マッチポンプのようなシステム。
低き者が高き者を攻撃し、貶めようとする世界。
光の弱い者が光の強い者の足を引っ張る世界。
魂と精神と心を、お互いで、磨り減らさせるように仕組まれている世界。
我々はその神のために苦しめられている。
付き合わされているのだ。
好き勝手にルールも作っている。
システムの穴を利用しようと、自死する者が増えたので、自死する魂にペナルティを課すことを定めたのも同様に、その神である。
すべての元凶、苦しみの生まれる源、それこそが神である。
敵側のさらなる増援。
数自体はそれほど多くはなかったが、個々の艦がそれぞれ独特であった。
各隊それぞれで、敵艦数隻を囲み、撃破を試みることとなった。
それにより、各隊は分断されることになってしまった。
その流れはまるで、むしろ敵側の作戦に躍らされているかのように、
スムーズに形成された。
――――――
三水戦の海域
ヌ級・法(二隻)
「「――」」
川内
「またこいつか……!」
那珂
「しかもまた二隻もいるよぉっ!」
神通
「……これもやるしかありませんね……!」
夕立
「こいつなんだかすごく頑丈っぽい~!」
睦月
「きっと、報告にあった"例の障壁"のせいだよ! あの艦は特別強力なのかもっ……」
吹雪
「……! 敵航空隊、来ますっ!」
ケルビ
「……」
神通
「全艦、よーい!」
――――――
四水戦の海域
敵軽巡艦・力(敵艦数?)
「ガガッ」ムキムキ
望月
「腕気持ち悪っ!」
弥生
「近づきたくない……」
ザァー!
敵軽巡艦・力
「ガッ!」ブンッ!
多摩
「にゃっ!?」ヒョイッ
球磨
「っ!? こいつ殴りかかってきたクマ!」
夕張
「興味深いけど……! 皆、距離を取って戦って!」ザー!
如月
「……あんなに太くて逞しいものにやられたら、ひとたまりもないわね……!」ザー!
――――――
第二艦隊の海域
深海棲艦・斬(一隻)
「シャー……」チャキリ…
比叡
「なんですかこいつは?!」
榛名
「初めて見るタイプの敵艦ですね……」
霧島
「……どうしますか?お姉さま」
金剛
「関係ありマセン! 砲撃でねじ伏せてやりマショウ!」
霧島
「了解しました。 ですが、距離を取りつつ戦いましょう。この敵は未知数過ぎます」
(……)
霧島
「各個散開してください! 同士討ちを避けるため、単横陣にて応戦しましょう!」
金剛・比叡・榛名
「了解! デース!」
ザザァー!
金剛
「ph~♪ なかなかCoolな日本刀ですネ!
ダンテのために持って帰ってあげたいデース!」
比叡
「お姉さま、油断はしないでくださいよ!」
金剛
「油断は大敵デスネ! わかってマース!」ガシャン!
深海棲艦・斬
「……」キラン…
――――――
作戦室
大淀
「各隊、各個撃破態勢を展開!」
長門
「……」
陸奥
「……いいの? これで……」
長門
「……大淀、増援の準備を進めてくれ。 私が合図をしたら、出撃だ」
大淀
「……はいっ」
陸奥
「長門……」
長門
「わかっている……。
だがやはり、何よりも仲間を失うわけにはいかない……!」
陸奥
「……そうね……」
長門
「……皆を信じよう……そして、彼を……」
陸奥
「……」
――――――
各隊よりも遠く、一番離れた海域にて
アーギュメントに乗っているダンテは各隊の様子を静かに見やっていた。
後ろにいる敵艦隊の方には一瞥もしないまま。
ダンテ
(……)humm..
深海棲艦・双
「……オイ!イツマデ余所見シテル! 後ロカラヤッテモツマンネェンダヨッ!」ジャキン!
敵随伴艦s
「――」ガシン!
ダンテ
「……huh. 遅かったな。 今回は何もしないまま終わっちまうのかと思ってたところだ。
そうならなくてよかったぜ」ha ha-
深海棲艦・双
「ハッ!」
各隊、距離関係
四水戦
VS
敵軽巡艦・力(敵艦数?)
