悪魔これくしょん -デビこれ-   作:ハーメルンkpx

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「わたしはまた、一匹の獣が海の中から上って来るのを見た。これには十本の角と七つの頭があった。それらの角には十本の王冠があり、頭には神を冒涜するさまざまな名が記されていた」
(ヨハネの黙示録 13:1)

かつて人間界と魔界を繋いでいた例の巨塔。
あれの地下最下層、地獄の第九圏には明星の堕天使が幽閉されているが、これを解放することによって、本当の意味で、あの過去の封印のすべてを破壊することができる。

すべての封印が解かれた暁には、あの大悪魔が現界することになるだろう。

その姿、赤き血に塗れるが如く。
真の竜である。

赤い竜。爬虫類の王……──いや、レ○テ○リ○ンの王。
其の名は、ルシファー。
かつてはその背中に、あの大淫婦を乗せていた。

また、明星の堕天使は地獄の最深部にして、地球の重力をも司っている。
地獄と煉獄(Limbo)を繋ぐ大穴を塞ぐ形で磔にされている堕天使の解放は、地球の重力場の状態を乱し、煉獄に満ちている魔素の噴出を意味する。
そのときのエネルギーの奔流はシンプルに膨大な熱量の放出が伴われる。
そうなれば、第九圏の極寒地獄を覆う氷は全て溶け、それが人間界の海に流れ出て水面を大幅に上昇させる。
水没する島国も出てくるだろう。

貴様に助言をしておいてやる。

あの塔自体が魔界を抑え込んでおくための檻でもあったのだ。
原初の王が悪魔と契約を結ぶことで造られたあの塔は、元々呪われているのだ。
いつかまた顕れるであろうあの塔を再び封印したくば、地獄の第九圏・嘆きの川にて、巨人となった原初の王、そして第二圏・愛欲者の地獄にいる赤き血の女神を訪ねよ。


MISSION 4-6

魔空空間 ~ 仁の磨 ~

 

 

霧島

「それで榛名、作戦とは?」

 

榛名

「これを使おうと思います」

つ○*

 

霧島・龍田

「……それは?」

 

榛名

「ダンテさんからいただきました。

 ……たぶんですけど、今が使い時だと思うんですっ……」

 

霧島

(……)

 

龍田

(……なんだか、大き目の香水に見えるわね……)

 

霧島

「わかったわ。 悠長に説明していられる暇も余裕もない、ということね」

 

榛名

「…」コクリ…

 

龍田

「了解。 つまりそれを相手に確実に命中させたいってことね」

 

榛名

「はい!」

 

霧島

「では、かく乱は主に私と龍田さんで行いましょう」

 

龍田

「ええ」

 

霧島

「榛名はその隙を上手く突いて。

 ただし、作戦は常に三個一隊で行うので、あまり離れないように」

 

榛名

「わかりました!」

 

霧島

(……できるだけ急がないと……。

 お姉さま方と他の方々の様子も気がかり……)

 

龍田

(他の子たちのことも心配だわ……。天龍ちゃんの残りの石の数も不安だし……)グッ…

 

榛名

「……っ」キュッ…

 

 

 

黒犬?

《……グル……》フシュ…

 

 

 

霧島

「……それでは、作戦を開始します!」

 

榛名・龍田

「はい!」

 

・・・・・・

 

-三個・挟撃包囲作戦-

 

 

霧島

(なんとか包囲することには成功しましたがっ…!)

 

 

黒犬?

《ガウッ!!》グワァ!!

 

龍田

「っ…! ふっ!」ササッ!

(回避がやっとねっ…!)

 

 

霧島

(…龍田さんもいつまでも回避を続けていられるものでもないはず……榛名…!)チラッ

 

榛名

(……っ!あそこ!)タンッ!

 

 

黒犬?

《……ヴゥ"ーッ……》ググッ……ビリッ…

 

龍田

「っ!?」

(何か来るっ!!)

 

ササッ!

榛名

「そこまでです!

 勝手は!榛名が許しません!」

 

黒犬?

《!?》

 

榛名

「てぇいっ!」ノシ=○* ブン!

 

―カァッ!!

 

v`エ´..:.;::

 

 

・・・・・・

 

 

霧島

「やった……!?」

 

龍田

「当てることには成功したみたいだけど……!」

 

榛名

「……っ」

 

 

シュー……

 

黒犬

「……ガフッ……フシュッ……!」ヨロ…

 

 

 

榛名

「…き、効いているみたいですっ 効果は絶大です!」

 

龍田

「……どういう理屈なのかしら……。

 見た目的には、ただ、ガラス瓶の中に入っていた水を被っただけみたいだけど……」

 

 

それは悪魔祓いの力を持つ聖水。

妖魔異形の者達にとって、その聖水を直接目で見てしまうと、

その目を潰されるかというほどの眩しい光を錯覚し、

まさかその身に浴びれば、まるで炎に焼かれたかのような激痛を伴い、

触れた部分の身体がただれる。

 

 

霧島

(……)

「私としても、それは気になる所ではありますが、後にしましょう。

 この機を逃すわけにはいきません…!」ガシャン!

