理想を求める者達も異世界から来るそうですよ?   作:幻想のtidus

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今回長いです!


白夜の果てに

「さて、では始めるとするかの」

 

 白夜叉のその一言で秋世の目の前に一枚の契約書類が現れる。

 

『ギフトゲーム名“白夜の果てに”

 

 プレイヤー一覧:富久音 秋世

 

 クリア条件

 ・主催者の打倒。

 ・主催者に実力を認めさせる。

 

 敗北条件

 ・降参か死亡、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなかった場合。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下に、ギフトゲームを開催します。

 

 “サウザンドアイズ”印』

 

 

 秋世は契約書類を片手に取り、読み終えると同時に足元より、黒の閃刃を展開し即座に白夜叉に襲いかかる。

 

 黒の閃刃は人体の急所を第二宇宙速度で的確に狙い撃つ。

 だが、白夜叉は動かない、否動く必要がない。

 

(ふむ、見たところ龍の遺影に似た恩恵じゃな)

 

 この程度ならば避ける必要はない。

 何故なら白夜叉は箱庭の黎明期より、存在する魔王だ。

 その程度の恩恵など別段珍しくないし、()()()()()()

 

 

 然し、その判断が間違っていたと直ぐ様思い知らされた。

 

 

 確かに黒の閃刃は予想通り、白夜叉の身体を穿つことはなかった。

 問題はその後だった。

 黒の閃刃が形状を変え白夜叉にへばり付き、霊格を、魂を取り込もうとしたのだ。

 

「クッ!?」

 

 白夜叉は腕を振り、纏わり付いた黒を引き剥がす。

 だが、胸や首には未だ黒が離れることなく、其処にあった。

 

「………やはりこの程度では簡単に振りほどかれるか」

 

「おんし……一体、何をした?」

 

「……自分で考えろ」

 

「そうじゃの、ではッ!!!」

 

 そう言うや否や、白夜叉は秋世に第三宇宙速度で直進し接近する。

 

「………フン」

 

 秋世はタクトを振るうように腕を振った。

 

 再び、黒の閃刃が放たれる。

 白夜叉は手に持っていた扇子を斜め下に振るう。

 直後、鉄塊同士が殴り合ったかのような轟音が鳴り響く。

 黒の閃刃を弾き返し閃刃は大地に突き刺さるが、休む間も無く前後左右より閃刃が迫る。

 秋世との間にあるのは只々暗い空間が広がっているように感じられる。

 

 ──然し、

 

「──こんなもので、私を倒せると思っているのなら心外だの」

 

 そんなもの、()()()()()()()と白夜の魔王は退ける。

 

 

 次々、襲いかかる閃刃を白夜叉は弾きながら一歩一歩、驚異的な速度で突き進む。

 

 対して、閃刃は一つも白夜叉に傷一つ付けられない筈なのに馬鹿の一つ覚えの様に放ち続ける秋世。

 

 

 

 そして当然の結果が訪れる。

 黒の閃刃を払いのけ、秋世の懐まで白夜叉は潜り込み、地殻変動を引き起こす拳が放たれる。

 

 然し、黒の閃刃が再び形状を変え白夜叉の拳を受け止めていた。

 

「………アンタ、太陽の星霊と夜叉の霊格以外に何か隠してるだろ」

 

「だったらなんじゃ?」

 

「………別に大したことじゃない」

 

「そうか──おんしの恩恵、影などではないな───闇か?」

 

 秋世は顔を顰める。

 白夜叉はそれを肯定ととる。

 対して秋世の顔色は著しくない。

 

 闇とは光の対義語であり、光のない状態の事だ。

 各宗教や神話に於いても善悪や死と生の対立と同様のモノと見なしている。

 中でも闇と光の対照は、自然的な対照を超え、時間の再生、死と再生の象徴と深い関係があり、重要なテーマと提起されている。

 闇ならば弱点は知れている。

 

「打撃は無効化されているに等しいが……これならどうじゃ?」

 

 白夜叉の大胆不適な笑みとともに闇が受け止めていた手から熱線が放たれる。

 すると、闇は少し存在が希薄になり、亀裂がはいる。

 秋世は闇を用いて、その場から直ぐ様離れる。

 そして直ぐに熱線が闇の壁を突き破り大地を焼いた。

 

 秋世はヒヤヒヤしながら、熱線の爆心地を見た。

 爆心地は焼け、マグマの様にドロドロになっていた。

 もし、あれが直撃したならば秋世は原形がわからなくなるまで焼かれるだろう。

 

(……クソが……!手を緩めるな、領域()を伸ばせ、早く奴の世界を染め上げねえとコッチが詰むッ!!)