三水戦
VS
ヌ級・法(二隻)
第二艦隊
VS
深海棲艦・斬(一隻)
ダンテ
VS
深海棲艦・双
深海棲艦・双
「聞イテルゼ、アンタノコトハヨ。 前ノ奴ハ一瞬デ終ワラセチマッタソウジャネェカ!」
ダンテ
「オーラスは俺じゃなかったけどな。 つーか」
深海棲艦・双
「アン?」
ダンテ
「お前さんも黙ってた方が美人なタイプだな」ha
深海棲艦・双
「…ンナッ!?」
――――――
作戦室
陸奥
「」ピキッ
長門
「……お、おい陸奥……」
大淀
「……あのっ……」
陸奥
「……なにそれっ……本っ当、誰でもいいわけ……!?
相手が誰だかわかってるのっ……!?
ていうか何よ?黙ってた方がって……あてつけっ…?」プルプル…
長門
(美人の部分は否定しないんだな……。 まぁいいが)
大淀
「き、きっといつものご冗談ですよ!
それにほらっ、陸奥さんのことじゃないと思いますしっ!」
陸奥
「言われなくてもわかってるわっ……。 でもちょっと貸して!大淀!」つ ビッ!
大淀
「あ、はい」つ【インカム】スッ…
長門
「っておい陸奥っ! 作戦中だぞ!お前そろそろいい加減にっ」ガシッ
陸奥
「離して長門姉! わかってるけどっ……
せめてこれだけは今言ってやらないと気が済まないのっ!」ググッ…!
長門
「本当に後じゃだめか!? それはっ……! 一旦冷静にならんか!」ググー…!
大淀
「とりあえず、できるだけ早めに返してくださいね……あはは……」…ハァ…
スグニスムッテバッ…!
…ヌゥ、ホントウダナ…?
――――――
深海棲艦・双
「……舐メヤガッテ…!
何時マデソンナ態度デイラレルカナァ!?」ジャキンッ!
ダンテ
「Hahaha. ……そりゃあ、死ぬまでさ」
深海棲艦・双
「言ッテロォー!!」ブンッ!
ボォォーーン!!
ダンテ
「……ほぉ、そいつは……」
深海棲艦・双が赤と青のノコギリのようにも見える二刀を取り出し、
二刀を繋げて振り上げた。
すると、巨大な炎の竜巻が発生し、深海棲艦・双の周囲をその渦で包み込む。
炎風属性の魔双剣 "アグニ&ルドラ" である。
深海棲艦・双
「ハハハハァー!」
ダンテ
「へぇ、うまく使ってるじゃねぇか。
お前さんがソイツらを持ってるとはな。 ……うるさくねぇか?ソイツらは」
深海棲艦・双
「……ア? ドウイウ意味ダッ?」
ダンテ
(……)
「……huh. いや、なんでもねぇ。
そうか、"そのまま"なら案外悪くねぇエモノなんだがな。
これからソイツらをお前さんから奪い返して
叩き起こさなきゃならないことを考えると、なんともユウウツだね」ha..
深海棲艦・双
「……ヤッテミナァ! 俺ハアイツトハ違ウゼ!」
ダンテ
「ハーン、そいつはいい。 前は本当にすぐに終わっちまったからな。
お前さんも、初っ端からそんなに飛ばしてすぐにバテたりしないでくれよ?」ha
深海棲艦・双
「ハッ! 俺ノコトヨリ自分ノ心配ヲスルンダナ!
オ遊ビ自体ハスグニ終ワッチマウト思ウゼ!?
アンタガ最後ニハ灰ニナッチマッテナァッ!!」シャキンッ!
敵随伴艦s
「――」ガチャッ!
ダンテ
「……hm」
・・・・・・
ダンテ
(……つっても、正直けっこう面倒だな。 ずっと"アレ"纏ってやがる。
服焦がしちまうような真似はしたくねぇんだよなァ……。
これ以上、あいつに小言を言われるのも――)ポリポリ…
*トレードカラーの赤っぽい服を着用中
―ザザッ!
ダンテ
「…ン?」
陸奥
『ちょっと!聞こえてるわよねっ!?』
マッタク…
マァ、スグニスムソウデスシ、トクレイトイウコトデ…
ダンテ
「……アン? なんだ、ムツか。どうした?」
陸奥
『なんだじゃないわよ!