 

 

 

黒犬

(……)…ピク

「……フシュ……」…ノソ…

 

―パァ

 

 

榛名

「っ…! 霧島!」

 

龍田

「あれはっ……?」

 

 

シューン…

 

 

霧島

「!?」

 

榛名

「……き、消えた……?」

 

龍田

「なんか奇妙に光ってる方に入っていったわね……。

 もう何がなんだか……」

 

霧島

「……」

(……一瞬、何かを感じ取っていたようにも見えましたが……)

 

・・・・・・

 

榛名

「……どうしますか?」

 

霧島

「どうと言っても……」

 

龍田

「他に選択肢もないしね……。

 私が先に行ってみるわ。構わない?」

 

霧島

(……)

「……わかりました。 次は私が続きます」

 

榛名

「では、榛名が最後ということですね…」

 

龍田

(……天龍ちゃん……みんな……)グッ…

 

 

意を決す三人。

奇妙に光る空間の方へと、順に進んでいく。

 

 

――――――

魔空空間 ~ 智の磨 ~

 

 

金剛

「……」…キュィーンッ バシュンッ!

 

 

金剛

「デェイッ!!」

 

ドゴォッ!

 

 

黒猿

「ッ!!」グラグラッ

 

 

 

比叡

「……おー、揺れてる揺れてる」

 

金剛

「多少強引デスガ、降りてこないならこうするまでデース!

 猿如きに、この私が知恵比べで劣るはずがありまセーン」HAHAHA!

 

比叡

(正直この方法も知略的であるのかどうかは、怪しいところではありますけど……!)

「流石です! コングおね…金剛お姉さまっ!」

 

金剛

(……?)カシャン…

 

 

ふいに、何と無しに自分の兵装に目をやる金剛。

 

 

比叡

「…お、お姉さま…?」

 

金剛

「……ン? アァ、いえ何でもないデスヨっ!」

 

比叡

「そ、そうですか……?」

 

 

 

黒猿

「ッ……」ヒョンッ

 

 

 

比叡

「あっ…」

 

 

敵は別の木に移動した。

そして、その木にもある実をもぎ取る。

 

 

比叡

「!」

 

ルドラ

「ヒエイ」

 

比叡

「はい!」

 

 

 

黒猿

「キッ!」ノシ =o ビュッ!

 

 

 

比叡

「そう何度も喰らいませんよ!」

 

フォンッ! ビュォォー!

 

 

ルドラに合図され、比叡が青の一刀を振るうと猛風が発生し、

飛来する木の実を吹き飛ばした。

 

 

黒猿

「!?」

 

 

 

金剛

「ソォイッ!!」

 

ドゴォンッ!

 

 

敵の虚を衝いた金剛の拳撃。

それにバランスを崩した黒猿は木から落下する。

 

 

―ドサッ!

黒猿

「ギャッ!?」

 

 

比叡

「やった、落とした!」

 

金剛

「追撃しマースっ!」タタタッ!

 

 

シュー… パァーッ!!

 

 

金剛・比叡

「!?」

 

アグニ&ルドラ

「……ほぅ」

 

 

黒猿?

《……ギッ…!》ボシュー…

 

 

それは青黒いオーラ。

体の全身を多い尽くすほどの禍々しい光をその猿は纏っている。

 

 

金剛

「…………え?」

 

比叡

「…………あの、お姉さま……? これってけっこうまずいんじゃ……」

 

アグニ

「まずいのかどうかと言えば」

 

ルドラ

「まずいな」

 

比叡

「えぇっ!?」

 

金剛

「ど、どういうことデスっ?」

 

アグニ

「彼奴の今の姿は、悪魔としての本来の力を解放しているが故に"ああ"なっている」

 

ルドラ

「"今の"お主らでは、あれを相手にするのは厳しいじゃろうな」

 

アグニ

「"のっくばっく"もさせられまいよ」

 

ルドラ

「させられまいよ」

 

 

比叡

「そんな……っ」

 

金剛

(……)

 

・・・・・・

 

黒猿?

《……》…ノソ

 

 

比叡

「!! く、来るっ!?」

 

金剛

「っ……」

 

アグニ&ルドラ

「……」

 

 

黒猿?

《……》…ヒョンッ

 

―ガシッ タッタッタ ガササッ

 

 

 

比叡

「……えっ…………あれ……?」

 

金剛

「また木に登って、どこかに行ってしまいましたネ……」

 

・・・・・・

 

比叡

「多分、あいつまた戻って来ますよね……。楽観視は出来ませんし……。

 どうにか……本当に何も手はないのですかっ?」

 

アグニ&ルドラ

「……うーむ……」

 

金剛

「……さっき、"悪魔本来の力"を解放しているから、と言ってましたヨネ?

 それだったら、貴方たちも同じように出来るのではないデスカ?」

 

比叡

「あっ…」

 

アグニ

「……出来る、と言ってやりたいが……」

 

ルドラ

「結論から言うと出来ん」

 

比叡

「ど、どうしてっ?」

 

アグニ

「この空間に来る前に、だいぶ力を失った」

 

ルドラ

「そのせいで今は、我等は本来の力を発揮出来ん」

 

比叡

「え そうだったんですかっ?

 もしかして、先の海上での戦闘でかなり消耗したってことですか?」

 

アグニ

「いや、あれくらいのことなら大したことでもない」

 

比叡

「へ?」

 

金剛

(……)カシャン…

 

 

合点がいったように金剛は再度、兵装に目をやった。

 

 

比叡

「……ん……お姉さま?」

 

金剛

「……なんとなくデスガ、私も海上で戦っていたときとは

 感覚が違うな、と思っていマシタ。

 どういうことなんでしょうカ……」

 

比叡

「! 出力が落ちていたってことですかっ?