 

 秋世は心の中で現状に焦っていた。

 元々彼は、闇のみで、白夜叉を攻め立てるつもりではなかった。

 本来は闇と外界で体得した外法を用いて、白夜叉の裏を取り認めさせるつもりであったが、その肝心の外法の幾つかが使用できないのだ。

 

 箱庭には全能の逆説という物が存在する。

 一神教、一元論を元とした宇宙観を構築できなくなる逆説だ。

 然し、彼が体得した外法の数々は本来は各宗教や神群の物だ。

 外界では振るえた外法の数々を全能の逆説によって幾つか封印されてしまっていたのだ。

 

 だが、使えるモノは全て戦闘に使い辛いモノばかり。

 故に彼は闇のみで白夜叉と戦わなければならない。

 

 

 白夜叉は距離をとった秋世の足元に視線を向けた。

 彼の足元の闇はまるで侵食するかのように白夜の地平を飲み込み始め、それに比例するように徐々に秋世の霊格は上昇していた。

 

(時に攻撃、時に防御、さらには周囲を侵食し、己が神殿にするか……このようじゃと索敵や隠密行動、捕縛にさえ応用が利くと考えておいた方がよいな………全く、面倒じゃの)

 

 彼の闇は無類の万能性を有している。幾ら手数が減ろうと、その手は未だ膨大な手札が存在する。

 

 ここで秋世が攻勢にでる。

 彼が展開している闇が侵食速度を上げ、周囲の木々や湖が黒く染まる。

 そして、変化は唐突だった。

 黒く染まった木々や湖がまるで意思を持ったかのように白夜叉に襲いかかった。

 木々の槍、人体を引きちぎる水柱を白夜叉は灼熱を放ち、焼き、蒸発させる。

 さらに極小の火球を五つ形成し、秋世目掛けて第三宇宙速度を超えて放たれる。

 

(……防御は無理だな)

 

 だが、秋世は極小の火球を防ぐのではなく、躱そうと試みる。

 元より、極小とはいえ、あれは太陽神が作り出した火球だ。闇で防ごうとすれば、先ほどと同様に亀裂が奔り、直撃しかねない。

 故に今できるのは回避のみ。

 

 然し、秋世の行動を嘲笑うかの様に白夜叉は手を打った。

 直後、()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

 これには秋世も目に見えて動揺していた。

 衝撃はなく、吹き飛ばされた。

 闇の索敵には何も探知していない。

 

 下を見た時、それはいた。

 “虎”と刻まれた発光体が先程まで秋世が立っていた場所に存在したのだ。

 それだけではない。他にも“戌”、“猪”、“牛”と刻まれた発光体が浮遊していた。

 

 惚けている暇はない。

 白夜叉の放った火球は軌道を変え、上空の秋世に迫っていた。

 

「クッ!?」

 

 秋世は即座に闇を上空に伸ばし、火球に触れ軌道をズラす事に全力を尽くす。

 

「火球に集中するのはよいが、視野が狭いぞ?」

 

 すると闇を掻い潜る様に龍を象った水の奔流が秋世を食い殺すかの様に突貫していた。

 

 咄嗟に闇で体を球状に覆うが、だが完全に防ぎきれず秋世の体を凄まじい衝撃が奔る。

 右腕はズタズタに裂かれ、形を保っているのが奇跡な状態だ。

 

「その右腕が使い物にならなくなったの。で、続けるか?降参か?」

 

「………誰がッ!」

 

「その意気や良し、まだ私を楽しませろよ!!」

 

 白夜叉は獰猛な笑みを浮かべて、そう言った。

 

 ☆★☆★☆

 

 

「すごい………!」

 

 黒ウサギは秋世の実力に舌を巻いていた。

 弱いとは思っていなかった。だがここまで白夜叉と渡り合えるとは思わなかったのだ。

 白夜叉は東側の四桁以下の外門で敵なしの最強の支配者だ。

 問題児筆頭の十六夜でさえ、白夜叉と比べれば明確な実力差が存在する。

 

 これなら或いはと考える黒ウサギだが目の前の戦いを見ても、秋世の勝つビジョンを思い描くことができなかった。

 

「この勝負、白夜叉の勝ちだな」

 

 そう言ったのは十六夜だった。

 

「ど、どうして!?秋世君は白夜叉と渡り合えてるのに」

 

「ああ、ギリギリな」

 

「……ギリギリ?」

 

「秋世の奴は最初から全力を尽くしてが、白夜叉の奴はまだまだ序の口だろうよ。白夜叉が本気を出せば、秋世は間違いなく潰される」

 