作戦中に女口説くとか何考えてんのよっ!? しかも相手は深海棲艦!!』
サクセンチュウ ウンヌンハ、オマエモイエナイダロウ…
ハハ…アイテガダンテサンデモナケレバアブナクテ、デキマセンネ…
ダンテ
「……あ?口説く? 俺は別にそんなつもりh」
陸奥
『どうだかっ! ……っていうか、本当にわかってるわよねっ?
仕事はちゃんとやってよねっ!』
ダンテ
「……ああ、わかってるさ。 そんなに怒るなよ……」
陸奥
『ふんっ!』
ダンテ
「……」
深海棲艦・双
「……」
敵随伴艦s
「……」
・・・・・・
深海棲艦・双
「……オイ、何時マデ痴話ゲンカシテヤガルンダ! モウ行クゾ!?」
敵随伴艦s
「……」
陸奥
『ち、痴話っ!?』
クッ…!
フッフフッ…!
ダンテ
(……)
「……あぁ、悪い。どうせならもう少しだけ待っててくれるか。すぐに済ませる」―ザッ
深海棲艦・双
「アァ!?」
敵随伴艦s
「……」
・・・・・・
ダンテ
「おい、ムツ」
陸奥
『っ………何よ?』
ダンテ
「こっちはちょいと時間がかかるかもしれねぇわ。
だから他の奴らが終わったら、とっとと撤収させといてくれ。
こっから先は娘っ子どもには少し過激かもしれねぇしな」
陸奥
『……何するの?』
ダンテ
「なに、ちょっとした火遊びさ」ha
陸奥
『っ! ……どうぞお好きにっ!!』
ザッ
ダンテ
「……huh」
――――――
作戦室
陸奥
「……もうっ……」つ【インカム】スッ…
大淀
「どうも……」つ【インカム】カチャ
長門
「……大淀、各隊戦況の監視を頼む。 私は増援用の艦隊の様子を見てくる」コツコツ
大淀
「了解です」
陸奥
「……」
――――――
ダンテ
「待たせて悪かったな。もういいぜ? いつでもかかってきな」ha
それはダンテが言うのと同時だった。
深海棲艦・双は炎風の斬撃を投げ飛ばし、敵随伴艦sは砲撃を開始した。
しかし、やはりそれがダンテに当たることはないのだった。
TRICK!
-エアトリック-
上空に飛び上がるダンテ。
GUNS!
-PF594 アーギュメント-
-フルミサイル-
アーギュメントから10発ものミサイルが一斉発射される。
それらは周りの全ての敵随伴艦に命中した。
……プカー…
深海棲艦・双
「……マサカノ一瞬カヨッ……!」
ダンテ
「あとはお前さんだけだな」スタッ ←浮いている敵随伴艦の上
深海棲艦・双
「……ハハハッ……」
ダンテ
「……どうする、続けるのか? それとも降参するか?」huh
深海棲艦・双
「冗談! コレカラダロッ! ムシロ、ヤリアイタクテ堪ラナクナッテキタゼェ!」ブォンッ!
そう言うと、深海棲艦・双は纏っていた炎風の竜巻をさらに大きくさせた。
ダンテ
「ph~, やるな。 なかなかのモンじゃねぇか」ha ha-
(やっぱコイツは下手に動かせねぇな。
娘っ子どもの方に飛び火しないように俺がここで釘付けにするしかねぇ。
……とはいえ、近づけねぇからな。 "地道に"やっていくしかねぇか)…チャキッ
ダンテ
「……そっちはうまくやれよ、エンジェルズ」
深海棲艦・双
「余裕カマシテンナヨ! 行クゾォッ!」ザー!!
―――
四水戦 VS 敵軽巡艦・力(敵艦数?)
敵軽巡艦・力1
「ガッ!」ザァー!
敵軽巡艦・力2
「ガァ!」ザァー!
腕がやたら発達した敵軽巡艦・力の2体が、
直線的にではあったが相当な勢いで殴りかかってくる。
四水戦各個は、敵艦からは適度に離れた距離に分散し、
[球磨と夕張] [多摩と如月と弥生と望月] の二隊にさらに分隊して応戦していた。
球磨と多摩が敵をかく乱し、ほかの者が敵艦を背中から撃つという戦法が取られた。
球磨
「ほらほらこっちだクマ!」
多摩
「当てられるかにゃっ?」
敵軽巡艦・力2
「ッ!」ブンッ!
