東方日常記   作:ぬんちゃくティッシュ

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☆東方project二次創作です


東方傘花驚

───幻想郷、人里───

 

─side 多々良小傘─

 

初めましての人は初めましてだね。あちきは置き忘れの唐傘の怨を具現化された妖怪…と言うより付喪神だね。付喪神と言ったって、やってることは妖怪と大差ないから妖怪だと思ってくれれば良いよ。

え?普段何してるのかって?ふふん…よぉく聞いてくれた!まぁ仕事としては鍛冶屋をしてるんだけど、あちきはね…泣く子も黙る、いや…泣く子も驚く大妖怪!人々の恐怖心を食べているのさ!なんだけど…。

 

「わあぁ!おばけだぞー驚けー!」

 

「……………」

 

「ちょ…ちょっ!スルーだけはしないで!」

 

ごめん…大妖怪と言うのには大いなる語弊があったようだ。まぁ、今あったように誰も驚いてくれないんだ。あちきは一応人々が驚くことでお腹が満たされるんだけど、そもそも誰も驚いてくれないことで餓死しそうなんだ…。こんな大きな舌が出た傘があるんだし、驚いてくれても良いんだけどねぇ。

もんのすごくビビりな人なら手を上げただけで驚いてくれるんだけど、皆がみんなそう言うわけではないし、確率的にビビりな人間は妖怪だらけの幻想郷には滅多にいないと思うんだよね…そいつが慣れるまで時間の問題だし。

そうこう言ってるうちに、また人が来たね。誰が来ようが驚かさないと飢えて餓えて唐傘に戻っちゃうんだ…そんなの絶対嫌だ!

 

「わあぁ!おばけだぞー驚けー!」

 

「………はぁ?」

 

結局、傘で脅かしにかけてるから相手の顔は見えないんだけど、誰なんだろう?人間が妖怪に反抗の目を向けることはよくあるんだけど…。

徐々に傘を上げていったら、始めに目が止まったのは白っぽいたたまれた傘、日傘かな?そして赤いチェックのロングスカート…そんな派手な色のスカートを穿いた人間なんて居たかな?すぅーっと顔が見えるくらい傘を上げてみると、緑髪の日傘を持った…。

 

「あ…あ……ぁ…」

 

そ…そんな…風見幽香が…。いつも太陽の畑に居るはずなのに…。それもよりによって何でこんな歩く危険物と対面しちゃうのかな…ヤバイ…ものすごく怒ったような目をしていらっしゃる!殺される…あちきの命もここまでか!?

 

「あなた…妖怪?」

 

うぅ…相手は普通に喋ってるつもりなんだろうけど、あちきから見たら威圧してるようにしか見えないよ…返答次第で明日は無いかも…。ここは普通に質問に答えるのがベストだろう。

 

「…は…はぃ…!あ…あちきは…唐傘…お化け…の…妖怪…です!」

 

「そんなに緊張して言わなくっても良いわよ。別に取って食ったりはしないわよ」

 

いや…取って食ったりはしないとしても日傘を握る左手があちきをシメると主張してるんですが?

 

「まぁでも、まさか私に脅しをかけようなんてね…とんだ命知らずも居たものだわ…。今霊夢の借金を取り立てに行ってたんだけど、また適当な嘘ついて結局ピタ一文返ってこなかったから機嫌が悪いんだけど?」

 

や…ヤバイ…。幽香の目がマジだ…。それも結構オコですわ…。

ここは謝れば許してくれるのかな?恐らく許してくれたとしても殺される可能性がある…。ここはどうすれば良い?相手は並みの妖怪じゃない。これこそ大妖怪と言うのには相応しいじゃないか。