 ……っ!

 そうだ、石! 出撃前にストックしておいた例の石を使えばっ……!」

 

金剛

「あっ……」

 

アグニ

「お主らの懐に溜め込んでいた石か」

 

ルドラ

「それも無駄じゃ」

 

比叡

「どうしてっ!?」

 

ルドラ

「それらの石からは最早、力は感じられぬ」

 

アグニ

「先ほど、我々をここへと飛ばした悪魔が居ただろう。 其奴等の仕業だ。

 我等とそこの"若造"の魔力と、石に至っては全部吸い上げていった」

 

比叡

「全部って……そんなっ……。

 ……って、若造……?」

 

ルドラ

「お前の姉が装備している武器の本体のことじゃ」

 

金剛

(本体…………もしかして、武器の状態とはまた別の姿がアル……?)

 

比叡

「……へぇ…………って!

 力が無くなってるって、何でもっと早く言ってくれなかったんですかっ!?」

 

アグニ

「む……すまん……」

 

ルドラ

「言えば、万が一にでも捨てていかれるのでは、とな……」

 

アグニ

「もう置いて行かれたくはないのだ……」

 

ルドラ

「売られるのも嫌じゃ……」

 

比叡

「ちょっ! 置いて行ったりも売ったりもしないですよ!

 誰ですかっ! そんなひどいことする人!!」

 

ルドラ

「おおっ……なんと、ヒエイよっ……それは真か……!」

 

アグニ

「心の友よぉっ……!」

 

金剛

「アハハ……。

 …………ン? ……アレ? ……ヘ、ヘイ! もう一つ聞きたいんデスガ!」

 

ルドラ

「おお、なんじゃ? 我等が心の友の姉よ」

 

アグニ

「つまりは我等が友よ。 我等にわかることであれば何でも答えよう」

 

金剛

「thx! 光栄デスヨ!

 えっと、さっき石は全部って言ってましたケド、

 それじゃあ艤装に装填されている、砲弾の先に付けてある石はどうなんデスカ?

 それもダメになってるんデスカ……?」

 

比叡

「あっ!」

 

アグニ

「なんと。 まだ他にも待っていたのか」

 

ルドラ

「うまく隠したものじゃな」

 

金剛・比叡

「……?」

 

・・・・・・

 

アグニ

「そんな所にも持っていたのだな」

 

金剛

「持っていたというカ、

 弾頭の先を改造して付けられるようにしてたってだけですけどネ」

 

比叡

「……どうですか?」

 

ルドラ

「…あるな」

 

アグニ

「うむ」

 

比叡

「いったい、なぜ弾頭の先の石だけ……」

 

金剛

「……」

 

アグニ

「先ほどヒエイがその中から取り出すまで、我等にも石の気配は

 感じられなかったからな」

 

ルドラ

「それと同様、彼奴等も気付かなかったのかもしれんな」

 

比叡

「ふーむ……。

 ……えっと、謎は多いですけど、なんにせよこれを補給に充てればっ」

 

アグニ

「残りはいくつあるのだ?」

 

比叡

「んと、海上での戦闘でけっこう撃ち出したりもしたんですけど、

 まだ十数個ほどならあります!」

 

アグニ

「……足らんな」

 

ルドラ

「ああ、全然足らん……」

 

比叡

「えぇっ!?」

 

アグニ

「我等とその若造の分を考えると、余計にな」

 

金剛

「oh...」

 

・・・・・・

 

金剛

「……つまり早い話、

 残っている力はほとんど、私のこの兵装と貴方たち二人だけ、

 ということデスネ……」

 

アグニ&ルドラ

「うむ」

 

比叡

「どうしましょう、お姉さま……」

 

金剛

(……)

「……相談なのデスガ、残っている力を合わせる、ということは出来ませんカ?」

 

比叡

「!」

 

アグニ

「……ほぅ」

 

ルドラ

「確かに、その方法もないわけではないな」

 

・・・・・・

 

金剛

「……」ガシャンッ…グッグッ…

 

比叡

「……お姉さま、どうですか?」

 

金剛

「……ウン。 いけそうな気がしマス。 大丈夫デスヨ、比叡」ニコッ

 

比叡

「よかった……」フフッ…

 

 

最終的に、アグニとルドラの力は金剛の兵装に託された。

この森において、アグニの魔炎の力の扱いは難しく、使いにくい。

そうなると、片割れとなってしまうルドラでは、また本領を発揮しがたい。

以上のことより、アグニとルドラは力を預けた。

 

 

金剛

「……二人は?」

 

比叡

「……反応はありません……。

 力が無くなって、一時的に喋ることが出来なくなってるだけかとは思うんですけど……」

 

金剛

(……)

「……応えないといけませんネ。

 それで早く鎮守府に戻って回復させてあげナイト…!」

 

比叡

「はいっ!

 ……あの、お姉さま……さっきの作戦、本当に……」

 

金剛

「……信じてください、比叡。 絶対に大丈夫デスカラ」

 

比叡

「っ…………わかりました! 私も覚悟を決めます! 全力で行きますからねっ!」

 

金剛

「それでこそ私の自慢の妹デース、比叡!」

 

比叡

「はいっ!」ヘヘッ//

 

・・・・・・

 

―ガササッ トサッ

 

 

比叡

「!」バッ

 

金剛

「……来ましたネ。 今度は小細工はないんデスカ?」

 

 

黒猿?

