悪魔これくしょん -デビこれ-   作:ハーメルンkpx

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見よ、今こそ黒き山羊が潰えるとき。
それは血を分けた兄弟の幻の青き炎によってもたらされる。
黒き山羊は完全に燃え尽き、白き灰だけが残る。

しかし、案ずることはない。
白き灰より、新たに生れ出づる者、それこそが白き山羊である。

そして、白き山羊もまた、まもなく苛烈に燃え尽きて、最後を迎える。

赤き炎の中より現れ、赤き雷鳴を纏う最後に残りし者。
彼の者こそ、赤き山羊。
"真なる者"である。


MISSION 05 ~ 歓ビノ再演 ~
MISSION 5-1


さかのぼって前日、○○鎮守府

南西海域の資源獲得作戦の攻略完了後、提督室での報告会

*吹雪・島風・天龍は、比叡・金剛・龍田・榛名に付き添われて入渠中

 

 

長門・大淀

「……」

 

霧島

「――以上が概要となります……」

 

大淀

「……提督代理、これは……」

 

長門

「ああ……。

 言葉を失うとはまさにこのことだ……」

 

大淀

「そうですね……。

 お帰りを待ちますか?」

 

長門

「……そうするしかないな。

 我々だけで考えても仕方がないだろう。 今回のことは本当に不可解すぎるからな……」

 

大淀

「ですね……」

 

霧島

「……」

 

長門

「ご苦労だった。 霧島ももう休んでくれ。

 仔細は全て明日だ。

 それまでに、今回の作戦に参加した者には回復に努めてほしい」

 

霧島

「承知しました。 皆にそれを伝えてから、休ませていただきます」

 

長門

「うん」

 

大淀

「お疲れ様でした」

 

霧島

「ええ。

 それでは、失礼します」

 

 

――――――

戻って翌日(朝)、工廠

 

 

吹雪

「ごめんねケルビ! すぐに補給させてあげられなくて……」

 

ケルビ

「……気にするな。 もう問題はない」

 

 

―タタタッ

夕立

「吹雪ちゃん!追加持ってきたっぽい!」ジャララッ

 

吹雪

「あっ…ありがとう、夕立ちゃん! でももう大丈夫みたいっ」

 

夕立

「ほんとっ!? ……はぁ~、よかったっぽい~……」

 

ケルビ

「……」フシュ…

 

島風

「おっ…おぉうっ……!」づづ ワナワナ…

 

 

―テテテッ

睦月

「吹雪ちゃんー!」

 

如月

「睦月ちゃん、気持ちはわかるけど工廠で走ると危ないわ…」テテッ…

 

 

吹雪

「睦月ちゃんっ! 如月ちゃんも!」

 

・・・・・・

 

如月

「吹雪ちゃん、大丈夫だった? 一番ひどい怪我だったって聞いたけど……」

 

睦月

「どこどこどこっ!? 吹雪ちゃんどこ怪我したの!?」グィッ! サワサワサワッ!

吹雪

「うひゃあっ!!?////

 ちょっ!? 睦月ちゃんめくりすぎっ!!

 見える見える見えちゃうってばぁっ!!////」ギューッ! ペチペチペチッ!

 

如月

「ちょっ…ちょっと、睦月ちゃんっ…」

 

夕立

「睦月ちゃん、昨日の報告があってからずっとこんな調子だったっぽい……」

 

 

島風

「つっめたーいっ 気持ちいいーっ」アハハー

ギュムーッ

ケルビ

「……」

 

 

ドコナノォー!? フォォオ"ー!!

マッテェェー!! ホントドコサワッテルノー!?

オ、オチツイテッ ムツキチャン…!

 

・・・・・・

 

如月

「ご、ごめんね吹雪ちゃん……うちの睦月ちゃんが……」

 

睦月

「うぇえ~~吹雪ちゃ~んっ…」スリスリスリ…

吹雪

「あははは……」ナデナデ…

 

夕立

(やっと落ち着いたっぽい~……)

 

 

島風

「……」ジー…

ケルビ

(……)

 

 

如月

「でも大丈夫そうでよかったわぁ。 傷もちゃんと治ったのね」

 

吹雪

「……うん。 でも、この程度で済んだのは島風ちゃんとケルビのおかげなんだ。

 ケルビはずっと守ってくれてたし、

 島風ちゃんは私を引っ張りながら動き回ってくれて、

 危ないことにも協力してもらっちゃったしね……。

 最後に、島風ちゃんが"あの石"を託してくれてなかったら、

 多分、今頃私は……」

 

 

島風

「…っ!」ビクーンッ…

 

 