そんなことはどうでも良い。まず落ち着いて考えよう…。

謝ったらどうなるだろう?なんか…謝るなら何でしたの?って笑顔で問われそうだよ…そんなの耐えられないよ。

逃げるのはどうだろう?…いやいや一番あり得ない。逃げ足に自身があるワケではないし、走った瞬間に元祖マスタースパークで殺られるに決まってるよ…。

口先八丁で誤魔化し通す?ちょっとリスクが高すぎる…話術は得意ではないし、ただでさえあの貧乏巫女が幽香の機嫌をそういう類いで悪くしてるのなら、これが一番死を招くんじゃないかな…。

うわぁ…逃げ道ないじゃん…文字通りの八方塞がりだよ…。

 

「はぁまぁ良いわ。貴方の事情、知らないワケじゃないし」

 

「ぇ?あちきの事…知ってるのかい?」

 

意外だ…。こんな大妖怪があちきみたいな怪異の底辺の端くれのことを知ってたなんて。

 

「誰だったかしら…確かお喋りな妖怪から聞いたような…」

 

───八雲家───

 

「へっくち!」

 

「紫様、いくら暑いからと言ってお腹出して寝てると風邪をひきますよと何回も言ったじゃないですか…」

 

「風邪なんかひいてないわよ!もう…誰かが噂してるのね…」

 

───人里───

 

「とにかく、あなたは人を驚かさないと生きていけない…そうなんでしょう?」

 

「そうなんだ…。どんな驚かし方でも驚いてくれないんだ。いったい何がいけないって言うんだ?」

 

「んー、私は驚かすなんてしたことないから、言えるような立場ではないけど…まず、あなたは可愛すぎるのよ」

 

「…え?」

 

今さらっと凄いこと言わなかった?あちきが…か…可愛い!?

 

「だって、どうみても傘を持った幼女じゃない。それも顔も可愛いから迫力なんてあったものじゃないわね」

 

なんか…原因を言ってくれるのは本当にありがたいんだけど、誉められてるのか罵られてるのかよく分からない…。嬉しいと悲しいが融合したらよく分からない感情になるんだね…。まるでコーラとお茶を混ぜたみたい…。

 

「あなたに唯一恐れを成せよう物は、そのオッドアイね」

 

「え?そうなのか?」

 

「周りをよく見てみなさい。左右の目の色が全く違う人、いるかしら?」

 

「…いない」

 

「そうよ。そのオッドアイは1つの怪異の現れ…突然変異で起こることが殆どだけど、あなたはそれを唐傘から生まれるときに持ってその姿になったのなら、立派な怪異よ」

 

な…なんだかよく分からないけど、あちきのオッドアイって凄いんだ!

 

「でも人を驚かすのに一番役に立たない怪異ね」

 

今のセリフは本当にいらなかった…せっかく自身が取り戻せたかと思ったのに…。

 

「…。ねぇ、少し時間あるかしら?」

 

「ん?あぁ…別にいいけど」

 

「なら、ちょっとついてきて頂戴。こうやって巡り会えたのは何かあるからと思って…ね」

 

なんなんだその説得文句は…。まぁ良いか。よく分からないけど、付いていっても殺されはしなさそうだし…。

 

 

───太陽の畑───

※ここからセリフが殆どとなります。だって語りいれるのめんど…ごめんなさい何でもないです幽香さん何怖い顔して…ごめんなさい謝りますからああアあぁぁぁぁぁぁ!

 

 

「ここなら誰にも邪魔されずにお話しできるわね」

 

「あちきにお話?」

 

「えぇ。あなたは驚かすのに命張って、なんとか飢えを凌ごうとしているのよね?」

 

「あぁ…そうだ。あちきはそうしないと唐傘に戻っちゃうんだ」

 

「…まぁ、お世辞にも貴方の身体と顔じゃ向いてないわね」

 

「うぅ…」

 

「でもね。一概に驚かすと言っても様々あるわ。あなたがやってるような典型的な脅かし方。そして、予想外なことが起きたときの驚き…って言うのもあるわ」

 

「予想外なことが…起きたときの驚き…」

 

「そう。それには争いを生まない、そして笑顔にする事だって出来るの。それをやってみたいとは思わない?」

 

