共産主義と粛清はつきものだと思っております。
共産主義の粛清のほうが数が多いだけ、始末が悪い。
たとえば暗殺が全然なかったら、政治家はどんなに不真面目になるか。
殺される心配がなかったら、いくらでも嘘がつける」
三島由紀夫
「この決断の責任は、私がとる。
もしも、不満だったり、誰かを責めたくなったりしたら、
私を責めてくれ。私以外の、誰のせいでもないのだから」
アンドリュー・マーク・クオモ
「私たちが責任を取ればいいというものではありません」
安○晋三
その人にとって、耐えがたいほどの痛みだけが、その人に反省と学習を促す。
そして、恐怖やペナルティというものには元々、人に緊張感と責任感を持たせる力がある。
人類は、肉体的あるいは精神的痛みによってのみ、反省の機会を得られ、学びを得られる。
アインシュタインは6万人以上の命が失われてから、当時の米国大統領に書いた手紙の内容を後悔した。
福沢諭吉は○○国との国交に希望を抱いていた。何度踏み躙られようとも現地にて、○○人の教育と友好関係の奔走した。しかし、愛弟子の一人が当時の王朝の手によって惨殺されたことを最後に、○○国と関係を持つことは誤りであったと、やっとの気付きを得る。
稀代の天才、アルベルト・アインシュタインや福沢諭吉ですら、例外ではなかったのだ。
そこらの政治屋如きが該当しない道理はない。
服を作って売る商売をする者を服屋という。
靴を卸して売る商売をする者を靴屋という。
政治を道具にして金儲け商売をする者を政治家とは言わない。政治屋という。
政治屋を正し、政治家に昇華させるためには痛みが必要なのだ。
政治屋に限らず、そもそも人間には痛みなどのペナルティでしか、緊張感も責任能力も持たせられない。
政治屋には、その一挙手一投足において、自国民の生殺与奪を自在にすることが可能なのではないか?
これには賛否の声があるだろう。
であれば、これは事実ではないとしよう。一先ずは。
しかし、本当の事実がなんであれ、よく考えてみることだ。
ある二人の船長がこう言ったとしよう。
「私の船には大勢の人間が乗船している。
私はその人間全員の命を預かっているのだ。
私の操舵により、この船に乗っている者たちの命運が決まる。
だから、私は船を操舵するとき、1秒でも気は抜かず、
航行の全てに気を配り、舵を切る瞬間の全てに責任を持っている」
「私の船には大勢の人間が乗船している。
私はその人間全員の命を預かっているつもりはない。
私の操舵によって、この船に乗っている者たちの命運が
決まるなどという関連性なんてものはないと思っているからだ。
(もしくはその発想すらない)
なので、私は船を操舵するときは、どちらかと言えば気楽なものだ。
私の操舵などは、特にこれといって、全ての物事にそれほどの影響は及ぼさないからだ。
(あるいは非常に軽く考えている)
船に乗り、舵を握っているのに"船を漕ぐ"のも問題ない。
なんとかなっているし、操舵の最中にタブレットを使って、
今日の夕飯の献立を夢想することもある。
陸に着いたら、今度はどんな女(風俗)に金(血税)をつぎ込みまくろうかと
考えることなんてしょっちゅうだ。
"もし座礁したらだって?"
問題ないさ。何といっても、その事故と私の操舵には関連性がないんだから。
"問い詰められたら?"
