理想を求める者達も異世界から来るそうですよ?   作:幻想のtidus

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世界の果て──龍の理想

 あれから黒ウサギから箱庭の説明があった。

 要点を纏めればこうだ。

 箱庭とは神と人類史とは離れた観測地点であり、そこで神魔の遊戯、ギフトゲームが日夜競い合い、時に生計を立てる者もいるらしい。

 ギフトゲームには様々な部類が存在し、実力、知識、勇気を試し、時に運に身を任せるモノまで存在するらしい。

 そして、勝者には恩恵や様々な物品を得ることが可能という話だった。

 

 現在、黒ウサギは世界への果てに全力で向かっていた。

 

「あの問題児様がたーーーー!!」

 

 黒ウサギの感情を乗せた絶叫が森に響き渡る。

 こうなった理由は単純だった。

 

 

 時は少し遡る。

 

 

 ☆★☆★☆

 

 

「そうだ世界の果てに行こう」

 始まりは十六夜のその一言だった。

 

「私は遠慮するは十六夜君」

「……私もパス」

「遠慮します」

「ヤハハ、即答かよ」

 

 女子三人は即答で拒否した。

 

「俺は行くッ!!」

 

 龍悠は満面の笑みを浮かべながら、跳ね回る。

 

「お、来るか赤髪ショタ。……で、お前はどうするんだ秋世」

 

 此処で十六夜は秋世に話をふるが……

 

「……俺が行くと思うか?」

「イヤ、断ると思ってたぜ。──ただ()()()()()()()()()()気になってな」

「愚問だ」

 

 秋世と十六夜の会話に疑問符を浮かべる少女達三人と一匹を尻目に十六夜は龍悠と共に世界の果てに向かって駆け出していった。

 

 

 ☆★☆★☆

 

 

「ああもう、飛鳥さん達も問題児です!秋世さんも何で黒ウサギがゴミを見るかの様な目で見られなければならないんですか!?」

 

 本人達の目の前で言えば黒ウサギ自慢のウサ耳はきっと明後日の方向に投げ捨てられているところだろう。

 然し、こうしなければならない程に彼女は問題児に振り回されていた。

 

(先程のは十六夜さん達が水神の眷属にゲームを挑んでいる、とのことでした。急がないと手遅れにッ!!)

 

 黒ウサギはさらに加速する。

 風を追い抜き、木々をしならせ、光の如く疾走する。

 そして眼前が開け、湖のほとりに出る。

 

「あれ、お前黒ウサギか?どうしたんだその髪の色」

「うお、赤くなるんだウサギって!」

 

 背後から聞こえるのは忌々しい問題児二人の声。どうやら二人共無事だったらしい。

 

「もう、一体何処まで来てるんですか!?」

「世界の果てまで来ているんですよ、っと。まあそんなに怒んなよ」

 

 十六夜の小憎たらしい笑顔も健在だ。然し、龍悠は湖の一点を見つめて動かない。それに辺り一面が水浸しになっていた。

 

「しかしいい脚だな。赤髪ショタに合わせていたとはいえこんな短時間で俺達に追いつけるとは思わなかった」

「むっ、当然です。黒ウサギは箱庭の貴族と謳われる優秀な貴種です。その黒ウサギが──」

 

 ここまで言って黒ウサギは首を傾げる。

 

(黒ウサギが………半刻以上もの時間、追いつけなかった……?)

 

「オイオイ、十六夜!駄弁ってるなら、()()は俺がもらうぞ!」

 

 直後、幾つもの水柱と共に巨躯の大蛇が鎌首を起こしていた。

 

『まだ……まだ試練は終わっていないぞ、小僧ォ!!』

「蛇神……!って、どうやったらこんなに怒らせられるんですか御二方!?」

 

 ケラケラと笑う十六夜と獰猛な笑みをうかべる龍悠は事の顚末を語った。

 

「なんか偉そうに『試練を選べ』とかなんとか、上から目線で素敵なことを言ってくれたからよ。()()()()()()()()()()()()()()()のさ。結果は残念な奴だったが、面白いもんは見れたぜ」

 

「俺はただ単純に俺がさらに強くなる踏み台になってもらっただけだよ」

 

『貴様ら……付け上がるな人間!我がこの程度の事で倒れるか!!』

 

