそのお手伝い、姿勢を崩させると致しましょう!
流石にダーカーもあのお方が煩わしかったのかピョンとその身に似合わず高くお跳びになられ、しかしその巨体通りの振動を伴って私の眼の前に落ちてこられました。
大きな振動が私の脚を伝い、頭の天辺まで駆け上がります。
まるで縫い付けられるように立ち尽くし、目の前で大きな光が爆ぜたような感覚がして前後不覚に、ひぃん、ぐらぐらしますわ!
「わ、私、なんと言われてもここから一歩も動きませんわ?! というより動けませんわ!!」
助けてくださいまし、貴方様ー!
とは言えあのお方も暇なわけではないので、助けは期待して……ます!
どうかお助け下さい!
「カトリさん! 大丈夫ですか?! 今助けます!」
「嗚呼、貴方様!」
阿吽の呼吸とはこの事ですわ、これで私まだ戦えます!
頭がスッキリ爽快になった時、私はデュアルブレードを確りと握り直し、フォトンブレードを私が付けた亀裂に幾つも突き立てました。
ですがここからが本番だと言わんばかりに途轍もない硬さで持って私の攻撃を受け切られたのです。
ですがまだまだこれから、私は気高く舞うのです!!
というちょっとした決意も目前のダーカーが地に倒れ伏して黒い粒子となって消えた事で急速に萎びてしまいましたわ。
そもそも、彼我の攻撃力自体に比類し難い差があるのですもの、仕方がありませんわ!
そうですよね、サガさん!
え? 特訓? い・や・で・す・わ!!
「カトリさん、お怪我はありませんか?」
「大丈夫です、貴方様のお陰ですわ!」
それにいざとなればフォトンの力で何とかなりますしね。
「良かった、良かったです、本当に……良かった」
さて、ここで私とこのお方の身長差のお話を致しましょう、私実のところ結構身長が高いんですのよ、そしてこのお方、結構背の低い可愛らしいお方なんですが……!
今! 私に!! 寄りかかるように抱きついて!!! 儚い声を出しているんですのよ!!!!
ハァァァァァ〜〜〜ン(恍惚)!!!
嗚呼、可愛い、とてもとても、可愛らしい!
戦うときはあれ程可憐で美しく綺麗でいらっしゃるのに!!
そうでない時はもう、この上ない程に可愛らしいのです!!
「うふふ、大丈夫ですわ、さぁ進みましょう貴方様! この任務を終えて私はサガさんを見返すのです!」
「…はい!」
「見て下さいカトリさん! 砂漠ヒラメですって、ふふ、ゴツゴツしてます!」
「砂漠の中を泳ぐわけですし、表皮も固いのでしょうね」
「あ、今度は貝です! 貝って釣れるんですね、初めて知りました!」
砂の中にフォトンでできた糸を垂らし、釣れる魚介類に大喜びする姿はもう、堪らないほど可愛いのです。
はぁ〜、もう食べちゃいたいぐらいですわ。
「たくさん釣れたらカフェでご馳走しますね!」
「それは素敵ですわ!期待しておきますわね!」
食べちゃいたい。(二重の意味で)
「ふぅ、少し疲れちゃいましたね、カトリさん」
「うふふ、さぁどうぞ、お水ですわ」
「わぁ、ありがとうございます!」
あ゛〜〜クッソ可愛いですわぁ〜。
コクリコクリと水筒を両手で支えて喉を鳴らしながら飲む姿は本当にもう、アークスの宝ですわね!いいですわゾ〜コレ。
「んっ!それじゃあ奥に進んで終わらせましょう!」
「はい!私も気合を入れて行きますわ〜!」
心機一転ズンズングングンいざや進めと、全力全快気力充填した体で一歩一歩荒野を歩み進めます、道中現れるダーカー機甲種ダーカーダーカー……前々から思っていましたがダーカーの出現率高くありません?
「出ませんねえ、スパルダンA……」
「そういう時もありますわ、あっちなんていかがでしょう?」
しょんぼりと眉尻を下げる表情がとてもよし(冷静)。
貴方様の片手を握りしめて先導するように手を引く私は嗚呼なんと成長したのでしょう、精力的に前へ進むなど、これはもう私大躍進ですわね、サガさんもきっと「おお流石はカトリだ、前々から素晴らしいと思っていたがこれはもう特訓は不要だな、カトリ様凄いぞーぎゃふん!」ぐらい言ってくれるに違いありません。
私には分かりましてよ、なにせ私には特別な知恵がございますから!
とまぁ兎にも角にも私の凄まじく、かつ華麗な戦いによって最奥のダーカーも軽く滅し、意気揚々とアークスシップへと戻ると何故かサガさんに軽くメッされました、なんで?
後日マグが撮影したその時の写真を眺めてほうとしていると急に声を掛けられます。
「カートーリさんっ!」
「はぁ~い(はぁと)」
光の速さで写真を仕舞い、愛しい声のもとへと振り返るとそこには天使がいました。
「えへへっ、オウカテンコウの影を買ったんです、カトリさんとお揃いですね、あの……似合いますか?」
は??????????可愛すぎるんですけれど????????????(半ギレ)
「えぇ、まぁ! 勿論ですわぁ!! とてもお似合いで可愛らしいですわぁ!!」
「えへへ、ちょっと恥ずかしいですね」
んんんんんんんんんんn!!!!!!!
「似合ってるなら、嬉しいです! 他の人たちにも見せてきますね!」
そうはにかんで、パタパタと去っていく貴方様の後姿を見ながら私は、ただ熱い吐息を零すしかありませんでした……。
「ぺあるっく、これはもう私たち実は結婚しているのでは…?」
『……カトリ?』
「ねえサガさん、私ね、お父様がそろそろ結婚相手を探そうと見合いをセッティングしているのを知っているんですのよ」
『あぁ、まぁそれは知っているが……』
「サガさん、私たちってニューマンとデューマンの別種はもちろん、同性だって子供を作れますよね」
『待て、カトリ』
「だから、もちろん同性同士の結婚もできますわよね?」
『落ち着け』
「こりゃあもう結婚するしかありませんわよねえ?!」
咄嗟にサガさんが私を羽交い絞めにしますがその程度で止まるほど軟な鍛え方はされていませんことよ?!
「離してくださいましぃぃぃぃぃ!!!」
『離してたまるかぁぁぁぁぁぁ!!!』
「あの方と!! あの方と私将来を誓い合ってェェェェェ!!!」
『ないィィィィ!!!』
「ぐおぉぉぉぉぉ!!! はぁなぁぁせェェェ!!!」
『アザナミ!! 手を、手を貸してくれ!!』
「はーいはい、落ち着こうねー」
カトリはこういうことする。(偏見)
コイツ(安藤)いつもレズに狙われてんな。