如月

「へぇ、そうなのね」

(ケルビってたしか、睦月ちゃんが話してたあの……)

 

睦月

「…島風ちゃんっ!」バッ

 

 

島風

「は、はいっ…?」

 

―タタタッ

睦月

「ありがとうっ!」ギューッ

島風

「オゥッ!?////」

 

睦月

「本当にありがとねっ…」

島風

「べ、べつにっ……当たり前のことをしただけっていうかっ……////」

 

 

吹雪・夕立・如月

「……ふふふっ」ニコニコ

 

 

睦月

「ケルビもありがとうっ!」

ケルビ

「……」フシュッ

 

 

――――――

中庭ティータイム(昼前)

 

 

龍田

「――そんな感じで、昨日部屋に帰ってからずっとふさぎ込んでて……」

 

榛名

「そうだったんですか……」

 

金剛

「天龍は入渠からはすぐに出てきましたよネ?」

 

龍田

「ええ……。

 背中の傷も思いの外浅くて、回復だけならすぐに済んだんだけど……」

 

霧島

「……逆に、そのことも尾を引いている原因の一つなのかもしれませんね……」

 

龍田

「……ええ…」

 

榛名

(天龍さん……)

 

 

比叡

「お二人も、特に大事にはなってなくて本当によかったですよ……」

 

アグニ

「ただ魔力が少なくなっていただけだからな」

 

ルドラ

「ヒエイ、おかわりじゃ」モグモグ

 

比叡

「あ、はい」

 

 

――――――

天龍型の部屋

 

 

天龍

「…………クソっ……!!」

 

 

――――――

○○鎮守府、夕方頃

作戦室

 

 

大淀

「――了解しました。 ご報告ありがとうございました」

 

不知火

『いえ。 それでは』

 

大淀

「はい」

 

―プツッ

 

 

長門

「…なんだ?」

 

大淀

「今日の正門門番担当の不知火さんからの連絡でした。

 今しがた正門を通られたそうで、提督室へお帰りになるようです。

 準備などを済ませるので、30分後くらいに提督室に集まってほしいと、

 陸奥さんが」

 

長門

「おお、そうだったか。

 ……む? 思いの外、早かったな」

 

大淀

(……)

「……そうですね」

 

長門

「……まぁいい。

 では私は、昨日の者達に召集をかける」

 

大淀

「お願いします。

 私は昨日の報告概要をまとめた物を準備しておきますね」

 

長門

「頼む」

 

 

――――――

50分後、提督室にて

 

 

陸奥

「……なるほどね。 概ね理解したわ」

 

ダンテ

(……)

 

長門

「作戦目標であった、資材の獲得には成功したが……」

 

大淀

「昨日の作戦で今後、十分に脅威となりうる新たな敵性体も確認されました……」

 

 

「「……」」

 

天龍

「っ……」

 

 

ダンテ

(……そういうわけか)hm..

 

長門

「それで何か情報、というか知っていることはないかと思ってな」

 

ダンテ

「……そうだな。

 話を聞く限り、まったくの赤の他人…って気もしねぇな。

 だが悪いな。 聞いたことはねぇ」

 

長門

「そうか……」

 

大淀

「…それはそうと、気になっていたことがあるのですが」

 

長門

「…ああ、榛名」

 

榛名

「は、はいっ。 あの、ダンテさん。

 出撃前にいただいていた、あの香水のような物についてなんですけど…」

 

ダンテ

「あぁ、時間もなくて説明してなかったな。

 そいつは――」

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

 <ITEM>

 

  ホーリーウォーター

 

…悪魔祓いの力を持つ聖水。妖魔異形に対し、絶大の効力を持つ。

 入手には時空神像なるものを介す必要があり、

 またその際には、多量のとある対価を捧げなくてはならない。

 

 

 

 

 

長門

「っ……で、ではそれを大量に用意できればっ……」

 

ダンテ

「残念だがここ日本じゃ、まず時空神像ってモンを見かけなくてな。

 まぁ難しいな」

(仮に見つけたとしても、今はもう"アレ"も持ってねぇしな……)

 

長門

「……そうか……」

 

大淀

「残念ですね……」

 

龍田

「やっぱりすごい物だったのね~……」

(私、頭から被っちゃったけど……)

 

榛名

「あ、あの……龍田さん……すみませんでした……」

 

龍田

「いいのよ。気にしないで?