「え?あちきに出来るのかい?」

 

「じゃあ逆に聞くけど、こんな無益な脅しを続けて今一度私みたいな大妖怪と当たって殺される。そんなリスクを負ってまでの信念なの?その脅し方は」

 

「…そ、それは」

 

「もしそうだったなら、私はこれ以上あなたにとやかく言うことはないわね」

 

「あちき…予想外なことを起こして、ひと味違う驚かし方をしてやるよ!」

 

「なら、あなたの得意なことはなにかしら?」

 

「あちきの得意なこと?一応、店を持てるほどの鍛冶は出来るけど、驚かす方に神経持っていき過ぎて客は全く来ないけど」

 

「ならちょうど良いわね。今すぐ店に帰って準備をしなさい。あとは流れが解決してくれるわ」

 

「…?」

 

 

───人里、小傘の鍛冶屋───

 

ひとまず帰って鍛冶が出来るように準備をしとけと言われたから一応やったけど、普段から客も来ないし、あちきの店を活用するのは霊夢がお払い棒を鍛えに来るくらいだけど…。霊夢は人に紹介するタイプではないし、幽香が情報をシェアするのか?

考えたって仕方がない。久々で腕が落ちているだろうし、ちょいちょい腕の錆を落としておこうかね。

 

「ごめんください、まだ店やってる?」

 

「ん?あぁいらっしゃい」

 

珍しいな、こんなところに客が来るなんて…明日は雪か?真夏到来したばっかりだって言うのに雪降っちゃう?

おっと、そんなこと言ってる場合ではなかったね、お客さんの相手しなければ。客は別に知り合いと言うわけでは無さそうだ。なら幽香の紹介じゃないのか?一見さんかな?

 

「一応、文々。新聞にここの店の記事が載ってたから来てみたけど、店主は君かい?珍しいね、女の子が鍛冶なんて。まぁ良いや。この包丁がそろそろ刃こぼれしちゃって、頼みたいんだけど」

 

「分かった、日にちは4日ほど貰うよ」

 

「そんじゃお願い頼むわ」

 

それからと言うもの、その日は四人のお客が来た。さすがに5つも仕事をためて明日も注文預かると待たせることになるから3日店を閉めたけど、これも幽香が紹介したのだろうか?

久々に客が来て、約束の4日後になった。そして頼まれてた包丁はちゃんと仕上げておいたので待たせずに渡すことが出来たが、その感想が来るのが思いの外早くて、他の四人も帰って使ってみたら、至高の仕上がりだと驚いていた。

 

「あれ…腹が…満たされていく?そうか、無理に傘を振り回して驚かそうとしなくても、あちきには予想外なことで驚かすことが出来たんだね。…これからも鍛冶屋として頑張ってみようかな!」

 

それから、噂は噂を呼び、いろんな人が小傘の鍛冶屋に包丁や木こりの斧、草刈り柴苅りの鎌等を預けに来て、いずれも切れ味が新品以上に良くなって驚いたと言う。さらには冥界から刀を鍛えに来たり、わざわざ月から来るお客さんも来るようになったが、刀の仕上がりは至高を極め、他の刀を両断してしまうほどに切れ味が良くなったと感謝されるようにもなった。

このお陰で、わざわざそとに出向いて向きもしない脅しをするよりやりがいのある驚かしを見つけたのだった。

 

「まったく、幽香には感謝しないとね」

 

「言っておくけど、許してないからね?」

 

「うわっ!幽香!いつの間に!?それにあのときまぁ良いわって言ってたじゃないか!」

 

「いつからこの世の中ではまぁ良いわを許してあげるなんて意味をこなすようになったのかしら?あのときに落とし前はしっかり取ってもらうわよ…(怒)」

 

恩人の怒りを今になって帰ってくるとは…、もう絶対恨みを買うような脅しをしないと誓った小傘なのだった。

 

               終わり

 

 

 

 

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