多摩
「見え見えにゃ」ヒョイッ
スカッ
球磨
「今だクマ!」
夕張
「了解!」バァン!
―ボォーン!
敵軽巡艦・力1
「ガッ!?」
望月
「いよっ!」
弥生
「これでどう?」
如月
「いくわよっ!」
ババァン!
―ドォン!
敵軽巡艦・力2
「ッ……」
夕張
「これなら……っ! このまま続けましょっ!」
「「了解! にゃ クマ!」」
――――――
三水戦 VS ヌ級・法(二隻)
―コォォ! パキィン!
―ドォーンッ!
吹雪
「っ……危なかったぁ……!」
夕立
「ナーイス! 吹雪ちゃん、ケルビ!」
ケルビ
「……」
睦月
「攻撃、止みました!」
那珂
「ありがとー! 三人とも!」
神通
「三人が作ってくれた好機を逃さないように!」
川内
「ってぇー!」
吹雪、睦月、夕立の三隻が敵航空隊を迎撃。
落としきれなかった敵航空隊からの攻撃はケルビにより、全て防がれた。
川内、神通、那珂が攻撃の主力として敵艦を攻める。
バァーン!
ヌ級・法1
「」
川内
「やっと一隻……!」
那珂
「本当に頑丈すぎだよぉ!」
神通
「ですが、あと残りは1隻です……!
皆、ここが正念場です! 最後まで頑張りましょう!」
「「はいっ! っぽい!」」
――――――
第二艦隊 VS 深海棲艦・斬(一隻)
バァン! シャキン!(スパッ)
―ドォーン!
深海棲艦・斬
「シュー…」…チャキン
榛名
「またっ……」
霧島
「砲弾を刀で両断なんて、そんなことっ……」
比叡
「初見の敵種がまさかの達人さんですか!?」
金剛
「……」
事実としては四対一。
しかし、その敵艦は四人の砲撃を容易に躱し、
また刀身の上を滑らせるようにして砲弾をいなす。
あまつさえ、砲弾を叩き切るといった芸当まで見せた。
数の優位性は、この敵の前にはあまり意味をなさないようである。
このまま同じ戦法を続けて、相手を損耗させることができるのか、
それともこちらの弾薬が尽きるのが先か。
弾薬が尽き、弾幕が晴れてしまったら、それからはもう相手の独擅場となってしまうだろう。
相手のミスを期待して、幾度なく砲撃を続けてみる金剛たちだが、やはり戦況に変化はない。
スパァンッ……ボォーンッ…
深海棲艦・斬
「……」スゥー…カチンッ ←納刀
金剛
(……)
「このままでは埒が明きマセンネ……。 私が前に出マス」
比叡
「! お姉さま!? 危ないですよっ!」
金剛
「Trust me! なんとか相手の隙を作ってみせマス……! そこを狙ってくだサイ!」
霧島
「っ……ですがそれではお姉さまも射線上に入っている可能性が……!」
金剛
「私は信じていマスヨ? 三人のコトを」
榛名
「金剛お姉さま…………わかりました……。
……この榛名、必ずやお姉さまの信頼に応えてみせます……!
援護射撃はお任せくださいっ!」
霧島
「……ふふ、榛名には負けてはいられませんからね。
正確さなら、私にだって自信はあります」
比叡
(お姉さま……)
「……わかりました、私も腹を決めます……!
お姉さまのリスクを減らすためにも、一回で決めてみせますからっ!」
金剛
「よくぞ言いマシタ!三人トモ! それでこそ私の自慢の妹たちデース!」
比叡
「お姉さま、くれぐれも用心してくださいね!」
金剛
「YES! わかっていマスヨ、比叡!
それでは、行きマスヨッ!」
「「はいっ!!」」
金剛
(……ダンテと特訓シタ、あの銃弾よりかは遅いはずデス……!
刀身の根元から剣先を予測スレバ……!)
「……やってみせマス……!」ザァー!
――――――
深海棲艦・双
「クソッ!」ブォンッ!