 榛名ちゃんのせいじゃないし、私達には害のない物みたいだし。

 それより……また飛び出しちゃった私を助けようとしてくれたのよね……。

 ありがとね、榛名ちゃん」

 

榛名

「い、いえっ……//」

 

・・・・・・

 

長門

「――とにかく、それならそれで何か対策を講じねば……」

 

大淀

「私は現在の全戦力を今一度見直して、まとめ上げますね。

 昨日の作戦で獲得した資材も含め、兵装など、

 それら全てを含めた報告書を後ほど提出します」

 

長門

「助かるっ」

 

大淀

「はい」

 

ダンテ

(……)

「オオヨド、後でそれ、俺にも見せてもらえるか?」

 

大淀

「え…ええ、構いませんよ。 それでは、出来上がったら持って参りますね」

 

ダンテ

「thx」

 

陸奥

(……)

 

・・・・・・

 

長門

「――よし。

 では、次はそちらの報告を頼む」

 

陸奥

「了解。

 ……と言っても、実は今回の出頭では

 こちら側の報告事項を直接面と向かって、詳細に説明してきただけなのよね」

 

長門

(……)

「……やはり、そうか…」

 

大淀

(……)

 

陸奥

「ただ、長門と大淀、あとで少し時間もらえる?」

 

長門

「ん、ああ。 構わないが」

 

大淀

(?)

「わかりました」

 

陸奥

「ありがとっ♪」

 

長門・大淀

「…?」

 

 

天龍

「……なぁ、もう特にないよな?」

 

 

長門

「む……あ、ああ。

 ……そうだな、もうこれと言って確認しておくべき事項はないな」

 

 

天龍

「じゃあ、オレはもう行くぜ…」

 

テクテク… ガチャ パタン…

 

 

「「……」」

 

龍田

(天龍ちゃん……)

 

 

ダンテ

(……)huh..

 

・・・・・・

 

金剛

「ともあれ、もう報告会は終了なんデスネっ?」

 

長門

「ああ。 各自、部屋に帰ってもらって構わない」

 

金剛

「YES!

 ダンテっ! 約束していたティータイムデス!

 中庭に急ぎまショウーっ!」

 

グイグイーッ!

 

ダンテ

「お、おぉ…」ズルズル…

 

ガチャ! ズタタタタッー!

 

 

陸奥

「……」

 

 

比叡

「ちょっ!? お姉さま待ってくださいよーっ!」タタタッ!

 

榛名

「榛名、急ぎ、セットのご用意をいたしますっ!」タタタッ!

 

霧島

「あっ……はぁ。

 すみません、では私達もこれで」

 

龍田

「……私も天龍ちゃんが心配なので、お先失礼しますね」

 

吹雪

「……えっと、じゃあ私たちも…。

 行こっか。 島風ちゃん」

 

島風

「う、うん…」

 

 

長門

「ああ。 皆、ご苦労だった」

 

 

―パタン…

 

 

陸奥

(……)

 

長門

「……よかったのか?」

 

陸奥

「……何が?」

 

大淀

「……」

 

長門

「……フッ…。

 それで、用というのは?」

 

陸奥

「…あぁ、…………ふふふふふっ……」

 

長門・大淀

「」

 

 

 

 

 

 

 




男は、ある国のクニオサであった。

ある日男は、ある一族の正体を事もあろうに公共の電波で公表する。

男はその一族のことを恐れていた。

数日後、男は姿を消し、そのまた数日後に戻ってきたが、30年も連れ添った前妻いわく、"別人である"という。

素性がよくわからないその男はやがて戦争を引き起こした。

男は癌を患っていたというが、失踪から帰ってきてからは、体調は非常に良好であるように見受けられた。

公演広場に笑顔で登場し、元気に演説を終えた。

完全に余談ではあるが、爬虫類は癌に耐性を持つという研究報告結果が世には上がっている。

この戦争はただのスケープゴートである。

今や戦争大戦犯となった男の発言は、過去現在未来、全てにおいて、どれも狂言でしかないと、誰もが思うはずだからである。

過去に、正体を暴露された一族は男を危惧したのだ。

しかし、"クニオサでもある男"を"その近日中"に始末すれば、どう考えても多方面で問題がある。

一族の長年の計画の末、男は、一族の手によって、狂人と仕立てあげられるに至ったのだ。

男はもう、とうにこの世にはいない。一族の者に血肉を貪られ、姿を乗っ取られている。

今表に出ているのは、なぜか物理的に人間的体臭がほとんどしない、男とよく似た存在である。

これ以前からも、男は元々、影武者をよく用いていたので、多少の粗はむしろ違和感をなくさせることに大成功した。

そして、表向きには、なぜか突然、狂人・戦争大戦犯となったこの男であれば、どのような形で殺されようとも、弁が立つ。

極端な話、世界中の誰がこの男を殺しても、大義が成立するからである。

男は、ある一族が再び闇に紛れるために、逆に利用されてしまったのである。
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