それも問題ないよ。関係ない、責任はないとかなんとか言って煙に巻くさ。
その手の口上には自信があるんだ。責任逃れなんていくらででも出来る。
不祥事から逃げられるという前例を作ってしまえば、
あとは、それは繰り返し放題なんだ」
関係があるのか、関係はないのか、事実はこの際どうでも良いだろう。
ただ、船長がどのように考えていて、どのように捉えているのか。
常日頃から、どのような緊張感と責任感を持っているのか、ではないだろうか。
好きに選択すれば良いだろうが、どちらの船長の船に乗り込みたいのかは、よくよく考えてみることだ。
何の責任も罰もペナルティもなく、人間が道徳と倫理の元に、理性的に言動を制御できるものと考えている存在がいるとしたら、その存在は人間未満の知能しかない生命体であるか、人間のことをよく知らない地球外生命体に他ならない。
もし人間が痛みもなしに、己を理性的に律せられる生き物だと思っている人がいるのなら、それは人間を神か何かだと思い違いをし、驕り極まっている人物に他ならない。全く以って、勘違いも甚だしい。
ペナルティや司法や警察には、違法者に対してちゃんと機能したときには、国民の溜飲を下げる役割もある。これが機能不全であるとき、国民の中から、私刑やテロリズム、暗殺や爆発物使用などの温床となり、むこの人々にまで拡大する被害となる。結局、どちらかの天秤である。為政者のみを先に刺すか、むこの国民まで巻き込む事態にまでなった方がよいのか。
極論、ペナルティや司法、警察がしっかりと機能すればよい話なのだが、これが期待できないのであれば、為政者の人権を剥奪した方がいい。国政を誤れば、その代償として国民から命を狙われる。それくらいの緊張感をもって、また、国民の生活や命を預かっているという認識をもって、国政には挑むべきである。
為政者の一挙手一投足により、国の治安が悪くなったり、世帯の家計が困窮したり、最悪、国民の命が脅かされることは事実としてある。であるならば、為政者はその国政において、己一人の命くらいは担保にすべきである。そうでなければアンフェアというもの。
政治屋の一挙手一投足で首をくくらされるのが国民。
政治屋にも等しく命のリスクはあるべき。
でなければアンフェアで反民主的。
もっと正確に示すならば、4つ目の若人以下の魂においては、何かしらの責任や罰、ペナルティがなければ、道徳と倫理の元に、理性的な言動をとることは絶対にない。
ほとんど全てにおけるケースで、政治屋には4つ目の若人以下の魂しかいない。
そして残念なことに、5つ目の老人が政治家になることはほとんど全くと言っていいほどにない。本人が忌避する。
4つ目の若人以下の魂の者ほど、表向きの代表や公的組織のトップに成りたがる。
5つ目の老人の魂の者ほど、表向きの代表や公的組織のトップになることを忌避し、裏社会の人間や秘密裏の組織に所属したり、そのトップになることが多い。
~ Streak 056 ~
五十鈴「――夜が、ね……」
アトランタ「……うん……」
アトランタの短期補佐担当となっていた五十鈴は、彼女から相談を受けていた。
「まぁ別に、そんなに特殊な話でもないわ」
「そう、なの……?」
「ええ。艦娘なって、鉄の艦艇から人の形をとるようになって、
心を持ったわけだから、そういった精神面でも問題を抱えてる子は珍しくはないもの。
というか夜が苦手って子はこの鎮守府でもわりと多いし」
「……皆はどうしてんの?」
「提督から…………えーっと…………お守り? をもらってるわね……」
「お守り?」
◇
提督室
「HA」
「……チッ……」
「ちょっと……これも真面目な相談よ」
「……わかってるさ……。つってもその手のやつは多いからな……。
……あぁ、丁度いいやつをテンリュウが仕入れてやがったな」
「……?」
「うちもいよいよ何でも揃うようになってきたわね……」
◇
第二工廠・魔石保管庫
ダンテに連れられて、アトランタと五十鈴の二人は保管庫の奥へと進んでいく。ある程度進んだところで、ダンテは何回か鼻を鳴らして、目的の魔石を見つけるとそれをアトランタに渡した。それはまるで、蛇がとぐろをまいたかのような石だった。しかし、不思議と不気味さは感じられない。その石が虹色の反射光を放っていたためだろうか。
「すごくきれいねっ……」
「もしかしてこれってアンモナイト?」
「アンモライト、だな。まぁただの宝石じゃねえけどな」
「ここにあるんだし、魔石ってことよね?」
「えっ……じゃあこの石が例の悪魔ってこと?」
「――の一部だ。本体じゃねえ」
端的にそれだけ言うと、ダンテは今度は工具類のコーナーの方へ歩き出した。疑問をまだ残しつつも、二人はまたそれについていく。
「――そいつを火で軽く炙る。アン、お前がやれ」