ダンテ
「おっと」ヒュンッ スタッ ←倒した雑魚の上
パンッ ガキィン!
深海棲艦・双
「グッ!」グググ…!
深海棲艦・双
「……当タラネェッ!チョコマカシヤガッテ!」
ダンテ
「huh. 悪いな、服を焦がしちまうわけにはいかなくてな。
お前さんの方はガス欠とかはねぇのか?」haha
深海棲艦・双
「……チッ!」
迫る炎風を難なく回避するダンテ。そしてすかさず、銃撃を返す。
狙いは敵艦本体ではなく、相手が握っている双剣の方だった。
炎風の合間を縫って、正確に射出される弾丸。
それが剣に直撃する度に、剣が強く震え、深海棲艦・双の腕を痺れさせる。
深海棲艦・双
(見タ目人間ノクセニ…………化ケ物ガッ……」
ダンテ
「ha ha! おいおい、それはお互い様ってやつだろ?」
深海棲艦・双
(ナンデ直接撃ッテコネェノカハワカラネェガ……)
「サッサトヤッチマウノガイイナ……!」ザァ!
ダンテ
「……やってみな?」ha
――――――
四水戦 VS 敵軽巡艦・力(敵艦数?)
敵軽巡艦・力1
「」プカー…
敵軽巡艦・力2
「ガ……」ズボォンッ…
夕張
「……ふぅ」
望月
「……終わりか?」
弥生
「終わり……」
如月
「……」
球磨
「意外に見かけ倒しだったクマ」
多摩
「ていうか動きも単調すぎだったにゃ。楽勝にゃ」
―ザザー
球磨
「クマ?」
夕張
「ん……司令部から通信ね」
――――――
三水戦 VS ヌ級・法(二隻)
ヌ級・法2
「」プスプス…
那珂
「やっとお仕事しゅーりょー。おつかれさま~……」
川内
「ふぅー……」
神通
「皆さん、お見事でした」
吹雪
「……ふぅ」
睦月
「やったね!」
吹雪
「うんっ!」
夕立
「ケルビも大活躍だったっぽい!」
那珂
「あーそれそれ! 那珂ちゃんずっと気になってたっ!
吹雪ちゃんがさっきまで出してた、おっきな氷と何か関係あるの!?」
川内
「ケルビって? もしかして名前?」
神通
(……)
―ザザー
神通
「あら、通信が……」
――――――
第二艦隊 VS 深海棲艦・斬(一隻)
深海棲艦・斬
「シッ!」シュンシュン!
金剛
「……ッ! フッ!」ヒョイッ ヒョイッ
榛名
「っ……」ハラハラ…
比叡
「ひえぇ~っ……」アワワワ…
霧島
「まさか、これでも隙がないなんてっ……」
榛名
「! 金剛お姉さまが直接相手をなさっているこれでもダメなんですか、霧島……!」
霧島
「……元々、四人で同士砲撃を仕掛けても捌いていたほどの兵<つわもの>……。
今は金剛お姉さまが前に出ておられて、狙いが付け難いということもありますが、
おそらく今撃っても無駄でしょう……。
容易に躱されるか、いなされるか切られるか……。
最悪、"その一瞬"だけお姉さまを盾に取られるということも……」
榛名
「っ……」
霧島
「……何か……決定的な隙が必要です……」
比叡
「……お姉さまっ……」
深海棲艦・斬
「……シッ」シュッ
金剛
「ハァハァ……ッ! 手数が少なくなってきてマスヨー!
息切れナンじゃないデスカー!?」ヒョイッ
身の動きを取りやすくするため、艤装の展開を"性能"が引き出せる程度の最小限に抑え、
敵艦の攻撃に対し、回避行動に徹する金剛。
しかし、虚勢を張ってみせるもその内心は
相手よりも自分の方が、よりずっと早くに限界が訪れるであろうことを悟っていた。
スゥー…
深海棲艦・斬
「……」…カチンッ
金剛
「ハァハァ、ハァッ……」
(攻撃の手が止マッタ……? ……正直、イッパイイッパイだったりシマース……。
今は刀が振られタラ、間合いの外に出て避けているダケ……。
でもそれではダメデース……相手の刀を封じることは出来マセン……。
大分、慣れてきて"見える"ようにはなってきマシタガ……。 あるいハ……)
金剛
「……どちらにセヨ、あとは踏み込む覚悟デスカ……!」ググッ…
深海棲艦・斬
「…………シュー……」…チャキ…
榛名
「!」
比叡
「構えが……!」
霧島
「あれは……居合い……?」
何か覚悟を決めた金剛。
そして、敵艦は体の左側に備えられた鞘に自らの刀を一度納め、
見るからに不穏な空気を漂わせた構えを取る。
金剛
(……)
「……それでも私は……絶対に妹たちを、仲間を……!」ザァー!