 蛇神の甲高い咆哮が響き、水柱がうねりをあげる。

 あの水流に巻き込まれたが最後、容赦なく人間の身体を千切れ飛ばすだろう。

 

「御二方、下がって!」

 

 黒ウサギは二人を庇おうとするが、十六夜の鋭い視線と龍悠の気迫がそれを阻む。

 

「何を言ってやがる。下がるのはテメェだろうが黒ウサギ。これは俺達が売って、奴が買った喧嘩だ。手を出せばお前から潰すぞ」

 

 龍悠も十六夜の言葉に無言で同意する。

 十六夜の言葉に蛇神は息を荒げて応える。

 

『心意気は買ってやる。それに免じ、この一撃を凌げば貴様らの勝利を認めてやる』

 

「寝言は寝て言え。決闘は勝者が決まって終わるんじゃない。敗者を決めて終わるんだよ」

 

『フン──その戯言が貴様らの最期だ!』

 

 蛇神の雄叫びと共に嵐の様に川の水が巻き上がり、竜巻のように渦を巻いた幾つもの水柱が唸り襲いかかる。

 

「十六夜さん、龍悠さん!」

 

 黒ウサギの叫びは遅かった。最早手遅れだ。

 

 ──然し。

 

「──ハッ──しゃらくせえ!!」

「こんなもんじゃ、俺は砕けねぇよッ!!」

 

 嵐を超える暴力が蛇神の暴力をねじ伏せる。

 彼らは腕の一振りで蛇神の攻撃をなぎ払ったのだ。

 

「嘘!?」

『馬鹿な!?』

 

 驚愕する二つの声。そして二人の目を惹いたのは龍悠だった。

 彼の腕には鱗が付いていた。

 そして二人はこの現象を可能にする種族を知っていた。

 

『龍の……純血』

 

 箱庭には最強種と呼ばれる存在がいる。

 星霊、神霊、そして龍の純血。

 特に龍の純血はただ動いただけの嵐風で全てを巻き上げ、疾走すれば暴雨を、雷雨を、地鳴りを引き起こす。

 まさに力の塊のような存在なのだ。

 そして、龍悠の恩恵はそれにとても似ている。

 

「余所見は禁物だぜ!」

 

 龍悠に気をとられていた蛇神の胸元まで十六夜は飛び上がっていた。

 

「ま、中々だったぜオマエ」

 

 十六夜の蹴りが蛇神の胴体を打ち、蛇神は空高く打ち上げられ、成す術もなく落下する。

 その衝撃で川は氾濫し、十六夜達はまたも全身を濡らしていた。

 

「くそ、今日はよく濡れる日だ」

「十六夜、アンタが蛇神をかちあげるからだろうが!」

 

 二人の喧騒は黒ウサギの耳には届かない。

 彼女の頭の中はパニックを起こし、それどころではなかった。

 

(人間が……神格を倒した!?それも只の腕力で!?しかも一人は龍の純血に酷似した恩恵を所持している……そんなデタラメが──!)

 

 確かに彼らを召喚した主催者は人類最高クラスのギフト保持者と言っていたが、リップサービスか何かだと思っていた黒ウサギだが、今現在黒ウサギの胸中は希望に満ち溢れていた。

 

「おい、黒ウサギ。質問があるんだが……ボーっとしてると胸とか脚とか揉むぞ?」

 

「な、ば、おば、貴方はお馬鹿です!?二百年守ってきた貞操に傷をつけるつもりですか!?」

 

「二百年守った貞操?うわ、超傷つけたい」

 

「お馬鹿!?いいえ、お馬鹿!!!」

 

「貞操ってなんだ?」

 

「赤髪ショタ、いいか?貞操って言うのは──」

 

「教えなくて結構です!」

 

 黒ウサギのハリセンが十六夜の頭を的確に捉える。

 

「で、十六夜さん。質問とは?」

 

「ああ──お前

 

 

 

 

 なんか決定的なこと隠してるだろ」

 

 

 黒ウサギは表情を強張らせ、硬直してしまった。

 それを龍悠は不安そうに眺めていた。

 

「最初から思っていたんだが……黒ウサギ、お前はなんで俺らを呼んだんだ?」

 

