悪魔これくしょん -デビこれ-   作:ハーメルンkpx

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「自殺をすれば、国民貯蓄課の属官たちはこう言うに違いない。
 『前途有望な青年がどうして自殺なんかするのだろう』
 前途有望というやつは、他人の僭越な判断だ。
 大体この二つの観念は必ずしも矛盾しない。
 未来を確信するからこそ自殺する男もいるのだ」

三島由紀夫


人民を顧みぬ腐りきった政府が作り上げた、腐りに腐り果てた国などに生まれたことをひどく恥じてしまう者もいるということだ。

そんな国に生まれてしまった現実を疎んじるか?
その事実を帳消しにしたいか?

であるならば、複雑なことは何もない。
己の心の欲動に従うが良い。
腐りに腐り果てた者共を○してしまうか、自ら命を絶つかだ。

国を捨てればよいと考える者をいるだろう。それもまた良し。
しかし、決して勘違いはするな。
人にとって、国とは肉体である。国捨てとは肉捨て、である。
これもまた自死に等しいことと心得よ。


Streak 013

 ~ Streak 013 ~

 

 

 

提督室

 

 

ダンテ

「――へぇ……そいつはまたスゲェ話だな」

 

陸奥

「それで、あなたからも診てあげてほしいんだけど……」

 

ダンテ

「……あ? オイオイ、医者ですらねぇんだぞ?

 俺が診てどうにかなるのかそれ…」

 

陸奥

「今回起きたことは、"こちら側"でも前例のない事なの……。

 だから、そうなると必然的に可能性の一つとして、ね……?」

 

ダンテ

「……hmm, なるほどな……。

 ……わかった。 そういうことなら受けてやる」

 

陸奥

「っ……ありがとう……!」

 

ダンテ

「Huh...」

 

陸奥

「それじゃあ、今から連れてくるからっ」スクッ

 

ダンテ

「ああ」

 

 

―ガチャ、パタンッ

 

 

ダンテ

「……」

 

・・・・・・

 

ダンテ

「……」ジー…

 

如月

「……っ///」

 

 

長門・陸奥・夕張・明石

「……」

 

 

ダンテ

「……」…

 

如月

「……ぁ、あのっ……///」

 

 

陸奥

「……どうなの?」

 

 

ダンテ

「……どうって、まず顔が赤いな」

 

如月

「っ!?////」

 

 

ダンテ

「おっと、Bingoか? それが原因と関係あるのかもな」HAHAHA

 

如月

「ふぁっ!?/////」

 

 

陸奥

「そういうのいいから」

 

長門・夕張・明石

(……)

 

 

ダンテ

「…ハ、冗談さ。 ヘイ、キサラギ。楽にしてな。

 別に取って食うために呼んだわけじゃねぇんだ」

 

如月

「ぇあっ!? ……あ……は、はぃ……////」

 

 

明石

(これは……)

 

夕張

(別の意味で想像しちゃったっぽいわね~)

 

長門

(……?)

 

陸奥

「……で、どうなのよっ?」

 

 

ダンテ

「つってもパッと見じゃな……。

 声つってたか。 ……とすると、口か喉か……あとは、肺か腹だな。

 順番に診ていくが、大丈夫か?キサラギ」

 

如月

「あ、はい……よろしくお願いしますっ……」

 

 

明石

(……どうやって診るんだろう……?)

 

・・・・・・

 

ダンテ

「……」

如月

「~~っ////」

 

 

陸奥

「」

 

 

如月は、ダンテにあごを指で軽く持ちあげられていた。

二人の距離は非常に近く、傍目にはもう"それ"の直前にしか見えない。

 

 

明石

(うわぁーっ うわぁ~~っ///)

 

夕張

(生のあごクイとか初めて見たわっ)

 

長門

「それで、どうなんだ?」

 

 

ダンテ

「ンー…………」……スン…

如月

「っ!?」ビクッ

 

 

ダンテ

「…ん?」

 

 

明石・夕張

(匂いを嗅いだっ!?)

 

 

如月

「」

ダンテ

(……)…スッ…

 

 

ダンテはさらに身を寄せる。

 

 

―スンスン…

ダンテ

「……」

如月

「」

 

 

明石

「っ////」

 

夕張

(……喉元の匂いを嗅いでる……?)

