しかし再び人が気高き神に頭を垂れる時が来るだろう」
アドルフ・ヒトラー
力なき理想に意味はなし。
理想なき力に意義はなし。
力の正体とは、実は不定形である。
そしてその力の上位者は、一瞬の出来事で真逆にも入れ替わる可能性が常にある。
持っていた能力や資産がある日を境に、一瞬で無いものになったなどという冗談のような話もあり得るのだ。
誰しもに得手不得手があるという事実を知る者は多いが、その得手不得手によって強者弱者が定義され、時代や環境によって、その役割を担わされ、固定されているということまで理解している者となると、ほとんどいない。
真の不平等とは、強者弱者と区別される世の中のことではなく、時として、かつて強者だった者にとって不得意な、かつ時代と環境の流れで、広い時間で見たときに均等になっていないことを指す。これを"厄廻り=役回り"という。かつて強者だった者にとって不得意な
暴力を得意とする者が輝ける時代がしっかりと来ることもまた、時間的に平等なのだ。
この真理を"常に"知っている者は意外に、極めて少ない。
どんな状況下でも強い者を真の強者という。
法の庇護が失われ、男性側の倫理やモラルが欠けている状況で、夜に路地裏に入ったとき、
完全に無傷で生還できる女性なら(その状況下においてはひとまずは)強者といえる。
今の文明社会では、学歴や経済力さえあれば、強者に位置できるが、
この人たちが無人島に漂着したり、大災害に見舞われたり、戦時下に突入したとき、必ずしも強者であるとは限らない。
真の力とは、適応力のことである。
所は変わって、開けた場所へ。鎮守府には体育訓練などでよく使用される運動場とは別に、ある程度、実践的な訓練にも適する広さのある場がいくつか用意されている。
金剛
「Hah-!!」ブンッ!
天龍
「ッ…と!」―サッ!
金剛
「Shi..Shoot! 絶対今のはいいタイミングだと思ったノニィ……。
天龍、本当にわりと勘がイイデスネー……」
天龍
「……へっ、"後ろ"でも取るこったな! 次はこっちから行くぜ!!」ザッ!
ダンテ
「……」
―スッ…
トリッシュ
「……戦力の増強、依頼の方はちゃんと進めてたみたいね?」
ダンテ
「Huh...
……アイツは?帰ったのか?」
トリッシュ
「ええ、他にも予定があるからって」
ダンテ
「Hm」
トリッシュ
「まぁ、予定があるのは私も同じだから、私の方も長居は出来ないけどね」
ダンテ
「……そうか」
トリッシュ
「ところで……ねぇ、出てきたら?
どうせ見るなら、もっと近くで一緒に観戦しない?」
トリッシュがそう言うと、二人の後ろの物陰から、か細い影が伸びる。
龍田
「……うふふ、お邪魔しちゃってもいいんですか~?」
トリッシュ
「どうぞ♪」
龍田
「ありがとうございます~♪」
ダンテ
「……」hm..
トリッシュ
「私はトリッシュ。 貴女は?」
龍田
「龍田です。 あそこにいる天龍ちゃんの妹ですよ~♪」
トリッシュ
「妹? ……ふ~ん」
ダンテ
「……今日も声はかけてやらないのか?」ha
龍田
「……毎日部屋で会えますし、今行っても邪魔にしかなりませんから……」
ダンテ
「Hum...」
トリッシュ
「……ダンテ、この子には?」
ダンテ
「いや……。 一応、相性とかもあるにはあるからな」
トリッシュ
「……まぁそうだけど」
龍田
「……?」
◇
天龍
「うりゃあ!!」シュザッ!
金剛
「ッ……ナンのぉ!!」―ガキィンッ!
―無刀取り―
天龍
「……!?」
トリッシュ
「……へぇ。あの白い方の子、意外にやるわね」
ダンテ
「ああ」
龍田
「……」
◇
それから数分ほど金剛と天龍の鋼の拳と鉄の剣の交錯は続いたが、
それに終止符を打ったのは金剛の正拳であった。
―シュッ!
天龍
「ッ…」
金剛
「……フゥ…………フフフ、油断しましたネ、天龍?」
天龍
「……ああ、まったくその通りだぜ……」
寸止めの正拳。
天龍
「……そうか、銃弾ももう"見慣れてる"んだったな……。
オレの剣速じゃ、もうソッコー見切られちまうわな……」
金剛
「Yes! 剣が取れたのもヤブレカブレってわけでもないしネ!」
天龍
「やっぱか……」
風まで鳴り響くかのように続いてた喧騒が止む。
次々々回で、力の本質、正体についての詳細な回となりますが、フライング。
不変なのではないかと思われる、唯一の力に近しいものとしては、人を口説く力が考えられると思います。
多くの状況的に対応できるように思われますが、これは相手とのコミュニケーションが成立することが前提なので、言語の壁や、相手がそもそもいない無人島とかになるとやっぱり、常に力の最上位たるものにはなりえません。
ちなみに人を口説く力というものも、別に手法は限定されないはずなので、口八丁手八丁が苦手な人は報酬(脅し・恐喝もここに含む)・義理・人情を利用して発揮する人も少なくはないんでしょうね。