 飛鳥と耀は驚愕する。

 確かに秋世と白夜叉との実力差を理解していた。

 だが実際、彼はこうして渡り合っているが白夜叉が本気を出せば簡単に捻り潰されるという事実に驚きを隠せなかった。

 彼女達はガルドとの一件で秋世の実力の片鱗を見ていたのだから無理もない。

 

 

 ──あまりにも高過ぎる壁。

 

「魔王ってのは伊達じゃねえみてえだな」

 

 龍悠もまた目の前の元魔王の実力差を考慮し、これから先に起こるであろう魔王とのシュミレートを開始していた。

 

「夏海さん?」

 

 飛鳥は、ふと思い夏海を見た。

 夏海はボーっとしながら劣勢に立たされている秋世を見つめていた。

 

「……夏海どうしたの?」

 

 耀も夏海の様子がおかしい事に気付き話しかけるが一向に夏海は気付かない。

 

 

「夏海さん!」

 

「夏海!」

 

「ヒャイ!」

 

 漸く気付いたのか変な声を上げ、腰を抜かす夏海。

 

「……どうかしたの夏海。さっきから秋世のこと見てたけど」

 

「いえ、別に大したことではないのですが……

 

 

 

 彼を何処かで見た気がしてならないのです」

 

 それが原因なのか、心なしか夏海の体が震えていたのだ。

 まるで恐怖するかの様に。

 思い出したくない何かを見たかの様に……

 

「秋世さん、貴方は一体何者なのですか?」

 

 そんな夏海を心配して寄り添う様に飛鳥と耀は隣にいるのだった。

 

 十六夜は秋世の恩恵の根源を探っていた。

 龍悠や夏海、耀や飛鳥の恩恵は何とか予想を立てることが可能だが、秋世の恩恵を白夜叉は闇といったが果たして本当にそれだけだろうか?

 そう考える自分がいる。彼が胸の内に抱くのは秋世への好奇心だった。

 俺の欲を満たしたい。いつか戦いたいと秘かに願い続けるのだった。

 

 

 

 ☆★☆★☆

 

 

 黒く染まった水が、大地が、木々が、閃刃が白夜叉を屠らんと踊る。

 大地は焼けただれ、湖畔の水は蒸発し、山は砕けた。

 周囲の破壊など、まるで些事だと言わんばかりの天災の嵐に巻き込まれた世界に無事な場所など皆無な状況だった。

 今や白夜の地平は修羅神仏ですら、生存できぬやも知れぬ凄惨な地獄と化していた。

 

 そんな地獄で踊る秋世と白夜叉だが、秋世は窮地に立たされていた。

 どの様な攻撃を仕掛けようが白夜叉はそれを踏破し、さらなる追撃を与えてくる。

 閃刃は弾かれ、木々は焼かれ、水柱は消え失せる。

 如何に秋世の霊格が上がろうと無意味だと嘲笑うかのように。

 

 

 白夜叉は当然の如く殆ど無傷。

 対する秋世は腕はズタボロ、体の至る所が火傷を負い、血を流し過ぎた為か意識も朦朧としていた。

 

 そんな秋世を見かねた白夜叉は()()()()()()()()()()()()()

 

「もう諦めろ。貴様ではこの白夜の地平は超えられん」

 

「……お前が、決めるなよッ!」

 

 再び閃刃が放たれるが………

 

「よさんか。それはもう見飽きた、貴様とてそれはわかりきっておろう」

 

 無駄なことだと白夜叉は言うや否や秋世の懐まで一息で潜り込み、闇の防御など紙のように貫き、星の息吹に相当する一撃が秋世の腹部を直撃する。

 

 深緑が赤く塗り替えられる。

 内臓の幾つかは潰れているが秋世は膝を折ることなく踏みとどまった。

 

「……ま、だや、れるぞ……!」

 

 決して彼の闘志は折れぬと言わんばかりに笑みを浮かべて白夜叉に吼えた。

 それ故、問わずにはいられなかった。

 秋世が望む理想を聞かずにはいられない。

 

「おんし……この決闘の果てに何を望むのだ?──名誉か?富か?それとも力か?何がそこまでおんしを駆り立てるのだ?これだけの実力差を前にしてそこまでの傷を負うに足る望みなのか?」

 

「……当たり前だ。でなければココまで戦わない」

 

「では何を望む?」

 

「……俺が望むのは───」

 

 そして、彼は口にする。

 己が理想を、彼が傷だらけになってまで果たす意義のある理想を。

 

 

 

「ある女を蘇らせること。ただそれだけだ」

 

「ほう?それがおんしの理想か?」

 