 

長門

「………む? おい陸奥、どうした?」

 

陸奥

「」

 

長門

「……」ペチペチ…

 

 

スンスン…

ダンテ

「……」

如月

「んっ! …んぁっ!?////」ビクンッ! ガタッ…

 

ダンテ

「オット…」

―グィッ…

如月

「ひゃうっ!!?////」

 

 

明石

「こ、これっ……///」

 

夕張

(……まぁ、事情を知らないともうそういうことしてるようにしか見えないわね……)

 

 

座ってはいるものの、姿勢を保てなくなってしまった如月を少し抱き寄せて支えながら、

ダンテは、口・喉元・胸・お腹の順で鼻を軽く鳴らして何かを調べているようだった。

 

 

明石

(というか調べるってそういう感じなんですね……///)

 

・・・・・・

 

ダンテ

「……」…

 

如月

「」ビクンビクンッ…

 

 

明石

(如月ちゃん……///)

 

陸奥

「」

長門

「……」イソイソ… ←立ったまま硬直した陸奥をソファーへ横にしている

 

 

夕張

「……どうだったの?」

 

ダンテ

「……ああ。 確かに、微かに混じってるような匂いはしてるな。

 ただ、具体的なことはわかんねぇな。

 どっかからか、わずかに漏れ出してるような感じだ」

 

夕張

「どこからか、か……」

(……同行していた遠征部隊から長門さんが聞いた報告では、

 かなり特徴的っていうか、非常に独特な声質だったって話だし……。

 そうすると、あとは……)

 

 

夕張

「……あっ、そうだ。口腔内……!」

 

ダンテ

「ン?」

 

夕張

「だから口の中よ! いや、ていうか口内の奥の喉なんだけど」

 

ダンテ

「……あぁ」

 

・・・・・・

 

夕張

「匂いという形で体から確かに変調がみられるというなら、

 報告にあった声のことも含めて考えてみると、

 可能性としてはけっこう有力だと思うわ」

 

明石

「……まぁ言われてみれば確かにありそうではありますけど……」

 

ダンテ

「Hmm... よし、それならそこも調べてみるか」

 

明石

(……でも、それって……)

 

 

夕張

「如月ちゃん、起きてー」

―ユサユサ

如月

「っ………ん……んぅ…?」←陸奥とは反対側のソファーに

 

夕張

「ぐったりしてるところ悪いんだけど、次は口を開けてもらえる?」

如月

「……え?」

 

夕張

「次は口の中を検査するから」

如月

「っ!? そ、それって口の中もさっきみたいにするってこと!?」

 

夕張

「うん」

如月

「」

 

 

明石

(……まぁ、普通そうですよね……)

 

・・・・・・

 

夕張

「――だから、ね?

 やっぱり大事なことだから、

 診てもらえるところは出来る限り診てもらっておくべきだと思うの……」

 

如月

「……」

 

 

明石

(ま、診るっていうか嗅ぐんですけどね…)

 

 

如月

「……わかりました。 私自身のことだし……。

 でも、あの……」チラ…

 

 

ダンテ

「……」huh..

 

 

如月

「っ……////

 せ、せめて10分ほどだけほしいわっ。 そのあと必ず戻るから……///」

 

 

明石

「……夕張、いいですよね? あとダンテさんも」

 

 

夕張

「ん…まぁ10分くらいなら、大丈夫そうかな」

(変化はあるみたいだけど、見た限り体調とかは安定してるみたいだし)

 

ダンテ

「俺は別にいつでもいいぜ」

 

 

明石

「それじゃ、如月ちゃん、私たちはここで待ってますから行ってきてください」

 

 

如月

「ええ、またあとで…」スクッ…

 

―ガチャ、パタン

 

 

明石

「……私、ちょっと医務室の方に行ってきます。

 必要そうな物とかいろいろ取ってきます。すぐに戻るので」

 

 

夕張

「あ、そうね。 うん、お願い」

 

 

明石

「はい」ガチャ

 

パタン

 

 

ダンテ

「……医務室なんてあったんだな」

 

夕張

「ええ。どこの鎮守府にも一応ね。

 私たち艦娘は、怪我のほとんどは入渠で治しちゃうんだけど、

 それでも全く利用しないというわけでもないし」

 

ダンテ

「Hum」

 

夕張

「というか普通の鎮守府だったら、"普通"の提督がいるわけだし。

 それに、外の海域とか鎮守府の近辺で有事に際してる民間人がいたら、

 その人達を確保して誘導、そしてそれから医務室で応急的にでも

 治療を施さないといけない事態も考えられるからね」

 

ダンテ

「なるほどな」

 

 

長門

「……すまん、ちょっといいか?」

 

 

ダンテ・夕張

「?」

 

 

長門

「……陸奥がな……」

 

陸奥

「…………ナンデ……アタシニハ……」ウーン…

 

 

夕張

「……」

 

ダンテ

「……これ寝言か?」

 

 

長門

「……のようだ……。

 すまないが、すぐそこの私室を貸してはもらえないか?

