愚者も賢者も関係ない。人類は常に痛みからでしか学びも反省も出来ない。
痛みだけが、人に反省と学習を促す。
自分に飛び火して、初めて声を上げる。
十余年にも及ぶような、言葉による闘争などには一切の意味はない。
それよりも、一発の銃弾の方がはるかに有効なのだ。
痛みだけが人を反省させて学習させることが出来る。
中には流血か絶命を以って学ぶはめになるような人間もいる。
事後に反省も学習もなかったということは、そのときの"痛み"が足りなかったということ。
だから、痛みが物足りなかったのなら、またやればいいさ。
耐え難いほどの痛みが得られるまで。
作戦海域(海上)
天龍
「てりゃぁあー!!」ザァッ!
フォンッ ガキィン!
シンカイダンテス
「……ムゥ…」ビリ…
天龍
(まだまだ…!)
「……はぁ!」ブォン!
キンッ!
シンカイダンテス
「……」ビリッ…
天龍の攻撃が相手に届かないのは相変わらずではあったが、
天龍の剣とダンテスの剣が交差するとき、天龍の剣に纏われた魔刃の力が
ダンテスの体に響く。
天龍
「……ハッ。 どうしたよ、さっきまでの余裕がねぇじゃねーか!」ブン!
ギキィン!
シンカイダンテス
「……フッ、貴様ホドデハナイ。
モウソロソロ、蓄エテイタ石モ切レカカッテイルノデハナイカ?」
ギギギッ…!! ←鍔迫り合い
天龍
「っ……」
(まぁそりゃあ気付くよな……。
俺も持って来てねぇわけじゃなかったが、多くは龍田に任せちまってるっ……)
シンカイダンテス
「……モウ頃合イダロウ。 幕トシヨウ。 ハッキリ言ッテ、飽キタ」ヒュバッ パシャッ
天龍
「!?」
(消えっ…いや背後か!?やべぇ!!)ザッ!
シンカイダンテス
「ハッ」フォンッ
―ブシュ
天龍
「グァッ!!」ズザァッ! バシャ!
敵は軽々と天龍を飛び越え、その背後を取った。
直感的に危機を察した天龍は咄嗟に前方に飛び出すが、遅かった。
背中に一撃をもらってしまう。
天龍
「あ"…ぐっ……!」
シンカイダンテス
「ホゥ、勘ハ悪クナイ。 シカシ、コウモ簡単ニ敵ニ背後ヲ許ストハ。
モット強クナラナイト相手ニナリマセンネ」
天龍
「……テメェッ……!」ググッ……チャキ!
シンカイダンテス
(……フム…)
「……気概モ十分、カ。 諦メルコトモナク、向カッテクルノハケッコウナ事ダガ、
ソレデ戦イニ勝テルノナラ、苦労ハナイ」
天龍
「……ヘッ、何度だって向かって行ってやるぜっ……!
死ぬまで戦ってやる!!」
シンカイダンテス
「……莫迦ガッ!」
・・・・・・
―ガキィン! キィンッ!
天龍
「グゥッ…!」
ギギッ…!
シンカイダンテス
「ソラ! ドウシタ!? モウ虚勢モ張レマイカ!」
天龍
「……クソッ!」ザッ…
シンカイダンテス
「甘イッ!」
煽られ、焦燥にも駆られた天龍は特に勝算もなく踏み出してしまった。
それは必然的に甘い太刀筋となって表れる。
その隙をダンテスが見逃すはずもなかった。
―カァンッ!
天龍
「ッ!!?」
シンカイダンテス
「フッ!」ヒュンッ!
天龍
「…っ」
(……ぁ)
愛刀を弾かれた天龍は為す術なく、一刀のもと処された。
・・・・・・
~ooo ポー…
…パシッ ジャララ
シンカイダンテス
「……ゴ苦労ダッタナ」
飛来してきた物の正体は、始め、ダンテスが投げた三つの石であった。
それらをまた腰巾着にし舞い込むと、ダンテスは呟く。
シンカイダンテス
「…………待チワビマシタヨ、随分遅カッタデスネ。
私ノ家来トノ戯レヲ大変気ニ入ッテイタダケタ、…ト考エテモ?」フフフ…
―ザッ
霧島
「……悪趣味だった、とだけ言っておきましょう」クィ ←メガネ
金剛
「まったくデース。 特に私と比叡が相手にしたあの猿……」
比叡
「あはは……」
榛名
(……)スチャッ…
島風
「やっぱりあの人まだ居たんだ……」パシャ… ←一時的に降りる
吹雪
「う、うん……ってあれ……?」パシャ… ←一時的に降りる
龍田
「…………ねぇ」
シンカイダンテス
「……何カナ? 槍ノ少女ヨ」
龍田
「……天龍ちゃん、どこにやったの?」
一同
「「……」」
――――――
作戦部
大淀
「!? 信号、現時復帰しましたっ!」
長門
「何!? 無線は!?」
大淀
「…だ、だめですっ! 無線は依然応答ありません!」
長門
「……くっ……」
――――――
龍田
「…………っ」…チャキッ!