「ああ。どうしようもない俺を導いてくれた女だ。闇の中でしか生きられなかった俺を照らしてくれた恩人だ。───彼女が蘇る為なら俺は三千世界の者達全てを相手にしようが、神々が、星々が相手だろうが、どんな手を使ってでも果たしてみせるッ!!!」

 

 白夜叉は彼の目を見た。

 強く、真っ直ぐな目だった。

 彼の言葉に嘘はなく、普段あまり感情を表に出さない彼が放つ強烈なまでの羨望と───愛。

 それらが感じられた。

 

「……そう、か」

 

 それが答えかと、白夜叉は満足した。

 自らの大切な女の為……たかが女と切り捨てるのは簡単だが当人達からすれば命を賭ける価値ある物だろう。

 ギリシャ神群や日本神群にもそう言う逸話は存在する。

 然し、彼らは何も失敗した例が多い。

 なればこそ、その想いをぶつけて来いと、白夜叉は気炎万丈の思い込めて叫ぶ───!

 

「ならば来るがいい!おんしの想いを、その熱く煮え滾る激情を太陽さえ落とすというならば証明してみよッ!!!」

 

「元よりそのつもりだし、もうやってるよッ!!!」

 

 何?と白夜叉は周囲を見渡す。

 そして、目を見開いた。

 

 白夜叉と秋世が立っている周囲約十mの範囲に()()()()()()()()()()

 

「這い出でよ、深淵より虚数を孕みし暗闇よ」

 

 秋世の声が白夜の地平に響き渡る。

 

「光を食みし、我らの怨念。神さえ呪う情念よ!」

 

 それは神さえ呪う虚数を孕む闇はまるで神々や星々を呪う人々の想念を形取った闇の叡智の結晶だった。

 闇は白夜叉を球状に囲い閉じ込める。

 

「クッ!?」

 

 白夜叉は慌てて幾つかの熱線を放ち、闇の檻が完成する前に壊そうとするが再三にわたり現れる闇の閃刃が形状を変え、幾重にもなる壁を形成し熱線を防ぐ。

 そして形成されるのは光を閉ざす闇、夜の世界。

 

「虚数界・堕天の庭……!」

 

 此処に白夜は極夜の帳となった。

 

「この程度……!」

 

 白夜叉が炎柱を造り、檻を壊そうとするが───

 

「……なんじゃコレは……!?」

 

 炎柱は造り上げられる前に霧散する。

 この現象は明らかに変だ。

 先程まで光を受けただけで存在を希薄にした闇が祓えない。

 そして、ある事に気付く。

 

「まさか、太陽神殺しか!?」

 

「……ご明察だよ……!」

 

 そう、彼の闇は白夜叉とは相克と言っても過言ではない。

 太陽の光は闇を祓い、闇は太陽を喰む。

 故に彼の闇は部分的、或いは一定範囲内の領域を夜に変え、太陽神殺しに特化させたのだ。

 

「……アンタがこの闇から出るのは不可能だ。」

 

 そう、この檻は太陽神の太陽にまつわる功績を光と共に断つのだ。それこそ夜を支配できなければ虚数界からは脱出することは叶わない。

 

「……負けを認めろ白夜叉、夜に輝けないお前じゃ──」

 

「そうか」

 

 無理だ。そう言うとした時、白夜叉の存在が変化する。

 まるでスイッチを切り替えるように変わった感覚。

 その時だった『堕天の庭』に亀裂が奔ったのは。

 

 徐々に亀裂は増え、亀裂から火柱が上がる。

 摂取七千度にまでなる恒星の炎が溢れ出る。

 まるで夜が明けるかのように……

 明けぬ夜は無いと言うかのように……

 闇の檻は消え去り、後に残るのは美麗の銀髪に夜の帳を彷彿とさせるような闇を放つ白夜叉と秋世のみ。

 

「……なん、で」

 

「簡単じゃよ───私が司るのは太陽の()()だ。夜を操るなど造作もない」

 

 秋世の体からどっと力が抜ける感覚がする。

 それもそうだろう。あれは彼にとって必勝とも言える手段の一つだった。

 彼が太陽を堕とす為に用意した策はもう残り僅かだが、目の前の魔王はそれを更に狭めてしまう。

 

「諦めるわけではあるまい?どうなのだ人の子よ」

 

「……当たり前、だッ!!」

 

 闇は通じず、その他も効かない。

 残っているのは一つだけ。

 

「ガアアァァァッ!!!」

 

「クハ、ハハハハハハッ!!!」

 

 彼は無謀ながら接近戦を挑む。

 腕を闇で固定、更に足元から展開される闇を拳状に形成し殴りかかる。

 秒間百発は超える拳打の嵐を圧倒的な暴力が捻じ伏せる。

 