「それは十六夜さん達にオモシロオカシク──」

 

「それにしてはお前が必死に見える」

 

 黒ウサギの瞳が揺れ、虚を衝かれた様に見つめ返す。

 

「これは俺の勘だが、黒ウサギのコミュニティは弱小チームか、もしくは訳あって衰退しているチームか何かじゃねぇのか?だから俺達は組織を強化するために呼び出された。そう考えれば今の行動や、コミュニティに入るのを拒否した時に本気で怒ったことも合点がいく、──どうよ?黒ウサギ?」

 

 黒ウサギは否定しない、イヤ否定しない。

 

「沈黙は是なり、だぜ?黒ウサギ。この状況で黙り込んでも状況は悪化するだけだぞ?それともほかのコミュニティに行ってもいいのか?」

 

「オイオイ、十六夜。俺はまだ何も──」

 

 龍悠が喋ろうとすると、十六夜は龍悠の口を塞いだ。

 

「……話せば、協力していただけますか?」

 

「ああ。面白ければな」

 

「……分かりました。それでは我々のコミュニティの惨状を語らせていただきます」

 

 黒ウサギは語った。

 自分達のコミュニティは名も旗もない“ノーネーム”と蔑称で呼ばれていること。

 中核をなす仲間はおらず、ゲームに参加できるのは黒ウサギとリーダーであるジン=ラッセルしかいないこと。

 魔王についてのこと。

 そして、仲間達の帰ってくる場所を守りたいこと。

 

「身勝手なのは重々承知です。ですが、仲間が帰れるよう皆様のような強力なプレイヤーに頼るしかないのです!どうか我々に力を貸していただけないでしょうか!?」

 

 断れることを覚悟して黒ウサギは頭を下げた。

 

「いいな、それ」

 

「─────………は?」

 

「HA?じゃねぇよ。協力するって言ったんだ。もっと喜べ黒ウサギ」

 

「本当ですか!?」

 

「本当でございますよ」

 

 十六夜は黒ウサギを茶化しながら龍悠を見る。

 そして、龍悠は口を開いた。

 

「なあ………黒ウサギ」

 

「なんでございますか?」

 

「頼みがあるんだけど………俺にお前達のコミュニティの仲間を守らせてくれねぇか」

 

 龍悠は照れくさそうにそう言った。

 

「俺ってさ、誰かを倒す為に力をあまり振るいたくないんだ。やるなら大切なモノを守る為に振るいたいんだ」

 

「つまり、龍悠さん……我々のコミュニティに──」

 

「ああ、協力するよ」

 

「御二人共……ありがとうございます!」

 

 こうして逆廻 十六夜と竜童 龍悠はコミュニティ“ノーネーム”に加入した。

 そして、残りの四名は───

 




幻想による問題児の座談会!

記念すべき最初のゲストは今作の主人公、富久音秋世さんと原作主人公、逆廻十六夜さんです!

「……よろしく頼む」
「よろしくな」

さて、始めていきましょか座談会!

「……テンション高いな」

小説はテンション上げていかないと執筆も中々進まないからね!
って、秋世さんもテンション上がってるくせに〜

「……俺が?馬鹿は休み休み言え。……俺が浮れる筈が──」

またまた〜、初の感想で寡黙な主人公って呼ばれて満更でもない癖に〜!

「ヘェ〜秋世はテンションが上がってたのか」

「……殺されたいのか?主に十六夜」

こんな所で恩恵使うなよ!?
ていうか使わせないよ?

「……は?」

君の恩恵は結構、謎に包まれている感じで進めるんだから

「っていうとアレか?秋世の恩恵は原作でいう、第三永久機関や原典候補者みたいな謎があんのか?」

うん、そんな感じだよ。

「それと、主。俺が聞きたいことが一つあるんだが……」

なんだい?

「俺と秋世が戦うことがあるのか否かだ」

……やっぱり聞いちゃう?

「結構重要だろ」

それはあまり言えないんだよな〜
まあ、スペックは十六夜さんと同じ位だよ。

「ヤハハ、マジかよ!おい主、さっさと書け!俺とアイツと喧嘩する為にも!」

……まあ善処します。

「……さて、こんな所で第一回座談会は終了だ」

次回も楽しみにしていただけると幸いです。
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