お前たちの世界はこういうためには向いていないのだ!
お前たちにはただ一つだけ心配がある。
つまりお前たち個人の生活だ。
そしてお前たちにはただ一つの神がある。
つまりお前たちの金だ!
だが、われわれはお前たちに用はない」
アドルフ・ヒトラー
今まさに、人の皮を被った悪魔が人心を惑わし、その言説で大衆を混乱に陥れようとしている。
その悪魔は常に説くことの本質を隠し、嘘を吐いている。
人語を巧みに操り、詳らかに話すときには例え話を多用する。
その論法はまるで、かつての救世主を思わせるかのようだが、決して油断はするな。
その者はただ、詭弁を巧みに弄しているに過ぎない。
悪魔の目的は、日の本において、かつての"神の庭"の再現。
そしてさらに、ゆくゆくは"神の国"をも再建することを企んでいる。
それには日の本の5400万の麦を種を犠牲にする必要があるという。
これらを確かに地に落とし、ある芽を出させて生長させる。
これから成る実こそが、神の実である。
その実を手にした悪魔は、空を仰ぎ、さらに全世界人口の6割を口減らしとして滅ぼさんとするだろう。
これら全ては、まず始めに世界全体の金融システムの崩壊から始まるため、それを兆しととらえておいて間違いはない。
システムの構築と崩壊は、同じ者によってもたらされるのである。
金剛が寸止めの正拳を決める直前、天龍の方も存外悪くはない一撃を
金剛に向けて放ってはいた。
実際、金剛の攻撃の間隙を突いたその一撃は、金剛の身中を的確に捉えていたのだ。
端から二人とも、相手に直接得物を見舞うというつもりはなかった。
天龍としても、その一撃は金剛の衣服に触れるか触れないかに留めるつもりの
攻撃だった。
しかし次の瞬間には、天龍のその手心も今の金剛相手には結局、無用だったと判明する。
天龍
(……丁度、オレの剣が当たるか当たらねぇかの直前に…………"吹かした")
早くも金剛は、既にもう"それ"を自分のものとしていたのだった。
天龍
「…………」
一瞬の魔力ガスの膜に剣の勢いを完全に殺され、また突然のそのガスに
見事に気を持っていかれてしまった天龍は、その後為す術もなく、
隙を見逃さずに繰り出された金剛の一撃に敗した。
天龍
(まんまとノせられちまったってわけか…………なんつーか……)
虚実を織り混ぜた戦法は金剛の一瞬の機転の物に違いないのだろうが、
それを可能にしたのは金剛の有する特殊兵装の性能に他ならない。
天龍
(……)
金剛の特殊兵装は、先ほど現に天龍が目の当たりにしたように
攻勢・守勢の両場面において、兵装の機構上、素早い切り替えと対応が可能である。
そのためたとえ仮に、一時的に危機的状況にあったとしてもそこから一瞬で脱して
反撃に転じることが出来る。
さらに兵装の扱いに慣れれば今後、"窮地"はむしろ絶好ともなり、
その高水準の攻守性能、そして本人の高い格闘センスゆえに、変質的な戦況でも
単艦でありながら、多くの場面において優勢的に展開させていくことが
可能となるであろうと容易に想像も出来る。
この双方の組み合わせは、身内である天龍の目から見ても脅威的に映った。
天龍
「……」
金剛
「? 天龍?」
天龍
「……っ…………ん……あぁ、お疲れ」
金剛
「Ya? とりあえず、一旦戻りマスカ?」
天龍
「……ああ」
金剛
「YES! さっそくダンテに報告デースっ!」タッタッター
天龍
「…………」
◇
金剛
「――どうデシタ?!
もうタイミングの読み方もバッチリって感じデショーっ?」
ダンテ
「ああ、そうだな」ha
トリッシュ
「私も見させてもらってたわ。
貴女、意外にすごいのね。 見事なものだわ」
金剛
「...Oh!」フッフーン!
天龍
「……んっ、ヨッコラっと………くはぁ~っ……」トサッ…
―スッ…
龍田
「……お疲れ様、天龍ちゃん。 くたくたって感じね~」
天龍
「んぁー? ……なんだ、見に来てたのかよ」
龍田
「……ええ」
ダンテ
(…………)
それぞれ話し込んでいる四人を一人、ダンテは静かに見ていた。
◇
「「――――」」
談話の輪の中から、さりげなくトリッシュは離脱し、輪からは離れていたダンテに合流する。
トリッシュ
「……それで、感じとしてはどう? あの娘たち、強くなれそう?」
ダンテ
「……ま、問題はねぇな。持つべきものは持ってるヤツらだ。皆、な」
トリッシュ
「……そう」