 こうなってしまってはこのままここに居させていても仕方がないし、

 体を冷やしてしまう」

 

 

ダンテ

「ん、ああ。 構わないぜ、そうしてやんな」

 

 

長門

「助かる。 では失礼する」コツコツ

 

―ガチャ

 

 

長門

「……よっと」

―ダキ…

陸奥

「……」

 

 

夕張

(……ふむ……)

 

・・・・・・

 

夕張

「――えっ……混ざってるって、如月ちゃんの匂いも合わせて2つじゃないの……?」

 

ダンテ

「……ああ、3つだ。 俺がわかる限りで少なくとも、だけどな」

 

夕張

「……それって、いったい……」

 

ダンテ

「さてな……」

 

 

―ガチャ

長門

「ふぅ……」パタン

 

 

夕張

「…あ」

 

ダンテ

「……問題はなかったか?」ha

 

 

コツコツ…

長門

「……ああ、杞憂だったくらいにすんなりとな……。

 しかし……」

 

ダンテ・夕張

「?」

 

長門

「……重ねて申し訳ない、寝具を……しばらくあいつに貸してやってくれないか……」

 

ダンテ

「フトンか?」

 

長門

「うむ……」

 

夕張

「……何かあったんですか?」

 

長門

「……すぐに目を覚ますだろうと思って、掛け布団をめくって

 敷き布団の上に置いてやったんだが、タオルケットか何か腹に掛けてやろうと

 思って探していたら、いつの間にか掛け布団を被ってうずくまっていたんだ」

 

夕張・ダンテ

「……」

 

長門

「もしかして起きたのかとも思ったんだが、呼び掛けても反応はないし、

 揺すってもぴくりとも動かなくてな……」

 

夕張

「そ、そうですか……」

 

長門

「……それでまぁ何となくなんだが、しばらくは起きないような気がしてな……。

 事後確認になってしまって申し訳ないのだが……」

 

ダンテ

「……ああ。 ま、別にいいぜ。

 俺も今は眠くはねぇし、元々俺はどこでも寝れるタイプだからな」haha

 

長門

「すまんな…」

 

夕張

(……なんか、想像するといたたまれない……)

 

 

―ガチャ

明石

「いろいろ持って来ましたー。 消毒液とかその他もろもろ」パタン

 

 

長門

「ん」

 

夕張

「あ、ご苦労様」

 

ダンテ

「おう。 ……ん?」

(あのアカシが手に持ってるやつは……まさかとは思うが……)

 

明石

「えーっと、まずは皆さん、消毒液を使って殺菌処理を行ってください。手洗いとか。

 これから先は一応、衛生面にも関わってくると思うので。

 それと、これも人数分持ってきました。 陸奥さんは……」

 

長門

「あぁ、隣室に移動させた」

 

明石

「あ…なるほど……。

 じゃ、4着ですね。 えーと、男性サイズは……」

 

ダンテ

「……」

 

明石

「ん~……あ、これだ。 はい、ダンテさんっ」

 

つ【白衣】

 

ダンテ

(やっぱか……)

「……huh. alright...」

 

・・・・・・

 

デデーン

 

ダンテ

「……」←白衣

 

 

長門

「ほぅ……」←白衣

 

明石

「よかった、やっぱり男性用の一番大きいのを持ってきて正解でしたねっ」←白衣

 

夕張

「でもなんかあれね。

 医者っていうより、学者っぽいわよね。斜に構えてる系の。

 ほら、学会とかでも、相当キレてて研究も異質なんだけど

 同業からは理解されないっていうか、若干敬遠されてるみたいな」←白衣

 

明石

「あ~……ww

 SF系パニック映画で、中盤くらいから、ぶっきらぼうだけど的確にアドバイスくれて

 主人公たちを助けてくれる、みたいな?ww」

 

夕張

「それだわwww

 シブメンのバッカーなのよねww」

 

明石・夕張

「wwww」

 

 

長門

「……何の話だ?」コソ…

 

ダンテ

「さァな……」huh..

 

 

 

・・・続く・・・

 

 

 

 

 

 

 


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