《……ウォッ…》ボシューッ

 

 

比叡

「大きくなってる……!!」

 

金剛

(……)

「どこかで力を蓄えてきたんでしょうネ……デスガ」カシャッ

 

キュィーンッ バシュンッ!

 

金剛

「……今度は、さっきみたいにはいきませんヨ?」…フシューッ!

 

 

黒猿?

《……キッ!》タタッ!

 

 

金剛

「タァァアーー!!」ボシューッ!!

 

 

ドォォーンッ!!

 

 

比叡

「ッ……!」グッ…!

(近過ぎると危ないかもっ……。

 せめて、今はお姉さまの邪魔にならないようにだけ、

 適度に離れておかないと……!)ガシャン…

 

・・・・・・

 

黒猿?

《ウォッ!》ブンッ!

 

ビュッ!

 

金剛

(また木の実…!)

「やはり隠し持っていマシタカ! デスガ無駄デース!」パシッ ブン!

 

ビュッ!

 

黒猿?

《ッ…!》ヒョイッ

 

金剛

「そこネ!」ガバッ!

 

ガシィ!

 

黒猿?

《!?》

金剛

「っ…逃がしませんヨォ…!!」バシュー!

 

 

金剛は投擲された木の実を投げ返し、敵の気をそらした。

すかさずその隙を攻める。

一気に詰め寄って敵を組みし抱き、スチームチャージをもって抑え込む。

 

 

黒猿?

《ヴォッ!?》ググッ…!

金剛

「ダメヨっ! 私は食らいついたら離さないワ!

 比叡!」

 

 

 

比叡

(合図…!)

「は、はい! ぜ、全弾を…!」グッ… ←照準

 

 

―グィッ!

黒猿?

《!!》

金剛

「フンヌ"ゥ"ーッ!!」グググッ!!

 

 

残る魔力の大半を賭けた、金剛の力技。

比叡の定める全弾砲撃の方向へ敵の体を向けさせる。

そして、その場に釘付けにする。

 

 

黒猿?

《ッ! ウォッ!?》グッ!グッ!

金剛

「っ! オット! 焦りすぎネー…私まで不安になるじゃないデスカっ…!」ググッ!!

 

 

 

比叡

(さすがお姉さま! この射角ならっ!)

「…よし、行きます! 当たってぇ!」バババァンッ!

 

 

 

黒猿?

《…ウォン!?》

金剛

「……っ!」

(私の読み通りなら…!)

 

 

 

――ボゴォォォーン!!

 

 

ビュォオーッ!

 

比叡

「くっ……お姉さま!?

 ……!」

 

 

 

黒猿

「…ヴォッ……!」…フラッ

 

金剛

(…今っ!)

「さっきのでFinish!?な訳無いデショ!

 最後のdessertデス! サービスだから遠慮はしなくていいネ!!」―バシュッ!

 

黒猿

「!!」

 

―ドゴォォッ!

 

・・・・・・

 

比叡

「お姉さまっ!!」

 

ダキッ!

 

金剛

「……お疲れ様デシタ、比叡。 見事デシタヨー」

 

つ ナデナデ

 

比叡

「うぅ……まさか、合図が"あの"タイミングだなんてっ……

 いくらお姉さまでもさすがにダメなんじゃないかと思いましたよぉ…」ヒエーンッ…

 

金剛

(正直、私もちょっと不安でしたけどネ……)

「アハハ……。 まぁ、一応考えあってのことデスヨ。

 思いの外、上手くいったのは幸運だったんでしょうケド」

 

比叡

「考え……?」

 

金剛

「……うーんと、詳しく説明しようとすると長くなってしまうので省きマスガ、

 実のところ、砲撃の一発一発だとあの敵には

 あまり効果はなかったのではないかと思いマス。

 でも数と勢いで押せば、それなりにいけるというのは"あれ"を見た通りデスネ」

つ ピッ

 

 

黒猿

「」

 

 

チラ…

比叡

「……数と勢いはわかりますけど、一発一発だと効果が薄いというのは……」

 

金剛

「例の、悪魔の障壁デスヨ。

 敵は明らかにその力を増幅させていたように思われマス」

 

比叡

「あっ…始めのときと、大きさからもう違ってた……」

 

金剛

「そうデス。 デスカラ、その障壁を破るために

 多くの特殊砲弾による連続的な砲撃を確実に当てる必要があった、というわけデス」

 

比叡

「なるほど……。

 それで障壁が完全に解けた後は、最後に悪魔の力を直接ぶつけて……」

 

金剛

「イエス。

 ……でももう、いろいろ使ってしまってスッカラカンデース……」haha..