 骨が、内臓が、筋肉が潰れ、折れ、砕け散る。

 秋世の体は既に死に体だ。

 だが彼は倒れない。体が朽ちようと彼は決して諦めない。

 

 扇子による一撃が秋世の肋骨を砕き、吹き飛ばす。

 

 

 ───然し、

 

 まだ終われない、と彼は最後の手札を遂に切る。

 彼は血迷ったかのように白夜叉目掛けて突貫する。

 

「それは愚策だぞ」

 

 白夜叉の手に閃光が溢れ出る。

 それはありとあらゆる生命に死を与える断罪の炎。

 触れれば最後、肉を焼き切り、骨を断つどころではすまない。

 正に必殺の一撃を称するに相応しい太陽の一撃である。

 これを受け止めようとしても無駄なこと。

 

 残り1m付近でそれは抜刀される。

 空間を灼き、秋世を絶たんと放たれる。

 

 躱す以外に道のない一撃。

 だが、ここで秋世は白夜叉の考えを斜め上の行動に出た。

 

「グッッ、ガ、ッアアァァァッ!!!」

 

 彼は躱す事さえしなかったのだ。

 上半身と下半身が切り裂かれる。

 臓物と血を散らしながら彼は息絶え絶えに自らの最高の一撃を放つ。

 

「カ■■トロフ■起■……終に廻りて、閉ざせ──疑似創星図」

 

 彼の左腕より極光……否、闇の極光とも言える力が収束し、白夜叉目掛けて放たれる。

 意表を突いた星を砕くだろう一撃が白夜叉に迫る。

 

(よくぞここまで……!ああ、認めよう小僧。貴様は強い、だが───)

 

 そして、直撃。

 

 白夜の地平に亀裂が迸り、世界を砕きかねない事態を招いていた。

 

 煙が晴れる。

 

 立っていたのはただ一人、白夜叉だけだった。

 

「この程度では、太陽は沈まんよ」

 

 秋世は上半身と下半身を切り離されているものの、奇跡的に生き残っていた。

 いや、ここまで戦い抜いた事こそが奇跡だろうか。

 

 そして契約書類が舞い降りる。

 それは決着の証だった。

 

 見るものが見れば白夜叉が勝つ、この状況こそが必然だと。世の者達は言うだろうが、それは間違いだと箱庭と白夜叉、そしてノーネームの此処に居合わせた全員が言うだろう。

 

 契約書類にはこう記されていた。

 

『ギフトゲーム名“白夜の果てに”

 

 主催者、参加者の両名の引き分け

 

 以降、この契約書類は両名の恩恵を授与する際にご利用下さい』

 

 

 白夜叉を倒すことはできなかった。

 だが秋世が執念の果てに手に入れた理想への切符を手に入れたのだ。

 

「全く……此奴は」

 

 白夜叉は彼の行動、覚悟を讃えるかのように、嗜めるように。

 

「もう少し自分を労らんか……!おんしの願い、叶えられるとよいな」

 

 そう秋世の戦いはまだ終わっていない。

 彼の言う通りならば蘇らせたいという女を助けるには苦難が待ち受けている。

 

 伊邪那美と伊邪那岐の試練。

 アクレピオスの恩恵を手に入れる試練。

 箱庭に数多ある死者の蘇生を可能とする試練の数々はいずれも困難なモノばかりだ。

 

 こちらも最大限の協力を惜しまんと呟きながら、白夜叉は秋世の傷の回復を開始する。

 一日二日で治る様な怪我ではないが、秋世なら乗り越えられるだろうと期待を乗せて、

 

「まあ、ゆっくり休め……理想を追う者よ」

 

 彼が理想を叶えるその日を想像するのだった。

 

 

 

 




幻想による問題児の座談会!

今回のゲストは二度目の登場、秋世と原作最強格の一柱、白夜叉だ!

「……よろしく」
「よろしくの」

それでは───

「……おい主!」

何さ?

「俺の扱い酷くない?」

イヤ別に?変なところなんて一つもないよ?

「……いや、俺は不死の恩恵を持ってないし、ましてや回復系の恩恵を持っていないんだぞ!?殺す気か!?」

「そうじゃぞ!私がスーパー美少女だからと言っても此度はやりすきだの」

何言ってるんですか!?白夜叉さんメッチャはしゃいでたじゃないですか〜

「……やはり、白夜叉……!貴様もか」

「こ、今回はここまでじゃ。次回も見てくれ。さらばじゃ!行くぞ主!」

「逃がさん……!」

次回もよろしくお願いします!
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