「え?」
ダンテが言いながらアトランタに手渡したのはジ○ポライターだった。軍艦のモチーフが刻まれている。誰の製作品だろうか。
アトランタは始終、疑問符が尽きない。
「百聞は一見にしかず、ってこと?」
「ああ」
「……」
「ふーん。まぁ、いいんじゃない。やってみたら?アトランタ」
「……わかったよ」
まだまだ拭えていない物も多かったが、五十鈴に促されて、アトランタは工具台に固定したアンモライトに火を近付ける。
数秒ほどでアンモライトは強熱発光し、もうしばらくすると見ていられないほどの光を放った。
「あぁ、直視するなよ」
「「おそっ!?」」
半径数メートルを覆うほどの光。しかし、一瞬にして収まる。
「――っ!? あれ、消えた……?」
「……あっ! 火災の後のダイヤモンドとかって確か消えるって……」
「石としては消えたってだけだ。もう後ろにいるぜ」
「「っ!?」」
「――え……フクロウ……?」
「……フクロウ?なの? この子……」
一見すればそれは確かにフクロウだった。しかし唯一、ある一点だけが疑問を抱かせる要素となっていた。
長い尻尾がある。その尻尾はどう見ても鳥類の尾っぽ、それではなく、どちらかと言えば、爬虫類のものだった。
「――アモン、その魂の一部ってところだな。夜はそいつに付いててもらえ。
たとえ真っ暗な夜道でも、行き先だろうが戻り道だろうが
ご丁寧に案内してくれるだろうぜ」
「こいつが……?」
「へぇ。夜目がすごい利くってこと?」
「こいつの能力の本質はもう少し違うモンだけどな。
ま、この姿のこいつじゃそれくらいが関の山か。
……あー、あとはそうだな。アカツキとユウダチが鬱陶しくなったら、仕向けてみろ。
それも何とかしてくれるはずだ」
「Really!?」
「ここに来て一番いい反応ね……」
アトランタは新たに迎えられた仲間に目を向ける。
その視線と目が合うと、フクロウっぽい悪魔、もといアモンは大きな翼を広げ飛び立つ。
しかし、見た目ほど、その飛翔に音はなく、ゆっくりとアトランタの近く、目線の高さまで飛んできた。
「えっ、あ、ちょ――」
アトランタは慌てぎみに手を伸ばした。
すると、アモンはその腕の上に静かに、正確に着地し、尻尾を垂れさせる。
「あら、芸の物覚えは良さそうね」
「HaHaHa」
「……ふ~ん。……ふふっ、よろしくね、アモン?」
アモンの尻尾が一度だけ左右に振れた。
◇
「ご飯は何をあげてるの? 猛禽類だから肉食よね? 見た目は、だけど」
「あぁ、あたしもいろいろ調べてからあげてみたんだけど、結局雑食だった」
「え、そうなの?」
「うん。Ve...あー……野菜も食べるよ」
「へぇ~」
「普通は消化できないから食べさせないらしいんだけどね……」
「……まぁ、ただのフクロウではないしね……」
いつもの訓練の後、間宮へと向かう途中、アトランタと五十鈴は他愛ない話に興じていた。
「始め調べた限りじゃ、マウスとかひよことかが書いてあって……」
「あ~……」
「これはけっこう覚悟しないとだな、って思ってたんだけどね」
「そうよね」
「とりあえず、生のChickenでもあげるか、って思って鳳翔から
ちょっと分けてもらってきてあげたりしたんだよね。
でも血抜き済みの加工肉とかだとやっぱり栄養が不足するとかも書いてあって」
「ふむ」
「どうするかなぁって考えてたら、いつの間にか居なくなってて」
「えぇっ」
「探してたんだけど、しばらくしたら自分から帰ってきて、口になんか咥えててさ……」
「あっ……」
五十鈴は何かを察したようだ。
「か、カエルとか……?」
「あぁ、Frogも何回かあったなぁ……。初めてのときはマウスだったよ」
「そ、そう……」
(ネズミ……ん? そういえば、菜園してる駆逐艦の子たちが
ネズミがいなくなったとか言ってたような……)
「あと、けっこうきれい好きみたいなんだよね。めっちゃ水浴びして帰ってくる。
海水臭くはないから、どっかで川みつけてそこで洗ってきてるのかもしんないけど」
「すごいわね、世話要らずじゃない」
「いやそれが……」
「?」
「水浴びした後、自分では完全には乾かせないのか、微妙に濡れたまま帰ってきて、
そのまま乗っかってくるんだよね」
「……ぷっ……」
「おまけにその状態でShakeするし、部屋持って帰ったときには中でもやられてさ……」
「あらら……フフフッ……」
「だから、濡れて帰って来たときだけ要注意かな。
おかげでハンカチ何枚も常備してるよ。部屋にはドライヤー4つもあるし」
「ふ~ん。まぁでも、よかったじゃない。なんだか最近楽しそうよ?w」
「……まぁ、退屈はしないかな。夜は気が紛れるし……」
「……そっか」
◇
「――そういえば、病気とかは大丈夫なの?