 

比叡

(……)

「早く鎮守府で補給をしないとですね……。 出口は……あっ」

 

 

 

―パァ

 

 

 

金剛

「…………明らかに怪しいのデスガ……」

 

比叡

「ですね……。

 ……っ!」

 

 

 

黒猿

「」…ポォン…

 

スゥー……ポシュンッ

 

 

 

比叡

「……み、見ました……?」

 

金剛

「ええ……。

 何か魂みたいなものになったと思ったら、光の方に吸い込まれていきましたネ……」

 

比叡

「……もう意味わかんな過ぎです……」

 

 

 

―ガサササッ

 

 

 

金剛

「What's!? 今度は何事ネ!?」

 

比叡

「もう砲弾も何もないですよぉっ!」

 

 

…ガサッ

霧島

「……お姉さま方?」

 

龍田

「ずっとすごい音してたわよね~……あら?」

 

榛名

「大丈夫でしょうか……あれ?」

 

・・・・・・

 

金剛

「――そうだったんデスカ……」

 

霧島

「ええ……」

 

金剛

「何はともあれ、無事でよかったネ」

 

霧島

「はい。お姉さま方も」

 

比叡

「え……じゃあ大丈夫ってことなんですか?」

 

龍田

「多分だけどね~…」

 

榛名

「榛名たち三人もあの光の中に入って、ここに来たんです……」

 

比叡

「えぇ~……」

 

・・・・・・

 

霧島

「……それでは行きましょう」

 

金剛

「了解ネ」

 

比叡

「は、はい!」

 

榛名

「榛名は大丈夫です!」

 

龍田

「いつでもどうぞ~」

 

 

今度は足並みを揃えて、五人は光の中に入っていく。

 

 

――――――

魔空空間 ~ 勇の磨 ~

 

 

吹雪

「どう……?」

 

 

島風

「……うん、見失ってるみたい。 しばらくは大丈夫だと思うよ」

 

 

吹雪

「……そっか」フゥ…

 

 

コツコツ…

島風

(……)…ポスン ←吹雪の近くに座る

 

吹雪

「……」サワ… ←"ケルビ"に触れる

 

島風

「……でも、吹雪ちゃんすごいね」

 

吹雪

「……え?」

 

島風

「なんとか隠れられる所があったからよかったけど、

 ここまでけっこう走ってきたのに……。

 私は慣れてるから大丈夫だけど、吹雪ちゃんもけっこう平気そう」

 

吹雪

「あぁ……うん。

 それは毎日の訓練のおかげかも。 早朝は走り込みやってるし」

 

島風

「え! 走り込み!? なにそれ!?そんなことやってたのっ?」

 

吹雪

「えっ、あ……う、うん。

 鎮守府に来た次の日からずっと続けてるかな」

 

島風

「…い、いいなっ。

 ね、ねぇ吹雪ちゃんっ」

 

吹雪

「なに?島風ちゃん」

 

島風

「わ、私も吹雪ちゃんと一緒に朝練したいなっ……なんて」

 

吹雪

「ほんとっ! 大歓迎だよーっ!」

 

島風

「っ! ……えへへっ…」

 

吹雪

「わーっ きっとケルビも喜ぶよーっ」アハハッ

 

島風

「…ん? あれ、ケルビって」

 

吹雪

「あ、うん。 えっとね――」

 

・・・・・・

 

島風

「――へぇ、そういうことだったんだ」

 

吹雪

「うんっ。 ……だけど……」

 

島風

「どうしたの?」

 

吹雪

「……ここに来てから、急に返事が無くなって……。

 何回も呼びかけてるんだけど、それでも反応がなくて……」

 

島風

「え……大丈夫なの……?」

 

吹雪

「……多分なんだけど、

 またエネルギーみたいなのを使い過ぎちゃったのかなって……。

 実は前回の作戦でも似たようなことがあって……。

 海域から帰った後、すごくグッタリしてたの……。

 そのときと同じ感じがするから……」

 

島風

「エネルギー……。

 補給用にたくさん持たされてた、あの石はどうしたの?」

 

吹雪

「……海上で使わなかった残りをあげてみたんだけど、それでもダメで……」

 

島風

「そうだったんだ……」

 

吹雪

「……元々、残りの数はそんなにはなかったし、エネルギーが全然足りないのかも……」

 

島風

「……」

 

吹雪

「……っ」サワ…

 

島風

(……吹雪ちゃん…………よしっ!)…パカッ ジャララッ

「吹雪ちゃん、これ使って」

 

つつ。。。←多量の石

 

吹雪

「……え、それは島風ちゃんの補給の分じゃ」

 

島風

「私は大丈夫!

 この兵装は元々、消費が少ないし、この中にいっぱい入ってるからっ。

 だから、これは吹雪ちゃんが使ってあげて!」

 

吹雪

「島風ちゃん……ありがとうっ」

 

・・・・・・

 

吹雪

「……」

 

島風

「……どうかな?」

 

吹雪

「……ダメみたい……」

 

島風

「そっか……」

(うーん…………ん?)

 

吹雪

「せっかくくれたのに、なんかごめんね……」

 

島風

「…ううん、いいよ、気にしないで。

 ねぇ、吹雪ちゃん。

 吹雪ちゃんの持ってる残りの石一つとさっきの私が渡した石を一つ、

 ちょっと渡してくれない?」

 

吹雪

「? わかった」

 

・・・・・・

 

…パカッ ジャラ

 

島風

「……」つ。。。⊂

 

 

吹雪

「どうしたの?」

 

 

島風は吹雪が持っていた残りの石と先程、自分が渡した石、

そしてまた懐から取り出した、合計3つの石を持って思案している。

 

 

島風

「……ごめん、これちょっと壊しちゃうね」つ。ポトッ ←1つ足元に落とす

 

 

吹雪

「え?」

 

 

ガッ! パキ…

 

 

吹雪

「っ…! ……あれ? 報告だと、強い衝撃で破壊すると爆発するって……」

 

 

石の1つを島風が勢いよく踏みつけたが、小さな音がするだけだった。

 

 

島風

「……やっぱり……。

 これもう"中身"がないんだ」

 

吹雪

「え うそっ……なんで……」

 

島風

「それはわからないけど……」

 

・・・・・・

 

吹雪

「そんな……3つともなんて……。

 それじゃあ今持ってる残りの石は全部っ……?」

 

 

島風

(……)…コツコツ カチャリッ

 

 

吹雪

「……島風ちゃん?」

 

 

 

島風

「吹雪ちゃんはそこにいて。 "こっちの"も試すから」

 

 

 

吹雪

「は、はいっ」

 

 

 

島風

「……んっ!」カンッ!