比叡
「お姉さまっ!」
榛名・霧島
「!!」
深海棲艦・斬
「……」…
先に踏み出したのは金剛の方だった。
敵艦は機を狙っているのだろうか、金剛の初動には微動だにしない。
しかし、金剛が"その間合い"に入った、その瞬間――
深海棲艦・斬
「――シッ!」シュバンッ!
金剛
(今デスッ!!)パァッ ガシャンッ!
敵艦の居合い技"横薙ぎ"が金剛を切るその寸前、金剛の艤装が展開される。
―ギギッ…!
深海棲艦・斬
「ッ……」
金剛
「っ……good!」グググッ…!
霧島
「っ!」
榛名
「金剛お姉さまの"盾"……!」
比叡
「おぉ!さすがですっ!お姉さまぁー!!」ブンブンッ
金剛の艤装の特殊ギミック"盾"。
刀は金剛の艤装右側の連装砲をいとも容易く貫通していたが、
艤装正面部の"盾"のところでその勢いは死んでいた。
すかさず、金剛は反対側の無事だった連装砲の照準を深海棲艦・斬に合わせようとする。
金剛
「艤装を切らせて敵を撃つ、デース! このまま私が決めt」
(コレならバ……!)
深海棲艦・斬
「…シャァッ!」
シュッ スパーンッ ブォンッ!
金剛
「ッ!?」
その動きは無駄のない、一連の流れのようであった。
敵艦は"盾"に食い込んでいた刀を素早く引き抜き、金剛が照準を合わせるよりも早く、
連装砲を"払い斬り"し、切断した。
続けて、金剛に向けて"兜割り"を繰り出す。
霧島
「っ!? まずいっ!!」
榛名
「っ…!」
比叡
「ッ!!」
(お姉さm)
金剛
(…!)
「そこデスっ!!」
―パシーンッ!!
深海棲艦・斬
「ッ…!?」
-真剣白刃取り-
金剛
「ッ……今の、私には……見えていマス、ヨォ……ッ!!」グググッ…!!
深海棲艦・斬
「……ッ!」ググッ…!
榛名
「すごいっ……!」
比叡
「ひえぇ~……」フルフルッ…
霧島
「…い、今です!砲撃よーいっ!」ガシャ!
榛名
「っ…はい!」ガシャッ!
比叡
「き、気合!入れて!」ガシャッ!
霧島
「撃てーっ!」
バン! ババンッ!
…チラ
深海棲艦・斬
「……」…フッ…
金剛
(…ッ?)
ドォォオーーン!!
――――――
比叡
「お姉さまー!」ダキィ!