けっこういろんなもの食べてるみたいだけど……」
「あ、それはマウス咥えて帰って来たその日にギルにも訊いた。ない、ってさ。
一応、明石にも定期的に診てもらうようにしてて、特に問題も出てないから」
「ああ、そうなの。それならよか――」
「――あら、アトランタさん。
今晩お魚で、これから捌くんですが、またハラワタお持ちになりますか?」
鳳翔だった。小物買いをしていたのだろうか、小さな手提げ袋を持ち、食堂へと向かう途中だったらしい。
「――! Thanks! 鳳翔。また後で取りに行くよ」
「はい。ではまた後ほど。五十鈴さんも」
「……あ。え、ええ。また」
アトランタと鳳翔、二人だけが通じる会話がなされた後、挨拶も早々に鳳翔の方は行ってしまった。
「……ハラワタ…………あぁ、エサね?」
「Exactly. 生エサは栄養的に本当に貴重だからね……」
「……あ~、そうね……。身に染みて知ってるわ……」
「? ...Hm, そういえば、五十鈴も前にサバイバルしてたんだっけ?」
「い、一応ねっ……」
「Hum...?」
◇
「――しっかし、ハラワタねえ……。
……なんかこの鎮守府もただ捨てるものはどんどん少なくなって来てるわね……。
元々、食べ物を無駄にするようなことはなかったけど、食べられない部分とか、
そういうのを処理してくれる子は前々からいたし、今度は内臓も、か」
「あぁ、ケルビ、だっけ?」
「あら、もう知ってたのね」
「着任して次の日に会ったよ。Nightmareが抱えて見せに来た」
「そういうこと。ふふ、驚いたでしょ?言葉話すし」
「……まぁ、それなりにね。でもうちのだってすごいよ。
なんてったって、道案内のExpertだからね」
「へぇ、そんなに?」
少し、含みのある表情で、わざとらしく五十鈴は尋ねた。
すると、アトランタも少しわざとらしげにむっとして、それに答える。
「もちろん。もうNew Face一人につき、一羽は最低でも支給するべきだね。
そしたら、こんな広い鎮守府に着任することになっても、
初日に迷子になる、なんてこともなくなるよ」
「ふふっ……ふっ……そう。そうかもね。まぁさすがにそれはむずかしいとは思うけど」
「Umm...」
二人はもう随分と打ち解けている様子だった。
「――気になってたんだけど、あの子が道案内するときって、
実際にはどんな感じなの?」
「どんな……Hmm... 基本的にはちょっと前を飛んでるからそれに付いていく感じかな。
目をつむってても案内してくれるよ」
「え。それってどうやってるの……?」
「んーと、たとえばなんだけど、夜目も利かない夜道とかだと、
手首に尻尾巻き付けて来てそのまま引っ張ってくれるんだよ。
しかもわりとけっこう力強く」
「……それって、なんか怖くない?」
「まぁ、はじめの頃はね……。
それでも飛び立てるほど強くはないし、完全に止まってたら、
様子見に戻ってくるしね」
「へぇー……。本当にお利口なのね……」