 

バァンッ! ←ラビットシュート(空振り)

 

 

吹雪

「うひゃいっ!?」

 

 

 

島風

「! こっちは残ってる……」

 

 

 

吹雪

「ど、どういうことー……?」キンキンッ… ←耳鳴り

 

 

タタッ

島風

「ごめん、それもわからないっ。

 でも、吹雪ちゃん、はいこれ!」カチンッ ジャララ

 

吹雪

(……)

「……ありがとう、島風ちゃん。

 でも、やっぱりそれは島風ちゃんが使って?」

 

島風

「えっ…でも……」

 

吹雪

「……思い出したんだ。

 今のこの状態のケルビを元に戻すには、大量の石が必要だったって……。

 島風ちゃんの残ってる石使い切っちゃうよ……。

 艤装の中の弾頭の先にも付いてるけど、やっぱりそれも使うべきじゃないと思う……。

 それら全部合わせても足りるのかわからないし……だからっ」

 

島風

「っ……じゃ、じゃあはんぶんっ!

 全然足りないのかもしれないけど、せめてはんぶんこしようっ…!

 私のは本当にこれ…あ、余ってるからっ!」

 

吹雪

「……島風ちゃんっ……」

 

・・・・・・

 

吹雪

「……」

つ。。

【ケルベロス】

 

―パァ…

 

島風

「……」ドキドキッ…

 

吹雪

「……っ! ちょっと冷たくなった!」

 

島風

「えっ!? 冷たくなってきてるの!? それってまずいんじゃっ…」

 

吹雪

「あ、いやっ……あはは…。

 この子の場合はこれが普通だから、大丈夫だよ」

 

島風

「そ、そうなんだ……」…ホッ

 

吹雪

「……ふふふ、本当にありがとねっ 島風ちゃん!」

 

島風

「っ……う、うんっ///」

 

 

 

 

―クォーンッ!!

 

 

 

 

ビクーンッ

吹雪・島風

「」

 

・・・・・・

 

吹雪

「近くに来てるっ……。 もう気付かれてる…?」

 

島風

「……さっき私が大きな音を出しちゃったせいかも……。

 確かめるために石一つ爆発させたし……。

 ごめん、吹雪ちゃん……」

 

吹雪

「……ううん、私とケルビを助けようとしてくれたんだもんっ。

 それにどの道、時間の問題だったと思う……。

 いつまでもここでこうしてはいられないよ。 戦わないと……!」グッ…!

 

島風

「っ……吹雪ちゃん……」

 

・・・・・・

 

バサササッ

…ストッ

黒雉

「……」…キョロキョロ…

 

 

 

吹雪

「……」…チラッ

 

島風

「……」コク…

 

吹雪

(…よし!)

「……っ!」タンッ!

 

 

吹雪

「てやぁーっ!!」ガシャンッ!

 

 

 

黒雉

「!?」ビクッ

 

 

―バァンッ!

 

 

バササッ!

黒雉

「ッ…!」

 

 

結果として、不意を突いたように思われた、吹雪の砲撃は当たらなかった。

敵は回避のため、一方向に勢いよく飛び立つ。

 

しかし、その方向を見定めた後、待っていたとばかりに飛び出すもう一つの影があった。

 

 

バサバサッ!

黒雉

「ッ…」

 

―ヒュンッ!

 

黒雉

「ッ!?」

 

島風

「私たちからは逃げられないよっ!」カチリッ カッ!

 

  -ラビットシュート-

 

黒雉

「…クォーン!!」バサッ!

 

ビュンッ!

 

島風

「っ!!?」

 

…ブシュッ

 

島風

「オゥ"ッ…!?」グラッ…

 

 

 

吹雪

「ッ!? 島風ちゃっ」

 

 

 

……ドサッ

 

 

 

吹雪

「」

 

・・・・・・

 

島風

「」

 

 

 

バッサバッサ!

黒雉

「クォーン」

 

 

黒雉は島風を撃ち落した後、そのまま高くを飛んでいる。

"下"の状況を観察しているようである。

 

 

吹雪

「…そんなっ……!」

 

 

敵は、呆気にとられている吹雪は今は無害と判断した。

"隙あり"と見るやいなや、すかさず島風に止めを刺そうと追撃を仕掛ける。

敵はもう落下姿勢に入っていた。

 

 

バサッ…

 ヒューン!

黒雉

「クォーッ!!」

 

 

 

吹雪

(! …させないっ!)

「うぁあああーーっ!!」

ダダダダダッ!!

 バン!ババン!バンッ!

 

 

黒雉

「!!」

 

 

吹雪の特攻砲撃。

そのけん制の効果は十分にあったようだった。

 

 

―ズサァ!

吹雪

「っ……!」…ガシャン!