霧島
「っ! 龍田さん!」
ザパァッ!
龍田
「はぁーっ!!」ブァンッ!!
―ガィンッ!
シンカイダンテス
「……」
一同
「「っ!?」」
霧島
(容易に受けたっ…!?)
榛名
(……)ググッ…シュッ!!
―ピクッ…
シンカイダンテス
(…アレハ)
「…オット」
-パァンッ!
龍田
「っ!?」
シンカイダンテス
「失礼」ヒュッ
―ドゴォッ!
龍田
「カッ…ハッ…!?」
ズザァー!
―パリィンッ
龍田
「っ…!」
榛名
「あっ! 龍田さん!?」
シンカイダンテス
「……フム」
ダンテスは受けていた龍田の槍を弾くと、龍田を蹴り飛ばした。
龍田が飛ばされていったその方向は、榛名が投げた聖水が飛来していた方向であった。
一同が騒然としている中、ダンテスは瞑目しながら言い放つ。
シンカイダンテス
「ソコノ娘ノ持ッテイル二刀モ、今ハ力ヲ感ジラレマセンネ」
(フォルト如キヨリモ、遥カニ高位ノ者ダッタハズダガ……。 ……成ル程ナ)
比叡
「ひぇっ!?」ビクーンッ
金剛
「……っ」
シンカイダンテス
「……ヤレヤレ。
今ハ貴女方ノ誰モ、剣ヲ交エルニ値シマセンネ」クルッ…
…ググッ…
龍田
「…………ま、待ちなさいっ……!
天龍ちゃんはっ……どこに……いったいどうしたのよっ!? 答えなさいっ!!」
霧島
(っ……)
シンカイダンテス
「……コノ先ニ少シ行クト、海上中継拠点ガアル。 知ッテイルダロウ?
オ前達ノ望ム資材ガアル場所ダ。
天龍ハソコニ引キ上ゲテアル。奴ノ刀ト一緒ニナ。
案ズル事ハナイ。 唯、伸ビテイルダケダ」
龍田
「!?」
霧島
(……)
「……そんなことを信用しろと?」
シンカイダンテス
「好キニシロ。 ダガ、アノ死ニタガリニハ伝エテオケ。
"貴様如キガ死覚悟ヲクチニスルナド、数百年早イ"トナ」
背を向けたまま、ダンテスはそう答えた。
霧島
「……あなたの意図がわかりません。
発言から察するに、このまま我々を見逃すかのように聞こえるのですが……」
(正直な所、今はもうなんとか避けたい展開ではありますが、
順当に考えれば、この先の資材を巡ってさらに争い合うのが普通のはず……)
シンカイダンテス
「アァ……フッ……拙者トシテモ、今ハモウコレ以上ハ闘ウツモリハアリマセンヨ。
今ハ貴様等全員ガ万全ノ状態デハナイ。 ソンナ相手ト闘ッテモ意味ガナイノデネ。
資材ニ関シテモ今回ハ譲リマショウ。
精々、ソレデ出撃等ヲ重ネテ修練ヲ積ムコトデス」
サァー
一同
「「……」」
意味深な言葉を残し、海域から去っていくダンテス。
周囲の濁っていた海も、もう大分本来の色を取り戻しつつあった。
・・・・・・
―ザザッ
大淀
『――よかったぁ……。
では負傷はしているものの、とりあえずは皆無事なんですね』
霧島
「ええ……。 資材の回収も、現在は既に完了しています……」
大淀
『……霧島さん?』
霧島
「……すみません、詳細は帰還後、詳しく話します」
大淀
『……はい、了解しました。
帰り道もどうか気をつけてくださいね。 待っていますから…』
霧島
「はい、ありがとうございます。 必ず無事に帰投します」
―ザッ
霧島
「……」…チラッ
金剛
「さぁ、今度はぜかましの番デスヨー! 大人しくしなサーイ」ニヤニヤ
つつ ワキワキ
島風
「うぅ…/// ぜかましじゃないってばっ…///」
比叡
「さ、吹雪ちゃんも。 遠慮しないで」
吹雪
「お、お願いします…///」
龍田
「ありがとね、榛名ちゃん……」
榛名
「いえ! 榛名は大丈夫です!」
天龍
「」
霧島
(……)
「……ふふ、まずは安全無事に帰ることだけを考えますか」
霧島
「さぁ皆さん、出発の準備が出来ましたら隊列を組みましょう。
金剛お姉さまと島風さんの組を先頭に、比叡お姉さまと吹雪さん、
次に龍田さん天龍さん榛名の組、最後は私です」
「「了解! デース!」」
今度は、吹雪は比叡が、島風は金剛が背負い、
気を失っている天龍には龍田と榛名が両脇から肩を貸す。
その三組の殿は霧島が務め、本作戦を一応完了させた八個小隊は帰投を開始した。