金剛
「オット、比叡……」フフ…
榛名
「お姉さま、よくご無事で……!」
霧島
「お見事です、お姉さま。 よくあの状況で離脱を――」
金剛
「あぁ、イエ……」
霧島
「?」
金剛
「……最後の一瞬だけ、相手の力が弱くなって……。
それ以上はもう戦う素振りもなくなったノデ、その隙に、というだけデス……」
霧島
(……)
「ふむ……」
比叡・榛名
「?」
霧島
「……おそらくですが、あの者の中では金剛お姉さまに刀を取られてしまった時点で、
既に勝負は決していた、ということなのかもしれませんね……」
金剛
(……)
「……敵ながら、実に天晴れデシタ……。
あれこそが"武人"と呼ばれるものなのかもしれマセン……」
霧島
「……ええ、そうですね……」
榛名
「……」
比叡
「……ん? あっ!あれはっ」つ ビッ
すでにそこに武人の姿はなく、代わりに光り輝く石が水面に浮いていた。
金剛
「……」スィー…
比叡
「あ、お姉さま……」
榛名・霧島
「……」
・・・・・・
…ヒョイッ
金剛
「……Get, デスネ」つO
比叡
「……この石って間違いなく、例のあの石ですよね?」
榛名
「けっこう、大きいみたいですねこれ……」
霧島
(先ほどの敵艦も、刀も消えている……)
――――――
―ザザー
大淀
『皆さん、お疲れ様でした。各隊、帰投してください』
―――
神通
「了解です。
皆さん、一先ず、帰還しましょう。気になる話もその後に、ということで。
持って帰らなければならない物もありますしね」
吹雪・睦月・夕立
「はいっ! っぽい!」つOOO⊂ ジャラッ
那珂
「うー那珂ちゃん、気になっちゃうなぁーっ」
川内
「なら早く帰ろうか。私も気になるしっ」つ。キラーン
ワイワイッ
睦月
(……待っててね、如月ちゃんっ)
―――
球磨
「了解だクマ!」
夕張
「早くこれのこと聞かないとっ!」つOつO
望月
「やっと帰れるー」
多摩
「にゃあ♪」
弥生
「疲れた……」
如月
「……ふぅ……」
睦月たちのことが気になったのか、三水戦への目視が可能になる距離まで、
少しの間だけ隊を離れていた如月。
如月
(……)
「……よかった、もう大丈夫そう……んっ」
―ビュォォッ……
突如、吹く風。
如月
「やだ、髪が傷んじゃう……」
…ガシッ グィ!
如月
「っ!?」
ドプン…
――――――
第二艦隊
霧島
「夜に開始されるはずだった奇襲作戦の失敗で、
大分、行動の予定が早まってしまいましたが、事前のブリーフィングで伝えられていた、
奇襲作戦開始からの行動時間が経過しました。
近くに敵艦の反応もないようですが……。
どうしますか、金剛お姉さま? 帰投を開始しますか?」
金剛
「決まってマース! ダンテを探しマス! 合流して一緒に帰るデース!」
比叡
「……お姉さまは今、砲撃も行えませんし、急いで戻ったほうがいいと思いますけど……」
榛名
(まるで食材に包丁を通したみたいになってますね……)
「万が一ということもありますし……」
金剛
「……うー、早くコレを見せたかったデース……」つO..
比叡
「帰ってからでもいいじゃないですか。
どの道、鎮守府で絶対に会えますって! ね、榛名っ?」
榛名
「…えっ? あ、はい!そうですね! 榛名もそう思いますっ!」
霧島
「……」
(まぁ確かにあの方に限って、万が一というのも想像し難いものではあるけれど……)
金剛
「……そうデスネ、わかりマシタ。
今の私は戦えマセンシ、
そもそも姉の私がワガママを言うものではありませんデシタネ……。
第二艦隊、帰還しまショウ!」
比叡・榛名・霧島
「はい!」
――――――
深海棲艦・双
「ハァハァハァッ…!」
―スタッ
ダンテ
「……huh」バンッ
深海棲艦・双
「グッ!」ガキィンッ!
深海棲艦・双の腕は限界にきていた。それに対し、ダンテの方はまだまだ余裕に見える。
深海棲艦・双の炎風の勢いが徐々にではあったが着実に弱まっていた。
だんだんと広くなっていく炎風の合間をダンテは見逃さなかった。
ダンテ
「……」…ニッ
クルルッ チャキッ
√ ̄√ ̄
Gun Slinger!
-トゥーサムタイム-
―ガガガガガッ!!
深海棲艦・双
「ウグァッ!?」ヒュンッ
深海棲艦・双の手から、青の剣が吹っ飛ぶ。
"風"を失い、炎風の竜巻は一気にその勢いを失う。
ダンテ
「―Ha!」
-ハニカムファイア-
ダラララララララッ!!!
無数の銃弾を連続で受けて、上空へと打ち上げられていく青の風剣"ルドラ"。
TRICK!
-エアトリック-
…パシッ
―スタッ
ダンテ
「まずは一本。 奪い返してやったぜ?」つ‡ スチャ
深海棲艦・双
「……クソッ!」チャキッ
ボォッ!
ダンテ
「……hmm」