 

 

吹雪は気を失っている島風の前に立ち、敵に砲を向ける。

 

 

バサッバサッ

黒雉

「……」

 

 

 

吹雪

「……」…ギリッ…

 

 

吹雪にけん制されていた敵はすでに上空に飛んでおり、そこで態勢を立て直していた。

両者とも静かに視線をやり取りしている。

 

 

島風

「…………っ……吹雪ちゃん……あり、がと……でも…いいよ、もう……」

 

吹雪

「っ…島風ちゃん! 気付いたんだね! …って何言って……!? その足っ…!」

 

 

姿勢を崩さず、後ろ目に背後の島風を見やった吹雪は驚愕する。

 

 

島風

「……あはは……返り討ちにあっちゃった。 これじゃもう走れないね……」

 

 

足にいくつかの黒い羽が深く刺さっていた。

 

 

吹雪

「っ……」

 

島風

「だからもう吹雪ちゃんだけでも逃げてっ……」

 

吹雪

「……だめっ…見捨てるなんてそんなこと絶対にしないもんっ!

 約束したじゃないっ 一緒に朝練するって!」

 

島風

「! 吹雪ちゃんっ…」

 

吹雪

「私は絶対にあきらめない…! 怖くたって……絶対に!」

 

島風

「っ……! 吹雪ちゃん、来るよ!」

 

吹雪

「…」…グッ!

 

バンバァン!

 

 

ヒィーン!

黒雉

「クォッ!!」ヒュヒュンッ

 

 

黒雉は砲撃の合間をすり抜け、吹雪目掛けて飛来する。

 

 

吹雪

「くっ…!」…グッ!

 

 

この一撃、せめて島風の壁になろうと、吹雪は身を強く固めた。

 

 

島風

「吹雪っ……!?」

 

 

その異変にいち早く気付いたのは島風だった。

 

 

島風

「……こ、氷……?」

 

パキパキ…

 

吹雪

「……ケルビ?」

 

 

吹雪の首の高さほどの所まで、突然それは現れた。

地面から伸びる氷の壁である。

 

敵はそれに激突していた。

 

 

黒雉

「グゲッ…ガッ…!」

 

吹雪

(…!)

「…ケルビー!」

 

―パキィン! ドゴォンッ!!

 

黒雉

「グギャアッ!?」

 

 

それは、敵の丁度真下からまた生えた。

勢いよく飛び出した氷柱は、対象を上空へと叩き上げる。

 

 

黒雉

「ガッハッ…!」フワッ…

 

 

 

吹雪

「…お願い!当たってー!」バァン!

 

 

 

ボォーンッ…

 

・・・・・・

 

ズリズリ…

 

島風

「……大丈夫? 吹雪ちゃん……」

吹雪

「だ、大丈夫だよっ これくらい!

 筋トレだってやってたし、足腰に関してはみっちり鍛えてたからっ!」

 

 

吹雪は島風に肩を貸していた。

 

 

吹雪

「私よりも、島風ちゃんは大丈夫……? すごく痛いんじゃ……」

島風

「……大丈夫。 ……なんかごめんね……」

 

吹雪

「ううん……。謝らないといけないのはこっちだよ。

 無茶な作戦を立ててごめん……島風ちゃんが一番危ない作戦だったよね……」

島風

「…いや、それは――」

 

―パキィンッ!

 

 

吹雪たちの背後に、また氷の壁が出来る音がする。

 

 

吹雪・島風

「!!?」

 

 

振り返り見ると、黒い大きな羽が氷の壁を突き抜けて止まっていた。

もう少しで吹雪の背中に刺さるところだった。

 

氷の壁は心なしか、もう先程のときよりも薄くなっているように見受けられた。

 

 

吹雪

(ケルビ……)

島風

「あれっ……!」

 

 

 

黒雉?

《……》ボシュー…

 

 

体羽は黒いが、白と黒が混ざったような灰色のオーラが敵から見えていた。

 

 

吹雪

「っ……」

島風

「しつこいっ……」

 

 

敵を確認すると、吹雪の判断は早かった。

腰に巻いていた"ケルベロス"を外し、今度は島風の腰に巻き付ける。

 

 

島風

「っ! 吹雪ちゃんっ!?」

ジャラッ…

吹雪

「…足、辛いかもしれないけど、このままどこかに進んで、

 また隠れられる所を探して」

 

島風

「何言ってるのっ!?」

吹雪

「先に行っててってこと。

 ……大丈夫、絶対に後でいくから」

(私がやるんだっ……そうじゃないと、島風ちゃんも……)

 

島風

(……)

「……これ持って行って……」カチンッ ジャララッ

吹雪

「……ありがと、使わせてもらうねっ」ジャラッ

 

 

島風は残りすべての石、そして特殊兵装内にあるチェーンシリンダーごと、束ねられていた石を吹雪に渡す。

 

 

島風

「……約束、絶対だからね……?」

吹雪

「……うんっ」

 

 

 

・・・・・・

 

コォォッ…

黒雉

《……》ビリッ…

 

 

黒雉は飛んではおらず、地に足を着けていた。

身を屈め、何か集中している。

 

 

―ザッ…

吹雪

「……」

 

 

 

黒雉?

《……ケッ》

 

 

それに臆することのなく、堂々と吹雪は眼前の敵と相対する。

 

 

黒雉?

《……クォーン!》

 

 

敵は翼を大きく広げる。

するとその敵の周囲に無数の羽が空中に浮かぶ。

 

 

吹雪

「!」

 

 

 

黒雉?

《――ケァッ!!》バサッ!

 

ビュビュビュビュビュンッ!

 

 

吹雪

「っ…だぁぁあああー!!」バババァンッ!

 

ボゴォォーン!

 

―ザザザサッ!

 

吹雪

「あう"っ!!」

 

 

吹雪は飛来する羽に向けて、砲撃の弾幕を張る。

砲弾が炸裂したときの爆風でいくつかは反らすことができたが、それでも被弾する。

 

 

吹雪

「うぅ…いたいっ…!」

(でも約束っ…! 負けないんだからっ!!)ジャラッ! ガシャンッ!

 

 

砲弾の爆発により、煙が立っていた。

対象の様子が確認できない黒雉だったが、一瞬の思考の後、

次は先ほど氷の壁を貫きかけたほどの大きな羽を生成しようとする。

 

 

黒雉?

(……)

《……クァ…!》バサァ…!

 

 

生成完了後、すかさず煙の中心に照準を定め、放つ。

 

――しかしその瞬間、煙の中から多くの"石"、そして砲弾が飛び出してきた。

 

 

黒雉?

《クォッ!?》

 

 

―カッ!

 

・・・・・・

 

吹雪

「……っ……はぁはぁっ…!」ガクッ…

 

 

吹雪

「っ……いたいっ……腕も、もう上げられないっ…よ……。

 ……あはは、全身羽だらけだ……はは……」

 

 

 

黒雉

「…………クァ…!」ヨロッ…

 

 

 

吹雪

「っ!?」

 

 

 

先の爆発の後、力無く墜落し、地に叩きつけられた黒雉。

しかし、その心身はいまだ完全には沈黙などしていなかった。

 

 

 

吹雪

(まだ動けるのっ…!?)

「っ……くぅ……!」…グ…

 

 

 

黒雉

「クァ……!」…バサッ

 

 

 

吹雪

「はぁっ……んぎっ………!」……ガシャ…

 

 

 

 

 

「――ナイスガッツネ! よく頑張ったネ、ブッキー!」

 

 

ビュン!

 

 

―パリィン!

ビシャッ

黒雉

「グギャァアーー!!」ジューッ!!

 

 

 

吹雪

「…………え?」

 

 

 

島風

「吹雪ちゃんー!」← on 龍田

龍田

「大丈夫~っ?」タッタッタッ

 

 

金剛

「Jackpot!!」

 

榛名

「も、もう一個! 行きますかっ!?」つ○*

 

霧島

「いや、あの様子だともう必要ないと思うわ……。温存しましょうか、榛名……」

 

比叡

「なんか聞いてたよりえげつないんですけど!?

 それ硫酸か何かだったのっ!?」ヒエッ…

 

・・・・・・

 

榛名

「……」イソイソ…

 

吹雪

「……そうだったんだ。

 島風ちゃんが、見つけたみんなをここに……。

 ありがとう!」

 

島風

「うんっ!」

龍田

「間に合ってよかったわ~」ウフフ~

 

金剛

「それにしても本当によく戦ってましたネー!

 このケガなのに大したものデス!

 ヘイ、榛名。ブッキーの傷の具合はどうデスカ?」

 

榛名

「……はい、出来る限りのことは……。

 でもやっぱり、手持ちの物ではこれが限界です……。

 吹雪ちゃんの怪我は島風ちゃんよりもひどいですし……」

 

金剛

「Oh...」

 

龍田

「……」

島風

「あ……」

 

吹雪

「…だ、大丈夫ですよこれくらいっ!

 榛名さん、手当てありがとうございます!」スクッ……ズキン!

 

 

吹雪

「いっ…!」グラッ…

―ガシッ

榛名

「無理しないでっ 吹雪ちゃん……」

 

金剛

(……)

 

島風

「っ……」

龍田

「…………あら」…チラ

 

 

 

ミナサーン!

ミツケタヨー!

 

・・・・・・

 

霧島

「今回も同様に、しばらく待っていると敵の近くに光の道が現れました」

 

比叡

「で、やっぱり敵も消えちゃいました」

 

金剛

「了解デス。 ご苦労様デシター」

 

榛名

「……では、もう移動ですか?」

 

霧島

「長居する意味もないでしょう」

 

比叡

「あの道もいつまでもあるとは限らないしね」

 

 

吹雪

「……っ」…

 

島風

「吹雪ちゃん……」

龍田

「……立てそう?」

 

吹雪

「えと、はいっ…すぐ立ちますっ」アハハッ…

―グィ

金剛

「よっこいショ」

 

吹雪

「! 金剛さん!?」

金剛

「ブッキーは私がおぶって行きマース!

 さぁ、早く天龍とも合流しに行きマスヨー!」

吹雪

「うぅ……ちょっと恥ずかしぃ……///」

 

龍田

「すぐに慣れると思うわよ~?」ウフフー

島風

「っ…///」

 

 

比叡

(……おんぶかぁ……)

「さすがにそれは…うーん……?」

 

榛名

「ふふふっ」

 

霧島

「何とか大丈夫そうですね。

 では今回は私が先頭を行きます。 榛名」

 

榛名

「はい、いつものように殿ですね。 心得ています」

 

 

飛ばされた7人全員が合流することが出来た。

この空間を抜けるための手がかりは一つしかなく、他に選択肢はない。

 

7人は出来るだけ固まって光の道を進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

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